モデルガン

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モデルガン (Model gun) とは、銃器の外観や機構を模した遊戯銃(トイガン)の一種で、弾丸を発射する機能を持たないものをいう。プラスチック製弾丸の発射機能を持つエアソフトガンは銃器の外観を模したものであってもモデルガンの範疇に含めないが、報道などでは同一に扱われることが多い。日本では銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)により、特に金属製のものについては材質や構造、色などに厳しい制限が加えられている。 "Model gun" は和製英語であり、英語では火薬玩具煙火)を使用するトイガンを "Cap gun" (キャップガン)と呼ぶ。

国際産業の金属製モデルガン

目次

[編集] 概要

モデルガンは銃器、すなわち拳銃小銃サブマシンガン機関銃散弾銃などの模型であるが、弾丸を発射できないこと、安全対策や作動性確保のため内部構造がアレンジされている点において実物の銃器とは異なる。一般的にはほぼ実寸大で製作されるが、「ジュニアモデルガン」と称した三分の二スケールの商品なども少数存在する。

使用される材質は、主に亜鉛合金ABS樹脂、ヘビーウェイト樹脂(重量増加や質感改善を目的に樹脂に亜鉛合金やなどの金属粉を混入して成型したもの)などである。現在市販されている金属製のものは、銃刀法で定める模造けん銃および模擬銃器に該当しないための措置が施されている。

日本では法規制により弾丸を発射できない構造になっているが、実包薬莢を模したカートリッジに火薬を装填して発火させ、擬似的な発砲音や火花、動作などを再現できるものが多い。一部には映画アニメゲームなどのフィクションに登場する、架空の銃をモチーフにしたものも存在する。

銃器の外観を模したものであっても、プラスチック製弾丸の発射機能を持つエアソフトガンはモデルガンの範疇に含めない。特撮ヒーロー番組などに登場する光線銃などを模した電池などで発光・発音するような種類のもの、駄菓子屋などで売られている紙火薬式の100連発銃や8連キャップ火薬を使用する8連発銃のように、純粋に子供向けの玩具とみなされるものは、通例モデルガンとは呼ばない。

ただし、ガンダムビームライフルなどをモチーフとしながら、作動機構としてモデルガンのメカニズムを使用したもの(マルシン工業製)については、モデルガンの範疇とされる場合がある。また、バンダイ製「DX・電動ディクテイター01」をモデルガンの範疇とするか否かは意見が分かれている。

なお報道などで「モデルガン」と表現される場合、その多くは「銃器の形をした玩具」すなわちトイガン全般を指す用語としての慣用表現であり、厳密な意味でのモデルガンを指したものではない場合がほとんどである。

モデルガンには、火薬を使用せず外観や手動操作を楽しむための観賞用モデルと、火薬の使用が可能な発火モデルがある。発火モデルのうち、オートマチック式の拳銃やサブマシンガン、小銃のモデルガンは、火薬の爆発力を利用して実銃とほとんど同じように、排莢・装弾の動作(ブローバック)を行うことができる。初期のオートマチック式拳銃のモデルガンには、火薬で発砲音のみを再現するスタンダードモデルや、指で引き金を引く力を利用して装弾・発火・排莢を行う、スライドアクション(通称タニオアクション)モデルが存在した。

日本のモデルガンは銃口を覗いたりしない限り実銃とほとんど区別がつかないので、日本国内だけではなく海外においても、映画などの小道具として頻繁に用いられている。その一方で不用意に海外に持ち出した場合、行き先の銃規制に適合しないことがあるばかりか、偽ブランド商品とみなされる場合もあるので、注意が必要である。近年、グロック17にみられる様に実銃自体がプラスチック部品を多用したものも登場し、ますます外観による区別がつきにくい状況にある。

[編集] 歴史

日本におけるモデルガンの歴史は、ほぼ銃規制の歴史と言い換えることができる。

戦後、1946年に銃砲等所持禁止令が施行され、民間人狩猟用や射撃競技用を除いて、銃器類を所持することができなくなった。このことにより過去の刀狩で没収できなかった農村の銃器類は、ほぼ完全に除去された。

[編集] 1960年代

銃器所持が規制された後、1960年頃に中田商店江原商店が外国製キャップガンの輸入販売を始めたが、これは完全に子供向けの玩具であり、形状や構造が実銃とはかなり異なるものであった。その後、輸入キャップガンを改良してよりリアルな造形を施したものを「モデルガン」と称して発売し、大きな人気を集めた。当時人気があったのは、第二次世界大戦で使用された軍用銃や西部劇で使用されるSAAなどであった。この頃、一部には火薬の爆発力を利用してプラスチック製の弾丸を発射できるトイガンもあったが、この種の商品はやがて当局により発禁処分とされた。

