ボーイング737

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ボーイング737
Boeing 737

エア・ベルリンの737-700型機

エア・ベルリンの737-700型機

サウスウェスト航空(保有数第1位)
ライアンエアー(同第2位)
など

ボーイング737Boeing 737)型機は、アメリカ合衆国航空機メーカー、ボーイング社が製造する小型ジェット旅客機である。5000機以上が製造されているベストセラー旅客機である。

目次

[編集] 特徴

マクドネル・ダグラスDC-9エアバスA320などと同じクラスの旅客機である。地方の中小空港を発着する短距離路線に適合するよう、主翼には比較的強力な高揚力装置が装備されている。ボーイング社の前作727とは異なり、エンジンはこの主翼の下に1発ずつ、計2発搭載されている。胴体はDC-9より太くてA320よりわずかに狭く、標準的なエコノミークラスであれば通路をはさんで横に6列の座席を配置できる。

主脚は機体の「くぼみ」にはめ込むタイプのため、引き込んだ状態でも車輪の側面が剥き出しになる。また、ボーイング製の旅客機としてはじめて2人乗務が可能となった機体でもある。

[編集] 歴史

1965年、地方路線に数多く残っていたプロペラ旅客機を代替する100~150人乗りの小型の短距離用の旅客機として、当時ライバル会社であったダグラスDC-9に対抗すべく開発がはじめられた。胴体は727と同じ設計としている。1967年4月に初飛行し、路線就航は1968年2月のルフトハンザドイツ航空よりはじめられた。

初期型の-100、-200の生産ののち、エンジンを高バイパス比のターボファンに換装した-300、-400、-500が登場した。その小回りのよさなどから、現在でも主翼を改設計して効率を高め、777の技術を用いた-600型から-900型のNext-Generation(ネクストジェネレーション)とよばれる最新鋭シリーズの生産が続けられていて、2009年2月の時点で総受注機数8,179機・総生産機数5,942機のベストセラー機である。なおNGシリーズは、名前こそ登場当初とは同じだが、中身は以前のものとはまったく異なったものになっているといえる。

[編集] 派生型

[編集] 737-100/-200(第1世代)

サハリン航空の737-200型機 エンジンが細く長いのが特徴である。 737-200型機の逆噴射装置(スラストリバーサ)
サハリン航空の737-200型機 エンジンが細く長いのが特徴である。
737-200型機の逆噴射装置(スラストリバーサ)

1967年から生産が開始された737最初のシリーズである。エンジンプラット・アンド・ホイットニーJT8D (:en:JT8D) を両主翼下に1基ずつ装備する。

このエンジンはパイロンを介さず直接主翼に取り付けられており、機体の地上高を低く抑えている。また、このエンジンは低バイパス比(バイパス比0.96~1.00)であるので、逆噴射装置(スラストリバーサ)はエンジン後方のノズルに蓋をするような構造になっている。

-100型は全シリーズを通して最も小さな機体で、胴体の長さは28.6m、航続距離は3,440 kmである。ルフトハンザ航空のみに30機が納入され、その後生産はより胴体が長い-200型に引き継がれた。

-200型は-100型より胴体が1.9m長い30.5mで、航続距離も長い(約4,000km)などの違いがあるが、基本的にはほぼ同じ機体である。-200型には目的に応じて貨物機としても旅客機としても使用が可能な-200C型(-200 Convertible)という派生型もあった。

1971年には離着陸性能を向上させ、機内インテリアのデザインを最新型にグレードアップさせた改良型(-200 Advanced)が導入され、1988年まで生産が続けられた。

-100型の生産機数は30機、-200型は初期型と改良型を合わせて1,114機。なお、日本の航空会社では-200型と-200Advanced型が全日本空輸日本近距離航空南西航空が導入し、離島路線や地方路線のジェット化に貢献し、2003年まで使用された。また、香港ドラゴン航空ナウル航空フィリピン航空などが日本乗り入れ機材として使用し、現在もサハリン航空が日本への乗り入れ機材として使用している。

