プレスコ

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プレスコとはプレスコアリング(prescoring)の略で、セリフや音楽・歌を先行して収録する手法である。

アニメーションの作成においては、その収録されたセリフや音楽に合わせて絵を描き、作成する。またミュージカル映画でも良く用いられ、先に収録された歌やタップなどの効果音に合わせて俳優が演技を行う。

目次

[編集] アニメーション制作におけるプレスコ

日本のアニメーションは、アフレコ(アフターレコーディング)と呼ばれる作成された画面にタイミングをあわせてセリフを収録する手法がとられるのがごく一般的である。アメリカのアニメーション映画では日本と逆に、主にこのプレスコによる収録が採用されている。

[編集] 日本でプレスコが普及しない理由

日本ではプレスコが行われる事はほとんどない。音声工程より作画工程の方が多大な工数が必要とされており、作画工程の進捗が遅れるのが常態化しているからである。その背景には、アメリカと比べて日本のアニメ作品は絵柄が複雑である事や日本のアニメ業界の人手不足といった理由がある。

アフレコ方式(作画工程→音声工程)では、後工程の音声工程期間を前工程である作画工程遅延時の予備期間として使うことができる。しかしプレスコ方式(音声工程→作画工程)ではそれができないため、プロジェクト管理上のクリティカルパスとなってしまうのである。

[編集] プレスコによる得失

プレスコによって作成されたアニメーションは、当然ながら声の演技の幅は広がるが、映像技術的な質は落ちやすい。すでに録音したものに合わせて作画する(修正がきかない)という体制は映像技術を度外視せざるを得なくなる場合があり、ともすると「ただ絵を合わせただけ」になるからである。

逆に絵は(用意さえしてあれば)声よりもずっと修正しやすいため、アニメの制作では絵が全部できあがっていない段階でもアフレコをしてしまうというケースは非常に多い。 音声収録の日程は、声優や収録スタジオなどの外部スケジュールが絡むため、容易に変更できないためである。

アフレコ収録での演技のタイミングは、スタッフが作成したタイムシートに秒単位で拘束されてしまう。しかし、プレスコ収録においては、声優が自分の間で演技することが出来る(タイムシートは逆に声優の演技をもとに作成される)。このことは、俳優の東野英治郎から寄せられた声優批判(自分の間で演技が出来ない声優は、俳優の名に値しない)に対する一つの回答になっている。

プレスコによる製作経験が豊富なアニメ監督の松尾衡は、自作「」のDVDコメンタリーにおいて、プレスコ方式の利点の一つとして「(アフレコでは、後工程での声優の演技の幅を考慮して尺に余裕を持たせた作画が行うが)プレスコでは、科白の間をギリギリまで詰めることができるので、アフレコより多くのシーンを同じ時間内に盛り込める」旨の発言をしている。

「紅」に主演した沢城みゆきは、同作のコメンタリーにおいて「作画されたキャラの表情や動作が、自分が収録時に絵コンテから想定していたものと異なっており、放映時に見て自分の演技に違和感を覚えた箇所がいくつかあった。できれば、絵コンテではなく表情がわかる原画で収録をして欲しい」旨の発言をしている。これに対して監督の松尾は、沢城の主張に理解をしめしながらも「(一人で担当可能な台本や絵コンテと違い)多数の人間が担当する原画フェーズでプレスコ収録を行うことは、工程管理上きわめて困難であり、実現はほぼ不可能」としている。

[編集] 絵コンテのみのアフレコとプレスコの違い

プレスコでは、絵コンテと台本により音声収録を行う。漫画原作の場合は、台本として原作コミックのコピーを渡されるケースがある[1]

アフレコ方式でも、作画遅延が発生した時には、プレスコの場合と同じく絵コンテと台本のみで音声収録を行う場合がある。ただし、プレスコとは異なり、作画工程と音声工程両方が「並行進行」しているため、収録形態は似ているがプレスコと呼ばれない。

プレスコでは、演技の間は演者である声優に委ねられているが、上述のように絵コンテのみの状態でアフレコを行う場合は、科白毎に指定されたタイミングに合わせて演技をしなければならないなど、演技上の制約が多い。よって、同じ収録形態に見えても、プレスコと絵コンテに対するアフレコとはかなり異なっている。

[編集] プレスコを用いた日本のアニメーション

[編集] 脚注

  1. ^ "キャストインタビュー". ギャグマンガ日和2. 2008年8月2日 閲覧。
  2. ^ もし実の兄妹で恋をしてしまったら? 「プレスコ」方式の春新番アニメ『恋風』
  3. ^ 『オフィシャルファンブック 涼宮ハルヒの公式』52ページ。レコーディングしている平野の映像を元に製作されている
  4. ^ "RGTV特報 盗聴の時間". RED GARDEN公式サイト. 2008年6月18日 閲覧。
  5. ^ 公式サイト『魔法少女隊アルスって』内「イントロダクション」より
  6. ^ shinozaki (2007-10-30). "「紅」アニメはプレスコです(1)". 紅 -kure-nai- 公式日記. 2008年2月1日 閲覧。
  7. ^ WEBアニメスタイル 特別企画
  8. ^ "話題の幻桜奇譚―TVアニメで開幕!『夜桜四重奏』松尾監督インタビュー!". とれたて!ほびーちゃんねる!. 2008年7月28日 閲覧。
  9. ^ "長濱博史監督インタビュー". ぷらちな. 2008年9月6日 閲覧。
  10. ^ オトナアニメ Vol.11およびNewtype 2009年2月号 岸誠二監督インタビューより。またシリーズ構成担当の上江洲誠も自身のブログ上で言及している

[編集] 関連項目

最終更新 2009年9月19日 (土) 17:16 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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