レーシック

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レーシック (LASIK: Laser in Situ Keratomileusis ) とは角膜屈折矯正手術の一種で、の表面の角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜の曲率を変えることにより視力を矯正する手術である。近視を補正する場合、眼鏡コンタクトレンズ等の道具を使用することが一般的だが、レーシックでは角膜を矯正手術することにより限りなく正視の状態に近づける。これにより、裸眼視力を向上することができる。1990年代にアメリカを中心にその手術方法が認知されるようになった。

目次

[編集] 概要

レーザー機器もしくは、マイクロケラトームと呼ばれる眼球用カンナで角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくる。表出した角膜実質層にエキシマレーザーを照射し、角膜の一部を削る(蒸散させる)。その後、フラップを元の状態に戻し、フラップが自然に吸着する。角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、近視が矯正される。視力は術後直後から1日程度で矯正される。視力が安定するには1週間から1ヶ月程度を要し、90%以上の人が裸眼視力1.0以上になる

角膜に一定の厚さが必要なため、角膜が薄い場合や眼に疾患等を抱えている場合は、手術が受けられない。また、近視の進行する10代などの若いうちは手術が受けられない。

アメリカにおいては、毎年100万人以上の方が手術を受けており[1]近視になっている者のおおよそ1割が手術を受けているといわれる。

[編集] 利点

[編集] 欠点

  • 失敗・術後合併症等のリスクが存在する。
  • 歴史が浅いため、長期に渡る安全性が実証されていない。ごくまれではあるが、術後、近視に戻る症例も報告されている。
  • 術後角膜に微細な傷痕が残る。他人から見る分には全く分からない傷痕だが、これにより次のような症状が出ることがある。
    • 角膜の傷によって光線が撹乱され、網膜像のコントラストが低下する。
    • 術後、一過的または継続的にハロ・グレアが出現する。
  • 角膜が薄くなる分変形しやすくなるため、体調や天候・高度によって視力が変動しやすくなる。
  • 角膜中心部の曲率しか変わらないので、夜間瞳孔が開くと、角膜周辺部の術前と変わらぬ曲率をもつ部分を通った光線が網膜に到達し、二重像を生じたり夜間視力が低下したりすることがある。
  • フラップの作成により角膜中心部の知覚神経が切断されるため、ドライアイになることがある。
  • フラップは時間の経過とともに安全な強度に近づくが、完全に元には戻らない。強い外圧がかかるとごくまれにフラップがずれる場合がある。このため格闘技の選手等には向かない。[3]
  • レーシックの既往歴があるために就けない職業がある[4]
  • 人にも拠るが50歳-6Dで受けた例では近眼が矯正され、老眼+1.5Dが顕在化し、近眼の特権であった裸眼で小文字が一生見えなくなる。一定年齢以上では近眼用メガネが不要になる一方、すぐに老眼鏡が必須になる。

[編集] 合併症

結膜下出血は、レーシック術後によくある合併症のひとつである。

屈折矯正手術による合併症で最も多いのはドライアイである。American Journal of Ophthalmologyの2006年3月の発表によれば、レーシック後6か月の術後治療期間の後にドライアイに罹患している割合は33.36%である[5]

アメリカ食品医薬品局のウェブサイト[6]によれば、このドライアイは恒久的に続く恐れがある。このため、ドライアイに対する術前および術後の適切な評価・処置が必要となる。 一方で、人口涙や涙点閉塞などによってドライアイの治療に成功した例も多数ある。ドライアイは、放置した場合、視覚を損ねたり、手術の効果を退行させてしまったりする恐れがある。

レーシックの術後に、(かさ)が見えたり、ものが二重に見えたり、コントラストが低下したり、グレアが現れたりといった視覚上の副作用を罹患する危険性は、手術前の屈折異常の度合いやその他の危険因子に依存する。[7]このため、全患者の平均ではなく、個々の患者ごとの危険因子を考慮に入れることが重要である。[8]

以下は、よく報告されているレーシックの合併症の一部である。[9][10]

  • 手術によるドライアイ
  • 過剰矯正[11]および矯正不足
  • 視力の変動
  • 夜間に光源の周囲に見える暈[12]や星形の視覚異常[13]
  • 光感受性
  • ゴースト像[14]複視
  • フラップのしわ[15]
  • 照射のずれ
  • フラップの下の塵や腫瘍
  • フラップの穴[16]
  • 乱視
  • 角膜拡張
  • 飛蚊症
  • 上皮侵食
  • 後部硝子体剥離[17]
  • 黄斑円孔[18]

[編集] 日本での現状

日本での歴史は、2000年にエキシマレーザー装置が医療機器の承認をうけ、販売が許可されたことから始まっている。日本国内での手術名称は「角膜屈折矯正手術」である。現在のところ治療には健康保険が適用されず、自由診療である事から手術費用は診療所や医院によって幅があり、10~50万円程度まである。手術を受けたのは、2000年に年間2万人程度で、2008年に年間40万人程度である[19][20]。先述のとおり、施術の方法にはレーザー機器もしくは、マイクロケラトームによる手術があるが、最近の日本国内ではイントラレース社(アメリカ)のイントラレースレーザーが主流になりつつある。