[編集] 737-300/-400/-500(第2世代)

イージージェット 737-300型機 737-400型機のエンジンカウル(ガルーダ・インドネシア航空)
737-400型機のエンジンカウル(ガルーダ・インドネシア航空

-300型は1984年より登場した改良型である。エンジンをそれまでの低バイパス比のJT8Dから高バイパス比のCFMインターナショナルCFM56-3Bシリーズに換装し、燃費を大幅に向上させるとともに騒音を抑える効果も得られている。地上高の低い737に大直径のエンジンを装備するため、パイロンで主翼前方に突き出すとともに、独特なおむすび型のエンジンカウルが導入されている。

外観上の特徴としてはエンジンのほかに、空力面や強度向上の面から垂直尾翼のデザインが変更され、付け根が前に伸びていることがあげられる。

また、途中から757767の技術を導入してグラスコックピット化が図られ、コックピットに4面のCRTディスプレイが登場し、コンピュータ制御による操縦が可能となっている。このほか、客室の内装も757スタイルのものに改められている。

エアリンガス 737-400型機 ルクスエア 737-500型機
エアリンガス 737-400型機
ルクスエア 737-500型機

-400型は-300型の胴体延長型で、日本では日本トランスオーシャン航空(JTA)やスカイネットアジア航空(SNA)、JALエクスプレス(JEX)、北海道国際航空(AIR DO)に導入されている。なお、AIR DOの機材はエアーニッポン(ANK)からリースされたものであり、エアーニッポンで運航されていた時は、通常塗装と異なるイルカの特別塗装を施されていた。これらの機材には「アイランドドルフィン」の愛称がつけられ、羽田-八丈島線などに投入されていた。

JALエクスプレスの-400型の大半は当初日本航空(JAL)が導入したものを移管されたもので、JAL本体としてはダグラスDC-8以来の単通路機であった。各機体には導入月にちなんだ花の愛称がつけられ、737-400全体には「フラワージェット」の愛称が付いた。なお、植物の愛称が付いたJALフリートとしては過去にCV880があったが、CV880と同じ名をつけた機体はなかった。

-500型は胴体の長さを短くして-200型と同じ収容力にする代わりに、航続距離を伸ばしたタイプで、日本ではエアーニッポンが導入した。第2世代の737として日本で最初に導入されたタイプでもある。ANKでは「スーパードルフィン」の愛称をつけている。同社の新造機はボーイングのカスタマーコード「4K」を持つ唯一の機種でもある。日本ボーイングと共同開発する予定だったYSXは、-500型をベースとして90席程度の機体に改造開発するものであったが、1997年にボーイングが同クラスのMD-95ボーイング717として生産することにしたため、実質中止となった。

次項の737NG(Next-Generation)シリーズの登場により、2000年に生産を終了している。JTAやANKは導入の途中で生産中止となったが、機種統一の観点から当初は737NGを導入せず、しばらくの間は中古機のオペレーションリースで賄った。

本シリーズでは初めから貨物機として製造された機体はなく、貨物型は全て旅客型を改修する形で製造されている。なお、このタイプまでの機体をクラシック737と呼ぶことがあり、クラシック737の販売数は3,132機である。

[編集] 737NG(Next-Generation)737-600/-700/-800/-900(第3世代)

グラスコックピット化される以前のボーイング737 737-800型機のコックピット
グラスコックピット化される以前のボーイング737
737-800型機のコックピット

ボーイング日本と共同開発する予定だった小型機7J7(日本ではYXX)の受注に失敗した後、737シリーズを近代化してエアバスA320に対抗するために開発した機体。1997年より生産が開始された。新鋭777の技術をふんだんに盛り込んだ最新鋭のハイテク機シリーズで、主翼が翼幅、翼面積ともに拡大された新設計のものに変えられ、これに応じて尾翼も大きくされている。コックピットも最新のものになっており、大型の液晶画面が装備され、後に左席のみオプションでヘッドアップディスプレイも装備できるようになった。操縦資格もクラシック737とは別になっている。

