フレーム素材 (自転車)
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自転車のフレームに適切な素材はスチール、アルミニウム合金、チタン、マグネシウムなどの金属系素材からCFRP(≒カーボン)などの樹脂系素材、そして処理が適切ならば木材から竹に至るまで範囲が広い。ここでは自転車の種類によって使われる素材を明記する。フレームの形状についてはフレーム (自転車)を参照。
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[編集] 素材の種類
[編集] CFRP
炭素繊維を熱硬化樹脂に浸し、加熱して固めて作られる。単に「カーボン(フレーム)」と呼ばれることが多い。型でフレームの大部分ごと、あるいは全体を一体成形するものが普及してきた。CFRPパイプをラグで接いだタイプもある。史上初のカーボンフレームは1986年にLOOKが発売したものとされる。ちなみにモノコックフレーム車は1987年に発表されたビアンキのC4(製作はC4)。シートチューブを省略し(シートステーと一体化)、曲線だけで構成された斬新なデザインは世界に衝撃を与えた。同年にはロードバイク型フレームのものもケストレルより発売された(ケストレル4000)。現在、ロードバイクではこのフレームが主流になりつつある。
モノコックタイプのフレームにはもはやフレーム構造ではないものもある(1990年代ごろのTTバイクなど)が便宜上フレーム呼ばれる(モノコックだからといってボディなどとよんだりはしない。「モノコックフレーム」というのは妙な言葉ではある)。逆にダイアモンドタイプの概観でモノコックを謳うものもある(外皮の部分ごとに応力分布を計算しコアを入れるなど工夫を凝らしている)。 カーボンモノコックの製品はメーカーの技術により性能が大きく左右する。その理由は、フレーム構造に比べて解析が困難であることに加え、炭素繊維の持つ特質――引張の力には強いが剪断の力には弱い、剛性(ヤング率)の高いものほど圧縮に弱いなど――により、繊維の種類や方向を綿密に設計しなければならないためである。そのため十分な性能を得るにはFEM等の強度解析や独特のノウハウが必要とされる。 最近はアルミやスチールのフレーム用チューブを供給していた鉄鋼メーカーが素材としてカーボンチューブやカーボンラグを供給している。これにより、現在では小規模なメーカーでも容易にカーボンフレームを作成することが出来るようになった。
近年ではカーボンの持つ2つの特性、すなわち剛性の高さと衝撃吸収性のそれぞれを前面に出した「レーシングモデル」「コンフォートモデル」に二分され、それぞれ発展を続けている。
- 長所
- 形状および設計の自由度が高い。比重が小さい。比剛性が高い。振動吸収性も高い。現状では実質唯一の自転車競技車用素材である。
- 短所
- 高価である。運用や保守に高度な専門性と知識が必要とされる。
[編集] アルミニウム合金
現在、最もポピュラーな素材といえる。軽量かつ堅牢で、錆びにくいうえに安価であるため、初心者から上級者まで幅広く使われており、用途もほとんどあらゆる種類の自転車に使われている。素材そのものの弾性率では鉄の約1/3、チタンの約1/2とかなり軟らかいアルミであるが、密度がやはり鉄の約1/3、チタンの約1/2と軽いため、フレームを構成するチューブを大径化して剛性を上げても鉄などと比較して軽量なフレームが設計しやすい。しかしながらアルミニウム合金には疲労強度の限界点が存在しないため、負荷をかければ必ず金属疲労が進行する(スチールやチタンでは限界点より小さな負荷であれば金属疲労が進行しない)。このためスチールやチタンと比較するとフレームの寿命が短い傾向にある。
現在使用されているアルミ合金は、大きく6000系と7000系に分けられる。なお、フレーム以外のハンドルバーやシートピラーには2000系のアルミ合金も使用される。
- 2000系
- アルミニウム、銅、マグネシウムを主とする合金で、代表的なものに2014、2017、2024合金がある。鋼材に匹敵する強度を持つが、銅が含まれているため耐食性に劣り、防食処理を必要とされる。ハンドルバー、バーエンド、シートピラーなどのカラーパーツに使われることが多い。
- 6000系
- アルミニウム、マグネシウム、ケイ素を主とする合金で、代表的なものは6061、6063合金がある。強度は7000系に劣るものの、塑性加工性に優れることから複雑な加工を必要とする製品や比較的安価なフレームに用いられる。比較的しなやかな乗り心地となるが、重量的に不利である。主にロードバイク、シクロクロス、クロスカントリー競技用のマウンテンバイクに使われる。
