レッド (山本直樹)

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レッド』は、山本直樹による漫画作品。1969年から1972年の日本を舞台に、革命を起こす事を目指した若者達の青春群像劇。連合赤軍およびその母体となった2つの新左翼団体をモデルにしている。講談社の漫画雑誌「イブニング」にて隔号連載中。

2009年11月現在、単行本は既刊3巻。以降続刊の予定である。 

目次

[編集] 概要

1970年代初頭、日本の新左翼運動のなかで起こった有名な事件をテーマとした作品である。何人かの主要人物を軸に、時間的経過に沿って事件の進行や当時の時代背景を淡々と叙述していく伝記的な手法がとられている。また、登場人物のその後の運命を示す文章が頻繁に登場したり、人物が亡くなっていく順に1から15までの番号が付されるなど、あらかじめ物語の先には悲劇的結末が待ち受けることが強調されている。なお登場人物の姓は、すべて山岳名にちなむものである。

雑誌上でのタイトルロゴには、大きな「レッド」の文字に重ねて、小さく「Red」の英字表記と、舞台となった時代を表す「1969〜1972」の文字があるが、単行本第1巻(初版)ではタイトルロゴから「1969〜1972」の文字は消えている(※第1巻2刷以降、及び第2巻は表記あり。単なるデザイン上の問題か)。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


[編集] あらすじ

1969年、東京大学安田講堂の陥落を境に全共闘運動は勢いを失いつつあった。同じ年の夏の終わり、青森某大学ではバリ封(バリケード封鎖(ストライキ))が盛り上がりに欠けるまま自主解除という結末となり、その一方で外相の訪米阻止のため「革命者連盟」の若者たちは羽田空港に侵入、「反米闘争路線万歳」を叫びながらジャンボジェット機に火炎瓶を投げつけた。

革命の退潮に抗うように、ダイナマイトによる非合法のゲリラ闘争へ傾斜していく革命者連盟のメンバー。しかしリーダーである筑波を始めとして多数のメンバーが逮捕されたことで組織崩壊の危機に直面することになった。彼らは筑波を奪還するために、交番を襲撃して拳銃を奪取する計画を立てる。この作戦を契機に革命者連盟はもう一つの急進的グループ「赤色軍」との同盟関係をうち立て、いっそうの武装闘争路線へと突き進んで行くのだが…。

[編集] 登場人物

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以下、単行本第2巻までに描かれている時期(1971年5月まで)の内容に限定する。

[編集] 革命者連盟

神奈川県を拠点に活動する比較的少数の新左翼グループ(モデルは日本共産党革命左派神奈川県委員会(日共革左)と思われる)。毛沢東思想に基づきゲリラ闘争路線をとるが、警察による1969年末の根こそぎ検挙で壊滅的な打撃を受ける。またあまりにも先鋭的かつエキセントリックなその闘争路線は、大衆からの孤立を懸念する他党派からしばしば顰蹙を買っていた。ところが都内での交番襲撃作戦を敢行し、(結果としては失敗に終わり大きな犠牲を払ったものの)この事件により一躍新左翼内部での注目と支持を集めることとなる。合法組織は「共闘戦線」(モデルは日共革命左派の合法組織「京浜安保共闘」)で、機関誌として『革命の鐘』を刊行している。少数派であるぶん組織内の人間関係は濃密であるが、自由な相互議論があまりなく特にゲリラ闘争路線への批判がほとんど許されていない、ある種の「息苦しさ」を感じる組織として描かれている。

