ロールス・ロイス・シルヴァーセラフ

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ロールス・ロイス・シルヴァーセラフ (Rolls-Royce SILVER SERAPH) は、イギリスの自動車メーカー、ロールス・ロイス・モーター・カーズ社がロールス・ロイスブランドで展開する高級車である。1998年から2003年まで販売された。同じプラットフォームからの派生車としてロングタイプ(リムジン)の他に、多数のバリエーションが存在する。

目次

[編集] 概要

  • '90年代の世界的な経済悪化で、これまで純粋なイギリス民族による製造車輌メーカーとして誇り高く孤高の存在を示していた、ロールスロイスは激動の時代を迎えた。他の英国自動車メーカー同様に、ついに会社そのものが、自動車業界の合従連衡の渦中へ身を投じる事となった。シルバーセラフ発表の前後に親会社であるヴィッカーズは、ロールス社を売りに出す事を決定し、世界の大手自動車メーカー各社が名乗りを挙げた。最終的に、VWBMWで熾烈な買収合戦が開始された。
  • 1998年6月にはVWがBMWを上回る買収額を提示し、ヴィッカーズと契約したものの、7月末にVWはロールス・ロイスの生産・販売権をBMWに渡した。理由として『RR』のエンブレムと名前の商標権はヴィッカーズにはなく、ロールス・ロイス plc(1971年の経営破綻・一時国有化に伴い航空機エンジン生産部門を分割した会社)が所有権を持っており、VWにして見れば「ロールス社を購入したら、ブランド(エンブレム)は別売りで、商標はBMWに販売されていた。」という状況であり、英国流儀の狡猾なビジネス手法は経済界を驚かせた。この時点での結果として、VWは約1000億円で旧式のロールス生産施設のクルー工場と、『ベントレー』のブランドを購入しただけとなり、BMWは約94億円で『ロールス・ロイス』のエンブレム(商標権)を入手した。
  • あまりの結果に、当然のように各社で激しい交渉があり、裁判での決着も検討されたが、その後3社(VW、BMW、ロールス・ロイスPLC)で下記の協定が結ばれた。
    • 2002年まではVWが、ロールス・ロイスの生産・販売を行い、従来の販売網が継続された。(エンジンはBMWが製造し供給)問題の商標権は、販売期間中はBMWからVWに貸し出され、同年末にはVWは従来までのロールス・ロイスのラインナップの製造・販売は中止。(その後もベントレーはVW傘下で継続し製造・販売する。)
    • 2003年からはBMWが、英国グッドウッドに新工場を立ち上げて、新しいロールス・ロイスの全モデルの生産・販売を行う。問題の商標権は名実共に全て2003年からBMW傘下となる。
  • こうして紆余曲折を得て混沌とした、再編劇は終劇を迎えた。『ロールス・ロイス』のブランドはBMWに、『ベントレー』のブランドはVWの手に落ちて袂を分かれ、クラフトマンシップ溢れるドイツ系企業の傘下となった。この出来事によって、栄えある英国民族資本系の自動車メーカーは全て消滅(一部のバックヤードメーカー除く)してしまい、ロールス・ロイス・モーター・カーズ社の社長グレアム・モリスは、この問題解決の2日後辞職した。なお、1996年の全てのロールス/ベントレーの製造・販売台数は僅か約1700台であった。

[編集] モデル別解説

[編集] シルバーセラフ(1998~2003年)

