ラッコ

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ラッコ
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ラッコ Enhydra lutris
保全状態評価
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ファイル:Status iucn3.1 EN.svgワシントン条約附属書II類
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: イタチ科 Mustelidae
亜科 : カワウソ亜科 Lutrinae
: ラッコ属 Enhydra
: ラッコ E. lutris
学名
Enhydra lutris (Linnaeus, 1758)
和名
ラッコ
英名
Sea otter

ラッコ(猟虎、海獺、Enhydra lutris)は、ネコ目(食肉目)イタチ科ラッコ属に分類される食肉類。本種のみでラッコ属を構成する。

目次

[編集] 分布

千島列島アラスカカリフォルニア州などの北太平洋沿岸に生息している。分布の北限は北極海の氷域であり、南限はカリフォルニアの「ジャイアントケルプ」の分布の南限と一致している。

[編集] 形態

体長55-130cm。尾長13-33cm。体重15-45kgとイタチ科最重量種。尾は短く扁平。尾の基部には臭腺(肛門腺)がない。体毛密度がたかく、哺乳類でも最も高い部類に入る。8億本もの体毛が全身に生えており、これは6平方cmの皮膚に人間の髪の毛すべてが生えていることになる。全身をくまなく毛繕いするために柔軟な身体、皮膚をもっている。「綿毛」と呼ばれる柔らかい下毛が1平方センチあたり10万本以上密生している。水中に潜るときでも、綿毛の間に含まれた空気が断熱層となり、防寒の役目を果たしている。背面は濃褐色、頭部は淡褐色の体毛で被われる。鼻面には触毛が密生する。

前肢は短く、後肢は大型。指趾の境目は不明瞭で、後肢は鰭状になる。

大臼歯は大型で丸みを帯び、固い獲物を噛み砕く事に適している。水分は海水をのむことで補い、浄化のため腎臓の大きさはカワウソ類の平均的な大きさの2倍をほこる。

幼獣は全身が黄褐色、亜成獣は全身が濃褐色の体毛で被われる。

[編集] 亜種

亜種として次の3種が知られている。体長、頭部、歯並びなどが異なっている[1][2]

  • E. l. lutris (Linnaeus, 1758) アジアラッコ(チシマラッコ) Asian sea otter、Common sea otter、Kuril sea otter、Russian Sea otterなど

千島列島コマンドルスキー諸島、太平洋西部に生息する[1]。亜種の中で最も体長が大きく、頭部が広く、鼻が小さいことが特徴である[3]

  • E. l. nereis (Merriam, 1904) カリフォルニアラッコ Californian sea otter、Southern sea otter

カリフォルニア州中部沿岸に見られる[1]。頭部が狭く長い。口吻 (rostrumが長く、歯が小さい[3]

  • E. l. kenyoni (Wilson, 1991) アラスカラッコ Alaskan sea otter、Northern sea otter

アリューシャン列島、アラスカに住む[3]。オレゴン州などに人工的に移されている[1]。他の2種の中間ぐらいの外観で、下顎骨が長い。学名は、ラッコ研究者のKarl W. Kenyonにちなんで付けられたものだが、Kenyon自身はこれが亜種とは考えていなかった[4]

[編集] 生態

海岸から10キロメートル以内の沿岸域に生息する。陸上に上がる事はまれだが、天候が荒れた日には陸上にあがることもある。数十頭からなる群れを形成し生活する。昼行性で、夜間になると海藻を体に巻きつけて海流に流されないようにして休む。防寒効果を維持するため、頻繁に毛づくろいをし、毛皮を清潔に保っている。幼体の毛繕いは母親がする。

食性は動物食で、魚類、貝類甲殻類ウニなどを捕らえて食べる。海中で獲物を捕らえ、水面まで運んでから食べる。貝類を食べる際には胸部に石や別の貝類を乗せ、それらに貝殻に打ちつけ叩き割ってから下顎の門歯で中身をこじ開けて食べる。サル目を除いた哺乳類では本種のみ道具を使う例が報告されている。亜種カリフォルニアラッコでは道具を使い貝類を割る行動が比較的確認されているものの、主に柔らかい獲物を食べる亜種アラスカラッコでは道具を使って貝類を割ることはまれとされる。

