ポリティカル・コレクトネス
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ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness, PC)は、言葉の表現や用語に人種・民族・宗教・性差別などの偏見が含まれていない公平な表現であることを指す。
1980年代に多民族国家アメリカにて始まった、「用語における差別・偏見を取り除くために政治的(Political)な観点から見て正しい(Correct)用語を使う」、という意味で使われる言葉である。またこれらの「偏った用語を追放し中立的な表現を使用しよう」という運動のみでなく差別是正全体を指す事もある。この運動は日本にも持ち込まれ、いくつかの用語が修正されるに至った。
ポリティカル・コレクトネスは名詞形で、形容詞形は「ポリティカリー・コレクト」(politically correct) となる。また、日本語では「政治的に正しい」と訳される場合がある(これを皮肉った書の書名『―おとぎ話』等)。
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[編集] 概要
職業名に"-man"とつくものは女性差別的でありポリティカル・コレクトネスに反するとして、"-person"などに変更される。議長(英:chairman)の場合は"chairperson"又は単に"chair"、警察官は"police officer"、消防官は"fire fighter"と表現する。当然「ビジネスマン」は「ビジネスパーソン」、「キーマン」は「キーパーソン」。女性が専業主婦であると決め付けるような表現も問題となる。
また、身体的特徴を持つ人を述べる際には、その特徴に直接言及することは避けて婉曲表現を用いる(例:mentally challenged、hearing-impaired)。
また特定の用語の使用だけでなく言葉の表現の仕方だけで問題になる場合もある。例えば、アメリカの大統領候補であったロス・ペローはある公開質問の場において黒人の観衆からの質問に対して「あんたたち」(You People)という表現を多用した。これが黒人をよそ者扱いしているとして批判された。
最近では多様な宗教に配慮をしようという動きもある。クリスマスはキリスト教の行事であるため、公的な場所ではほかの宗教のことも考慮して「メリー・クリスマス」と言わずに「ハッピー・ホリデーズ」(他の宗教の人たちも年末年始は休日になるので)と言い換えたほうがよいとされる。クリスマスカードも「Season's Greeting」に書き換えられているものが多い。2004年の年末の記者会見ではブッシュ合衆国大統領も「メリー・クリスマス」ではなく「ハッピー・ホリデーズ」と述べた。また、イタリアでは小学校の年末の演劇会において例年恒例であったキリスト生誕劇をやめて赤ずきんに変えるというところも現れた。しかし、これらに対しては伝統や文化の否定であるという意見もあり論争となっている。
「マンホール(manhole)」を「パーソンホール(personhole)」と言い換えるのはさすがに行き過ぎであるとの批判も存在する。また日本における言葉狩りの批判と同じように表層を変えるだけで何の本質的な意義がないとの批判も存在する。Short(身長が低い)→“vertically challenged”(垂直方向に(神から)試練を受けた)、blind(盲目の)→"optically challenged"(光学的に試練を受けた)など、極端かつ不自然な言い換え例を挙げた言い換え辞典も過剰な言い換えに対する批判として出版された。
一部の言語では、そもそも女性がその職務につくことを想定していないため、女性がその地位にあるときの言い方がない場合もある。無理に女性形にすると、「(職業名)の妻」などの意味になってしまう(ドイツ語Zimmermann(大工)・Fachmann(専門家)・Kaufmann(商人)など。不定代名詞manもMann(男)・英manと同語源)。また名詞の性によって動詞や形容詞の活用が左右されるため、男性形と女性形を分けるのが基本であるフランス語のように、このような言い換えがなじまない場合も少なくない。
近年の合衆国においては、保守派の巻き返しにより人権政策において政策をポリティカル・コレクトネスと表現する場合は見てくれのみを狙った政策であるという批判の意味で使われる。
なお、ポリティカル・コレクトネスは、「その対象に対して、どのように述べ、考え、行動するのが"私にとって"政治的に正しいのか」というような意味で用いられる事もある(大元の意味はこちらであった)。これは決して「差別も偏見もなく、ニュートラルな」という意味ではない。
[編集] 日本における実例
日本においても、ポリティカル・コレクトネスの考え方により、用語が改正された事例がある。
| 従来の用語 | 中立の用語 | 備考 |
|---|---|---|
| 看護婦・看護士 | 看護師 | 2002年の保助看法改正による |
| 保健婦 | 保健師 | 同上 |
| 助産婦 | 助産師 | 同上 |
| 保母 | 保育士 | 1999年の児童福祉法改正による |
| スチュワーデス | 客室乗務員 | 1996年にフラッグシップの日本航空は前者呼称を廃止、他社も付随した |
| 土人 | 先住民 | 1997年、北海道旧土人保護法廃止 |
| 肌色 | ペールオレンジ、うすだいだい | クレヨン、クレパスの色改名 |
| らい病、癩病 | ハンセン病 | 1996年、らい予防法廃止 |
| メクラウナギ | ヌタウナギ | 2007年、日本魚類学会による改名 |
| オシザメ | チヒロザメ | 同上 |
| セムシウナギ | ヤバネウナギ | 同上 |
| バカジャコ | リュウキュウキビナゴ | 同上 |
| ミツクチゲンゲ | ウサゲンゲ | 同上 |
| アシナシゲンゲ | ヤワラゲンゲ | 同上 |
学校などで名前を呼ぶとき男子に「~君」、女子に「~さん」を用いていたのを、男女とも「~さん」と呼ぶことが提案され、義務教育でも一部の学校で実行されている。逆に(福沢諭吉以外すべて)教授・学生ともに「~君」で呼び合う、慶應大のような例もみられる。また、呼び捨てを好んで用いる教師もいる。また、職場などで男性に対し多くを苗字で呼びながら女性は下の名前で呼ぶことも差別的だとして、性別にかかわらず苗字か名前どちらかに統一すべきだという指摘もある。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
[編集] 批判的立場
- ヘンリー・ビアード・クリストファー・サーフ著 馬場恭子訳『当世アメリカ・タブー語事典』(文藝春秋 1993年 ISBN 4-16-348070-6、"The Official Politically Correct Dictionary and Handbook"Villard Books, 1992年 ISBN 0-586-21726-6 の訳)
最終更新 2009年11月29日 (日) 05:35 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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