  • 1998年5月に、従来のシルヴァースピリットに代わり、シルヴァーセラフ(セラフ=熾天使、光、情熱、純潔の意味でもある、最高位の天使にあたる名称)を与えられ、18年ぶりに新型が発売された。ハンドスプレーとロボット塗装でラッカー仕上げされた外装は角がとれて曲面になり、ロールス伝統のエレガントで流麗なスタイルに改められた。伝統の威風堂々のパルテノングリルを備え全長は約110mm、車幅は約40mm、全高も約30mm広がり大型化した。Cd値は0.38と従来に比べると空力面も進化した新ボディとなっている。CADによる設計で、従来の英国車特有の柔らかい車体剛性は約65%も向上し、前後重量配分も50:50となった。ボンネット、ドア、トランクが従来のアルミからスチール製に変更されたが、車重は約160kg程軽量化に成功している。前モデルまでは、車体は社外のコーチワークで全てハンドメイド製造されていたが、自社の英国クルー工場で一部分をロボット製造工程となった(自動化率は全体の約5%程度)。
  • 機関については、合併吸収劇のはるか以前に既にBMW援助の元で「P3000」のコードネームで新型機シルヴァーセラフ開発中の1994年12月には、BMW製V12気筒エンジン供給の合意が成立しており、ついにロールス自社製のV8気筒OHVエンジンは姿を消して、新しいエンジンが搭載された。5390ccのV12SOHC24バルブを縦置きFRで搭載し、最高出力は326PS/5000rpm、最大トルク50.2kgm/3900rpmで、ZF製5速コラムオートマチックの組み合わせで、0→100km/hは7.0秒で加速し、最高速度は225km/hに達する。サスペンションは前後ダブルウイッシュボーン/コイルの組み合わせに電子制御可変ダンパー車高自動調整仕様でスタビライザー付き。従来の車重に対してフェード気味の弱いブレーキも強化され、ABS付きの油圧式サーボを備えた4輪ベンチレーテッドディスクとなり強化された。電子制御トラクションコントロールもブレーキやアクアプレーニング現象まで対応した仕様が装備された。タイヤも235/65で7J16インチの純正アルミ付き。ステアリングはラックアンドピニオン方式で従来の曖昧でおおらかなフィールが改善されて現代化されクイックになり、従来型の後席重視と比べて、装備品も含めて車両全体的に運転者向けに振った要素が数多くでている。これは本国(英国)では世代交代により、オーナードライバーが増えている事情等に対応した仕様となっている。トランク容量は374Lとなり約24L程積載容量が拡大している。また、ロールス・ロイスは伝統的にエンジン性能を公表してこなかったが、本モデルはドイツ資本のBMW製エンジンということもあって、その伝統を破ってエンジン性能を初めて公表している。
  • ベントレー・アルナージシルヴァーセラフの兄弟車である。エンジンは当初、BMW製V8気筒エンジンをコスワースがツインターボ化した物が搭載されていたが、後にV8気筒OHVターボエンジンに変更された。アルナージにはクーペモデルのブルックランズオープンカータイプのアズールが存在する。
  • 内装は本木目(ウォールナットの周辺にさらに極細木目を埋め込んだテクスチャー)のロールス伝統のインパネを持ち、最新のコンピューター工作機械の採用で、従来は配置が難しい曲面部分にも本木目が付くようになった。エアバッグ内蔵本革ステアリングのセンターパッド両脇にも本木目が配され、ドアの開閉に連動して、乗降しやすいように自動でチルト可動する。各種スイッチやメーターリング、エアコンルーバー等に上質のクロームメッキが施され、高級感を醸し出している。シートは伝統のコノリーレザー(本革)で前席背面にはピクニックテーブルを格納装備。Cピラー内側の左右には伝統の鏡も装備される。これだけの外寸ながら前、後席ともに比較的タイトで高貴な品格ある室内構成となっている。サンルーフはオプションで装着車は約15%程度。
  • 全長5390mm、全幅1930mm、全高1515mm、ホイルベース3115mm、車両重量2300Kg
  • マイナーチェンジでインパネ中央に純正DVDナビが装着され、フロントのウインカーがクリア化された。他小変更され、ドアミラーがメッキからカラード仕様も存在する。
  • 2002年にVW傘下での製造・販売中止。ロールスのこれまでのフルモデルチェンジされた各モデルは1世代あたり、約20年近く長期に渡り、改良されながら製造・販売されるが、このシルヴァーセラフは、上記の時代背景の中、わずか5年と短命で終焉を迎えた。1998~2003年間の製造販売数は不明(車両本体価格3180万円)。2003年に後継車としてBMW傘下による新世代のロールス・ロイス・ファントムが登場した。ベントレー・アルナージは現在もVW傘下で製造・販売中である。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年8月6日 (木) 11:16 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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