ロシア連邦軍
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ロシア連邦軍(ロシアれんぽうぐん、ロシア語:Вооруженные силы Российской Федерации;略称:ВС РФ)とは、ロシア連邦の軍隊である。旧ソ連の核兵器を含むソビエト連邦軍の主力を継承した。将兵の数は2008年現在で約113.4万人である。
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[編集] 機構
[編集] 3軍・3兵科
ロシア連邦軍は、陸軍、海軍、空軍の3つの軍種と、戦略ロケット軍、宇宙軍、空挺軍の3つの独立兵科から成る。
- ロシア陸軍(Сухопутные войска)
- ロシア空軍(Военно-воздушные силы;ВВС)
- ロシア海軍(Военно-Морской Флот;ВМФ)
- ロシア戦略ロケット軍(Ракетные войска стратегического назначения;РВСН)
- ロシア宇宙軍(Космические войска)
- ロシア空挺軍(Воздушно-десантные войска;ВДВ)
[編集] 軍事行政単位
ロシア連邦軍は、6個軍管区(Военный округ)に分かれる。
- モスクワ軍管区(Московский военный округ;МВО)
- レニングラード軍管区(Ленинградский военный округ;ЛенВО)
- 沿ヴォルガ・ウラル軍管区(Приволжско-уральский военный округ;ПруВО)
- 北カフカーズ軍管区(Северо-кавказский военный округ;СКВО)
- シベリア軍管区(Сибирский военный округ;СибВО)
- 極東軍管区(Дальневосточный военный округ;ДВО)
- カリーニングラード特別地区
[編集] 戦歴
- 第1次チェチェン戦争(1994年-1996年)
- 第2次チェチェン戦争(1999年-)
- 南オセチア紛争(2008年)
[編集] 国外駐留
詳細は、国外駐留ロシア連邦軍部隊の一覧を参照。
- グルジア・アブハジア
- グルジア・南オセチア
- モルドバ・沿ドニエストル共和国
[編集] 準軍事組織
ロシア連邦(以後「ロシア」と表記)には、ロシア連邦軍の外、各省庁が管轄する準軍事組織が存在する。これらは平時は各省庁が管轄するが、戦時は国防省の統制下に入る。
- 連邦保安庁 - 国境軍
- 内務省 - 国内軍
- 連邦警護庁 :大統領連隊などを含む
- 鉄道軍:現在はロシア連邦軍に編入
- 政府通信・情報局:現在は連邦保安庁と連邦警護庁 に編入
- 民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省 - 民間防衛軍
[編集] 国防予算
ロシアの経済規模は2000年以降の10年ほどで急成長し[1]、これに合わせて、ロシア連邦軍とロシア連邦保安庁(FSB)、そして、現在はその配下となったロシア国境軍(ロシア国境警備隊)の予算を含むロシアの年間国防予算は、1999年の950億ルーブル(約33億9,000万米ドル)から2008年には9,596億ルーブル(約392億米ドル)へと10倍以上に急増した。2009年には1兆610億ルーブル、2010年には1兆1,910億ルーブルが予定されている[出典 1]。
[編集] 徴兵制度
ロシアは過去3世紀に渡り徴兵制度を採用していて、2009年現在では、18-27歳の男性が2年間の兵役に就くことが求められており、徴募に応じる義務がある。
[編集] 軍改革・兵員削減
ロシア連邦軍の前身であるソ連軍は兵力530万人を持ちアメリカ合衆国軍と並ぶ世界最強の軍隊と言われてきたが、ソ連末期には装備の老朽化と軍規の乱れなどで脆弱となった。それらの問題はソ連軍から発足時に約288万人の兵力を引き継いだロシア連邦軍にも持ち越され、1994年のチェチェン紛争においてその弱体振りが国内外に露呈することになった。その後も、主に予算難から大幅な減員を余儀なくされ、兵器の調達も激減した。1997年にエリツィン政権は大統領令にて1999年までに兵力定数を120万人にまで削減することを定めた。[出典 2]
