ビューグル
ビューグルの最新ニュースをまとめて検索!
ビューグル(英: bugle)とは、非常に単純な構造の金管楽器で、小型でバルブを持たないナチュラル・ホルンの一種である。音程は吹き口でコントロールする。そのため、ビューグルは自然倍音しか出すことができない。
ビューグルで演奏する楽譜についてはen:Bugle call参照
ドラム・アンドビューグルコー(マーチング)では、2本ピストンまたは3本ピストンのビューグルが使用される。
音楽を演奏する通常の金管楽器(あるいはラッパ)としてではなく、信号を遠くへ伝える道具としてはビューグルは、信号ラッパ(しんごうラッパ 、漢字表記信号喇叭)とも呼ばれる。この目的では主に軍隊で使用された。軍隊では信号に無線通信が用いられるようになり、信号用途としてのビューグル使用はなくなったが、毎朝の起床・朝礼・食事・式典・就寝などで必ず用いられている。自衛隊や消防隊でも使用されている。
フランスではクラリオン(fr:Clairon)に相当し、一方、フリューゲルホルンがBugleとよばれる(fr:Bugle)。
目次 |
[編集] 構造
金属(真鍮など)の管に息を吹き込み、管内の空気柱の振動により音を発生させる。
実際の演奏方法は、楽器の先端部にあるマウスピースと呼ばれる部分に唇をあて、当てた部分を息で振動させ、その振動が楽器内で増幅され、音を発生させる。音は、息を吹き込む部分と反対側から出る。音の出口は円錐形で急激に広がり、通称「朝顔(あさがお)」と呼ばれる、ベルの部分になっている。
ピストンなどの音程を変える装置が付いていない(無弁)ため、上記のように出せる音は自然倍音(下から「ド」「ソ」「ド」「ミ」「ソ」「シ♭(但し音程が低い)」「ド」)に限られる。マウスピースに当てる唇の形によって音を吹き分ける。奏者の力量によってはさらに高音を出すことができる。
トランペットなどの他の金管楽器と同じく、管を巻いて作られてある。巻いてある回数により、二回巻と三回巻の二種類のものに大きく分けられる。管にはひもが巻いてあり、携帯する際の吊りひもとして使用される。また、装飾的な意味合いもある。自衛隊では陸上自衛隊、航空自衛隊では三回巻、海上自衛隊では二回巻が用いられている。ボーイスカウトでは主に二回巻が用いられているが、これは米国のボーイスカウトが二回巻を用いていることに由来し、米国のボーイスカウトが二回巻を用いているのは日本海軍のビューグルに由来している。最近ではドラム・アンド・ビューグル・コー(ドラム・コー)で使用されることが多くなっている。
マウスピースの大きさはトランペットとほぼ同じである。
マウスピースの装着方法は、通常の金管楽器と違い、マウスピースのシャンク部分がネジになっており、楽器本体にねじ込むようになっている。使用現場(戦場、火事場など)で、はずれてしまうと演奏不能になるため、それを防ぐためであるという説がある。
マウスピースの吹き込み管ははずれるようになっており、そこのネジをゆるめて吹き込み管を出し入れし、チューニングを行う。フリューゲルホルンに似た構造である。
コルネットがバルブ付ビューグルとして紹介されることがあるがこれは誤りである。コルネットはフランスの郵便ラッパ「cornet de poste:コルネ・ド・ポスト」に由来するものであるがこれも誤りである(現在のコルネットは19世紀にサックスによりサクソルン属の高音担当として再定義された楽器である)。
19世紀にあったビューグルの変種としてはキー付ビューグルやバルブ付ビューグルがある。キー付ビューグルは19世紀初期に英国のジョゼフ・ホーリデイが1811年に特許を取得した特定の設計をさす発明品「ロイヤル・ケント・ビューグル」を指す。これは大変普及し1850年代まで非常に広く使われていた。のち米国陸軍士官学校の楽団のバンドマスターに就任することになるリチャード・ウィリス(Richard Willis)の作品はキー付ビューグルを用いた作品の代表例である。バルブ付コルネットの発明によりキー付ビューグルは衰退した。
[編集] 調性
米国でのドラム・アンド・ビューグル・コーでは、ビューグルはGキーを基本のキー(調)とした管(G管)を使用するが一般的である。1900年代初頭に軍隊が楽器を売却したことで市民によるドラム・コー楽団が設立されはじめた。軍隊においてはGキーが基本キーとして用いられていたことから、現在でも米国でのビューグルがGキーであることにつながっている。米国外でのビューグルはB♭またはE♭が基本キー(調)である。(これを通常B♭管、E♭管と表現する。)
日本の消防団等においては、A♭管(As管)が一般的であるが、地域によって、A♭管とG管に分かれているところもある。
[編集] 日本での歴史
日本にビューグルが紹介され持ち込まれたのは幕末で、慶応元年に英国の歩兵操典(英國歩兵練法)が翻訳された際に、信号喇叭譜が紹介された。その後、フランス軍事顧問団によってフランス式の喇叭譜及びフランス式ビューグルがもたらされた。現在、信号ラッパに取り付けてある「下げ緒」は深紅もしくは朱色が一般的だが、この色は軍事顧問団が日本人修習生に教授した初期の段階で、習熟の度合いが著しい者が少なからずおり、他の修習生への手本としての意味合いから授けられた、所謂「ステータス・シンボル」を表す特別な色であった。明治18年(1885年)にフランス式をベースとした陸海軍喇叭譜及びビューグルが制定された。明治42年(1909年)に陸軍は独自の喇叭譜を制定し、終戦まで用いられた。当時の日本人には西洋の音階が馴染みがなかったので、「タチツテト」を使って音を出しやすい唇の形を示し、「ド・ト・タ・テ・チ」と吹き方を説明した(同時に当時の音名でもあった)。その後、より言いやすい「ト・テ・チ・テ・タ」に変化した。
