ホタテガイ

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ホタテガイ

ホタテガイ
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
: ウグイスガイ目 Pterioida
: イタヤガイ科 Pectinidae
: Patinopecten
: P. yessoensis
学名
Patinopecten yessoensis
和名
ホタテガイ
英名
Japanese scallop
貝の形状

ホタテガイ(帆立貝、学名Patinopecten yessoensis)は、ウグイスガイ目イタヤガイ科に分類される二枚貝の一種。食用として重要な貝類の一つである。俗に貝柱と呼ばれることもある。

日本では、殻の形が秋田藩主の佐竹氏家紋に似ていることから秋田貝(あきたがい)とも呼ばれる。また、扇のようにも見えるため、海扇という表記も存在する。

目次

[編集] 特徴

殻径は20cmほどになる大きな二枚貝である。貝殻はふくらみが強い殻と弱い殻とが合わさっているが、ふくらみが強い方が右殻である。殻の中央には大きな閉殻筋貝柱-断面形の横紋筋とその傍らに断面三日月形の平滑筋)がある。また、外套膜(ヒモ)の周囲には、およそ80個の小さな眼点()があり、明るさを感じることができる。ホタテガイという名前は、開いた殻を帆のように立てて水上を走るという俗説に由来する。

生息に至適な海水温は+5~+19℃の冷水であるが、-2℃~+22℃の間なら生きていける(稚貝はさらに4℃ほど高温でも耐えられる)。浅いの砂底に生息し、自然分布の日本での南限は、日本海能登半島太平洋東京湾とされているが、大規模な商業的漁業が可能なのは東北地方三陸海岸以北である。

中華人民共和国アメリカ合衆国の一部でも養殖され、干貝に加工されて流通しているが、養殖場はいずれも日本以上に水温が高い海域であるため、イタヤガイなど、別な種であると考えられている。

天敵はヒトデオオカミウオミズダコなどである。ただし、ヒトデに襲われると閉殻筋で力強く殻を開閉させて海水を吹き出し、泳いで逃げることができる。

[編集] 利用

[編集] 食材

ホタテの刺身

食用として多く漁獲されるが、現在では養殖もされている。調理方法にも依るが、近年では生後一年程度の稚貝から、3-4年ほどかけて大きくした物まで、幅広く流通している。北海道や東北地方北部のスーパーマーケットでは、貝が生食(刺身)用か否かを区別して売られていることも見られる。うま味成分であるアミノ酸グルタミン酸コハク酸タウリンなどが豊富に含まれている。ホタテガイ特有の甘味はグリコーゲンによる。

貝柱は肉厚で淡白だがほぐれ易く、舌触りと風味が良い。刺身煮込み、バター焼き、スープなど様々な料理で使用される。また、乾燥して干貝(干貝柱)にも加工し、一部は輸出もされ、具材や調味料として利用される。また、俗にヒモ(貝ヒモ)と呼ばれる外套膜も燻製塩辛などにして食べる。

貝殻以外はほとんどの部位が食べられるが、ウロと呼ばれる中腸腺は食べても美味しくない上、生物濃縮により、貝毒重金属(主にカドミウム)が集中するため、健康に影響を与える可能性があり、食べない方がよい。ウロは黒緑色で目立つため、素人でも手で容易に取り除くことができる。

[編集] 貝殻

貝殻は料理店などで野趣を演出する代わりに使用されることも多い。青森では居酒屋で貝焼き味噌(ホタテの貝柱やヒモ、刻みネギ、削り節を味噌で煮て卵でとじる)と言えばメジャーな料理である。貝焼き味噌用に大型の貝殻も販売されており、刺身の盛りつけや灰皿などにされることもある。また、カキの垂下式養殖にも使われている。

