ボール (野球)

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野球においてボールとは、投球判定としての「ボール」と、用具としての「ボール()」とがある。

目次

[編集] 投球判定としてのボール

試合における投手による打者への投球に対し与えられる判定の一つ。ボール球(ボールだま)とも言う。公認野球規則2.04によりボールは定義されている。

打者は4つ目のボールを宣告されると、アウトにされる恐れなく、安全に一塁へ進むことが許される(四球による出塁)。

[編集] ボールが宣告される条件

前提条件は、打者がその投球に対し打撃動作(打つ、空振りする)を起こさないこと。

  • 投手の投球がストライクゾーンを通過しなかった場合。
  • 投手の投球が地面にバウンドした場合。この後ストライクゾーンを通過してもボールとなる。
  • 打者が避けようとしなかったためにユニフォームにボールが当たった場合(死球にはならない)。

このほか、次の場合もボールが宣告される。

  • 無走者のとき、投手が反則投球を犯した場合。
  • 無走者のとき、投手が捕手からボールの返球を受け、打者が打撃姿勢をとって投手に対面したときから数えて12秒以内(日本では2006年度まで20秒以内)に投球(手からボールが離れた時点で「投球した」と判断される)しなかった場合。

[編集] 備考

球審がボールを宣告する際は、投球判定のために腰を落とした体制のまま「ボール」と発声する。首を振ったり、片手を下に振ったり、投球から眼を切る姿勢を示したり、無発声で判定を行う者も時折見られるが、体制をそのまま微動だにせずに「ボール」とのみ発声するほうが望ましいとされる。特に片手を動かすことはストライクと誤認される場合もあるため、行わない方が良いとされる。

テレビ中継球場電光掲示板ボールカウントにおいては「ball」の頭文字より「B」と表示される。

太平洋戦争中の日本では英語が敵性語であるとされたため、「だめ」(2ボールは「だめ、2つ」)のように日本語に置き換えられた。

[編集] 用具としてのボール

軟式ボール(左)と、硬式ボール(右)
2006年以降の公認軟式球

日本の野球には硬式球(こうしききゅう)・準硬式球(じゅんこうしききゅう)・軟式球(なんしききゅう)の3種類の規格のボールが存在する。使用するボールにより硬式野球準硬式野球軟式野球の3つの野球形態に分かれる。

[編集] 硬式球

硬球(こうきゅう)とも言う。日本プロ野球で使用される硬式球は、コルクゴムなどを芯にしてを巻き付け、それを皮や皮で覆い、縫い合わせて作られる。(日本では牛革が使用されている)原則として1球あたりの縫い目は108個とされている。

重量141.7-148.8g円周22.9-23.5cmと公認野球規則により定められている。日本のプロ野球で使われる硬球は公式球(こうしききゅう)と呼ばれ、ボールの反発力のテストがコミッショナー事務局によって行われ、このテストで算出される反発係数が0.41-0.44の基準を満たすボールが合格となり、ボールに公認マークが付けられる。使用する皮に関しては、日本では牛皮が一般的である。日本の公式球の供給メーカーは数社存在し、メーカーによって材質や製法などが多少異なっており、機能面に若干の違いが見られる(飛びやすい/飛びにくい、握りやすい/握りにくい、など)。公式球は少量のみ販売されている(非常に困難だが一軍公式試合でファウルボールまたはホームランボールとしても入手可能)。

一方、アメリカメジャーリーグでは、公式試合球は1977年よりローリングス社が独占供給していて、その全てのボールが主として人件費上の理由で同社コスタリカ工場で生産されている[1]。日本のボールとの違いは、日本のボールが野球規則に定められた大きさ・重さのほぼ下限であるのに対し、メジャーリーグのボールはほぼ上限であるため、日本の公式試合球よりも若干大きく、重いとされる。表面はカウハイドレザー(牛革)が使用されているが、この牛革の質感は日本の革よりもツルツルとした滑らかなもので、縫い目も日本のボールより高い(出っ張っている)と言われており、空気抵抗の違いから同じ握り・投げ方の変化球でも日本の公式球とは変化の度合いに違いが出る [2]

ボール自体に相当の硬さがあり、死球や打球が身体に直撃したときなどの痛みを比喩して「が飛んできて当たる」と表現されることもある。

[編集] 硬式球の反発力検査

日本のプロ野球では、全ての試合使用球に承認印を押す事になっているが、この際に規定内の反発力である事が条件となっている。しかし、実際には反発力検査は全てのボールに対して行われている訳ではなく、年に2回ないし3回の抜き打ちで、それぞれのメーカーのボールから12個、又は最大で24個(1~2ダース)程度を抜き出し、そのボールに対してのみ行われている。計測方法は高さ13フィート(約4m)の位置から大理石の板の上に試験球を落とし、その跳ね返ったボールが4フィート7インチ(1.396m)から4フィート9インチ(1.447m)の位置に設けられたラインの中に入れば(検査官が目視で確認する)合格となる。この試験は、第三者機関の車両試験場で行われているとされる。

