モーリス (小説)
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『モーリス』(Maurice)は、E・M・フォースターが1913年に執筆した小説(出版は死後の1971年) および、それを原作として1987年に制作されたイギリス映画。
20世紀初頭のイギリスを舞台に、互いに惹かれ合いながらも対照的な人生を歩んでいく同性愛の男性たちを描く。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] ストーリー
同性愛が犯罪とされていた、20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ。
凡庸な青年モーリスは知的なクライヴと親密になり、ほどなく互いに恋愛感情を抱くようになるが、高潔なクライヴは肉体関係を拒み通したまま学生時代を終える。
社会に出て大人になってからも付かず離れずの友情は続くものの、自らの性衝動を御しかね孤独に苛まれるふたりは、やがて互いを傷つけあうようになっていく。
政治家を目指すクライヴが上流の女性と結婚したのを機に友人関係が復活。モーリスはクライヴ邸の若い猟場番アレックに性癖を見抜かれ、一方的に迫られるうちに肉体をゆるしてしまうのだが・・・。
[編集] 小説と映画での相違点
原作ではフォースター独特(あるいはイギリス文学独特ともいうべきか)の非常に辛辣な人物描写が特色になっており、登場人物たちの凡庸さ、俗物ぶり、下品さや無知があからさまに強調して描かれたうえで、崩壊寸前の階級社会の非現実性のなかで、不器用に逡巡しつつも人間性を成長させていく主人公の苦悩が実にいきいきと表現されている。
つまり原作では恋愛や性衝動はひとつの要素に過ぎず、主題は人間の魂の解放の長い道程といえる。
これに対して、映画は同性愛と古き良き上流社会へのノスタルジーに主題をそっくりシフトしているため、モーリスやクライヴのキャラクター設定が原作よりもかなり美化されている。その他の人物についてはそれなりに原作に忠実な表現も窺える。
ストーリーの面でも、原作の分量が映画の上映時間内に収まりきらないせいもあり、ややダイジェスト的な省略も目立つ。
映像美と印象的な音楽は確かに芸術的ではあるが、同時代に書かれた原作とは世界観を全く異にした映画になっていることは否定できない。
[編集] 映画
| モーリス Maurice |
|
|---|---|
| 監督 | ジェームズ・アイヴォリー |
| 製作 | イスマイル・マーチャント ポール・ブラッドレイ |
| 脚本 | ジェームズ・アイヴォリー キット・ヘスケス=ハーヴェイ |
| 音楽 | リチャード・ロビンズ |
| 撮影 | ピエール・ロム |
| 編集 | キャサリン・ウェニング |
| 配給 | ヘラルド・エース=日本ヘラルド |
| 公開 | 1988年1月30日 |
| 上映時間 | 140分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| allmovie | |
| IMDb | |
[編集] キャスト
- ジェームズ・ウィルビー:モーリス・ホール
- ヒュー・グラント:クライヴ・ダーラム
- ルパート・グレイヴス:アレック・スカダー
- デンホルム・エリオット:バリー医師
- サイモン・キャロウ:デュシー氏
- ベン・キングズレー:ラスカー・ジョーンズ
- ヘレナ・ボナム=カーター:クリケットの見物客(カメオ)
[編集] スタッフ
- 原作:E・M・フォースター
- 監督・脚本:ジェームズ・アイヴォリー
- 製作:イスマイル・マーチャント
- 美術:ブライアン・エクランド・スノウ、ピーター・ジェームズ、ブライアン・セイヴガー
- 衣装:ジェニー・ビーヴァン、ジョン・ブライト、ウィリアム・ピアース
[編集] 受賞・ノミネート
- ヴェネツィア国際映画祭 (1987年)
- 男優賞 (ジェームズ・ウィルビー、ヒュー・グラント)
- 監督賞(銀獅子賞) (ジェームズ・アイヴォリー)
- 音楽賞 (リチャード・ロビンズ)
- 第60回アカデミー賞 (1988年)
- 衣装デザイン賞 (ジェニー・ビーヴァン、ジョン・ブライト) ※ノミネート
[編集] 邦訳
- 片岡しのぶ訳、扶桑社、1988年 ISBN 978-4594002312
- 片岡しのぶ訳、扶桑社、1994年 ISBN 978-4594014568 (改訳版)
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月18日 (水) 09:22 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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