- 7000系
- アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、を主とする合金で、代表的なものは7003,7075合金がある。7075合金は『超々ジュラルミン』として日本で開発されたもので、アルミ合金の中でも最高レベルの強度を持っている。7003合金は強度が比較的高く、熱処理可能な溶接構造用材として開発された合金であるため自転車に適した合金である。7000系は軽量で剛性の高いフレームを作ることができるが、非常に硬いため加工性が悪く比較的高価な製品になってしまう。また、剛性が高すぎて膝に負担がかかりやすいという欠点もある。現在では強度が何よりも求められるダウンヒル、ディアルスラローム用など前後にサスペンションを備えたフルサスペンションのマウンテンバイクに使われる事が多い。
またメーカーによっては独自の特殊な合金を採用しているところもある。
ショック吸収性が低いアルミニウムの欠点を補うため、シートステーまたはリア三角のみをカーボン素材としたカーボンバックモデルも一般化してきているほか、チューブやフレームデザインの改善により剛性バランスを調整したフレームが主流になりつつある。
- 長所
- 剛性が高く、パワーロスが少ない。このため、スプリントなどでのパワーを逃がさず、推進力に変える。
- 短所
- 合金の種類によっては接合後に熱処理を必要とするなど製造に大規模な設備を必要としている。
[編集] チタン
丈夫で長持ちかつ、軽量な素材だが、非常に活性の高い素材であることから溶接などの加工に手間がかかりどうしても高価になってしまう。この素材を取り扱うメーカーは「デローザ」、「グレッグレモン」、「ライトスピード」など少数で高級フレームを製作するところに留まっている。日本国内ではパナソニック サイクルテックやティグ(TIG)などがチタンフレームを販売している。ユーザー側の気をつけるべきところはチタン素材は異種金属と組み合わせると比熱容量や熱伝導率の差による過剰な摩擦熱で焼き付きを起こしやすいので、組み付けの際には接触する部分に特殊なグリスを塗るなどの対策が必要である。
最近は、カーボン・アルミ素材の性能向上や、カーボンバックなどのハイブリッドフレームに押され、市場としては縮小傾向にあるが、独特な乗り味(アルミフレームとクロモリフレームの中間と言われる)と独特の光沢などが中高年者を中心に一定の支持を受け続けている。
- 長所
- 振動吸収性がある程度あり、フレーム寿命が長く軽い。
- 短所
- 比較的高価である。(CFRPフレーム普及後は必ずしも高価であるとは言えなくなっている)
[編集] マグネシウム
純度の高いマグネシウムは非常に活性が高く酸化しやすい(空気中で加熱すると炎を上げて燃焼するほど)ため加工が難しかったが、技術の進歩により最近になって実用化された素材である。実用金属の中で最も比強度が高いので、うまく利用できればアルミやチタンを凌ぐフレーム素材になる。しかし、研究開発はまだ途上でありその実力を発揮できてはいない。この素材を用いたフレームはイタリアの「ピナレロ(Pinarello)」が製造販売しているDOGMAフレームが代表的である。他に日本の「ブリヂストンサイクル(ANCHOR)」、台湾の「メリダ・インダストリー」がある。
素材特性としては内部損失が大きいことがあげられる。つまり、スチールやチタンのような反発力のある振動吸収ではなく、振動のエネルギーをフレームが減衰させてしまう(振動のエネルギーは熱に変わる)特徴がある。
- 長所
- 振動をフレームが減衰する振動減衰性が高く、乗り味がしなやか。
- 短所
- 適切な防錆処理を行なわないと腐食が進行しやすい、高価。
[編集] 鉄系低合金
クロムモリブデン鋼は、略してクロモリは代表的な鉄系合金のフレーム素材である。英語では CrMo ないし Cromoly などと表記される。鉄を主成分とした鉄鋼素材で、クロムも含むが、割合が少ないために酸化しやすい。使用されるフレームはロードバイク、マウンテンバイク、シクロクロス、BMX と範囲が広かったが、今世紀初頭にカーボンフレームに競技用フレームとしての地位を完全に奪われてからは自転車競技に使われる事はほとんどなくなった(BMXなどの一部を除く)しかし自転車の素材としては非常に優秀である。
他にも鉄系合金素材としてはマンガンモリブデン鋼や高張力鋼なども使われる。
- 長所
- 単価が安い。製造設備が簡単で済む。保守や整備に高度な専門知識を必要としない。剛性が高く振動吸収性にも長けている。寿命が長い。
- 短所
