ラクダ

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ラクダ
ヒトコブラクダフタコブラクダ
ヒトコブラクダ(上)、フタコブラクダ(下)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ウシ目 Artiodactyla
: ラクダ科 Camelidae
: ラクダ属 Camelus
学名
Camelus
Linnaeus1758
Camelus dromedarius Linnaeus1758
Camelus ferus Przhewalski, 1878

ラクダ駱駝)は、哺乳類ウシ目偶蹄目)・ラクダ科ラクダ属 Camelus動物の総称。西アジア原産で背中に1つのこぶをもつヒトコブラクダ Camelus dromedarius と、中央アジア原産で2つのこぶをもつフタコブラクダ Camelus ferus の2種が現存する。

目次

[編集] 分類

フタコブラクダは古くから家畜種Camelus bactrianus Linnaeus1758 が知られていた。19世紀後半に、ロシア人の探検家ニコライ・プルジェヴァルスキー(プルツェワルスキー)が中央アジアで野生の個体群を発見し、Camelus ferus Przhewalski, 1878 と命名した。この二つは最近まではどちらもCamelus bactrianus に含まれていたが、2003年動物命名法国際審議会は、C. ferus を保全名とし、より古いC. bactrianus に対して有効であるとの裁定を下した[1]。これは野生種と家畜種とを同種として扱う場合にはC. ferus としなければならないことを示しており、IUCNレッドリストにおいてはC. bactrianusC. ferusシノニムとして扱われている[2]

[編集] 体の構造

背中のこぶの中には脂肪が入っており、エネルギーを蓄えるだけでなく、断熱材として働き、をほとんどかかないラクダの体温が日射によって上昇しすぎるのを防ぐ役割もある。いわば、皮下脂肪がほとんど背中に集中したような構造であり、日射による背中からの熱の流入を妨げつつ、背中以外の体表からの放熱を促す。こぶの中に水が入っているというのは、長期間乾燥に耐えることから誤って伝えられた迷信に過ぎない。ただし、水を一度に80リットル程度摂取することが可能である。出生時にこぶは無く、背中の将来こぶになる部分は皮膚がたるんでいる。つまり脂肪を蓄える袋だけがある状態で生まれてくる。

ラクダは砂漠のような乾燥した環境に適応しており、水を飲まずに数日間は耐えることができる。砂塵を避けるため、鼻の穴を閉じることができ、目は長い睫毛(まつげ)で保護されている。 また、塩性化の進行した地域における河川の水など塩分濃度の非常に高い水でも飲むことができる。

他の偶蹄目の動物と同様、ラクダは側対歩(交互に同じ側面の前後肢を出して歩く)をする。しかし、偶蹄目の特徴が必ずしもすべて当てはまるわけではなく、偶蹄目の他の動物などのように、胴と大腿部の間に皮が張られてはいない。また、同様に反芻を行うウシ亜目(反芻亜目)は4室のをもつが、ラクダには第3の胃と第4の胃の区別がほとんどない。従来ラクダ科を含むラクダ亜目は反芻をしないイノシシ亜目と反芻するウシ亜目の中間に置かれていた。しかし遺伝子解析による分析では、ラクダ亜目は偶蹄目の中でもかなり早い時期にイノシシ亜目とウシ亜目の共通祖先と分岐しており、同じように反芻をするウシヒツジヤギなどは、ラクダ科よりもむしろイノシシ科カバ科クジラ目の方に近縁であることが明らかになっている。

ラクダの(ひづめ)は小さく、指は2本で、5本あったうちの中指と薬指が残ったものである。

[編集] 酷暑・乾燥に耐える生理機構

ラクダの酷暑や乾燥に対する強い耐久力については様々に言われてきた。特に、長期間にわたって水を飲まずに行動できる点については昔から驚異の的であり、背中のこぶに水を蓄えているという話もそこから出たものである。体内に水を貯蔵する特別な袋があるとも、胃に蓄えているのだとも考えられたが、いずれも研究の結果否定された。

実際には、ラクダは血液中に水分を蓄えていることがわかっている。ラクダは一度に80リットル、最高で136リットルもの水を飲むが、その水は血液中に吸収され、大量の水分を含んだ血液が循環する。ラクダ以外の哺乳類では、血液中に水分が多すぎるとその水が赤血球中に浸透し、その圧力で赤血球が破裂してしまう(溶血)が、ラクダでは水分を吸収して2倍にも膨れ上がっても破裂しない。また、水の摂取しにくい環境では、通常は34~38度の体温を40度くらいに上げて、極力水分の排泄を防ぐ。もちろん尿の量も最小限にするため、濃度がかなり高い。また、人間の場合は体重の1割程度の水が失われると生命に危険が及ぶが、ラクダは4割が失われても生命を維持できる。

[編集] 野生における個体群

ラクダの家畜化は一説には5000年前に始まったと言われている[誰?]