[編集] 廃棄物

ホタテガイの加工により発生する産業廃棄物の処理は、生産地域の課題として重くのしかかる。

貝殻
  • ホタテガイの殻は、カルシウムに富むことから、学校で使うチョークやトラックラインを引く粉に加工されるが、高価なことがネックとなり需要の拡大には至っていない。また、粉砕して、主成分の炭酸カルシウムを精製し、酢酸を加えた酢酸カルシウムは環境に全く影響を与えない融雪剤として注目されてはいるが、コストが数倍になるため主要道路や国道などの一部道路に利用されるに留まっている。
  • 工業利用は、ホタテセラミックや、ホタテタイルなど粉砕したものを特殊な処理にて固めて歩道のタイルなどに利用する。このタイルは水を通すので歩道が水浸しにならない優れた素材である。粉砕した粉は石灰の代わりの土壌改良剤としても利用できる。しかし、コストの面からまだまだ一般的な利用には至っておらず、多くは産業廃棄物として埋め立てなどの方法により処理されている。
  • 過去に、海に向かって練習ができるゴルフボールを貝殻の粉末から作製したアイデアマンもいたが、廃棄物処理法に抵触する恐れがあるとして製造を差し止められている。近年では殻を土壌改良剤やセラミックセメント等の工業原料として使用する技術が開発されつつある[1][2][3]
中腸腺(ウロ)
  • 堆肥などに加工されていたが、最近、最終処分場に持ち込めないほどの重金属(主にカドミウム)や砒素を含有する例が発見され[4]、堆肥としても使えず、産業廃棄物としても処分が難しい状況になっている。焼却法による回収では重金属類が気化し外部に排出される[5]為、近年では電気分解や化学処理によって重金属を回収する方法が開発されつつある[6]

[編集] 漁業

代表的な漁業形態は、以下の2つである。

小型底びき網漁には、区画漁業権に基づき、稚貝を海底にまいて育てる、地撒き(じまき)養殖の物を捕る方法も併用されている。

小型底びき網による漁獲は、地撒き養殖用の1年貝(稚貝)を放流後3~4年自然成長する貝と、自然発生する4~5年貝を併用して漁獲されるので「天然物」と称している。 しかし、養殖用といっても人工飼料を与えているわけではなく、あくまで外敵に襲われないように保護しているだけともいえるので、天然物と養殖物の境界線は区別をつけられない。

2009年には北海道の噴火湾周辺から三陸沿岸にかけてザラボヤ、イガイフジツボなどが大量に発生し、養殖ホタテの生育を阻害したり、垂下式養殖のロープが切れるなどホタテ漁に深刻な影響を与えており問題となっている[7]

[編集] 加工

代表的な加工品は冷凍貝柱、ボイルホタテ、干し貝柱である。フランス料理中華料理の食材として海外にも盛んに輸出される。

冷凍貝柱 
一般に急速冷凍が可能なトンネルフリーザーを用いて冷凍する。これは貝柱の変色や組織の劣化を防止するためであり、刺身に供することも可能になっている。ヒモと呼ばれる外套膜を付けているものもある。
ボイルホタテ 
ボイル品が冷凍形態で流通している。シチューの具などに用いられる。
干貝 
貝柱のみを乾燥して製造する。貝柱は水分が8割近くを占めるため、干貝は非常に収縮する。日本国内では酒肴として供することが多いが、中華料理では水戻しや粉末状にしてスープ炒飯などの具材として用いられる高級食材である。また、うま味成分に富むため、XO醤の材料としても使用され、高級オイスターソースに入れられる例もある。
ソフト貝柱 
干し干貝は非常に硬いことから、軟らかく製造した半乾燥の製品。おやつや酒肴などにそのまま供される。一玉ずつ真空パックされているものが多い。調味は塩と燻油漬けの二種類がある。

[編集] 文化

ヨーロッパではホタテガイ類は豊穣の象徴としてギリシア神話の女神ヴィーナスとともに描かれる。また、伝統的に聖ヤコブのシンボルとしても知られ、この聖人の聖地、スペインサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼たちはホタテガイの貝殻を身に着けた。フランスではホタテガイを「聖ヤコブの貝」と呼ぶ。

中国語では、ホタテガイ類をにみたてて、「扇貝」と呼ばれる。

[編集] ギャラリー

[編集] 脚注

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  1. ^ 廃ホタテ貝殻焼成物を原料とするaragonite 型軽質炭酸カルシウムの合成 (第2報)-種結晶として aragonite 型炭酸塩を用いる方法 笹木 圭子, 本郷 大, 恒川 昌美: 資源と素材, Vol. 114 (1998), 709-713
  2. ^ 有機石灰(ホタテ貝殻カルシウム)の概略
  3. ^ ホタテ貝殻および石灰石を原料としたaragoniteの合成 笹木 圭子, 小林 弘幸, 恒川 昌美: 資源と素材, Vol. 117 (2001), 747-752
  4. ^ 貝類中の微量元素濃度東京都健康安全研究センター 研究年報  2002 年 和文要旨
  5. ^ ホタテ貝中腸腺の焼却処理における含有重金属の物質収支分析化学 Japan analyst 48(9) pp.829-834 19990905 社団法人日本分析化学会
  6. ^ 湿式製錬プロセスによる水産系廃棄物(ホタテウロ)のリサイクル技術の開発作田 庸一, 嶋影 和宜: 資源と素材, Vol. 120 (2004),71-77
  7. ^ 噴火湾ホタテ貝の付着物対策について 北海道庁

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月23日 (月) 13:42 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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