繁殖形態は胎生交尾出産は海上で行う。春になると雄は雌に交尾のアピールし、雌の承諾が得られると並んで仰向けになって波間に浮かぶ。 雄は交尾の際、体制を維持するために雌の鼻をかむ。たいていはすぐに直る軽症で済むが、まれに傷が悪化し、食料を食べられなくなることなどで、命を落としてしまうものも存在する。雄は交尾が済むと別の雌を探しにいき、子育てに参加することはない。 妊娠期間は8-9か月。1回に1頭(まれに2頭)の幼獣を産む。腹の上に仔を乗せながら、海上で仔育てを行う。幼体は親が狩りをしている間、波間に浮かんで親が戻ってくるのを待つ。この時は無防備になり、ホホジロザメに約一割の幼体が捕食されてしまう。子供は親から道具の使い方や食べられるものを習う。成長したラッコはお気に入りの石を持ち歩き、潜る時は錘に使う。

[編集] 人間との関係

和名はアイヌ語の "rakko" に由来する。

毛皮が利用される事もあった。18世紀以降ロシア人極東に進出してきた理由の一つに本種の毛皮採集が挙げられる。

毛皮目的の乱獲により、20世紀初頭には絶滅寸前まで減少した。アラスカではアシカが乱獲などにより激減。食料をアシカに頼っていたシャチの一部が本種を獲物としたため、90%近くが姿を消してしまうこともあった。1989年、アラスカのプリンスウィリアムス湾で超大型タンカー、「エクソン・バルディス号」が座礁し、27万バレル原油が流出するという事故があった。この事故によって約6000頭のラッコが死亡したとされる(少なくとも1016頭の死亡が確認されている)。アザラシ等と比べると体が小さく皮下脂肪が相対的に薄いため、体毛が油で汚染されることで防寒効果が低下して凍死し、また毛の間に蓄えられた空気がなくなり浮力が減少して溺死したのである。 1911年には国際的な保護条約(猟虎及膃肭獣保護国際条約)が締結され、その後生息数は徐々に回復していった。

アワビ、ウニなどを捕食する害獣とみなされることもある。国際条約などで保護動物となっている場合が多いので地域の都合で駆除などができない。

シートン動物記によると、本来は海辺で生活する陸生動物であり、日光浴をしている群れをごく当たり前に見る事ができたらしい。その頃は人間に対する警戒心もなかったため、瞬く間に狩尽くされてしまい、現在のような生態になったと記されている。

[編集] 日本における人間との関係

日本では平安時代には独犴の皮が陸奥国の交易雑物とされており、この独犴が本種を指すのではないかと言われている。陸奥国で獲れたのか、北海道方面から得たのかは不明である。江戸時代の地誌には、三陸海岸気仙の海島に海獺が出るというものと[5]、見たことがないというものとがある[6]。かつて北海道襟裳岬周辺などに生息していたが、明治時代の乱獲によってほぼ絶滅してしまった。このため、明治時代には珍しい動物保護法「臘虎膃肭獣猟獲取締法(明治四十五年四月二十二日法律第二十一号)」が施行されている。

現在でも時折、千島列島などから来遊し北海道東岸で目撃されることがあるが、定着するまでには至っていない。2003年頃から襟裳岬近海に一匹定着しているがウニなどを大量に食すので漁業被害が問題になっている。

[編集] 保全状態評価

ENDANGEREDIUCN Red List Ver.3.1(2001)

ファイル:Status iucn3.1 EN.svg

絶滅危惧IA類(CR)環境省レッドリスト

ファイル:Status jenv CR.png

[7]

  • 北海道版レッドデータブック - 希少種

E. l. nareis
ワシントン条約附属書I類

[編集] 画像

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 脚注

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  1. ^ "Enhydra Lutis". Animal Diversity Web. University of Michigan Museum of Zoology. 2007-11-24 閲覧。
  2. ^ Enhydra lutris (TSN 180547). ITIS. 2006年18 March参照.
  3. ^ Wilson, Don. E. et al (1991 February). “Geographic Variation in Sea Otters, Enhydra lutris”. Journal of Mammalogy 72 (1): 22 - 36. DOI: 10.2307/1381977.
  4. ^ "Soundings: The Newsletter of the Monterey Bay Chapter of ACS". American Cetacean Society Monterey Bay Chapter (June 2007). 2008-01-22 閲覧。
  5. ^ 田辺希文『奥羽観蹟聞老志』巻之三(『仙台叢書奥羽観蹟聞老志』、仙台叢書刊行会、1928年。海獺の項は上巻81頁。)。
  6. ^ 里見藤右衛門『封内土産考』、1798年(寛政10年)頃(仙台叢書刊行会・編『仙台叢書』第3巻(1923年)に収録、海獺の項は454頁)。
  7. ^ 環境省 「哺乳類レッドリスト 2007年版」 2007年8月(CSVファイル)。

[編集] 参考文献

  • 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、71、241頁。
  • 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社1986年、122、138-139、141、143頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館2002年、59頁。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月9日 (月) 13:17 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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