童謡「おもちゃのチャチャチャ」の歌詞にある「鉛の兵隊トテチテタ」の「トテチテタ」はこの唇の形を表している。戦後は自衛隊の創設と同時に新しい喇叭譜が制定された。
静岡県浜松市では毎年5月に浜松まつりが開催され、凧揚げの際に、あるいは「練り」(もしくは「激練り」)というパレードにおいて多くの市民がビューグル(主に旧日本陸軍の駈足喇叭譜)を演奏している。
[編集] 曲
前述したように、使用できる音が自然倍音に限定されているため、作曲に当たってはそれを理解していなければならない。 記譜上の音としては、下から「ド、ソ、ド、ミ、ソ、(シ・フラット)、ド」である。
記譜はト音記号で、最低音が下加線一本の「ド」。以後上がっていき、最高音は上加線2本の「ド」。奏者の力量によっては、さらに高い音を出すことも出来るが、作曲の際には用いられることはほとんど無い。なお、倍音の関係で、最高音「ド」の下の「シ♭」も出すことはできるが、はずしやすいので通常は用いられない。
本来の役目である、数を音で知らせる(モールス信号のような)ものから、「集合」「解散」「敬礼」、あるいは数々の行進曲など、様々な楽曲がある。
長野県では消防ポンプ操法大会以外に喇叭吹奏大会が開催され、課題曲に「序奏曲No1」「団旗に対する敬礼」「国旗に対する敬礼」「速足行進曲」などがあり、自由曲としては、ひょうきん族のテーマとして有名な「ウィリアム・テル序曲」(名曲の主題による『ラッパ隊序曲』)がよく使われる(大会の選曲については、指定の曲集の中から選択する規定である)。
行進曲の主な曲は、速足行進曲、楽園行進曲、消灯行進曲などがある。
[編集] 使用状況
日本全国各地の消防団、自衛隊などで使用されている。指示を伝えるためなどの実用ではなく、各種儀式での演奏や、単純に音楽演奏の一環として使用されていることが多い。
また日本各地にドラム・アンドビューグルコーの団体が存在し、全国大会も開催され毎年約10団体ほどの出場がある。
信号ラッパのみで編成された大会も各地で実施されている。
かつて、突撃の合図等戦闘指揮もラッパによってこれを行っていた。明治23年(1890年)11月1日制定時の「陸軍定員令」(明治23年11月1日勅令第267号)によると、歩兵連隊の中隊平時定員136名中兵卒4名が喇叭卒に充てられていたことからも、その実用的重要性が伺える。しかしながら日露戦争の戦訓から、これによって作戦を敵軍に見破られてしまうことになり、また、ラッパによって周辺に展開する兵団に号令を伝達するラッパ手と、当然その付近に居るであろう指揮官の存在を露呈する格好になり、敵兵による狙撃によって指揮命令系統の混乱を招来するため、ラッパによる号令は戦場で行われなくなった。しかし後年のサイパンの戦いでは、事もあろうに夜戦で突撃ラッパを吹奏しつつ総攻撃したため、瞬く間に集中砲火を浴びて全滅する事となった。
日清戦争(明治27年-28年)では、歩兵第21連隊の木口小平喇叭卒が、死んでもラッパを放さなかったことが、美談となる。
露営の歌(昭和12年(1937年))には「進軍ラッパ 聴くたびに まぶたに浮かぶ 旗の波」と歌われる。
海軍では、航海科の信号がラッパ手となる。日本海海戦で敵艦との距離をラッパによる数字符丁で伝達し、効率的な指揮を行った事が知られる。陸軍はトランペット型、海軍はコルネット型のラッパを採用していた。
「起きるも寝るも皆ラッパ」と言われたように、陸海軍共に起床から消灯までラッパの音と共にあり、ラッパ譜に歌詞をつけて口ずさまれるほどに親しまれ、元将兵の多くはラッパの音にある種の郷愁のようなものを抱いている。
その一般的な歌詞は次の通り(ただし部隊ごとに無数のバリエーションがあるため、これはあくまでも一例である)
- 起床:「起きろよ起きろよ皆起きろ 起きないと隊長さんに叱られる」
- 消灯:「新兵さんは可哀相だね また寝て泣くのかよ」
- 突撃:「進めや進め 皆々進め」
- 食事:「一中隊と二中隊はまだ飯食わぬ 三中隊はもう食って食器上げた」
ちなみに、食事ラッパは正露丸のCMで現在でもよく知られている。
日本の陸・海・空各自衛隊でも、このラッパは使用されている。自衛隊創設時に、陸上自衛隊では旧軍のイメージを払拭するためラッパ譜を全面改訂、元より旧軍になかった航空自衛隊もこれに習ったが、海上自衛隊においては旧海軍のラッパ譜を相当数受け継いだ。このため、君が代を始めとして、2種の譜面が自衛隊で並立している。海上自衛隊では毎日朝夕の自衛艦旗掲揚・降下に際してらっぱを以て「気を付け」を令することが定められている(海上自衛隊の礼式参照)。陸・空のラッパ譜に比べ演奏時間が長い。防衛大学校は一般的な君が代のメロディを放送してこれに代えている。
[編集] 入手方法
日本では楽器店に注文すれば購入できる。価格は、機種にもよるが、2万円台から5万円程度である。 有名な機種はヤマト製のカンタービレ、イーグル、スタンダードがある。価格帯は前者から6万円前後、4万円前後、3万円前後である。海外製(Maxtone)などのものもあるが粗悪なものも多く、国産のものが人気である。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年10月28日 (水) 09:30 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【ビューグル】変更履歴



