ビジュアルノベル
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ビジュアルノベル、ヴィジュアルノベル(Visual Novel)は、ゲームの一ジャンルである。ビジュアルノベルそれ自体もアドベンチャーゲームの一種に分類される。ノベルゲームやサウンドノベルと呼ばれることもある。
ゲーム性は薄い場合が多い。紙媒体の小説やゲーム性皆無のデジタルノベルとの混同を避けるためにこの名称を使う。制作者側では前述の名称を区別しているが、世間では明確な区別がされていないことが多い。
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[編集] ビジュアルノベルとは
コンピュータで読む小説であり、画面に表示される文章をメインに音と絵が加わった物である。
この名前は、アクアプラスのブランドであるLeafからリリースされた「リーフビジュアルノベルシリーズ」(特に『雫』『痕』『To Heart』の3作を指す場合が多い)に由来する。元々、こういった形式はサウンドノベルと呼ばれていたが、こちらがチュンソフトの商標であり、またサウンドノベルが「音+小説」を意図するものであったのに対し、映像の効果を前面に打ち出す意図があったため「画像+小説」を意味するこちらの言葉が使われた。
ユーザーからは「サウンドノベル」の語が使いづらいため、また開祖『雫』への敬意を込めて、アダルトゲームや美少女ゲームでは好んでこちらの名称が使われる。しかし、非成人向けでは語源から使い辛く、ノベルゲームなどと称される。
制作側においては、アダルトゲームや美少女ゲームにおいてでさえ、ビジュアルノベルの言葉を使うことは少ない。ビジュアルノベルの言葉が使われず、その会社独自の表現を使わない場合には、アドベンチャーゲームの名を冠することが通常。
[編集] ビジュアルノベルの起源
上記の通り、ビジュアルノベルの起源はチュンソフトのサウンドノベルに見ることが出来る。様々なゲームらしい挑戦を組み込んだサウンドノベル第1弾『弟切草』(1992)を経て、『かまいたちの夜』(1994)では文章単体でも読める濃密なミステリーに加え、ゲームだけが出来る複雑なシナリオ分岐とフラグ管理(フラグ (コンピュータ)も参照)によってサウンドノベルを一つの形として昇華させた。この『かまいたちの夜』に影響を受け、製作されたのがLeafの『雫』(1996)である。
当時のアダルトゲームはエルフの『同級生』(1992)登場以降、旧来のゲーム性重視の流れに代わってドラマ性を重視する作品が提示されつつあった。従来のアダルトゲームが、そのゲーム性については「絵をみるためのオマケ」程度のものが多かったなか、通常ジャンルにも劣らぬドラマ性を備えた『同級生』は空前の大ヒットをした。こうして生まれた流れは続編『同級生2』(1995)のさらなるヒットで一つの完成をみ、性的描写のみならずストーリー面でも評価される作品として業界に大きな影響を与えた。以後、これらの気運を受けてアダルトゲームの主流はストーリー性を持ったアドベンチャーゲームへと移行していくようになった。
この状況下で、Leafは後に「ビジュアルノベルシリーズ三部作」と呼ばれるシリーズの第1作『雫』を発表した。これは制作者本人も語るように、『かまいたちの夜』に大きく影響されたものであり、高い難易度で、背景に絵を置き、膨大なテキストを読ませるというものであった。「見せる」ことに主眼を置いた当時のアダルトゲーム業界で「読ませる」ことを売りとすることは画期的であったが、次作の『痕』(1996)とともにダークな題材でカルト的な趣があったためか、定評は得たものの大きな潮流を生み出すまでには至らなかった。
しかし、3作目である『To Heart』(1997)の登場により状況は一変する。前2作とは雰囲気が全く異なり、誰しもが経験した学生生活の日常をギャルゲーらしく誇張された設定とキャラを交えて時に生き生きと、時に切なく、そして感動的に描ききった同作は空前の大ヒットを飛ばし、その勢いはコンシューマーゲーム業界にまで波及した。こうして『同級生2』に始まるドラマ性の追求はさらに新しい局面を迎えることになった。
この大ヒットにより大きく注目を浴びることになったビジュアルノベルが持つスタイルは、良質なシナリオとスクリプトエンジンさえ用意すればゲームソフトとして成立させることができるため、開発体制が脆弱なメーカーが多いアダルトゲーム業界にとっては福音であったといえる。のちには、アマチュアベースでも月姫などの良作が注目を集める形となった。