年々手術を受けている人は増加しているものの、視力矯正器具の眼鏡コンタクトレンズに対し日本国内での認知度が低い。有名人のレーシック手術体験談が[21]本やテレビなどで紹介されるのは、レーシック手術を受ける事が珍しいからである。

[編集] 一般的な手術の流れ

  1. 1~3週間前よりコンタクトレンズ装用者は裸眼状態にする必要がある。
  2. 検査は、散瞳検査で約1時間 適応検査に約10分、診察に約5分、相談および説明に約20分、そして手術待ち時間が付加される。瞳孔目薬で開けさせ検査するため、検査状態後2~3時間は、瞳のレンズが開いた状態のため、まぶしく感じる。
  3. 手術は15分程度。その後は手術直後の検査等に2~3時間掛かる。
  4. 当日以降の検査は翌日、1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後・・・と手術後も定期的に通う必要がある。

[編集] 不祥事

  • 2008年から2009年にかけ、東京・銀座にある眼科でレーシックによる近視の矯正手術を受けた患者67人が、感染性角膜炎などに集団感染していたことが判明。中央区などによると、2008年9月から2009年2月にかけ、「銀座眼科」でレーシック手術を受けた患者639人のうち1割に当たる67人が感染性角膜炎などを発症し、うち2人が入院。レーシック手術に適応するかチェックせず即日に手術を行うなどずさんな事前検査の体制や、日常的に手術室が待合から見えるほど衛生的に隔離されておらず、また医療機器の滅菌消毒が不十分だったことが集団感染の原因と見ており、2009年2月に入って3回の立ち入り調査を行っている[22]

[編集] 視力矯正手術の種類

[編集] 脚注

  1. ^ レーシック相談室-海外の動向
  2. ^ レーシックでは老眼を矯正することはできない。よって、老眼の進行状況によっては、老眼を補正するためのの眼鏡が必要となる。
  3. ^ フラップを作らずに角膜上皮から削ることで屈曲率を矯正するPRKや、フラップを再生させることが出来るラセックと呼ばれる同種の手術もあるので、特にスポーツ選手はこちらを選ぶこともある。
  4. ^ 航空身体検査基準ではレーシックなどの屈折矯正手術の既往は不適合なので、レーシックを受けた経験のある者は視力が良くてもパイロットになれない。一方、レーシックを受けたことがない者ならば、度数制限はあるものの眼鏡やコンタクトレンズで矯正することで就業が可能である。
  5. ^ De Paiva CS, Chen Z, Koch DD, et al. (2006 March). “The incidence and risk factors for developing dry eye after myopic LASIK”. Am. J. Ophthalmol. 141 (3): 438–45. DOI: 10.1016/j.ajo.2005.10.006. PMID 16490488.
  6. ^ http://www.fda.gov/MedicalDevices/ProductsandMedicalProcedures/SurgeryandLifeSupport/LASIK/ucm061354.htm
  7. ^ Pop M, Payette Y (2004 January). “Risk factors for night vision complaints after LASIK for myopia”. Ophthalmology 111 (1): 3–10. DOI: 10.1016/j.ophtha.2003.09.022. PMID 14711706.
  8. ^ "Individual Risk Factors of Halos, Loss of Contrast Sensitivity, Glare and Starbursts after LASIK." operationauge.com
  9. ^ "The most common complications of refractive surgery.". USAEyes.org
  10. ^ Knorz MC (2006 March). “[Complications of refractive excimer laser surgery]”. Ophthalmologe 103 (3): 192–8. DOI: 10.1007/s00347-006-1314-y10.1007/s00347-006-1314-y. PMID 16465507.
  11. ^ "Lasik Overcorrection - Unexpected, Unwanted, Desired, and Planned.". USAEyes
  12. ^ "Night vision halo after Lasik and similar laser assisted refractive surgery.". USAEyes
  13. ^ "Night vision halo after Lasik and similar laser assisted refractive surgery.". USAEyes
  14. ^ "Ghost or double vision after Lasik and similar vision correction surgery.". USAEyes
  15. ^ "Macro-striae and micro-striae complication of Lasik and All-Laser Lasik." USAEyes
  16. ^ "Buttonhole Incomplete Flap in Lasik and All-Laser Lasik". USAEyes
  17. ^ Mirshahi A, Schöpfer D, Gerhardt D, Terzi E, Kasper T, Kohnen T (2006 February). “Incidence of posterior vitreous detachment after laser in situ keratomileusis”. Graefes Arch. Clin. Exp. Ophthalmol. 244 (2): 149–53. DOI: 10.1007/s00417-005-0002-y10.1007/s00417-005-0002-y. PMID 16044328.
  18. ^ Arevalo JF, Mendoza AJ, Velez-Vazquez W, et al. (2005 July). “Full-thickness macular hole after LASIK for the correction of myopia”. Ophthalmology 112 (7): 1207–12. DOI: 10.1016/j.ophtha.2005.01.046. PMID 15921746.
  19. ^ J-CASTニュース
  20. ^ 神戸新聞
  21. ^ 『博士の異常な健康』(水道橋博士 アスペクト)で紹介されているほか、やしきたかじん番組内で語っている。
  22. ^ 読売新聞
  23. ^ 公正取引委員会 - 広報
    時事通信「視力回復手術大手に警告=「限定割引」実態なし-公取委」2009年8月6日

[編集] 外部リンク

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月18日 (水) 00:36 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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