赤城容子(あかぎ ようこ)
モデルは永田洋子。名前の由来は赤城山から。この物語の中心人物の一人で、非合法部門の女性活動家。病院勤務の薬剤師であったが革命運動に専念するため退職。病弱でしばしば立っていられないほど苦しむことがある。組織活動への熱意は人一倍で、ゲリラ闘争が唯一の正しい方針であると信じ、それに自分のすべてを捧げたいと考えており、そうした熱意が時折エキセントリックな言動として現れることもある。その反面自分や女性活動家たちの献身的行為が組織の中で必ずしも十分に評価されていないことに強いいらだちを覚えており、しばしば他のメンバーに対し感情を爆発させる。保釈中の谷川から突然プロポーズされ、最初は自分の気持ちに素直になれず断ったものの結局は受け入れる。谷川との間に子供を宿すも中絶し、それ以降活動を理由に出産を諦めるのはよくないと考えるようになった。1970年秋の銃器奪取作戦の直前、精力的な活動が評価され、指導部の選挙で組織の新リーダーに選ばれる。一見地味な容姿で彼女を「鬼ババ」と呼ぶメンバーもいる。
谷川博(たにがわ ひろし)
モデルは坂口弘。名前の由来は谷川岳から。赤城の夫。工場で働いていたが、1969年9月の羽田空港での火炎瓶闘争に参加し逮捕、同年末保釈され翌年2月に東京地裁で懲役7年を求刑される。その過程で赤城にプロポーズし結婚生活を始める。赤城の真面目さに対しては敬意と愛情を抱いているが、健康上の理由でしばしば活動の足手まといになる彼女にいらだち、暴力を振るうこともある。当初は組織ぐるみのゲリラ闘争路線に懐疑的だったが、次第に熱烈に支持していくことになる。海洋大学出身で手旗信号に習熟しており、1970年6月、獄中のリーダー・筑波との接見に際し彼からの秘密の指示を読みとる。その後同志達が次々と逮捕され、潜伏生活に疲弊する中、活動拠点を「山」に移すことを提案する
吾妻正久(あづま まさひさ)
モデルは吉野雅邦。名前の由来は吾妻山から。谷川とともに羽田空港での闘争に参加し逮捕。1969年末に釈放され翌年2月東京地裁で懲役5年を求刑される。しばしば組織活動よりも同棲中の恋人・宮浦との関係を優先したことから党員資格停止処分を受けたこともある。しかし「デモも集会もいくらやっても何も変わらなかった」と大衆運動に絶望しゲリラ闘争路線だけが正しいと考えているため、組織への不満を漏らす宮浦をたしなめる。宮浦が妊娠した際には活動を理由に中絶を求めた。銃砲店襲撃作戦を成功させいったんは得意満面だったが…。
宮浦(みやうら)
名前の由来は宮之浦岳から。吾妻の恋人。組織内では救援活動に従事しているが、その動機は主として羽田闘争で逮捕された吾妻を支えたいという個人的感情によるものであり、「組織をやめて2人で喫茶店でも開きたい」と密かに考えてすらいる。そのため自分と吾妻を遠ざけ、他の逮捕者への救援活動までも押しつける組織の方針には強く反発しており、大衆運動より非合法のゲリラ闘争を重視する指導部(ひいては赤城)を露骨に当てこすることもあり、その一方で吾妻が非合法活動にのめり込んでいくのを心配している。また吾妻の出獄祝いで和服を着てフェミニンな魅力をアピールするなど、赤城とは全く対照的な女性である。
赤石一郎(あかいし いちろう)
モデルは柴野春彦。名前の由来は赤石岳から。落語好きの青年で赤城とは比較的親しい。ゲリラ闘争路線を熱烈に支持しており、警察に指名手配されたため都内のアパートに潜伏していた。ほとんど外出できず同棲中の恋人に生活を全面的に依存していたが、ある日逃げられてしまう。リーダーに選ばれた赤城に「リーダーとは最初に死刑になる人間」と冗談めかして予言するが、自分は筑波奪還のため都内の交番で銃器を奪取する作戦に参加、反撃する警官から銃弾を浴び死亡。登場人物中では最初の犠牲者となる。