初期のキャップガンやモデルガンに使用される火薬は、主に100連発の巻玉火薬か輸入品のコブラキャップであった。だが、コブラキャップは玩具用としては火薬量が多すぎるとして、輸入禁止となった。コブラキャップに代わっては、国産の平玉火薬が使用されるようになった。

1962年ハドソン産業より純国産モデルガン第一号モーゼル軍用自動拳銃(モーゼルC96)が発売された。亜鉛合金製のオートマチック式拳銃で、初期のみ「国際ガンクラブ」と表記されていた。

純国産モデルガン第一号はMGCワルサーVP-Ⅱ(ベスト・ポケット)であると言われていたが、月刊GUN2007年4月号のモデルガン銘鑑において、当時の資料が発見され発売日がVP-Ⅱよりも数ヶ月前であったことが判明した、と発表された。

1965年頃までは主にMGCがモデルガンの製造を行っていたが、それまで販売専門だった複数の小売店が組合を結成してモデルガン製造に参入した。初めはMGC製品の模倣品を製造していたが、やがて各メーカーが独自にモデルガンを製造するようになった。その後、リアルな外観や機構を持つ様々な種類のモデルガンが製造されるようになり、当時人気だった映画やドラマの影響もあって国産モデルガンはブームを迎えた。

[編集] 1970年代

1960年代から続くモデルガンブームに水を差すことになったのが、1971年に行われた法規制(46年規制)であった。この規制によってブームは一時下火になったが、徐々に人気を取り戻し、1970年代中頃には再びブームを迎えた。しかし1977年には二度目の法規制(52年規制)が行われ、モデルガンの主流が金属製からプラスチック製へ転換する契機となった。

[編集] 46年規制

リアルなモデルガンの登場に伴い、強盗恐喝などに威嚇目的で悪用される事例が相次いだ。1969年には行政指導により、モデルガンに王冠マーク(玩具マーク)を付けることや販売時に身分を確認することなどが行われたが悪用は続き、1970年にはハイジャックにも使用された。このような事例に対処するため、一見してモデルガンであることが識別できるように1971年の銃刀法改正によって外観に対する規制(46年規制)が行われた。

金属製の拳銃型モデルガンは銃腔を金属で完全に閉塞し、表面を白色か黄色にしなくてはならなくなった。内閣府令で定めるこれらの措置が施されていないものは銃刀法で定める模造けん銃に該当し、輸出用などの一部の例外を除き、所持が禁止された。また過去に販売されたものは所有者自身で銃腔を塞ぎ、白色か黄色(≒金色)に塗り替えなければ所持が認められなくなった。この規制以降に発売されたものは、基本的に金色(実銃にはほとんど使われない色であることから黄色と同等とみなされている)にメッキされている。しかし、銀色は実銃にも使われている色である(ステンレス製やニッケルクロームメッキの銃が存在する)ことから白色とはみなされず、許可されていない。

このとき対象となったのは金属製の拳銃型のみであり、小銃やサブマシンガンなどの長物は隠し持つことが難しいなどの理由で、規制の対象外であった。46年規制から1年後には、耐衝撃性の高いABS樹脂を主な素材とするモデルガンが作られるようになったが、プラスチック製のものは法規制の対象外であったので、拳銃型であっても色が黒いままで販売することができた。

[編集] 52年規制

モデルガンの悪用事例として威嚇目的以外で問題視されていたのが、暴力団関係者などによる改造拳銃(モデルガンを改造して弾丸の発射機能を持たせたもの)の製造であった。銃身内にインサート鋼材(鋼製の詰め物)を鋳込むなどの改造防止策は初期のモデルガンの頃から行われていたが、メーカー間で統一されたものではなかった。1970年に警察が押収した改造拳銃の数は23丁であったが年々増加し、1975年には1,024丁(押収拳銃の約6割)に達した。

1975年、メーカー組合は金属製の拳銃型モデルガンについて自主的に改造防止構造の規格を定め、規格検査に合格したものにsmマークを付けて販売した。しかし、組合に加入していないメーカーは自主規制に拘束されず、また組合メーカーの製品にも規格を満たさないものが見つかるなど、業界内での改造防止策の足並みは揃わなかった。さらにsmマーク付きのものや長物にも改造事例が出始めたことから、1977年には再度の銃刀法改正による規制強化(52年規制)が行われた。