エンジンはCFM56-7B型に統一されている。主翼端にはオプションでウィングレットを装備でき、離陸性能や燃費の向上が図れる(航行距離が長いほど燃費改善が大きく期待できる)。このウイングレットは翼端をそのまま上に持ち上げたような形状のため「ブレンデット・ウイングレット」と呼ばれている。このほか、燃料容量の増加もあって長距離飛行(最大航続距離がそれまでは3,000~4,000km前後だが、NG型は5,550~6,000km前後)が可能になったものもあり、名前は737のままだが、外観はともかく、内容はほとんど別の機体である。

内装を変えてビジネスジェットに用いられるなど、737=短距離用・ローカル線用機材の概念も崩れつつある。ただ、胴体断面はボーイング707以来ほとんど変わっておらず、そのため貨物室がコンテナに対応できないという問題点はそのままである。

ライオン・エア 737-900型機
KE B737-900

クラシック737とは異なり、ダッシュのあとの数字が大きくなる順に胴体長が長くなっている。したがってNGシリーズでもっとも小さいのが-600型、もっとも大きいのが-900型で、-900型は757-200にせまる収容力を持っている(787の開発もあり、757の生産は2005年に終了した)。ただし-900型は-800型より胴体が延長されているものの非常口数の関係で最大客席数は-800型と同じ189席となっている。[1] 航続距離を延長したERタイプもあり、-700ER型は燃料タンク増設などにより最大で10,000kmを越える航続距離を持つ。最大航続距離が5,900kmの-900ER型も初飛行に成功した。-900ER型では、非常口を増設することで最大座席数は201席となった[1]。737-900ERのローンチカスタマーはアジア最大手格安航空会社インドネシアのライオン・エアである。

売れ筋は-700型と-800型で、ボンバルディアエンブラエルなどのリージョナルジェットと競合する-600型はライバルの同クラスの機体であるエアバスA318ともども苦戦している。

日本では、全日空グループ(運航はエアーニッポン)が-700型、-700ER型、-800型(プレミアムクラス装備)を導入しており、ローンチカスタマーとして導入した-700ER型は「ANAビジネスジェット」の名で国際線用機材として就航している。なおこれらの機体の型式は、エアーニッポンのカスタマーコード「4K」ではなく全日空本体の「81」が使用されている。また、日本航空グループが-800型を2007年3月から国内線(羽田発着の地方路線)、2007年5月から国際線(関西-ハノイ、大連、青島、杭州)に就航させている。 新規参入航空会社の中ではスカイマークが2006年から-800型を導入している。なお、日本で737NGシリーズを最初に導入したのは ANA である。

将来は現在構想中の新単通路機ボーイングY1がその後継となる予定であるが、実現は2020年代以降であり、当分は737の生産を続けるとしている。

[編集] 軍需

[編集] その他

  • ボーイング・ビジネス・ジェット(BBJ:Boeing Business Jet) - -700型をベースに-800の主翼と降着装置を使用して離陸重量を増加し、内装を高級ビジネス機仕様に改修した機体。のちに-800ベースの機体も製造されている。近年、小型化が進んでいる政府専用機としても多数採用されており、勢力拡大の可能性が大きい。なおBBJは777787ベースでも製作される。

