モノクロフィルム

モノクロフィルムの最新ニュースをまとめて検索!

モノクロフィルムは、黒と白の濃淡で表現する写真フィルムである。

目次

[編集] 概略

色彩に頼らずに表現するため、題材をシンプルに伝えることができる。現在でも表現手法の一つとして用いられる他、警察など業務用分野でもよく使われている。また、現像焼き付けが比較的容易なことから、これらの処理を個人で行う愛好者も多い。1990年代後半にレトロな感覚が受け、モノクロフィルムが入った使いきりカメラ(レンズ付きフィルム)やAPSフィルム(カラー現像処理に対応したタイプ、富士フイルムより)も発売されたがすぐにブームは下火になり、現在は写真の急速なデジタル化により販売量が減りつつある。

一般にカラーフィルムと比べて保存性や粒子の細かさに優れるとされる。ネガフィルムが多数であるが、かつてはモノクロリバーサルフィルムアグフア製、コニカ製)も存在した。ネガフィルムを使って、特殊な手順を踏めばリバーサル現像をすることもできる。

カラーフィルムでは漂白の過程で銀が取り除かれるのに対して、モノクロフィルムでは銀が画像を形成する。これによってカラーフィルムでは得られない粒子感があり、これもモノクロフィルムが根強く支持される理由の一つといえる。銀粒子によるキャリエ効果があり、プリントの出来を大きく左右する。

通常のモノクロフィルムの現像焼き付けはカラーフィルムとは違う薬品や工程が必要なため、ミニラボ機しか設備していない一般の写真店では処理することができず、リバーサルフィルムの現像と同様大半が取り次ぎ集中現像所で処理されるが、現在はモノクロ現像を行う現像所が減りつつある。このような不便を掛けず手軽にモノクロを楽しむため、カラーネガフィルムと同じ方法(現像液)で現像処理ができるモノクロフィルムもあるが、カラープリントの仕上げをした際には、完全にニュートラルなグレートーンを得るのは困難である。本来比較的簡単に処理できるはずのモノクロフィルムであるが、カラーフィルムが一般化しそれに合わせた設備のみを揃える現像所が増えたために生じた逆転現象である。

最近のデジタルラボ機であればモノクロフィルムからカラー用の印画紙へプリントをすることができる場合もある。

現在のポリエステルベースのモノクロフィルムは、環境にかかわらずほとんど劣化しない強い耐久力を持つことから、機械的故障から逃れられないデジタル写真より保存性は上であるとする主張もある。

どのような波長の光に感光するかでパンクロマチックとオルソクロマチックに大別される。写真フィルム#感色性によるもの(主にモノクロフィルム)の項も参照されたい。

[編集] 主なモノクロフィルム

[編集] コダック

白黒フィルムはプロフェッショナル向けのみ。赤外白黒フィルム、カラー現像(C-41)処理タイプも提供している。

2002年よりモノクロフィルム(T400CN・現:BW400CNを除く)を製造する新工場への移行(400TMAXは1995年より新工場に移行)や物理特性(静電気の低減や埃の付着)の改善(HIE・TPは従来のまま)により大部分のフィルムで現像時間の変更が行われ、これに合わせて新旧の判別をしやすくするため、全てのモノクロフィルムのパッケージ(外箱やパトローネ)と名称変更が行われた。ただしプラスX・トライXはその伝統的な商標を継承する意味で箱及びパトローネに「PLUS-X」「TRI-X」の記述がある。

同社の「トライX」(TRI-X・現:400TX)は、ISO感度が100のフィルムが主流の時代から50年以上の歴史を誇る国際的に知名度の高いモノクロフィルムで、報道分野や夜間、舞台撮影、星野写真などで多用されてきた。高感度フィルムの代名詞でもあったが、2002年以降正式の商品名ではなくなった。元々トライXとは(XXX)という意味で、発売当初はISO200であったが、当時のISO100のダブルX(XX)に対してXをひとつ増やし高感度を強調したネーミングである。日本においては、ISO100のネオパンSSと二分する勢力だったが、富士フイルムがトライXを凌駕する粒子密度のPRESTOを投入したことでフジ優位になった。

これらXシリーズとD-76現像液による処理が、“データ上の”もっともニュートラルなグレートーンと言われている(ただし、コダック推奨の手順で処理するとやや硬調になる)。

T-MAXは要求される粒子密度の増加(=解像度の向上)から、非球形粒子を使用した新シリーズとして投入されたが、D-76処理をすると極度の軟調になってしまう欠陥があった。この為、専用の現像液「T-MAX Developer」が発売されたが、完全な解決には至らず、トライXからの完全移行の失敗(と、日本国内におけるフジ優位)の原因になった。

過去において同社のモノクロフィルムは、微粒子のパナトミックXを始め、ポートレート向きのオルソフィルムであったヴェリクローム、さらにレギュラー特性のコマーシャルなど、数多くの個性的なものが存在していた。

