フェーズドアレイレーダー
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フェーズドアレイレーダー(Phased Array Radar、位相配列レーダー)とは平面上に多数の小さなアンテナを備えることで機械的な首振り動作を必要としないアンテナである。パルス・レーダー、パルス・ドップラー・レーダー等のアンテナとして用いられる。更に受信信号をデジタル処理することによって多数の受信ビームを作り、方位・距離を測定するDBF(デジタル・ビーム・フォーミング)にも応用される。
従来のレーダーのようにアンテナを上下左右に動かすのではなく、平面上の多数の小さなアンテナからそれぞれ放射する電波の位相を電気回路で制御することで、これらのアンテナからの電波を合成して、旋回・俯仰する走査方法を用いて観測するレーダーである。そのためレーダーアンテナに機械的な駆動装置が必要がない。平面上の小さなアンテナのそれぞれに電波送受信機が実装されているものがアクティブ式で、小さなアンテナの裏側に位相変換器と呼ばれる仕組みが電波を分配する役割の導波管に隣接して備わっていて、これらがただ1つの電波送受信機からの電波を分配しながらそれぞれのアンテナに合わせた分の位相をずらすものがパッシブ式である。パッシブ式の受信は送信の逆方向となるだけである。アクティブ式はパッシブ式に比べて高い技術力が要求されるが、パッシブ型に比べて小型化が可能である。
動作原理については「ホイヘンスの原理」を参照
米軍では、フェイズド・アレイ・レーダーと言えば、パッシブのことを指し、アクティブのものはAESA(Active Electronically Scanned Array)と呼んでいる。
[編集] 主なフェーズドアレイレーダー
- AN/SPY-1:イージスシステム用の艦載パルス・レーダー(パッシブ式)。
- APAR:ドイツ・オランダ海軍の防空艦ザクセン級フリゲートおよびデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートに搭載されているアクテイブフェーズドアレイレーダー。4面でイージスより多い同時32目標対応可能で、イルミネーターとしても1面で8目標を照射可能な「射撃指揮・照射兼用レーダー」である。
- EMPAR:フランス・イタリア海軍の防空艦フォルバン級駆逐艦及びアンドレア・ドリア級駆逐艦に搭載されているパッシブフェーズドアレイレーダー。
- SAMPSON:イギリス海軍の防空艦45型駆逐艦に搭載されているアクティブフェーズドアレイレーダー。
- SMART-L・S1850M:欧州各国の防空艦や韓国海軍の独島級揚陸艦に搭載されている長距離捜索用アクティブフェーズドアレイレーダー。欧州各国が開発した射撃指揮レーダーは艦隊防空としては捜索距離に問題があるため、それを補完するために搭載されている。
- OPS-24:日本が開発した世界初の艦載用アクティブ・フェーズドアレイレーダー。あさぎり型護衛艦の「はまぎり」以降に搭載。むらさめ型護衛艦以降には、発展型のOPS-24Bを搭載(アクティブ式)。
- FCS-3:日本が開発した海上自衛隊の艦載用パルス・レーダー。捜索・射撃指揮用と後に追加された照射用の二種で構成される。対処可能目標数は公表されていないがイージスを下回ると見られている。ひゅうが型護衛艦と5000トン型護衛艦に搭載予定(アクティブ式・射撃管制装置として制式化)。
- J/FPS-5:日本の防衛庁(現・防衛省)が開発した地上設置型の警戒管制レーダー。旧称「FPS-XX」。将来警戒型で、ミサイル防衛の要となる。直径18mのドームに亀甲模様が刻まれた特異な形状から、通称「ガメラレーダー」とも呼ばれる。(アクティブ式)。
- HPS-104:海上自衛隊のSH-60J哨戒ヘリコプター搭載の捜索用レーダー。
- N007 S-800:ロシア空軍のMiG-31に搭載されるレーダー(パッシブ式)。世界で初めて量産戦闘機に装備されたパッシブ式フェーズドアレイレーダーである。
- RBE2:フランス空・海軍のラファール用のパルス・ドップラー・レーダー(パッシブ式)。その他、アクティブ式のRBE2-AAも開発。
- J/APG-1:航空自衛隊のF-2用のパルス・ドップラー・レーダー(アクティブ式)。世界で初めて量産戦闘機に装備されたアクティブ式フェーズドアレイレーダーである。
- AN/APG-63(V)2:アメリカ空軍のF-15用のパルス・ドップラー・レーダー(アクティブ式)。一部のMSIP-2改修機に搭載される。その他、AN/APG-63(V)3、(V)4も開発。
- AN/APG-77:アメリカ空軍のF-22用のパルス・ドップラー・レーダー(アクティブ式)。
- AN/APG-79:アメリカ海軍のF/A-18E/F用のパルス・ドップラー・レーダー(アクティブ式)。Block 2以降の機体に搭載され、搭載機は本レーダーを用いた簡易的な電子妨害を行うことも可能となる。
- AN/APG-80:アラブ首長国連邦に輸出されるF-16E/F用のパルス・ドップラー・レーダー(アクティブ式)。
- AN/APG-81:アメリカ海・空軍及び海兵隊、イギリス海・空軍等で運用予定のF-35に搭載されるパルス・ドップラー・レーダー(アクティブ式)。F-22用のAN/APG-77をF-35用に改修したもの。
- AN/APY-2:アメリカ空軍のE-3や航空自衛隊のE-767などの早期警戒管制機用パルス・レーダー(パッシブ式)。
- SABR:Scalable Agile Beam Radarの略。ノースロップ・グラマン社がプライベートで開発中のAESA。フル機能を備え、容易に既存のF-16へ搭載改修が可能としている。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月6日 (金) 06:55 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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