ビタミンD

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ビタミンD (vitamin D) は、ビタミンの一種であり、脂溶性ビタミンに分類される。ビタミンDはさらにビタミンD2エルゴカルシフェロール、Ergocalciferol)とビタミンD3(コレカルシフェロール、Cholecalciferol)に分けられる。ビタミンD2は植物に、ビタミンD3は動物に多く含まれ、ヒトではビタミンD3が重要な働きを果たしている。ちなみにビタミンD1はビタミンD2を主成分とする混合物に対して誤って与えられた名称であるため、現在は用いられない。

ビタミンD2
別名 エルゴカルシフェロール
分子式 C28H44O
分子量 396.65 g/mol
CAS登録番号 [50-14-6]
融点 114-118 °C

目次

[編集] 機能

ビタミンD3
IUPAC名 (3β,5Z,7E)-9,10-Secocholesta- 5,7,10(19)-trien-3-ol
別名 コレカルシフェロール
分子式 C27H44O
分子量 384.64 g/mol
CAS登録番号 [67-97-0]
融点 84.5-87 °C
SMILES O[C@H](C/C1=C/C=C3/ C2CC[C@@H]([C@@](CCC3)2C) [C@H](C)CCCC(C)C)CCC1=C

ビタミンDは丈夫で健康を作る働きをする。丈夫な骨は常に骨代謝(骨のリモデリング)によって新しく造られ続けなければならないので、ビタミンDは破骨細胞を活性化して骨を壊し、骨芽細胞を活性化して骨を作る。またビタミンDは、リモデリングに必要なカルシウムを血中に動員するために腎臓でのカルシウムの再吸収を促進し、腎臓からの排泄を抑制し、骨代謝を吸収側(破骨側)に傾ける副甲状腺ホルモンを抑制する。また、ビタミンDは免疫反応などへの関与も示唆されている。作用機構および機能の多様性から、ビタミンAとともにホルモンに分類されることがある。

ビタミンとは人体で合成できない微量栄養素という意味である。その観点からはビタミンDはコレステロールから人体内で合成ができるためビタミンではないという意見もある。しかし、消化管からのビタミンDの吸収が低下すると容易にビタミンD欠乏症になることから外因性のビタミンDは不可欠である。

[編集] 摂取

ビタミンD2の前駆物質であるプロビタミンD2(エルゴステロール)はシイタケに、ビタミンD3魚類肝臓に多く含有される。 平成16年の国民健康・栄養調査では、男性で平均8.3μg、女性で平均7.5μg、必要量を摂取している。[1]

[編集] 食事摂取基準

摂取基準 目安量 上限量
成人(男女) 5μg(200IU)/日 50μg(2,000IU)/日

太陽光から隔離されるような環境では、上記目安量の摂取では不足することが示唆されている。例えば、潜水艦の乗組員での調査では400IU/日の摂取でも血中ビタミンD濃度を適切に維持できないとの報告がある。 [2] 食事からの摂取だけでなく、日光浴も大切である。

[編集] 食品

ビタミンDを多く含む主な食品[3]

食品名 100gあたり含有量
しらす干し 46-61μg
焼き紅鮭 38.4μg
いわし(缶詰) 17-20μg
焼きさんま 15.9μg
さば(水煮缶) 11μg

[編集] D2 vs D3

人間では、ビタミンD2とビタミンD3で効果に差はないという報告 [4] と、D3の方がより効果的とする報告 [5] がある。 ラットなどのいくつかの種では、D3よりD2の方が効果が高いと報告 [6] されている。 なお、海外ではD2とD3の2種類のサプリメントが販売されている。

[編集] 生合成

動物では、コレステロール代謝を受けてプロビタミンD37-デヒドロコレステロール)となったあと、皮膚上で紫外線を受けてプレビタミンD3((6Z)-タカルシオール)、続いてビタミンD3(コレカルシフェロール)へと変わる。さらに肝臓で代謝を受け 25-ヒドロキシビタミンD3(カルシジオール)へと変化し、最終的に腎臓で代謝されて活性型ビタミンD3(1,25-ジヒドロキシビタミンD3、カルシトリオール)となる。ビタミンD3から25-ヒドロキシビタミンD3への変換には皮膚の細胞も部分的に関与している。

[編集] 欠乏症

日照不足、日光浴不足、過度な紫外線対策、ビタミンD吸収障害、肝障害や腎障害による活性型ビタミンDへの変換が行なわれない場合などに、ビタミンD3が欠乏し、

が引き起こされることがある。

ビタミンDの不足は、高血圧結核歯周病多発性硬化症、冬季うつ病、末梢動脈疾患、1型糖尿病を含む自己免疫疾患などの疾病への罹患率上昇と関連している可能性が指摘 [7] [8] [9] [10] [11] されている。 パーキンソン病と低いビタミンDレベルとの間には関連があるが、パーキンソン病が低いビタミンDレベルを引き起こしているのか、低いビタミンDレベルがパーキンソン病を引き起こしているのかはわかっていない。 [12]

