メタマテリアル

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メタマテリアル(Meta-material)とは、を含む電磁波に対して、自然界の物質には無い振る舞いをする人工物質のことである。「メタマテリアル」という語句自体は「人間の手で創生された物質」を示すが、特に負の屈折率を持った物質を指して用いられる。

光学や短波長の電磁波において特徴的な性質を示し、分解能の限界や回折限界の突破が可能とされ、高分解能レンズ、光ファイバー、バンドパスフィルタ、新種のレンズアンテナ、透明化技術などに応用が期待されている。

通常の物質(Conventional material)では媒質となる物体に入射した光は反対側に屈折する(赤色の線)が、負の屈折率を持つ物質(Left-handed metamaterial)では入射と同じ側に屈折が起こる(緑色の線)

目次

[編集] 負の屈折率

負の屈折率によって起きるであろう現象の例に示す。 例えば普通の光学的な媒質では斜めに入射した光は入射面で多少屈折されているが、負の屈折率を持つメタマテリアルが媒質となると屈折の方向が逆となり光の経路が「くの字状」に折れ曲がるというものである。液体状のメタマテリアルは存在しないが、固体では実現されている。

[編集] 負の誘電率と透磁率

や既存のガラスでは、誘電率および透磁率は正である。しかし、などの金属の中には可視光領域で負の誘電率をもつものがある。

屈折率(N)は誘電率(ε)と透磁率(μ)から

N=\sqrt{\epsilon}\sqrt{\mu}

として計算される。誘電率と透磁率のどちらか一方のみが負の場合,屈折率は虚数となり,電磁波が物質に侵入することは許されない。誘電率と透磁率の両方が正もしくは負の場合、屈折率は実数となる。この時、物質は電磁波に対して透明となり電磁波は物質内に侵入することができる。前者の場合 N>0 となり、これは自然界に存在する結晶であり「右手系媒質」と呼べる。しかし、後者の場合 N<0 つまり負の屈折率を持ち、透明である物質は自然界には存在しないと考えられてきたが、人工的に作り出されたためにこの予測は覆された。

この現象については、次のような興味深い現象が起こるとされる。

現在までに、対象とする電磁波の波長より小さい繰り返し構造をもつように加工した特定の金属や金属化合物が試作され、マイクロ波赤外線領域で性質を示すものが見つかっている。

具体的な構造例としては、理化学研究所による金属の微細周期構造(ナノ金属共振器アレイ)による表面プラズモンを利用したもの[1]豊田中央研究所山口大学によるテフロン基盤上に液晶のアレイを配置したミリ波向けのもの、Purdue大学による二酸化ケイ素チタン薄膜をラミネートしてアレイとした赤外線向けのものなどがある。[2]

これらの電磁波の挙動は、フレミングの左手の法則に従うため、負の屈折率をもつ物質を「左手系物質」や「左手系メタマテリアル」と呼ぶことがある。

ここで,左手の法則と言っているのは,均質媒質中における電場(E)、磁場(H)、波数(k)の向きを示す座標系のことである.つまり,従来の右手系において,kはE×Hの方向と等しい.これに対して左手系においては,kの方向はE×Hの方向と逆向きとなる.

[編集] 歴史

1968年ロシアの物理学者のヴィクトル・ヴェセラゴ(ベセラゴ)によって理論が確立されたとされる。

その後、米カリフォルニア大学の David R. Smith によって2000年頃、人工誘電体と人工磁性体の単位素子を組み合わせた「左手系」メタマテリアルの構成に初めて成功して注目を集め、2008年現在、多くの研究者が研究開発に取り組んでいる[3]

[編集] 物質構成

メタマテリアルは「単位素子」と呼ばれる微小単位が電磁波の波長に比べて充分小さな距離で人為的に等間隔で配置され、電磁波に対して均質な媒質として振舞うように構成された物質である。メタマテリアルであるために必ず等間隔で配置されなければならない訳ではないが、それが電気的・磁気的特性を左右する。

単位素子とされるものには、人工誘電体や人工磁性体があり、その他にも、高分子材料やフォトニック結晶、EBGも単位素子とされる。

  • 人工誘電体:金属ワイヤを一定方向に向きをそろえて等間隔に配置した構造体が人工誘電体である。
  • 人工磁性体:Cの字型に一部を切断した金属円環も金属スプリット・リング共振器と呼ばれる人工磁性体である[3]

[編集] 発展と応用範囲

マイクロ波制御技術や波長限界を超えた分解能をもつ「スーパーレンズ」の開発と、それに伴う半導体製造技術の微細化、光ファイバー光通信光ディスク遮蔽装置光学迷彩などに応用が期待されている。

また、2007年には米国防高等研究計画局(DARPA)がメタマテリアルの発展形である「アシンメトリック・マテリアル」(Asymmetric material)によって、姿の隠蔽・実体弾からの保護と内部からの攻撃を両立させる技術を開発していることが報道された。[4]

[編集] 関連項目

[編集] 出典・注記

  1. ^ [1]
  2. ^ 日経BP Tech-On 旬な材料 左手系メタマテリアル
  3. ^ 野澤哲也著 『媒質を人工的に設計 「単位素子」が特性を左右』 日経エレクトロニクス 2008年11月17日号 128-134頁
  4. ^ Engadget japanese 米軍、メタマテリアルを利用した「非対称透過シールド」の開発に着手

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年9月5日 (土) 14:33 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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