[編集] 仕様

-100 -200 -300 -400 -500 -600 -700 -700ER -800 -900
乗客 - 約130名 約150名 約150名 約120名 2クラス110名
1クラス132名
2クラス126名
1クラス149名
2クラス126名 2クラス162名
1クラス189名
2クラス180名
1クラス215名
貨物室容積 - - - - - 20.4 m3 27.3 m3 27.3 m3 44.0 m3 51.7 m3
全長 28.60m 30.52m 33.40m 36.40m 31.01m 31.20m 33.60m 39.50m 42.10m
全高 11.23m 11.07m 12.60m 12.50m
全幅 28.35m 28.88m 34.30m(ウイングレット有:35.80 m)
胴体 胴体幅3.76 m(客室幅 3.54 m)
最大離陸重量 49,895 kg 52,437 kg 56,473 kg 62,823 kg 52,390 kg 66,000 kg 70,080 kg 77,565 kg 79,010 kg 85,130 kg
エンジン型式 P&W JT8D CFM56-3B CFM56-7B
エンジン出力 -kg×2 7,258kg×2 10,660kg×2 12,380kg×2 12,030kg×2 12,380kg×2
巡航速度 - Mach 0.78~0.785
航続距離 -km 約4,000km 約5,000km 約5,000km 約4,500km 約5,500km 約6,000km 10,200 km 約5,500km 約5,000km
初飛行年 1967年 1967年 1984年 1988年 1989年 1998年 1997年 2007年 1997年 2000年
製造終了年 1973年 1988年 1999年 2000年 1999年

[編集] 年別売上機数

 2010   2009   2008   2007   2006   2005   2004   2003   2002   2001 
290 330 302 212 202 173 223 299
 2000   1999   1998   1997   1996   1995   1994   1993   1992   1991 
281 320 281 135 76 89 121 152 218 215
 1990   1989   1988   1987   1986   1985   1984   1983   1982   1981 
174 146 165 161 141 115 67 82 95 108
 1980   1979   1978   1977   1976   1975   1974   1973   1972   1971 
92 77 40 25 41 51 55 23 22 29
 1970   1969   1968   1967   1966   1965 
37 114 105 4 0 0

[編集] 競合機種

[編集] 事故概略

絶対数だけ見れば、航空事故ハイジャックが他機種に比べ非常に多いが、その理由は

  • 生産機数自体が桁外れに多い(ジェット旅客機としては世界で一番)。
  • 全世界の様々な航空会社で運用されている。
  • 途上国の航空会社においては、経済的な理由から737NGシリーズA320シリーズなどの最新鋭機を導入する余地があまりないため、他社で使い古した737(第1・第2世代)を中古で購入し、機齢が20年以上ある経年機も運航せざるを得なくなることがある。
  • 途上国の場合、先進国に比べ整備のレベルが不十分であるケースが多い。

しかしながら経年機でもユナイテッド航空585便墜落事故、USエアウェイズ427便墜落事故など、明白な機体の欠陥もあり、150人以上が命を失っている。

また、737-400シリーズではエンジンの欠陥でブリティッシュミッドランド航空092便墜落事故などが発生し、飛行が差し止められたことがある。

那覇空港で炎上し破損したチャイナエアラインの800型機
  • 機体損失事故:111回、総計3037人死亡。(うち737NGシリーズは3回(何れも800型)、269人死亡、うち1回は死者無し)
  • 他の原因:6回、総計242人死亡。
  • ハイジャック:96回、総計325人死亡。

737NGシリーズの機体損失事故のうち死者無しの事故は、2007年8月20日那覇空港でおきたチャイナエアライン120便炎上事故である。この事故では製造段階に於けるボルトの取り付けの不具合が原因と考えられている。

2005年8月14日ヘリオス航空522便墜落事故では121名が一度に亡くなっている。他にも与圧系統にトラブルがあったことが報告されていることもあり、この事故では与圧系統の構造的欠陥説も指摘されている。

[編集] 注記

  1. ^ a b 旅客機形式シリーズ6『ベストセラー・ジェット Boeing737』(イカロス出版)p64

[編集] 参考資料

  • 旅客機形式シリーズ6『ベストセラー・ジェット Boeing737』(イカロス出版、2002年、ISBN4-87149-392-X)
  • 新・旅客機形式シリーズ03『新時代のトレンドリーダー 日本のBoeing737』(イカロス出版、2007年、ISBN 978-4-87149-972-9

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

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最終更新 2009年8月16日 (日) 09:07 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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