ミスト散布
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ミスト散布(ミストさんぷ)とは、液体を人工的に霧状にして降りかけたり撒き散らすことを言う。液体は水の場合が多いが、薬剤も用途によっては用いられる。ミスト(英語:Mist)とは霧のことであり、「霧散布(きりさんぷ)」、「噴霧(ふんむ)」や「ウオーターミスト」などとも呼ばれ、また英語では「misting system」、「mist spray」や「mist spraying」などと呼ばれる[1]。
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[編集] 歴史
人工的に霧を作ることは古くからベンチュリの機構を利用した霧吹きが知られている。道具としての霧吹きは障子を張った後に障子紙を引き伸ばす目的で、また蒸気を噴霧するスチームアイロンの出現以前は衣類のアイロンがけの前に、紙や布を霧状の水で湿らせ、その後に乾かして皺(しわ)を伸ばすことに使われてきた。霧吹きによって霧を作る事はミスト散布などとは呼ばれなかったが、広義ではこれらも含めミスト散布と言える。人工的な霧の工業・商業的な利用は1979年に自然界の「もや」のように創り出す、世界特許を取得したノズルの開発に成功した「霧のいけうち」に始まる[2]。
[編集] 湿度や湿潤を得る
一般的には適度な湿度を得るものとして加湿器がある。また各種の工業や産業においてもそれらの工程のなかで適切な湿度を得たり、一定の湿度を保つ事は、温度とともに重要なことである。これらの例として、印刷や写真のポジと呼ばれる陽画紙の現像工程などでは極度な乾燥状態では紙がカールして丸くなることがあるが、適切な湿度を保ってカールを防ぐことがある。また、室内の湿度を適切にして静電気の発生を防ぐなども行われる。このほか、食品の倉庫での保存、縫製の際の糸切れ防止や陶磁器を焼く前や塗装の乾燥工程でひびが入る事の防止、適度な湿度が必要なキノコの栽培、粉塵の飛散防止など利用範囲は広い[3][4][5][6]。 また、適切な湿度をミスト散布によって得ることはインフルエンザウイルスなどの発生の抑止や死滅の効果もあるとされる[7]。他にも、化学的な消火剤を使わないとして「ウオーターミスト」などと呼ぶ水噴霧による消火も行われる。[8]
なお「霧噴射」や「フォグガード」と呼ぶ不審な侵入者に極めて濃い霧を短時間に噴射し霧の煙幕を張ってその者の視界を遮る方法や装置があるが、それらは湿度や湿潤を得ることが目的ではなくここで記述するミスト散布には当たらない。
[編集] 薬剤の散布
ガーデニング、園芸、農業や林業などでは液体の薬剤を必要最小限とするために、滴として振り掛ける無駄を避け、霧状にして噴霧し、その使用量を節約する事があるがこれもミスト散布である。特に畜産農家では糞にかける消臭剤を効率よく噴霧できることが知られている。 ただし、屋外ではドリフト(英語:drift)とも言われる浮遊(対象物以外への飛散)の可能性があるため、細かい霧は適さない。主に屋内における使用において効果的である。
[編集] 気化熱の利用
水を人工的に霧(ミスト)として散布し、その気化熱の吸収を利用した冷却を目的とする利用が行われる。霧の中に入ると涼しく感ずる事は古くから多くの人が経験し知られている。打ち水も水の蒸発の気化熱の吸収で涼しくなる。初めて冷却を目的としたミスト散布は辻本誠[9]や能美防災などによって2003年7月下旬から8月中旬にかけて実験が行われ[1]、2005年の「愛・地球博」で一般に公開されてからビルや公共施設などの屋外や屋内での冷房や冷却設備として広く利用され始めた[10]。 霧状となった水はその粒子が極めて小さいために素早く蒸発し、また肌や服が濡れることもない[11]。 霧は水を高圧ポンプで圧縮し、配管を経て微細な穴を持つノズルから噴射されることによって作られ、水は微細なほぼ径5~30ミクロンの粒子となる。 辻本誠などによれば水の粒子の「ザウター平均粒径(Sauter mean diameter)」[12][13]を16ミクロンとしたと言われる。 能美防災によれば、屋外で周辺の気温を2~3℃下げる、冷却のためのエネルギー消費は、家庭用のエアコンの1/20となると言っているが、4℃~7℃程度降下すると唱う会社の製品もあり、特に屋外の場合は広さ、ノズルの配置、元の湿度や温度、風速など様々な要因によって降下温度や電力消費量は大まかな値と言える。また単位面積当たりの水の消費量も各社各様となっている。2007年頃から多くの企業や公共事業体でミスト散布の冷却を採用し始めた。
[編集] 散布装置の仕組
ポンプで圧縮された水をノズルから噴射してミスト(霧)を作り出すが、霧吹きと同じ仕組みでそれぞれ圧縮された水と空気を噴射する2つの流体をぶつけ合う方式[11]や圧縮された水だけを噴射する方式など様々な工夫がされている。出来た霧そのものの散布はこの噴射によって行われる。簡易な仕組みとしてはこのように散布を行う。本格的な冷却を目的とした場合には各種のバルブを設け、温度や湿度を計測し、さらに風速計や降雨センサなどを設けたフィードバックを伴った制御装置を持ったものもある[10]。