[編集] ビジュアルノベルの定義
ビジュアルノベルの定義には大きく2種類ある。1つ目は画面全体に文字が表示されるものと定義される(狭義のビジュアルノベル)。2つ目は文字の表示形式に拘らず、文字の表示形式に拘らずに文字+画像の組み合わせで文章を読ませるもの全般を含むと定義される(広義のビジュアルノベル)。広義のビジュアルノベルは狭義の定義を含んでいる。
ビジュアルノベルの定義が2種類あるのは、名称考案者のLeafがビジュアルノベルの定義について明確に示しておらず、Leaf自体のビジュアルノベルの名称使用の基準がはっきりせず、ユーザーが独自の意味において取ったためである。
[編集] サウンドノベルの定義
ビジュアルノベルがチュンソフトのサウンドノベルに影響を受けて作られたことは有名だ。サウンドノベルは全画面表示形式である。チュンソフトの定義によればサウンドノベルとは「臨場感あふれるサウンドと、さまざまな映像表現を組み合わせることで『目』と『耳』からストーリーを体感する『アドベンチャーゲーム』です」[1]と定義している。つまり、文章と画像と音と演出があればサウンドノベルの定義に当たることになり、広義の意味のビジュアルノベルと同義と言える。
[編集] Leafの定義
サウンドノベルを基にして作られたことからすれば、Leafは広義の意味で使っているようにも思われる。ただLeafがビジュアルノベルの名称を使うのは、作品の内容すべてが全画面表示形式に統一されているものに限られている。このことからすれば狭義の意味のようにも思われる。アドベンチャー以外にゲーム部分を持つ『WHITE ALBUM』や『こみっくパーティー』は元より、完全アドベンチャーゲーム形式だが全画面表示でない『誰彼』や『鎖 -クサリ-』にもビジュアルノベルの名称は冠されていない。
同じ『To Heart』でもパソコン版はビジュアルノベルとされているが、PS版はただのアドベンチャーゲームとなっているなど不可解な部分は多い。18歳以上向けと全年齢向けで使い分けているとも考えられた。実際、当初PS2で発売された『ToHeart2』はアドベンチャーゲームで、その後に18禁要素を付加して発売されたパソコン版『ToHeart2 XRATED』はビジュアルノベルの名がついている。しかし、PS2・PSPに移植された『Routes』はともにビジュアルノベルの名称のまま販売されている。その後、『ToHeart2 XRATED』はPSPに再移植された。こちらはアドベンチャーゲームではなくビジュアルノベルとして発売され、同じ作品でも表記が混在する事態となっている。
結論としてはLeafが何を持ってビジュアルノベルとしているかは不明である。
[編集] 他社の定義
チュンソフトがサウンドノベルを商標登録したのに対し、Leafはビジュアルノベルを商標登録しなかった。そのため他社が自由にビジュアルノベルの名称を使える状態である。ただし、ビジュアルノベルの名称を使う会社はアダルトゲーム業界ではむしろ異端である。「TYPE-MOON」や「ねこねこソフト」など一部の会社が使うくらいで、ほとんどの会社がアドベンチャーゲームや独自の呼称を使っている。
むしろビジュアルノベルの名称を使うのは、全年齢向けゲームを発売する会社に多い。ビジュアルノベルの呼称を使うゲームとしては『片神名〜喪われた因果律〜』、『快盗天使ツインエンジェル』、『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド 特別編 ポータブル』などがある。特に『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド 特別編 ポータブル』については、もともと「マルチエンディングアドベンチャーゲーム」の呼称を使っていたが、PSP版発売に当たりわざわざビジュアルノベルに改称している。
これらの会社の多くは文章全表示形式には必ずしも拘っておらず、後者の意味で捉えている。
2000年代中盤には、ビジュアルノベルという言葉が広義の枠を飛び出て使用する事態も起こっている。「アスキーメディアワークス」は自身の持つ電撃文庫レーベルの作品の絵本をビジュアルノベルとして売り出している。
いずれにせよビジュアルノベルの名称が成人向けの響きを持っているのは過去のことである。制作サイドにおいてはむしろ全年齢向けにおいて積極的に使われている。
[編集] ビジュアルノベルの文章表示形式
ビジュアルノベルはその発展経緯からアドベンチャーゲームの一種に分類される。ビジュアルノベルを考案したLeaf自身も製品情報ページでアドベンチャーゲームに分けている。