モデルガンの主要部分に、鉄などの亜鉛合金より硬い金属(ブリネル硬さで92以上)を使用することが禁止された。また、銃身や遊底に改造防止のため超硬合金のインサートを鋳込むこと、リボルバーの弾倉前部にインサートを鋳込み、薬室隔壁に切れ目を入れること、銃身が交換できないように銃身とフレームを一体鋳造にすることなど、小銃やサブマシンガンなどの長物をも含む金属製モデルガン全般の構造について、厳しい規定が追加された。新たな規制に適合した証明としてSMGマークの表示がある。内閣府令で定めるこれらの措置が施されていないものは(46年規制適合品であっても)銃刀法で定める模擬銃器に該当し、販売目的での所持が禁止された。

さらに金属製のものは鋳物以外は容認しないようにする動きまで見られたため(文鎮化または金属の塊に)、ついに愛好家が集まって知識普及と市民権獲得のために「モデルガン友の会」 (Model Gun Fan Club、MGFC) が結成された。この会のメンバーだった妹尾河童が、食パン由来の粘土でモデルガンを作り、規制反対のデモンストレーションを行った。

プラスチック製モデルガンの銃身インサート。銃口を見ればモデルガンであることがすぐに分かる。

52年規制によって、特に銃身が分離するタイプのオートマチック式モデルガンは金属で作ることがほとんどできなくなってしまったため、以降プラスチック製のものが主流になっていった。プラスチック製モデルガンについては法規制の対象外ではあったが、メーカー組合による自主規制が行われ、銃身内やリボルバーの弾倉前部に焼き入れインサート鋼材を入れるなどの改造対策が施された。自主規制適合品にはSPGマークが表示されている。また、映画やドラマなどの撮影に供されるステージガンプロップガンは自主規制適用外とされているが、銃刀法で定める「銃砲」にはあたらない。ただ外観からモデルガンと判別しにくい(インサートの一部が除去されている)ため、取扱いや保管、管理などは美術セクション担当者や小道具担当者が責任を持って行わなければならない。

[編集] 1980年代以降

国産の高性能なキャップ火薬がそれまでの平玉火薬に代わるものとして、1979年の「MGキャップ」を皮切りに各メーカーから発売され始めた。平玉火薬と比べて装填や整備の手間が少なくなり、また火薬の過剰装填(オーバーロード)による事故の危険性が低くなった。

キャップ火薬の一例。7mmおよび5mmサイズ。

これに伴ってキャップ火薬の使用を前提としたオートマチック用のカートリッジが新規に開発され、平玉火薬を使用していた頃と比べ、より簡便で快適な作動が可能となった。発火性能の高いプラスチック製モデルガンが次々に発売され、また安価な組立キットの登場などにより1980年代前半には新たなブームを迎えた。

MGCから、火薬が発火したときに生じる赤外線センサーで捕らえる、擬似射撃システム「シューター・ワン」が発表されて話題になった。しかし、プラスチック製リボルバーで専用の火薬を使用する必要があり、オートマチックで使用する場合は光を出すアダプターをつける必要があった。またセンサーの反応も不確実であったことから、それほど普及することはなかった。

従来のABS樹脂製モデルガンの外観はプラスチック然としたものが多かったが、メッキ技術が進歩したことにより、ガンメタリックやシルバーメタリックのモデルガンが製作できるようになった。通常の黒以外にニッケルフィニッシュなどのカスタムモデルが発売され、通常品より高価であったにも関わらず、ファンの人気を集めた。

その後、樹脂(主にナイロン系)に亜鉛合金や鉄などの金属粉を混合したヘビーウェイト樹脂が開発され、プラスチック製モデルガンの欠点であった軽さと手触りの問題が解決された。ヘビーウェイト樹脂は、樹脂の分子間に金属粒子が混ざる形となり、ABS樹脂よりも脆く割れやすい性質を持っているため、火薬の使用には不向きとなったが、改造防止という観点からは非常に好ましい素材である。

過渡期のヘビーウェイト樹脂製モデルガンは鉄粉の含有比率が高いものがあり、一部メーカーの製品で磁石が吸い付くほどの鉄らしさを持つものが開発された。この鉄まがいのリアルさを持つヘビーウェイト素材は、「素材の金属化ひいては主要部品が限りなく金属的な性質を帯びている金属製モデルガンではないのか」という議論に発展し、その後メーカーは自主規制という形で販売を中止、その後は含有する金属や比率が見直されたという経緯がある。なお2007年現在、いくつかの遊戯銃メーカーよりヘビーウェイト製品の素材入手難による生産遅延または中止が告知されている。これは素材メーカーの生産中止によるもので、原因は主に環境問題とされている。