[編集] 設置例
屋外に設置されているミスト冷却機(東京・渋谷、東急百貨店本店屋上)
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東京都はミスト散布装置の設置にあたり、地方自治体としては初めて補助金を設けた[14]。これによる代表的な設置場所として、上記補助金により設置された戸越銀座商店街、秋葉原クロスフィールド、六本木ヒルズ、新丸ビルが挙げられる。また愛・地球博のグローバル・ループで使用されたものは、閉幕後愛知県の安城デンパークおよび豊田市駅前に移設されている。
2007年8月16日に国内最高気温を74年ぶりに更新した熊谷市では、2008年6月16日からミスト散布の自動運転を開始した。設置場所は、JR熊谷駅正面口(北口)、南口、ティアラ口(東口)。 また、常設ではないが、熊谷うちわ祭の期間である7月20日から7月22日や2008年(平成20年)度の高校総体の期間にあわせた7月26日から8月2日にはそれぞれ仮設のミスト散布装置を設けた[15]。
2008年8月24日北京オリンピックの男子マラソンで走る選手へ冷却のためコースの北京大学構内入り口付近などマラソンコースの数カ所で頭上から散布。
[編集] その他
ミスト散布は一般的に霧散布や噴霧(ふんむ)とも呼ばれるが、各企業で登録商標を行って固有の呼称を唱っている場合もある。 いくつかの例として次のようなものがある。
- 涼霧システム、 セミドライフォグ - 株式会社いけうち
- ドライミスト - 能美防災
- ミストクール - ニューヨー
- テンペスト - フルタ電機
- モイスチャーミスト - 双葉リース
- 細霧冷房システム ミストクール- 輸入品[16]
- なごミスト-なごミスト設計
- SuperFogSystem-スーパー工業
- もやジェット-エバーロイ商事
- スポットクール-オリジン工業
[編集] 関連項目
[編集] 参考・脚注
- ^ い ろ ドライミスト散布によるヒートアイランド抑制に関する研究(The distribution of temperatures at the mist spraying section was complicated)、名古屋大学
- ^ 霧のいけうち空調事業部紹介
- ^ ドライフォグ加湿での湿度調整(調湿)効果、株式会社いけうち
- ^ 静電気対策・加湿・調湿 業界別納入実績、株式会社いけうち
- ^ ④加湿・散水、キノコ業者向けの加湿器、双葉リース
- ^ 防じん効果、株式会社ニューヨー
- ^ 空気環境と健康管理、株式会社いけうち
- ^ 微細な水噴霧(ウォーターミスト)蒸発潜熱による冷却・消火効果、消防庁
- ^ 辻本誠研究室、東京理科大学
- ^ い ろ ドライミスト・・人に、都市に、地球に涼しさを、能美防災
- ^ い ろ 参考:濡れない霧“ドライフォグ”とは、株式会社いけうち
- ^ 粒子の性質、17/33 ページ ザウター平均粒径(Sauter mean diameter)、 大阪大学
- ^ ザウター平均粒径の求め方、国士舘大学
- ^ ドライミスト装置設置事業補助金の補助事業者を決定しました、東京都
- ^ あっぱれ!熊谷流 冷却ミスト、熊谷市
- ^ 細霧冷房システム ミストクール - 楽天市場
[編集] 外部リンク
- 能美防災 - ドライミストについて
- 愛・地球博 - ドライミスト関連ページ
- ミストの蒸散効果で都市のヒートアイランド化を防ぐ、辻本誠、名古屋大学(PDFファイル)
- 東京理科大学工学部建築学科 辻本研究室
- なごミスト設計
- なごミスト
- 辻本研究室 ドライミスト研究開発ブログ
- ミストクール、ニューヨー
- 涼霧システム®、株式会社いけうち
- マルチドライミスト、双葉リース
- アンイット - エイテック社
- ミスト冷房・細霧冷房、スプレーイング システムス ジャパン
- レインボーミスト洲本整備機製作所
- ドライミスト装置を設置する事業者を支援します、東京都環境局(参考リンク:募集期間完了)
- ドライミスト散布によるヒートアイランド抑制システムの開発、名古屋大学
- [[1]]. 産経新聞. (2008-08-02) 2008-08-03 閲覧。
- キクの施設栽培における細霧噴霧装置による害虫防除効果、農林水産省
- ウオーターミスト消火設備
最終更新 2009年11月12日 (木) 11:41 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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