- 錆びやすい(錆びると言っても表面だけで強度などには影響ない)。重量が重い。
[編集] 木材
意外ではあるが、木材は衝撃吸収性が良く、初期のロードバイクではヒノキ材がリムの素材に使われていた。『木リム』である。このような観点から木材を水蒸気で曲げ加工してフレームにしたり、樹脂素材で固めてフレームとして作製するビルダーも存在する。ただし、形成作業が一貫して手作業である事、素材の本質が必ずしも均一でない事から大量生産には向かない。また需要からしてあまりなく、あくまでもマニア向け、またはインテリアのオブジェとして使われる事が多い。
[編集] 竹
竹は釣り竿の原料となっているように物理的な力に対しての反発力があり、フレーム素材として適切な素材として成り立つ要素を持っており、樹脂で固めた竹製フレームは存在する。ただこれも木材と同様、少数の需要で成り立つ少数生産である。
[編集] 素材の形状
過去のフレームは、単純に細い鉄パイプを組み合わせただけのような形状をしていた。しかし、現在では、軽量化や強度の向上のために、様々な工夫がなされている(注:下にあげた技術に対する呼称はメーカーごとに異なる)。主に金属のチューブを前提としたものを記す。
[編集] バテッドチューブ
とくに金属系チューブに多い加工。自転車を構成しているパイプにかかる力はパイプを結合している端部が最も大きい。それに対して、中央部にかかる力は比較的小さい。この現象を利用し、パイプの中央部の肉薄を薄く、両端の(または加圧側だけの)肉薄を厚くしたパイプを使用して作られたフレームがバテッド(段付き)フレームである。強度を落とさずに、効果的な軽量化が可能である。あらゆる素材のフレームに利用されている。両端を厚く、中央は薄くしたダブルバテッド、片方の端だけ厚く、中間は普通、力がかからない側は薄くしたトリプルバテッドがある。
[編集] メガチュービング
アルミフレームが普及する前の自転車フレームはスチールが主であり、アルミフレームも当初はパイプ外径などで既存のスチールパイプの寸法を模倣していた、ところが比重が軽いアルミニウムの長所をより有効に活用するため、パイプの径をクロモリよりも太くし肉厚をそれまでよりも薄くさせる事によって剛性をあげ、より軽量にしたのがメガチュービングである。現在、ほぼ全てのアルミフレームが採用している他、カーボンフレームでもほぼ全てがメガチュービングを採用している。クロモリにおいてもダウンチューブにオーバーサイズパイプと言われる外径の若干太いパイプを同様の理由で用いていた時期もあったが、実質レース用フレームとして使われなくなってからその必要性を失ったこともあり最近ではあまり見かけない。
[編集] 偏平チューブ、トライアングルチューブ
偏平チューブはパイプの断面を楕円形に、トライアングルチューブは断面を三角形に近くしたもの。どちらもメガチュービングの発展型である。偏平チューブはパイプを従来の真円から、力のかかる方向に合わせて楕円形に変形させることにより、フレームの剛性をあげるものである。トライアングルチューブもパイプに角を作る事により、剛性をあげるものである。
[編集] 接合方法
一体形成による構造が実用化されるまでは、自転車の主構造はパイプを組み合わせたものであった、概ね以下の方法で結合され、フレームとして作られていた。
[編集] ラグ接合法
主として鉄系素材のパイプをロウ付け接合する為に用いる被せ式の継ぎ手を用いた接合法である、継ぎ手は『ラグ』とも呼ばれ、以前は薄い鉄板をプレスで型抜きしたものや鋳物を用いた物など様々あった。現在はロストワックス製法によるラグが多く用いられている。プレス式ラグの場合ラグの端面の形状等を独自に加工し仕上げる事で作り手の技術や考え方を表していた時代もあったが、当該仕上げを必要としないロストワックス製法のラグが普及した事によりその技術は失われてしまった。またロウ付けによる接合法はパイプの持つ本来の強度を有効に伝達しきれる構造とは言えないため、強度不足を補おうとラグを大きくすると重量につながり、過去の未熟な技術であった事が伺える。
[編集] TIG溶接
アーク溶接の一種で、タングステンを電極に用い溶接部を不活性ガスで覆いながら溶接する。精密な溶接が可能。密着した母材同士を直接溶接することも、溶加材を加えることも可能。 現在では金属フレームの一般的な接合方法である。
[編集] 接着
主にCRFP、木材、竹を使った素材で使われる。
最終更新 2009年11月12日 (木) 07:43 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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