[編集] ヒトコブラクダ

ヒトコブラクダの個体群はほぼ完全に家畜個体群に飲み込まれたため、野生個体群は絶滅した。ただ、辛うじてオーストラリアで二次的に野生化した個体群から、野生のヒトコブラクダの生態のありさまを垣間見ることができる。また、2001年には中国の奥地にて1000頭のヒトコブラクダ野生個体群が発見された。塩水とアルカリ土壌に棲息していること以外の詳細は不明で、遺伝子解析などは調査中である。この個体群についても、二次的に野生化したものと推測されている。したがって、純粋な意味での野生のヒトコブラクダは絶滅した、と言う見解は崩されずにいる。

[編集] フタコブラクダ

野生のフタコブラクダ(Camelus ferus )の個体数は、世界中で800頭しかいないとされている。このため、野生のフタコブラクダは2002年に、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定され、レッドデータリストに掲載されている。

[編集] 年齢

ヒトコブラクダは歯を見ることで年齢を知ることが出来る。生まれた時は22本の乳歯があり、加齢と共に歯が生え変わり7歳で34本の永久歯に生え変わる。このため、古くからラクダを取引するアラブ商人たちはラクダの歯の生え方で値段を決めていた。また、地方によっては歯の生え方で呼び方を変えることもあり販売価格などと密接に関係している。 ラクダの平均寿命は25才前後だが、アラブ社会では古くからラクダの寿命は33年3ヶ月と3日と言われてきた。(ヒジュラ暦は1年が11日ほど短いため33年3ヶ月と3日で季節が33回変わり、太陽暦の33年に相当する) ラクダの年齢は歯が一組変わるごとに1歳加齢される独特の年齢加算方を用いる場合があるので、実際の年齢とラクダ商人が数える年齢が一致しないことがある。

1歳
上顎両側に4本の臼歯と下顎両側に3本の臼歯
2~3歳
上顎両側に5本の臼歯と下顎両側に3本の臼歯
4歳半
糸切歯が生え始める。
5歳
上顎両側の乳歯1本が2本の永久歯に生え変わり、下顎両側に1本の臼歯が乳歯から永久歯に生え変る。
アラブ社会では古くから、上顎両側に6本の奥歯があるラクダを砂漠の横断が可能な大人のラクダとしていた。
5歳半
2本目の糸切歯が生え始める。
6歳
上顎にも糸切歯と犬歯が生える。
7歳
全ての歯が乳歯から永久歯に変わる。
10歳以上
永久歯の磨り減り具合で判断する。
歯の磨り減り方は生活環境によって異なるため、必ずしも実際の年齢とは一致しないが、アラブ社会では古くからラクダの年齢を知る方法として用いられてきた。歯が磨り減ってしまうと通常の餌が食べられなくなるため、近代以前は寿命とされてきた。

[編集] 雑種

  • ブフト・・・ヒトコブラクダとフタコブラクダの間には雑種ができ、カザフスタンではブフト(bukht)と呼ばれる。雑種の瘤は一つで、どちらの種よりも体格で勝るため役畜として重用される。雌のブフトはフタコブラクダと戻し交配することができ、ヒトコブラクダの血を25%、フタコブラクダの血を75%引く乗用のラクダがつくられる。
  • キャマ・・・ヒトコブラクダとリャマとの間に人工的に作られた種間雑種

[編集] 人間との関わり

ラクダは『砂漠の舟』とも呼ばれ、アラブ世界では自動車が普及するまで重要な移動手段であった。前述のように側対歩で歩行するラクダは歩行時に身体が大きく左右に揺れる。このため慣れない者がラクダに乗る場合、船酔いならぬラクダ酔いを起こすことがある。

ラクダを最初に家畜化したのは古代のアラム人ではないかと考えられている。アラム人はヒトコブラクダを放牧する遊牧民、あるいはラクダを荷物運搬に使って隊商を組む通商民として歴史に登場した。また、肉用、乳用として利用される他、皮はなめして用いられ、毛は織物、縄、絵筆などに利用される。日本でも「らくだのももひき」と親しまれているが、これはラクダの毛を利用したものではなくラクダ色であることを根拠としている品がある。落語にもなっている[3]。特に寒冷な中央アジアのフタコブラクダの毛は織物の素材として優秀である。かつては木材が貴重品である乾燥地帯では、ラクダの糞が貴重な燃料でもあった。血液を禁忌とするムスリムユダヤ教徒以外は、生き血を飲むこともある。

アラブ首長国連邦などでは、ヒトコブラクダのレースである競駝(けいだ)が盛んに行われている。競馬のように、性別・年齢別でレースが行われる。レース距離は5-10kmと、競馬に比べると長距離である。

近年の中華料理において駱駝の瘤は駝峰・駝峯(驼峰・驼峯、トゥンフォン)と呼ばれ、八珍の一つとして珍重される食材である。繊維はあるものの脂肪の塊であるため、味付けが重要な食材であるが、味が付きにくいと言う欠点があり、上手に調理するにはある程度の技法が必要である。

[編集] 参考文献

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[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年11月16日 (月) 15:14 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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