2000年に発足したプーチン政権はロシア軍の再建に乗り出し、軍需産業を振興する一方、カデットと呼ばれる軍の士官候補生養成の寄宿生の学校を各地に設立し「強固な愛国心によってロシアを守る人材」の育成に乗り出した。プーチン政権では現在100万の兵力をすべて「強固な愛国心のある志願兵」から構成することを目標に掲げている[2]。 2008年10月、セルジュコフ国防相は「現在113万4千人いる兵力を2012年に100万人まで削減し、特に将校は35万5千人から15万人まで20万人以上減らし、軍事物資調達を担う後方部隊は民営化して人員も3分の1に縮小する」との方針を表明した。その一方、「下級将校は増員し、軍人の給与も昇給させて指揮命令系統を効率化する」と軍の機構改革や装備の近代化方針を述べた[出典 3]。 ボリス・ネムツォフらの右派勢力はより早期に軍の変革を行なうべきだと圧力をかけているが、予算不足と将校達の抵抗などの問題があり、その実現は簡単ではない。実際に2001年にプーチン政権は「2005年までの軍建設計画」を承認し、2003年までに兵力を80万人にまで40万人削減することを予定した[出典 2]が、これは中止され実施されなかったと考えられる。今となっては人口が少なくその減少が著しい[3]ロシアが、中国に対抗して人海戦術型の戦闘形態[4]を選ぶことや、欧州との対決が生じた場合に兵器の性能より数量に頼る戦略は過去の戦訓にしばられた誤った選択であるとする考えがあり、100万人の兵力でさえ維持する必要があるかロシア国内でも疑問の声がある[5]。日本とロシアを比較すれば、日本の人口1億2,700万人より少しだけ多い1億4,190万人のロシアが、自衛隊の24万人弱の4倍以上の100万人の兵力を維持することになる[出典 4]。
[編集] 問題点
[編集] 徴兵における問題
ロシアは男性に対する徴兵制度を採用しているが、兵役以外にも代替奉仕のような多様な選択肢が与えられていて、これらを勘案すれば対象年齢約35万人の内の13-25%が兵役に採られているはずである。しかし現実には、地方の経済的に貧しく教育程度の低い若者が徴兵される傾向が強く、都会の高学歴者は健康上の理由や大学内での軍事教練[6][7]を選ぶこと、代替勤務の選択、賄賂(800-5,000米ドル)によって兵役から逃れ、実際に徴兵されるのは2005年6月時点では対象者の9%だけとなっている。2004年には徴兵忌避率が90%以上に達したとイワノフ国防相が発言した[出典 1]。
真に問題なのは、人数や不平等ではなくその質の低さであり、15%がほとんど文盲で、25%がアルコール中毒か麻薬中毒、70%が過去に補導、又は犯罪の前科を持ち、30%が栄養や体重不足などで医療措置が必要となる[要出典]。
- 良心的兵役拒否権
- 2002年6月28日、ロシア下院は、代替奉仕に関する法案(代替文民勤務法)を採択し、良心的兵役拒否が実質的・制度的に明文化された。ロシア政府は、男性に2年間の兵役を義務付けているが、ソ連崩壊後の1993年に制定された新憲法は、宗教や他の信条を理由に兵役拒否する人に対し、代替奉仕の可能性を保障している。しかし、代替奉仕に関する具体的取り決めを定めた法律は、それまで存在しておらず、軍隊からの脱走の多発や、兵役拒否するための賄賂等、汚職原因となっていた。2002年に可決された法案によると、兵役の替わりに、民間施設で3年半、又は軍事施設で3年間の代替奉仕を選択することができる。また、大卒の場合、奉仕期間は半分ですむ。ただし、徴兵委員会が代替奉仕者の任地を決めるため、自宅や家族の近くで働ける可能性は低い。この法律は2004年1月1日から発効した。ロシアでは現在、18歳からの兵役が義務付けられているが、大学生は兵役を遅らせることが許可されている。こういった合法的な抜け道によって実質的な兵役逃れとなっている。
[編集] 予算不足
ロシア軍の予算は西側の軍隊に比べて著しく少ないとされる。2007年の軍事予算は354億米ドルであり、世界の7位で米国の20分の1であった。このため、軍事予算の70%も占める人件費ですら絶対額は少なく、将軍クラスですら500米ドル/月、一般の徴兵された兵士は3-5米ドル/月となっている[8]。このような待遇では高い職業意識を維持することは困難となっている。また、徴兵制度を志願兵による契約制度にするには、給与と住宅の改善だけでも、どれだけ少なく見積もっても2倍の国防予算が必要になり、このことが契約制度への移行を大きく制限している。
[編集] いじめ
隊内で新兵に対するいじめ(ДеДoвщина)が激しく、脱走の大きな原因となっている。公式には2002年前半期だけで2,265名の脱走者が出たとされるが、ロシア兵士の母の会ではその10倍としている。2005年の公式な数字ではいじめによる死者は16人とされ、自殺者が276人、事故死者が同じく276人とされた。ロシアではこの数字に疑問の声が出た[出典 4]。2004年前半期のロシア兵の死者数は500人以上に達していた[出典 1]。
[編集] 犯罪
ロシア軍の高級幹部から末端の兵に至るまで、あまりの低収入を補うには犯罪、又は犯罪と同等の事を行なうしか道はなくなる。兵士を労働力として民間に貸し出して将校らが利益を得る例はましな方で、兵器や食料の横流し、新兵から脅し取るなどが日常的に行なわれている[出典 4]。1993年に起きたロシア太平洋艦隊で栄養失調で新兵4人が死亡した事件から久しいが、根本的な改善は行なわれていない。2004年前半期だけで5億ルーブルが国防費から犯罪によって不正使用されているといわれる[9]
