アカミミガメ

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アカミミガメ
キバラガメ
キバラガメ Trachemys scripta scripta
保全状態評価
LOWER RISK - Near Threatened
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
ファイル:Status iucn2.3 NT.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : リクガメ上科 Testudinoidea
: ヌマガメ科 Emydidae
亜科 : アミメガメ亜科 Deirochelyinae
: アカミミガメ属 Trachemys
: アカミミガメ T. scripta
学名
Trachemys scripta (Schoepff, 1792)
シノニム
Testudo scripta Schoepff, 1792

Emys troostii Holbrook, 1836
Emys elegans Wied-Neuweid, 1839

和名
アカミミガメ
英名
Common slider

アカミミガメ(赤耳亀、Trachemys scripta)は、動物界脊索動物門爬虫綱カメ目ヌマガメ科アカミミガメ属に分類されるカメ。アカミミガメ属の模式種。ミシシッピアカミミガメ等の幼体はミドリガメとも呼ばれる。

目次

[編集] 分布

  • T. s. elegans ミシシッピアカミミガメ

アメリカ合衆国アーカンソー州イリノイ州インディアナ州オクラホマ州オハイオ州カンザス州南東部、テキサス州ニューメキシコ州東部、ミシガン州南部、ミシシッピ州ミズーリ州ルイジアナ州)、メキシココアウイラ州北東部、タマウリパス州南部、ヌエボ・レオン州北部)に自然分布。世界各地に移入。

  • T. s. troostii カンバーランドキミミガメ

模式標本の産地(模式産地)はカンバーランド川(テネシー州)。

アメリカ合衆国(アラバマ州北部、ケンタッキー州、テネシー州のカンバーランド川およびテネシー川上流域)

  • T. s. scripta キバラガメ

模式産地(原記載で模式標本が指定されていない)はチャールストン周辺(サウスカロライナ州)と考えられている。

アメリカ合衆国(サウスカロライナ州、ジョージア州ノースカロライナ州バージニア州南東部、フロリダ州北部)

[編集] 形態

最大甲長28cm。オスよりもメスの方が大型になる。背甲はやや扁平かややドーム状に盛りあがり、上から見ると幅広い卵型。項甲板は細長い等脚台形。第1椎甲板は縦幅と横幅が等しいか縦幅の方が長いが、第2-5椎甲板は縦幅より横幅の方が長い。また椎甲板にはあまり発達しない筋状の盛りあがり(キール)があるが、老齢個体では消失する。後部縁甲板の外縁はやや鋸状に尖る。肋甲板には黄色い横縞が入る。腹甲の色彩は黄色。

頭部は中型。吻端はやや突出し、上顎の先端はわずかに凹む。四肢は頑丈。吻端から頭頂部に黄色い縦縞が入る。眼から後方に向かい明色の筋模様が入る。四肢や尾にも黄色い縦縞が入る。

オスの成体は吻端がより突出し、前肢の爪が伸長し湾曲する。これはメスへの求愛行動やオスへの威嚇に使われる。指の間には水掻きが発達し、泳ぎはうまい。またオスの成体では背甲や皮膚の色彩が黒や暗褐色になり、斑紋が消失する(黒化、メラニズム)個体もいる。メスの成体は後肢の爪が伸長する。

  • T. s. elegans ミシシッピアカミミガメ

最大甲長28cm。背甲の色彩は淡緑色から濃緑色で、黄色く細い複雑な筋模様が入る。腹甲には甲板ごとに大型の暗色斑が入り、斑紋が繋がる個体もいる。頭部や四肢、尾は緑や濃緑色、灰緑色。吻端から頭頂部にかけての縦縞は太く、赤みを帯びる個体もいる。四肢や尾の縦縞は細い。眼後部から鼓膜上部にかけて赤やオレンジ色の斑点が入る。幼体には緑、黄、黒などの鮮やかな模様がありミドリガメとも呼ばれる。亜種小名elegansは「優雅な」の意。

  • T. s. troostii カンバーランドキミミガメ

最大甲長21cm。背甲は緑色や緑褐色で、甲板ごとに黄色くやや太い筋模様が入る。腹甲には甲板ごとに独立したやや大型の暗色斑が入る。頭部や四肢、尾の色彩は緑や濃緑色、灰緑色。吻端から頭頂部にかけての縦縞は細い。眼後部から鼓膜上部にかけて黄色やオレンジ色の筋模様がある。亜種小名troostiiは模式標本となる個体を採集したGerald Troostへの献名

  • T. s. scripta キバラガメ

背甲の色彩は濃緑色や緑褐色で、甲板ごとに黄色く太い筋模様が入る。腹甲には左右の喉甲板にのみ、1つずつ輪状の暗色斑や暗色の斑点が入る。頭部や四肢、尾の色彩は濃緑色や緑褐色。四肢や尾の縦縞は太い。眼と鼓膜の間にアルファベットの「S」や「Z」字状の黄色い斑紋が入る。