1980年代中頃からエアソフトガンの売り上げが伸び始めると、製品の主力をエアソフトガンに移すメーカーやモデルガンの製造から撤退するメーカーが相次ぎ、トイガン市場でのモデルガンのシェアは徐々に減少していった。

しかし、水面下ではモデルガンの人気復活を願うファンは多く、2004年には元MGC開発部長・小林太三やくろがねゆうらの呼びかけにより、製品化されていないブローバックモデルガンを作るイベント「全日本BLK化計画」がスタートするなど、モデルガンの人気を復活させるための活動は個々のファンの間で続いている。

[編集] オートマチック式モデルガンのブローバック

オートマチック式モデルガンの醍醐味は派手なブローバックである。撃発時にカートリッジがはじき出される動作を再現する仕掛けをブローバックという。

[編集] 紙火薬オープンデトネーター方式

1970年代にMGCが開発したMG-BLK (BLowbacK) は銃身内にデトネーター(撃針)を置き、少量の紙火薬をつめたカートリッジをシリンダー、デトネーターをピストンとして火薬の爆発力で遊底を後退させ、カートリッジを勢いよくはじき出させる仕掛けである。紙火薬での安定したブローバックは難しいため、うまく作動させるためには熟練と調整を要した。また発火で生じる汚れがかなり多く、クリーニングにも手間と時間を要した。

[編集] キャップ火薬オープンデトネーター方式

1979年にキャップ火薬が開発されると安定したブローバックが可能になり、発火性能の高いモデルガンも次々に誕生した。カートリッジは構造が単純で火薬の装填も容易、単価も安いと利点は多かったが、デトネーターが汚れやすく、クリーニング無しで弾倉何本分も連続発火させることは難しかった。発火方式としてはすでに過去のものになっていたが、2009年に樹脂製の使い捨てカートリッジを使用するものが新たに製品化されている。

[編集] カートリッジ内部密閉撃針方式

CP-HW・PFC各カートリッジの一例(PFCは撃針固定式でOリングの無い旧型。大まかな構造や原理は新旧ともに同様である)

カートリッジ内部で撃針を独立させ、撃針にキャップ(キャップ火薬の撃ち殻)を装着して密閉性を高めたMGC/CP-BLK (CapPiston-BLowbacK)、逆に撃針をカートリッジ底部とし、プラグとの間にキャップ火薬をはさんで密閉性を高めたマルシンPFC (Plug Fire Cartridge) などメーカー各社で類似したカートリッジが開発され現在まで販売されている。

発火による汚れに強く、ブローバックの性能はさらに向上したものの、カートリッジの構造が複雑となり単価は高くなってしまった。また、ヘビーウェイト樹脂製モデルガンではスライドが重くなりキック力が不足するため、カートリッジ内の密閉性をさらに高めるOリングを使用したCP-HW (HeavyWeight) カートリッジが開発された。

[編集] スーパーブローバック

発火はカートリッジに装填したキャップ火薬、ブローバック動作は低圧ガス(フロンガス)で行う方式で近年開発が進むエアソフトガンのガスブローバックの機構を作動に取り入れたハイブリッド方式である。火薬は発砲音と火花の再現に使用され、ブローバックには関与しない。1993年頃に少数が製品化された後は絶版状態だったが、同様のハイブリッド機構を採用したものが2009年に製品化されている。開発はマルシン工業。

[編集] ガスオペレーション

自動小銃のブローバックモデルは、カートリッジや遊底が大きく重くなるため、キャップ火薬の爆発力だけで完全作動させるのは困難であった。作動してもカートリッジの飛びが悪く迫力のないものとなるため、近年まで大型銃のブローバックモデルはわずかであった(ハドソン産業AK47、同M14ショウエイG43など)。

ガスブローバックの機構を実銃と同様な作動部位に配置し擬似的に実銃の動作を再現したのがハドソン産業のガスオペレーション方式である。グリーンガスで作動し、発火構造を持たない軽量カートリッジのため飛びが良く、安定したブローバックが実現できる。M1ガーランド独特のクリップエジェクション(全弾撃ち尽くすと装弾子が“キーン”と音を立てて飛び出す)も再現している。

[編集] 関連事項

最終更新 2009年11月4日 (水) 14:41 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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