筑波(つくば)
モデルは川島豪。名前の由来は筑波山から。組織のゲリラ闘争を指導するが1969年末に逮捕され獄中にいる。接見に来た赤城に「俺は闘争をおりる」と弱気な面をのぞかせたかのようだったが、実は巧妙な偽装転向だった(と他のメンバーには信じられている)。また同じ大学の後輩である谷川に対し、手旗信号により自分の奪還作戦を密かに指示する(これが銃器奪取作戦へ組織が踏み出す契機となった)など、獄中から組織を動かそうとしている。
六甲(ろっこう)
モデルは石井功子。名前の由来は六甲山から。女性活動家。ゲリラ闘争に使用するダイナマイトを入手し赤城に手渡す。体の弱い赤城に厳しい言葉で接することもある。赤色軍の武装闘争を第三者的に批評した発言が、新リーダーになった赤城から「ゲリラ闘争に対する理解が足りない」ととがめられることになり、突然首都圏の指導部から外れ関西に赴くことを求められる。そして大阪での活動中に(直接関わっていない)銃器奪取事件の容疑で逮捕され、その際、アパートに隠し持っていた爆弾を押収されてしまう。
白根(しらね)
名前の由来は白根山から。合法部門の女性活動家。大山の恋人でおとなしい性格。組織の指示で恋人に去られた後の赤石の生活を世話していた。交番襲撃作戦以前に、赤城から「今回の任務がすんだら大山と結婚したら」と勧められ当惑する。大山の逮捕にショックを受ける。
安達幸一(あだち こういち)
モデルは寺岡恒一。名前の由来は安達太良山から。米軍基地の敷地内でのダイナマイト爆破や北関東の銃砲店での銃器奪取などの作戦に参加するなど実行部隊のリーダー格。いささか軽口らしく、会議中に宮浦の妊娠中絶の噂を口にしたことから赤城に厳しく自己批判を求められる。
岩湧(いわわき)
革命者連盟の創始者の一人で最古参の活動家。最近の爆弾ゲリラ路線に強い危惧を抱いており、指導部を説得して方針を変えようとするが、支持を得ることができず組織からの離脱を宣言する。
白山秋生(しろやま あきお?)
合法部門「共闘戦線」の議長で赤色軍との連絡役。警察の強引な捜査方針により、合法部門メンバーでありながら逮捕される。
和歌山(わかやま)・火打(ひうち)
北関東での銃砲店襲撃作戦に参加。銃の奪取には成功するものの、東北方面で車を乗り捨てる当初の計画を実行せず、和歌山を送り届けるために東京に向かった。検問に引っかかり懸命に逃走するが2人とも逮捕。結果として組織を危機に陥れることとなる。
大山(おおやま)・英彦(ひでひこ)
赤石らとともに交番での銃器奪取作戦に参加。警官の銃弾を浴びて負傷し逮捕される。英彦は高校生。
八幡(やはた)
合法部門の活動家。赤石を追悼する「人民葬」集会での暴動方針に強く反対し、ポスター貼りの際に一人だけ検挙されなかったこともあって、谷川・安達からスパイと疑われている。
筑波八重子(つくば やえこ)
筑波の妻。赤石のアジト設定や筑波が収監されている拘置所周囲の下調べなど裏方の仕事に励んでいる。
黒部次郎(くろべ じろう)
高校中退の活動家。1971年初めの赤色軍合法組織との共同集会に参加。兄は米軍基地爆破作戦の実行部隊の一人であったが一斉検挙の中で逮捕された。大阪で活動中、爆弾を隠し持っていた六甲のアパートにいたため、次郎も共に逮捕されてしまう。