現在、日本国内では「プロ用商品」とされ、入手は専門店や、所謂プロラボのみに限られる(富士も実態は同じだが建前上は一般流通させている)。

カッコ内は旧品名

400TX(トライX)のパトローネと外箱(両方とも135)
BW400CNのパトローネと外箱(両方とも135)
  • ISO100
    • 100TMAX(T-MAX100/TMX)
  • ISO125
    • 125PX(プラス-Xパン/PX・プラス-Xパン プロフェッショナル/PXP)
  • ISO320
    • 320TXP(トライ-Xパン プロフェッショナル/TXP)
中判(220サイズ)、シート(4×5in判、8×10in判)のみ
  • ISO400
    • 400TMAX(T-MAX400/TMY)
    • 400TX(トライ-Xパン/TX)
    • BW400CN(T-MAXプロ T400CN)
カラー現像(C-41)処理可能タイプ
  • ISO3200
    • P3200TMAX(T-MAX3200/TMZ)
  • 赤外写真用
    • HIE(ハイスピードインフラレッド・販売終了)
  • 記録(複写)用
    • TP(テクニカルパン・販売終了)
コピー用途でISO100相当
複写用。コントラストが高く中間調がほとんど出ない。
専用の軟調現像液テクニドールを使用すれば超微粒子の通常コントラスト仕上げもできる。ただし、通常コントラスト仕上げにする際はISO20相当で撮影する必要がある。

[編集] 富士フイルム

富士フイルムでは「黒白フィルム」と呼ぶ。 業務用と一般(アマチュア)用は、サイズ(135、120・220、シート)で区別される。

  • ネオパン
ネオパン400 PRESTO のパトローネと外箱(両方とも135)
ネオパン1600 Super PRESTO のパトローネと外箱(両方とも135)
白黒フィルムのブランド名。「パン」はパンクロマチック(全色感色性)に由来しているが、オルソ特性のフィルムもある。ISO100の「ネオパンSS」はシリーズの中で広く長く使われている。
また、ISO400の「ネオパン400 PRESTO」は日本国内で最も入手しやすくかつ最も使われているモノクロフィルムである。当初SS・SSS(ISO200)の純発展型としてネオパン400が投入されたが、トライXに比べ粒子が粗いことが指摘され、改良型の非球形粒子として投入されたものがPRESTOである。この粒子技術をISO100に逆応用した100 PRESTOも発売されていたが、後に現行製品のACROSに取って代わられている。PRESTOは同様の技術を採用しながらT-MAXと異なり旧来のネオパンシリーズとほぼ同等の発色特性を示した。
標準的な仕上げではニュートラルなグレートーンより軟調寄りになる。
かつてはネオパンF(ISO32)、ネオパンS(ISO50。ネオパンSSはSの倍の感度と言う意味)、ネオパンSSS(ISO200)等、充実したラインアップを持っていたが、近年の銀塩フイルム衰退と、ネオパンACROSの投入により旧式低感度フイルムの優位がなくなったこととから、多くの製品が生産終了になった。
  • ISO100
    • ネオパン100 ACROS
    • ネオパンSS
  • ISO400
    • ネオパン400 PRESTO
  • ISO1600
    • ネオパン1600 SuperPRESTO
  • ISO20(オルソクロマチック)
    • ネオパン ORTHO
シート(4×5)のみ
  • ミニコピーフィルムHRII
コピー用途でISO32相当
複写用。コントラストが高く中間調がほとんど出ない。
POTA現像液を使用すれば超微粒子の通常コントラスト仕上げもできる。ただし、通常コントラスト仕上げにする際はISO6相当で撮影する必要があり、また露出決定がシビアになる。

[編集] コニカミノルタ

コニカミノルタパン(旧コニパン)はパンクロマチック特性の商品を製造していたが、コニカミノルタの写真事業の終了と共に製造中止となった。また、かつてはカラー現像(C-41)処理タイプの「モノクロームセピア調(ISO400)」も発売していた。

  • ISO100
    • PAN100
  • ISO400
    • PAN400
  • INFRARED750
旧「さくら赤外フィルム」以来、長い歴史をもつモノクロの赤外線フィルム

[編集] アグファ

コダック同様、モノクロフィルムはプロフェッショナル用の扱いのみ。現在、日本では正規販売されておらず、一部の販売店が個別に輸入した品が流通している。欧米メーカーでは唯一、モノクロリバーサルフィルムをカタログに載せていた(2005年生産中止)。

  • ISO100
    • Agfapan APX100
  • ISO400
    • Agfapan APX400
  • ISO200
    • Scala 200
パンクロマチックモノクロリバーサルフィルム。

[編集] イルフォード

イルフォードは英国のメーカー(現社名はHarman Technology、ILFORD Photoブランドを継承)。事実上モノクロ写真材料専業(同ブランドのカラーネガフィルムも少数流通するがOEM品)。 日本ではこれまで中外写真薬品が総代理店として取り扱っていたが、2008年4月よりサイバーグラフィックスに販売権が移る[1]

  • ISO50
    • PAN F プラス
  • ISO100
    • デルタ100 プロ
  • ISO125
    • FP4 プラス
  • ISO400
    • HP5 プラス
    • デルタ400 プロ
    • XP2 Super
カラーネガフィルム現像(C-41)処理可能タイプ
  • ISO3200
    • デルタ3200 プロ

[編集] 参考文献

  • 学習研究社「CAPA特別編集 モノクロ入門」


最終更新 2009年8月1日 (土) 04:09 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【モノクロフィルム】変更履歴

ご利用上の注意