モーターカノン

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モーターカノン(仏:Moteur canon 英:Motor cannon=モーターキャノン 独:Motorkanone=モートルカノーネ)とは、レシプロ動力式単発戦闘機航空機関砲(場合によっては機関銃)の搭載方式による分類の一つで、銃その物の形式に対する分類ではない。

目次

[編集] 概要

軍用機が布張りの複葉機から金属製の単葉機に移り代わりつつあった大戦間の時代(西暦1920~30年代)、戦闘機の武装強化は試みられていたが、多数の機銃を搭載するために必要な、機体強度や重量に対応できるだけの出力を発揮できるエンジンは、まだ開発されていなかった。多銃装備ができないとなると、全金属製に移行しつつあった機体(特に双発以上の爆撃機)を撃墜するためには、炸裂弾を発射できる口径20mm以上の機関砲が望ましかった。しかし主翼に搭載した場合、重量による機体の運動性(特にロール率)の低下や、機体の中心に置かれていないため離れると命中率が低いなどの問題があった。また単発機の機首(エンジンの上または下)に搭載する場合、プロペラ圏内から発射するための同調装置が故障すると、機関砲弾が一発でプロペラを破壊し、墜落する危険もあった。

そこでフランスでは20mm機関砲を、イスパノ・スイザ HS.12Y水冷式エンジンのV字に配置されたシリンダーの間に機関砲を配置し、プロペラシャフトを中空構造にして、そこから砲弾を発射するMoteur canonを発明、世界各国に売り込みをかけた。これは既に、第一次世界大戦中の複葉戦闘機であるS.XIIに37mm砲(弾数12発)を搭載した際に用いられた方式であった。これに対抗し、ドイツ空軍でもBf109E戦闘機DB601エンジンにイカリアMG-FF機関砲エリコンFF機関砲のライセンス生産版)をモーターカノン式に搭載することを試みたがトラブルが多発、結局それ以前同様、翼内装備のみとなり、後に新型機関砲・MG151の登場でようやく実用化された。他国に渡ったフランス式モーターカノンも調子が悪く、結局本格的に用いることができたのは、ソ連空軍の戦闘機と、大戦中期以降のドイツ空軍戦闘機だけであった。なお、アメリカのベルP-39P-63もプロペラ軸中心から発砲する機関砲を装備しているが、エンジンが機体後部にあって機関砲の搭載位置と離れており、この場合はモーターカノンとは呼ばれない。また空冷星型エンジンでは、構造上モーターカノンは搭載できない。

[編集] モーターカノンとして用いられた機関砲・機関銃

イスパノ・スイザ HS.404

フランスで最初にモーターカノンとして、ドヴォワチーヌD510戦闘機などに装備された20mm機関砲。世界中に売り込みがかけられ、日本海軍でも2機だけ作られた九六式三号艦上戦闘機に搭載されていた。第二次大戦ではモラーヌ・ソルニエMS406やD520といったフランス軍戦闘機が実戦で用いている。しかし後に翼内機銃として米英軍に改良型が多用されたこの機関砲も、モーターカノンとしては作動不良に悩ませられた。

ラインメタルMG17

第二次大戦前半の、ドイツ空軍の代表的な固定式機関銃。口径7.92mmで、Bf-109B-02の機首・翼内の他、プロペラ軸内機銃としても搭載された。しかしこの装備位置ではエンジンからの振動が原因で装弾不良が起こりやすく、取り外されることが多かった。この他にもC-2型とC-4型での軸内装備が予定されていたが、どちらも計画のみに終っている。