[編集] 「飛ぶボール」の問題

硬式球の製造過程における何らかの要因で、反発係数が上がり飛距離が著しく上昇するボールは「ラビットボール」、「飛ぶボール」などと呼ばれることがある。

1948年 - 1950年のラビットボール
石井順一の運動具メーカー会社「イシイ・カジヤマ(ジュン石井)」が製造したボールの自動製造機械によって製造されたボールの通称。1948年9月に試験投入され、翌1949年から1950年まで全面的に使用された。それまでほぼ手作りだったボールが、この自動製造機械導入で精度が格段に上がった。材質面では、戦時中より粗悪品のままだったものを機械導入を期に大手毛糸会社と契約を結ぶことで、質の高いボールを製造できるようになった。材質の改良に加えて、電気乾燥機で湿気を飛ばす製造手法も反発力向上の要因となった。このボールの導入によって本塁打数が劇的に増加。この後に反発力の規定が作られた。
1979年 - 1980年の飛ぶボール
当時のミズノ社製のボールが他社のボールと比べて10数メートル飛距離が出る反発力の高いボールであったことが原因である。1978年には阪急ブレーブスが導入し、打率・本塁打数・得点数でリーグ1位を記録し、優勝した。次に、それを知った近鉄バファローズが1979年に導入し、リーグ1位の打率・本塁打数を記録して初のリーグ優勝を遂げた。翌年には、リーグを超えてミズノ社製のボールを導入する球団が増え、特にパ・リーグで事態は深刻化した。
1980年にはセントラル・リーグパシフィック・リーグ合わせて2000本を超える本塁打が記録された。パ・リーグでは3球団でチーム本塁打数が200本を超え、リーグ全体で1196本(1球団平均199.3本)もの本塁打が出た。この事態を重く見た当時プロ野球コミッショナーの下田武三の指示により、反発力テストの規定を見直した。しかし1985年 - 1986年年は再びセ・パ両リーグの本塁打が激増し、ラビットボール使用の疑惑が持ち上がった。
2000年代前半の飛ぶボール問題
2001年頃より、特にミズノ社製のボールが他社製のボールと比べ反発係数が高く(規定値の上限に近い)、飛距離が出やすいと言われてきた。本塁打が出やすいことで、野球本来の醍醐味である攻撃的なプレー(長打に伴う走塁、盗塁など)が損われると問題視された。2004年のシーズン中には「守りの野球」を掲げる中日ドラゴンズ落合博満監督が本拠地のナゴヤドームで使用するボールをミズノ社製から別のメーカー製(ミズノ社製のものより飛ばないとされている)に切り替え、このことが同年のセントラル・リーグ制覇につながった、と見る向きもある。これを省み、2005年より反発係数を抑えたボールが使用されて現在は飛びにくくなった。将来的にボールの規格を完全に統一する案も協議されている。

日本のプロ野球で使用されているボールは、ただでさえ大リーグや国際試合での使用球と比べて格段に飛びやすいとされ、特に国内で飛ぶボールが問題になっていなくても、日本プロ野球での使用球自体を指して「ラビットボール」と呼ぶこともある。しかし反発係数は日本国内外の使用球でほとんど差はなく、むしろ厳しい独自基準を定める日本の方が抑えられている。また、国際試合の使用球でもミズノ社製のボールが採用されている実績があり、IBAFの要請によりコストダウンのため品質が落とされているとはいえ、このボールが飛びやすいことで問題となったことはない。このことから、飛距離の差はボールの品質や材質、製法などが影響するとの意見もある。

[編集] その他の加工

シリアルナンバー付のボール

メジャーリーグでは、特に注目度の高い打撃記録の更新が迫ってきた際に、リーグ機構が特別にシリアルナンバーホログラムシールのついた試合球を用意する。これは記録達成時に使用されたボールを特定する印をつけることで、オークション等へ贋物が出回ることを防止するための処置である。これまでシリアルナンバー付のボールが使用された例としては、バリー・ボンズの通算本塁打記録達成時、アレックス・ロドリゲスの最年少500本塁打達成時(いずれも2007年)、イチローのシーズン最多安打記録達成時(2004年)などがある。

[編集] 準硬式球

準硬球(じゅんこうきゅう)とも言う。芯の作りは硬式球と同じだが、表面に牛皮ではなくゴムを用いて作るボール。製法面、硬さの面で硬式球と軟式球の中間に位置する。

[編集] 軟式球

軟球(なんきゅう)とも言う。公認野球規則書によれば素材はゴム製、直径・重量・反発の違いでA号・B号・C号・D号・H号の5種類に区別する。A号とH号が一般用、B号・C号・D号は少年用。A号・B号・C号・D号は芯の無い中空、H号は中を充填物で詰めたもの。反発は150cmの高さから大理石板に落として、跳ね返った高さを測定したもの。

直径 重量 反発
A号 71.5-72.5mm 134.2-137.8g 80.0-105.0cm
B号 69.5-70.5mm 133.2-136.8g 80.0-100.0cm
C号 67.5-68.5mm 126.2-129.8g 65.0-85.0cm
D号 64.0-65.0mm 105.0-110.0g 65.0-85.0cm
H号 71.5-72.5mm 141.2-144.8g 50.0-70.0cm

[編集] 脚注

  1. ^ "CorpWatch(英文)". Transnational Resource & Action Center. 2009年10月23日 閲覧。
  2. ^ 日本ではしばしば「牛革ではなく馬革を使用しているため質感が違う」と報道されることがあるが、MLBで馬革製のボールが使用されていたのは、スポルディング社からローリングス社に公式球供給権が譲渡される1970年代前半までのことである。恐らくは報道機関の調査不足によって誤った古い情報が確認されずにそのまま各所で使われ続けている為と思われる。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年11月11日 (水) 10:05 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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