レトロフォーカス

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レトロフォーカスRetrofocus )は1950年アンジェニューによって初めて市販化されたレンズ形式。

現在では同様のレンズ形式の一般名詞のように誤用されているが、アンジェニューの商標である。同様のレンズ形式を持つレンズは主に一眼レフカメラ広角レンズ、広角ズームレンズ、標準ズームレンズに使われる。

[編集] 概要

レトロフォーカスレンズの例

「レトロ」は「後ろへ」、「フォーカス」は「焦点」の意味を持つ。レンズの前群を凹レンズ系とすることで焦点を後ろへ移動させた、つまり光学系を前に移動させた構成であり、望遠型レンズ[1]と逆の構成なので「逆望遠」とも呼ばれる。


レトロフォーカス以前の広角レンズ[2]バックフォーカスが短く、フィルムの直前までレンズエレメントがあるため、一眼レフカメラではミラーと干渉してしまう。このため一眼レフカメラで広角レンズを使用するときはミラーアップして装着し使用する[3]等の手段が採られていた。これに対しレトロフォーカスではレンズのバックフォーカスが長く取れ、一眼レフカメラでもミラーアップすることなく通常通りの撮影ができる。この形式のレンズが普及したことで一眼レフカメラだけで全ての撮影に対応できるようになり、一眼レフカメラが隆盛を極める一因となった。

また、レトロフォーカスの設計を応用するとズームレンズとすることができる[4]。1970年代から実用化された2群ズームはこのレトロフォーカスの前後間隔を変化する事で焦点距離を変える。一眼レフカメラ用の超広角ズームはほぼ全て2群ズームかつレトロフォーカスである。

欠点としては構成枚数が多くなりがちでレンズが大型・大重量化すること[5]、設計時に想定された性能を出しにくいこと、傾向としてタル型の歪曲収差やゴーストが出やすくなることが挙げられる。

レンジファインダーカメラ用の広角レンズではバックフォーカスが短くてもよいため設計の簡単な旧来の広角レンズが作られ続けてきたが、新型の レンジファインダーカメラではTTL露出計の受光素子などがぶつかることがあるため、レトロフォーカスタイプの広角レンズが登場している。

同様のレンズ形式を持つレンズに、西ドイツのカール・ツァイスディスタゴン、東ドイツのカール・ツァイスフレクトゴンを商標とした。シュナイダー・クロイツナッハでは当初クルタゴンを商標としたが後にレトロフォーカス型以外のレンズと同じアンギュロンに統一された。

[編集] 注釈

  1. ^ 後群を凹レンズ系として小型軽量化を図った構成のレンズのこと。
  2. ^ ビオゴン型に代表される。
  3. ^ 一眼レフのメリットは全く失われる。
  4. ^ レトロフォーカスの原理はハリウッドの映画カメラマンだったジョーゼフ・ベイリー・ウォーカーが1932年に特許を取得しており、同時に前の凹レンズと後ろの主光学系の間隔を変化させることでズームレンズになる事も明記していた。しかしズーミングによって収差変動が生じ、これを補正したレンズを実用化できたのはコンピュータが普及してからのことである。
  5. ^ この形式の極北的な製品の一つAiニッコール13mmF5.6では12群16枚構成、重量1200g、最大径φ115mm、長さ101mmである。


最終更新 2008年11月27日 (木) 21:26 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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