[編集] 赤色軍

新左翼党派の一つ(モデルは共産主義者同盟赤軍派と思われる)。関西で大きな影響力を持ち、関西訛りで話すメンバーも多い。「大阪戦争」など先鋭的な闘争では革命者連盟と並ぶ存在であったが、リーダー石鎚の逮捕、「国際根拠地論」による主力メンバーの国外脱出、関東地方××峠での武装訓練中の大量逮捕などで組織は混乱し「ほぼ壊滅」とすら言われている。内部でも方針をめぐる中央と地方組織の対立が顕在化するなか、革命者連盟の交番襲撃作戦を高く評価し、提携関係と強めることで活路を見いだそうとしている。「G(ギャング)作戦」と称する金融機関強盗により活動資金を得ている。1971年初めには合法組織である「前衛連合」(モデルは赤軍派の大衆組織「革命連合」)が革命者連盟の合法組織「共闘戦線」と初めての合同集会を開催。東大京大の学生メンバーが多く、革命者連盟の宮浦からは「エリート主義丸出し」と揶揄されている。中央部の方針を巡って対立はあるものの、革命者連盟と比べて一定程度の相互批判は許容されている、ややオープンな組織として描かれている。

岩木泰広(いわき やすひろ)
モデルは植垣康博。名前の由来は岩木山から。この物語のもう一人の中心人物。青森の某大学の学生活動家。1969年夏、大学バリケードストライキと本部棟占拠に参加するが、参加学生が少なくストは自主解除という無惨な結果に終わる。学生運動の退潮に対しやるせない想いを抱いており、より先鋭的な運動を求めて上京、赤色軍メンバーに紹介される。同年10月21日国際反戦デーでは赤色軍以外の部隊に参加し新宿での投石戦により検挙、以後1年あまりにわたって投獄される。1970年末にようやく保釈されたのち、ほどなくして上京し潜伏生活を送る。アジトでは赤色軍の女性活動家4名と寝起きし、雑魚寝で悶々とした夜を過ごす。また収入も途絶え貧乏生活を余儀なくされているが、半ばそのような生活を楽しんでいるように見える。共闘戦線(革命者連盟)との初めての合同集会で司会を担当。その後「組織再編」に伴って非合法部入りし、志賀(後述)の指揮する部隊の下でG作戦に従事しながら全国各地を転々とするようになる。
鳥海(とりうみ)
モデルは青砥幹夫。名前の由来は鳥海山から。岩木と同じ大学の活動家。彼を赤色軍メンバーに紹介する。大学のバリケードストライキの件で逮捕・投獄されていたがほどなくして保釈され活動に復帰。組織のサブリーダーとなり前衛連合を指導、「革命者連盟に続くのは赤色軍」と意気込む。
月山 幸子(つきやま さちこ?)
名前の由来は月山から。都内のアジトで岩木と同居していた4女性のうちの一人。恋人と別れたばかりで、岩木に好意を持つ。アジトではガリ版切りと電話中継という地味な任務に従事し、倦怠感を抱いている。「組織再編」後に一時三里塚闘争に参加した後、G作戦従軍に旅立つ直前の岩木と肉体関係をもつ。
金峰(かなみね)
岩木と同居していた4女性のうちの一人。ビートルズの解散を知らず仲間に「遅れてる」とからかわれる。
アイコ
岩木と同居していた4女性のうちの一人。快活で姉御肌。組織の方針を「大衆路線の欠落した武装闘争」と批判していたためか、「組織再編」と共に党派を除名される。
太平(たいへい)
赤色軍合法部隊「前衛連合」副委員長。保釈中の岩木を半ば強引に故郷から連れ戻し、組織の裏方仕事にこき使う。他のメンバーからは「官僚的」と陰口をたたかれている。
荒船(あらふね)
モデルは梅内恒夫。ストライキ中の某大学にオルグ活動にやってきた赤色軍の理論家。市街戦(ゲリラ闘争)を主張するも組織の中では次第に疎外されつつある。
普賢(ふげん)
最初に革命者連盟との接触を図ってきた赤色軍からの使者。革命者連盟の交番襲撃作戦を高く評価し合同の会議を持つことを提案する。
志賀邦夫(しが くにお)
モデルは坂東國男。名前の由来は志賀山から。赤色軍の代表の一人として革命者連盟との合同会議に出席。弾圧を逃れるための変装として眉毛を剃っている。中央軍との連絡が途絶えがちな中、部隊を指揮してG作戦を実行する。
北盛夫(きた もりお)
モデルは森恒夫。名前の由来は北岳から。「組織再編」により、赤色軍で獄外に残っている者のリーダー(中央軍議長)となる。かつて「中央派」と呼ばれる組織(モデルは共産主義者同盟戦旗派)との闘争から逃げ出したことに負い目を感じており、そのぶん活動には人一倍懸命である。最初の革命者連盟との合同会議において、革命者連盟からの銃器援助の要請をやんわりと断る(実は赤色軍は銃器を持っていなかったので)。後、逆に革命者連盟から銃器を援助され、その際に赤城から自党派と共に中国に渡航することを勧められるが「むしろ共に日本で殲滅戦を戦うべきだ」と反論し、また「いずれ内通者や裏切り者を殺さなくてはならなくなるときが来る」と述べる。
天城(あまぎ)
逮捕された政治局員(モデルは高原浩之と思われる)の妻。前衛連合の全国代表者会議に出席し、中央組織が地方組織を軽視していることを激しく批判する。ロングヘアが印象的な美人。
櫛形(くしがた)・高千穂三郎(たかちほ さぶろう)
無所属の立場で横浜寄せ場を拠点に活動している。月山を通じて接触を求めてきた岩木に銃砲店襲撃作戦への協力を要請する。
石鎚(いしづち)
モデルは塩見孝也。赤色軍のリーダーで1970年3月都内で逮捕。名前のみの登場。 
十勝(とかち)
モデルは重信房子あるいは奥平剛士か。「国際根拠地論」に基づき国外へ脱出しアラブへ向かう。名前のみの登場。

[編集] その他

私服公安警官
外出する赤城にしつこくつきまとい、彼女を精神的に追い込む。

[編集] 単行本

講談社コミックスデラックス(イブニングKCDX)より

[編集] 関連項目

モデルとされている新左翼組織
作中で言及されている新左翼関係の事件

最終更新 2009年10月31日 (土) 16:32 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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