[編集] 過剰症

高カルシウム血症肝機能障害、腎臓障害、多飲・多尿、尿路結石尿毒症高血圧、易刺激性(不機嫌)、腹痛、発熱、発疹、かゆみ、吐き気または嘔吐、食欲不振、便秘、虚弱、疲労感、睡眠障害、歩行困難、体重減少、貧血、脱毛、けいれん、昏睡など

カルシジオール(25-hydroxy-vitamin D)として人の体内に貯蔵されているビタミンDの半減期は20日から29日である。通常、活性型ビタミンDの生合成は厳密に調節されており、過剰のビタミンDを摂取した場合にのみ毒性が認められる。食品やビタミンD製剤の濃縮レベルは、成人にて毒性を認める量と比較するとはるかに低い量である。

日光浴により、ビタミンDの毒性が認められることは通常はない。というのも、紫外線に当たると、皮膚で合成されるビタミンD前駆体の濃度が(皮膚の色によるが)20分~2時間で平衡に達し、それ以上はビタミンDが生成しなくなるからだ。全身を太陽光に露出した場合の最大体内生成量は、1日当たり250μg(10,000IU)である。

ビタミンDの長期にわたる安全摂取量はわかっていないが、健康な成人においては250μg(10,000IU)/日までは安全とされている。高カルシウム血症を伴うビタミンD毒性が認められたすべてのケースで、1,000μg(40,000IU)/日以上の摂取を必要としている。成人では、継続的に2500μg(100,000IU)/日を摂取すると2~3ヶ月以内に毒性が認められる。米国にて刊行されている"The Nutrition Desk Reference"によると、毒性が認められる閾値は、500~600μg/Kg/日である。米国環境保護庁(The United States Environmental Protection Agency)は、雌のラットに関するビタミンDのLD50を619mg/kgと公表している。

[編集] 適応

活性ビタミンD(カルシトリオール)やその他の活性ビタミンD3誘導体などが日本でも認可されている。 活性型ビタミンD3は、血中カルシウム濃度の上昇作用を利用して副甲状腺機能低下症の治療に用いられる [13]

イタイイタイ病は、ビタミンDの大量投与によりある程度症状が和らぐとされる。

[編集] 各種疾病との関連

(翻訳者募集中)

[編集] 免疫調節

[編集] 癌予防および癌からの回復

[編集] 循環器疾患の予防

[編集] 死亡率

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ ビタミンD解説国立健康・栄養研究所
  2. ^ Duplessis, Christopher A.; Harris, Eric B.; Watenpaugh, Donald E.; Horn, Wayne G.. “Vitamin D Supplementation in Underway Submariners”. Aviation, Space, and Environmental Medicine, Volume 76, Number 6, June 2005: pp.569-575(7).
  3. ^ 食品成分データベース
  4. ^ Holick MF, Biancuzzo RM, Chen TC, et al (2008 March). “Vitamin D2 is as effective as vitamin D3 in maintaining circulating concentrations of 25-hydroxyvitamin D”. J. Clin. Endocrinol. Metab. 93 (3): 677–81. DOI: 10.1210/jc.2007-2308. PMID 18089691.
  5. ^ Institute of Medicine. (2006) Dietary Reference Intakes Research Synthesis: Workshop Summary, p. 27. National Academies Press.
  6. ^ Coates, M. E. (1968). “Requirements of different species for vitamins Full Text-pdf”. Proceedings of the Nutrition Society 27 (2): 143–148. DOI: 10.1079/PNS19680039. PMID 5755261.
  7. ^ Natural Standard Research Collaboration (2008-03-01). "Vitamin D". Evidence-based monograph. Mayo Clinic. 29 November 2008 閲覧。
  8. ^ Gloth, F.M. 3rd, , Alam W, Hollis B. (1999). “Vitamin D vs broad spectrum phototherapy in the treatment of seasonal affective disorder.”. J Nutr Health Aging 3 (1): 5-7. pmid 10888476. 2008-11-15 閲覧。
  9. ^ Melamed ML, Muntner P, Michos ED, et al (2008). “Serum 25-Hydroxyvitamin D Levels and the Prevalence of Peripheral Arterial Disease. Results from NHANES 2001 to 2004”. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 28: 1179. DOI: 10.1161/ATVBAHA.108.165886. PMID 18417640.
  10. ^ Holick MF (2004). “Sunlight and vitamin D for bone health and prevention of autoimmune diseases, cancers, and cardiovascular disease”. American Journal of Clinical Nutrition Full Text 80 (6): 1678S–88S. PMID 15585788.
  11. ^ Travera-Mendoza, Luz E. and White, John H. "Cell Defenses and the Sunshine Vitamin." Scientific American, November 2007, p. 42.
  12. ^ BBC (2008-10-13). "Parkinson's linked to vitamin D". BBC News. 2008-10-14 閲覧。
  13. ^ 偽性副甲状腺機能低下症財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター

[編集] 参考文献

  • Luz E. Tavera-Mendoza, John H. White著 小畑史哉翻訳協力 『ビタミンDの多彩な効用 がんや感染症にも』「日経サイエンス」 438号 p68-76 日本経済新聞出版社 2008年

[編集] 外部リンク

国立健康・栄養研究所

最終更新 2009年8月2日 (日) 03:44 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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