ビジュアルノベルは大きくわけて2つの形式がある。狭義のビジュアルノベルの全画面表示形式と三行下部表示形式である。
三行下部表示では長い文章が細かくぶつ切りになるため、改行文体を用いるのに対し、全画面表示はより段落文体に近く、基本的に文章単体でも内容が理解できる必要がある。その他、画面効果の使用頻度・方法などは全文表示形式の方が制約が多い。
[編集] 一般的なビジュアルノベルの構成
ビジュアルノベルを簡潔に説明すると、クリックする度に一定の文章が画面に表示され、それとともに立ち絵(上半身の人物絵)が文章の状況に沿って変化する。音楽はBGMと効果音が用意され、場面の状況に合わせて切り替える。
[編集] 文章
基本的には小説と同じ。極端な話、市販されている小説をそのまま持ってきて、絵と音さえつければビジュアルノベルとして成立する。小説と異なるのは人物絵と背景が用意されプレイヤーが一見してわかるため、ビジュアルノベルでは人物の外見描写や場面描写を細かくする必要はない。また文章画面一部表示方式では劇の脚本のように、話す人物も表示されてわかるため、小説のように誰がしゃべったか地の文でわかるようにする必要はない。
[編集] 絵
一般的には、背景・立ち絵・イベントCGの組み合わせからなる。背景は画面全部に表示され、立ち絵は画面の一部に表示される。どちらも複数用意される。
- 背景
- 通常場面で使われる。一場面につき一つしか表示されない。場所が移ると背景が切り替わる。人物が出てくるまで、背景単体で表示されることもある。背景にはCGと写真加工の2種類がある。写真を使う場合はそのままだと背景が目立ち過ぎるため、画像を暗色系にしたりぼかしたりと加工されることが多い。CGを使う場合であっても、現実を舞台にしたゲームならば、場面に合いそうな写真を取り模写して描き起こす方法も取られる。
- 商業はCGがほとんどであるが、CGを描くのは手間であるため、人手がない同人では写真加工が多く使われる(『月姫』、『ひぐらしのなく頃に』など)。サウンドノベルを産み出したチュンソフトは雰囲気を出すため、伝統的に写真加工を使っている。『かまいたちの夜』のペンションクヌルプ、『ひぐらしのなく頃に』の白川郷のように、この背景の元になった場所が聖地として、ファンが訪れられることもある。
- 立ち絵
- 背景と同じく通常場面で使われるが、単体では使われず、(暗闇を表す黒一色なども含めた)背景とセットで使われる。キャラクターの上半身の絵。立っている絵であることが語源。バストアップとも呼ばれる(元々は胸より上を写す撮影用語から来ている)。
- 上半身・胸より上の絵と言っても、ビジュアルノベルでは下半身の一部つまりズボンやスカートの一部まで画面表示されることが通常。だいたい頭から4分の3~5分の3程度が表示される。つま先までは表示されない。多くのビジュアルノベルではプレイヤーが主人公になり、視点も主人公目線になる。人が立って話すとき相手の全身は目に入らないので、それに合わせたもの。
- 一人の人物に複数のものが用意されており、場面に合わせて使い分ける。例えば通常状態+喜怒哀楽の5枚の絵を用意したとして、通常→楽しい→哀しい→怒り→喜びという風に、キャラクターの感情によって絵をころころ変えることで表情を出す。
- 労力の関係から、アニメなどのように人物に必ず立ち絵が用意されているわけではなく、会話文はあるがストーリーにほとんど関わらない場合には立ち絵が存在しないキャラクターもいる。一人称の文章の場合には、その人物の目線で見ている設定なので、一人称の立ち絵は表示されないことが通常。多くのゲームで、プレイヤーは主人公の目線を通すので、主人公の立ち絵は最初から存在しない場合も多々ある。
- 数人と一緒に話す場面では、違う人物のものが数枚まとめて同時に表示される。双子でビジュアルがまったく同じ、もしくは主人公が分裂するなど特殊なケース以外では、同一人物のバストアップが同時に表示されることは通常ない。
- イベントCG
- ストーリーの核となる部分では背景+立ち絵の組み合わせではなく、イベントCGという一枚絵が使われることもある。イベントCGは背景とキャラクターが一緒に、一枚の絵として描かれたものである。背景や立ち絵と違って流用が効かず、その場面のみでしか使われないため、労力の割にゲームでは少しの時間しか表示されない。しかし、ストーリーを盛り上げてくれる効果があるために加えられる。