[編集] 分類

近年まで14亜種が含まれていたが、3亜種を残し形態や生態から11亜種を分割(独立種またはその亜種)する説が有力。

  • Trachemys scripta elegans (Wied-Neuwied, 1839) ミシシッピアカミミガメ Red-eared slider
  • Trachemys scripta troostii (Holbrook, 1836) カンバーランドキミミガメ Cumberland slider
  • Trachemys scripta scripta (Schoepff, 1792) キバラガメ Yellow-bellied slider

[編集] 生態

流れの緩やかな河川などに生息し、水生植物が繁茂した流れの緩やかな流水域や止水域を好む。岩や倒木の上などで日光浴を行う事を好む。日光浴中に驚くと滑りこむようにして水中へ逃げ込む。冬季になると水中で冬眠するが、メキシコの個体群(亜種ミシシッピアカミミガメ)は冬季でも気温の高い日には活動する個体もいる。

食性は植物食傾向の強い雑食で、植物の葉、花、果実、水草、藻類魚類カエルおよびその幼生、水棲のヘビ、鳥類昆虫クモ甲殻類貝類カイメンミミズ、動物の死骸などを食べる。幼体は動物食傾向が強いが、成長に伴い植物食傾向が強くなる。

繁殖形態は卵生で、繁殖期になるとオスは水中で前肢をメスの頭部の前で震わせて求愛し、メスがオスを受け入れて動きを止めると交尾する。メスは精子を数年に渡り保存する事が可能で、交尾した翌年でも保存した精子を用い卵を産む事ができる。アメリカ合衆国では4-7月に水辺の地面が露出した場所を掘り、1回に2-23個の卵を12-36日の間隔を空けて年に最大5回(通常は2-3回)に分けて産む。分布域北部の個体群は年間の産卵数が少ない代わりに1回に産む卵の数が多く、南部の個体群は年間の産卵数が多い代わりに1回に産む卵の数が少ない傾向がある。卵は自然下では60-80日で孵化する。飼育下では25-25.5℃の環境下で平均93-100日、29.5-30℃の環境下で平均58-69日で孵化した例がある。発生時の温度により性別が決定(温度依存性決定)し、22.5-27℃ではオスのみ、30℃ではメスのみが産まれた例がある。北部の個体群は孵化した幼体がそのまま地中で越冬し、翌春に地表に現れることもある。 基亜種はオスが甲長10-12cm(生後4-5年)、メスが甲長16-23cm(生後5-8年)で性成熟する。亜種ミシシッピアカミミガメはオスが甲長10-11cm(生後2-5年)、メスが甲長17-21.5cm(生後5年以上)で性成熟する。

[編集] 人間との関係

開発による生息地の破壊や、ペット用の乱獲などにより生息数は減少している。アメリカ合衆国では多くの場合、野生個体の採集は制限もしくは禁止されている。亜種ミシシッピアカミミガメは1950年頃からペットとして世界中に輸出された個体が日本も含めた世界各地で遺棄・定着し、生態系への影響(アメリカ合衆国内では亜種間交雑による遺伝子汚染)が懸念されている。国によっては輸入が禁止されている。日本では亜種ミシシッピアカミミガメの流通量、遺棄された個体の発見例が多く、また遺棄された基亜種の発見例も少なくない事から種として要注意外来生物に指定されている。2006年動物愛護法改正などにより流通量は減少しているものの、遺棄対策や既に定着した個体に対する具体的な対応などはとられていない。

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。飼育下で大量に養殖され、中には別亜種や種間雑種が流通することもある。活発で遊泳力が強く水をよく汚すことから、大型のケージが用意できない場合は一般家庭での飼育には向かない。飼育下では人工飼料にも餌付く。本種が由来とされるサルモネラ菌の感染が問題とされることもあるが、本種に限らず動物全般はサルモネラ菌を体内に保菌している可能性があるためむやみに生体をケージの外に出さない、生体に触れた後は手を洗う、飼育に用いた水の処理(台所などで流さない)などの簡単な対策により感染を予防することができる。

[編集] 画像

[編集] 参考文献

  • 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、41-46頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、213頁。
  • 安川雄一郎 「水棲ガメの世界」『ハ・ペト・ロジー』Vol.3、誠文堂新光社、2005年、29頁。
  • 安川雄一郎 「アカミミガメ属(スライダーガメ属)の分類と自然史1」『クリーパー』No.36、クリーパー社、2007年、2-5、30-50頁。
  • 安川雄一郎 「アカミミガメ属(スライダーガメ属)の分類と自然史3」『クリーパー』No.38、クリーパー社、2007年、24-25頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生・はちゅう類』、小学館2004年、73頁。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年7月11日 (土) 12:55 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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