ソ連崩壊後のエリツィン大統領時代には、国家予算が破綻寸前もしくは破綻していたため、議会が承認した国防費は支出など行なえる状況には無かったが、公式の数値上は米国に次ぐ世界第2位の軍事大国であった。この時期には、国防費の名目上の支出と実際の支払いに大きな差異があって当然となり、予算を管理・執行する立場の軍人や官僚にとっては、不正に関与する土壌となり、いまでもその「習慣」が続いていると2008年9月の大統領府による調査報告書は指摘している[出典 1]。
[編集] 注記
- ^ 2000年-2007年の8年間でGDPは約2,000億米ドルから1兆2,000億米ドルへと6倍の成長を遂げた。
- ^ 「NHKスペシャル 揺れる大国プーチンのロシア」2009年3月23日午後10時放送「プーチンの子どもたち」(日本放送協会製作)
- ^ ロシアの合計特殊出生率は2005年時点で1.34人であった。
- ^ ロシアは第二次世界大戦時にドイツ軍によって国内西域を侵略された経験から、広大で起伏に乏しい国土を防衛するには敵の侵攻を防ぎ得る厚い防衛線を早期に構築できる多数の動員可能な兵力規模が必須であるとする観念がある。
- ^ ロシア科学アカデミーの世界経済国際関係研究所安全保障センター長のアレクセイ・アルバートフ前下院議員は、100万人規模にはこだわる必要はなく、まず80万人規模に減らした後、科学技術の知識を備え高度な訓練を受けた、55-60万人の精鋭の契約将兵で構成されるべきであるとしている。
- ^ プーチン首相とイワノフ元国防大臣、そして彼らの息子達2人は、すべてが大学での軍事教練を選んで兵役を逃れた。
- ^ 徴兵忌避率はロシア全体で90.5%、大都市部では97%にのぼる。
- ^ 2006年の段階では、陸軍中尉で150米ドル/月という情報もある。(軍事研究2009年1月号)
- ^ チェチェンの反政府組織が使用する武器の大半が、ロシア連邦軍やロシア内務省治安部隊から不正に横流しされたものであり、アイルランド共和軍(IRA)やタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)といった武装闘争組織にも同様に流れているいわれる。例えばAK-74自動小銃を1丁、売値600米ドルで横流しすると、仲介手数料分の100-200米ドルを引いても400-500米ドルという中尉や大尉クラスの3ヵ月分の給与に相当する利益が得られる構図が出来ているとされる。他の先進国から特に脅威とされているのは、2002年の段階でもロシア製の肩撃ち式対空ミサイル(MANPADS)が数万台と云う規模で行方不明になっているという事実である。ロシア国内での犯罪の15%がロシア連邦軍で行なわれているという。また、軍隊内部だけでなく、ロシアの兵器産業で製造される兵器そのものが非合法なルートで販売されているという点も注目されている。(軍事研究2009年1月号)
[編集] 出典
- ^ い ろ は に 江畑謙介著 『ロシア軍・国防省改革の現状』 「軍事研究2009年1月号」 (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー 2009年1月1発行
- ^ い ろ 塩原俊彦 著「ロシアの軍需産業 軍事大国はどこへ行くか」
- ^ (asahi.com 2008年12月8日の記事)
- ^ い ろ は 木村汎、名越健朗、布施裕之共著 『「新冷戦」の序曲か』 北星堂書店 2008年12月16日初版第1刷発行 ISBN 9784590012452
[編集] 関連項目
- ロシア国内軍(ロシア内務省軍)
- ロシア空挺軍・ソ連空挺軍
- ロシア海軍・ソ連海軍・ロシア帝国海軍
- 親衛隊 (ロシア軍・ソ連軍・独立国家共同体)
- ロシア帝国軍
- ロシア帝国陸軍
- ロシア帝国空軍
- 赤軍
- ソビエト連邦軍
- 軍服 (ロシア・ソ連)
[編集] 外部リンク
- ロシア連邦国防省公式サイト(ロシア語)
- クラスナヤ・ズヴェズダ(ロシア語、ロシア連邦軍教育業務総局所轄の軍機関紙)
- 「ヴォエンインフォルム」通信社(ロシア語、国防省情報・社会関係局所轄の通信社)
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最終更新 2009年10月25日 (日) 04:30 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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