- イベントCGはチュンソフトのサウンドノベルにはなかったもので、ビジュアルノベル第一作『雫』で新たに付け加えられた。イベントCGを使うときには、写真加工背景を使っているゲームでも、人物と背景含めてCGで描くことが多い。
[編集] ビジュアルノベルというジャンル
[編集] 他ジャンルゲームの違い
ビジュアルノベルは、文字・絵・音の集合体である。文字・絵・音の3つのどれかが欠けているビジュアルノベルは存在しない。これはRPGやシューティングゲームなどすべてのジャンルのテレビゲームに含まれる要素であり、実際にはビジュアルノベルと他ジャンルを区別する指標とはならない。
ビジュアルノベルの特徴は他ジャンルと違い、文章を読むのに重点が置かれることだ。例えばRPGではダンジョン攻略を行う、シューティングゲームでは弾を撃って敵を迎撃することなど、システムに重点が置かれている。他ジャンルでもストーリー性は重視されるが、ストーリーがあることは必ずしもそのジャンルであるために必要不可欠なものとはならない。ビジュアルノベルもコンピュータ上で処理されるものである以上システムは必要不可欠だが、クリックする度に文章が表示される、選択肢のフラグ管理などの最低限のもので足りる。これらのシステムが文章を順に読み進めてストーリーの結末に至るのを目的とするものであることからも、ビジュアルノベルでいかに文章が重視されていることがわかる。
[編集] ビジュアルノベルの今
『Fate/stay night』や『ToHeart2 XRATED』のようにマルチメディアに発展する大ヒット作もしばしばみられる。ただし、文章のみで勝負するものをビジュアルノベルと呼ぶべきか、文章と絵やゲーム的要素といった他の要素がどういうバランスのものをビジュアルノベルと呼ぶべきかと考えていくと、もともとのビジュアルノベルの手法が純粋に維持されているわけではない。
例えば最近では全画面表示と三行下部表示の融合する作品もある。即ち、独白を多用し動きに乏しいシーンでは部分的に全文表示形式を使い、対話や活発な動きがあるシーンでは地の文やセリフを画面下部に三行だけ表示する方式を使うものである。『WHITE ALBUM』(Leaf 1998)、『天使のいない12月』(Leaf 2003)、『シンフォニック=レイン』(工画堂スタジオ 2004)などが挙げられる。
[編集] 主なビジュアルノベル作品
[編集] LVNS・リーフビジュアルノベルシリーズ(Leaf)
[編集] 全画面表示形式
- アトラク=ナクア(ALICESOFT)
- アパシー・シリーズ(七転び八転がり)
- 彼女の願うこと。僕の思うこと。(Project-μ)
- GANG CLUB
- さくらむすび(CUFFS)
- 沙耶の唄(ニトロプラス)
- 月姫(TYPE-MOON)
- ひぐらしのなく頃に(07th Expansion)
- 水月(F&C FC01):PC版のみ該当
- ルームメイトノベル ~佐藤由香~(データム・ポリスター)
- 忘れな草(Project-μ)
- 霞外籠逗留記(raiL soft)
[編集] 全画面表示と三行下部表示との混用
- WHITE ALBUM (Leaf)
- 天使のいない12月 (Leaf)
- Ever17 (KID)
- My Merry May (KID)
- My Merry Maybe (KID)
- シンフォニック=レイン (工画堂スタジオ)
- そらいろ(ねこねこソフト)
- 公式にはビジュアルノベルと称されているが、実際はごく一部のシーンを除いてアドベンチャーゲーム形式。
[編集] 雑記
コナミがゲームボーイアドバンス専用ソフト「サイレントヒル」(シリーズ1作目をノベルゲーム化した作品で、後の「プレイノベル サイレントヒル」の事である)のジャンル名としてこの「ビジュアルノベル」という名称を商標登録しようとしたことがあったが、特許庁が拒絶査定を下したため認められなかった。
結果として、ゲームボーイアドバンス専用ソフト「サイレントヒル」は「プレイノベル」というジャンル名において発売されることとなった。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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最終更新 2009年11月15日 (日) 04:16 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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