ヒトTリンパ好性ウイルス
ヒトTリンパ好性ウイルスの最新ニュースをまとめて検索!
ヒトTリンパ好性ウイルス(Human T-lymphotropic Virus:HTLV)は、レトロウイルスの一種。
アジア、南北アメリカを中心にみられるHTLV-I、アフリカを中心にみられるHTLV-II、カメルーンで2005年に発見されたHTLV-III、HTLV-IVがある。特にHTLV-Iは最初に発見された疾患を起こすヒトレトロウイルス。類縁ウイルスにsimian T-lymphotropic virus(=STLV)がある。
HTLV-1は腫瘍ウイルスのひとつでATL(=adult T-cell leukemia, 成人T細胞性白血病)をウイルス保持者(キャリアと呼ぶ)のうち極少数に発症する。
目次 |
[編集] 生活史
宿主であるヒトのT細胞内では核内に移行し、RNAからcDNAを逆転写により生成し、cDNAは宿主ゲノムDNAへインテグレーション(integration)する。integration siteは決まってはいない。messenger mRNA(gag mRNA)を生成した後、スプライシング(splicing)を受け、env mRNAとなる。env RNAはさらにスプライシング(secondary splicing)を受けpX mRNAとなる。px mRNAは複製制御を担うp40tax/p27rex 蛋白をコードする。 これらのmRNAはopen reading frameが異なるため、もとのウイルスゲノムRNAが一本であっても、それぞれのmRNAは異なった蛋白をコードする。感染T細胞は必ずしも死滅するわけではない。そのため、T細胞からT細胞へ感染するほかに、感染したT細胞の増殖によるウイルス増殖もみられる。
[編集] 感染経路
このウイルスは、自然には性行為または哺乳により感染することが多いが、出産時、母体内での感染もある。
人工的には、血液曝露(感染リンパ球を含んだ輸血)により感染するが、血漿成分輸血、血液製剤では感染しない。cell-to-cell infection(細胞から細胞へ感染)のためだといわれている。
なお、現在の日本では現在、献血に際して抗体スクリーニングが行われており、感染の危険はない。
[編集] 検査
[編集] 成人T細胞白血病
ATL(成人T細胞白血病)は1976年に高月清らによって発見、命名された疾患である。西日本特に九州、沖縄に非常に多いという特徴がある。
ATLは一般に急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型が治療対象となり、一般的にaggressive lymphomaに準じた治療法が選択される。名前のとおりT細胞性でありCD20陰性のため、CHOP療法が選択される。予後不良因子を持たない慢性型やくすぶり型ならば経過観察となる。ATLは初回から薬剤耐性を示すことが少なくなく、標準的な治療法が未だに確立していない。しかしCHOP療法によって1stCRを得る症例が近年増えている。しかし、再発が多く、再発例は薬剤耐性があるためペントスタチンや造血幹細胞移植、CCR4抗体、CD52抗体、ジドブジン、インターフェロンαといった治療法が現在研究中である。
感染から発症までの期間が非常に長いため、成人で初感染した場合は発症せずに寿命を迎えることがほとんどである。
[編集] 感染予防
母乳感染が主であるため、HTLV-Iキャリアであることが判明した場合、母乳哺育を行わず人工乳を用いれば感染の危険を大幅に減らすことができる。
[編集] 関連病変
HAM/TSP(HTLV-I associated myelopathy, HTLV-I関連脊髄症/tropical spastic paraparesis, 熱帯性痙性対麻痺)、HAB(HTLV-I associated bronchitis),HAU(HTLV-I associated uveitis)などがある。
[編集] 関連事項
文化人類学的に、HTLV-Iの塩基配列を検討することによって、人類の移動を推測する研究もなされている。夫婦・親子と感染するため、ヒト・ゲノムと同様に、一群のヒト集団(血族)の移動を示唆すると考えられる。ティワナクの項に詳しい。
HIVはHTLV同様白血球(CD4 Tリンパ球)に感染するレトロウイルスである。
tax遺伝子をT細胞および胸腺細胞で発現させたトランスジェニックマウスではT細胞性白血病 / リンパ腫を発症する。[1]
[編集] 参考文献
- ^ Nature Medicine 2006; 12:466-472
- HTLV-1と疾患 ISBN 9784830614200
最終更新 2009年12月1日 (火) 10:57 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【ヒトTリンパ好性ウイルス】変更履歴