イカリアMG-FF

スイスのエリコンFFの弾薬を20mm x 72RBから20mm x 80RBに変更し、ドイツでライセンス生産したもの。APIブローバック方式でプロペラ同調ができないため、主にプロペラ圏外の翼内機銃や旋回機銃として搭載された。本来、モーターカノン用としてエリコンFFSがあったが大きすぎて搭載できなかったため、DB601にあわせて寸法も使用弾薬も小さいFFをベースにしたものである。また長砲身化したMG/C3がBf109E-2に装備されたが、重量増加や振動のトラブル、狭さゆえの整備の困難が理由で2機だけの試作に終った。後のBf109F-0でも、強装薬の薄殻弾頭を用いる新型のMG-FF/Mがモーターカノン式に搭載されている。なおBf109のE型以前のタイプの多くにはモーターカノンが未装備にもかかわらずプロペラスピナー中心に穴が空いているものが多いが、これはエンジン冷却にも効果があったので、整流キャップを付けずそのままにしているためである。

MG151モーターカノンの調整作業

マウザーMG151

先行量産型であるBf109F-0からに搭載される予定であったが、続く量産型F-1と共に間に合わず、20mm NGFF/Mを搭載している。F-2から初速と発射速度の高い口径15mmのMG151が搭載され、F-4からは口径の拡大された20mm MG151/20に変更、以後多くのBf109に搭載され、モーターカノンとしては最も使われた機関砲となった。戦後、ユーゴスラビアがライセンス生産したYak-9の発展型であるS-49Cでも用いられた。砲身はシリンダーブロックの間を通しているが、銃の本体はエンジンマウントではなく機体側に固定されている。

ラインメタルMK 108 機関砲

対重爆撃機用に開発された、強力な30mm弾を発射する小型の機関砲。これもAPIブローバック方式でプロペラ同調ができないため、モーターカノン、またはプロペラ圏外のガンポッドに装備される。Bf109ではG-6型以降に選択装備され、モーターカノン式に搭載する仕様はU4、ガンポッドも使用するものはU5仕様と呼ばれた。なおBf109KTa152からは標準装備のモーターカノンとなる。

マウザーMK 103 機関砲

より大型で強力なドイツの30mm機関砲。単発戦闘機用としては重く反動が大きかったため、試験的な搭載しか行われていなかったが、大戦末期にBf109K、K8、K14にモーターカノンとして搭載された。

ShVAK

ロシアの20mm機関砲。口径7.62mmのShKASの拡大型で、Yak-1からYak-9までのシリーズ、およびLaGG-3にモーターカノンとして搭載された。戦前の生産初期にはトラブルが発生したが、後にはレンドリースされた機体についていたイスパノに比べ信頼性や弾道特性に優れ、モーターカノンとしても優れていたと言われる。

NS-37

ロシアの37mm機関砲。Yak-9T戦闘機などにモーターカノンとして搭載された。

NS-45

ロシアの45mm機関砲。Yak-9T戦闘機などにモーターカノンとして搭載された。反動が強烈で、一発撃つと機体速度が大幅に低下するほどであった。

ベレシンUBS

MS406を輸入して使っていたフィンランド空軍では、エンジンをドイツ軍が捕獲して転売したロシア製クリモフ(同じイスパノ系)に換装した「メルケ・モラン」に改造した際、調子の悪かった20mmモーターカノンを、やはりロシア製の12.7mm機銃に換装して使用した。また、同系列のエンジンを搭載するLaGG-3の最初期のタイプでも、モーターカノン式に搭載している。

[編集] 創作上のモーターカノン

そもそも「水冷式エンジンのシリンダーブロックの間に配置し、プロペラシャフトを通して発砲する」のがモーターカノンであり、それ以外のものをこう呼ぶのは誤りである。しかし本来の意味を知らず、作品中で単なる機関砲や、エンジンから出力されるエネルギーを発射する架空兵器などを「モーターカノン(キャノン)」と呼んでいるケースは多い。なおドイツ空軍が使用し、モーターカノンとしても使用されたラインメタルMK108やマウザーMK103の「MK」はMaschinenkanone(マシーネンカノーネ=機関砲)の略であり、Motorkanone(モートルカノーネ)の略ではないが、これを間違えて命名していると思しきケースもある。


[編集] 関連項目

最終更新 2009年10月6日 (火) 06:50 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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