ヴィンランド・サガ

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ヴィンランド・サガ』(VINLAND SAGA)は、幸村誠による日本漫画作品。2009年9月現在8巻。

目次

[編集] 概要

11世紀初頭の北ヨーロッパ及びその周辺を舞台に繰り広げられる、当時世界を席巻していたヴァイキングたちの生き様を描いた歴史漫画である。

2005年4月より『週刊少年マガジン』(講談社)で連載が始まったが、週刊連載に執筆が追いつかず、2005年10月に同誌での連載を終了。同年12月より『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載を再開し、現在に至る。

なお単行本は「マガジン版」の1・2巻が出されたあと、「アフタヌーン版」に装いを改めて1巻から再版されている。

また、西本英雄によるスピンオフ作品として「元祖ユルヴァちゃん」がある。

[編集] あらすじ


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


主人公の少年・トルフィンは、かつてデンマークに拠点を構えるアシェラッドの兵団に襲撃され捕らえらた。その時に父親を眼前で、アシェラッドによって殺された彼は、アシェラッド兵団の中で成長していくことになり、アシェラッドとの決闘を見返りに、アシェラッド兵団と共に戦場を渡り歩くようになる。武器は父・トールズの形見の短剣、防具は身に付けない。彼は超人的な身のこなしで敵の攻撃を避け、2本の短剣を巧みに操って敵の急所を切り裂き、これを倒す。いつの間にか、彼は、寡黙でプライドが高く、他人に気を許さない青年となっていた。

子供の頃の彼はアイスランドの小さな村に住む、やんちゃで心優しい男の子だった。しかし、眼前で父を殺されたことで、彼の性格は大きく変わってしまった。トルフィンがアシェラッド兵団に属する理由はただひとつ。父・トールズを罠にはめて殺したアシェラッドを殺し、父の仇をとること。ゆえに彼がアシェラッドに要求する『褒美』は、常に『アシェラッドと決闘する権利』である。その『褒美』のためにトルフィンは日々戦う。最も憎むべき存在であるアシェラッドの命ずるがままに――。そして、彼はもうひとつの『渇望』を抱いている。

豊穣な大地で奴隷もいない『ヴィンランド』。父が生きていた頃、レイフ・エリクソンが幼い自分たちに語っていた世界……トルフィンは常にその世界を渇望してやまない。時はイングランド侵攻の真っ只中。トルフィンはこれからの戦いで何を得るのか? 父の敵は討てるのか? アシェラッドはなぜ、トルフィンを殺さずに自分のもとに置いているのか? そして……トルフィンは『ヴィンランド』を見つけられるのか? これは、ひとりの『戦士』の『物語(サガ)』――である。

[編集] 舞台背景・主な勢力

イングランド王国
アングロ・サクソン人主体の勢力だが、デーン人移民虐殺を機に侵攻して来たデーン軍に敗北を重ね、王は海外に亡命。存亡の危機にある。
デーン軍
デンマーク王スヴェンに率いられ、イングランドに侵攻してきた現デンマークを中心としたデーン人の連合勢力。イングランド北東部を占領、デーン人の領土(デーンロー)としている。
ヨーム戦士団
スヴェン王の信望厚いフローキの率いるデーン軍の精強兵団。かつて、主人公トルフィンの父トールズや、トルケルも所属していた。
トルケル軍
戦士トルケルに率いられた百戦錬磨のデーン人戦士団。兵力500名。一度イングランド側に寝返ったが、クヌート王子の隷下になる形でデーン側に帰順した。イングランド側に立ってのロンドンの戦いでは、デーン軍の総攻撃を撃退した上、押さえに残されたクヌート王子の包囲軍4000を強襲しこれを壊滅させている。
アシェラッド兵団
首領アシェラッド率いるユトランドに本拠地を置くデーン人戦士団。兵力100、軍船3艘。各地を略奪したり、戦に傭兵として加わったりして富を得ていた。約10年前、フローキにトールズ暗殺を依頼され、実行した折にトルフィンを拾う。ロンドンの戦いに敗れたクヌート王子を護衛しての逃亡行において、トルケル軍に包囲殲滅され、アシェラッド、トルフィンら数名の生存者を残して壊滅する。
ウェールズ小王国群
イングランド西部に隣接するウェールズ地方の諸王国。多数の王国に分かれ、個々の王国の力はイングランド王国やデーン軍に遙かに及ばないが、辺境にあってアングロ・サクソン人のイングランド移住以前のローマ時代の伝統を守っており、イングランド王国にもデーン軍にも与していない。モルガンクーグ王国など一部の国にはアシェラッドの素性を知る者がおり、アシェラッドと個人的な協力関係を持っている。

[編集] 主な登場人物

クヌートなど歴史上の実在の人物が多数登場するが、本作はあくまで史実をもとにしたフィクションであり、いずれの登場人物にも大幅なアレンジが加えられている。

トルフィン
物語の主人公。本名、トルフィン・(カルルセヴニ)・トールズソン。アシェラッド兵団に属する戦士階級(ヤルル)の若者で、後に『侠気のトルフィン(トルフィン・カルルセヴニ)』とあだ名される。金髪で茶色の瞳。長めの髪はいつもボサボサ、身につける衣服も小汚いことが多い。2本の短剣(一本は父親、トールズの形見である)を武器としている。兵団の中で長く育ったので、極めて無愛想、口も悪く、事あるごとに人を愚弄する。しかし人の情が解らないほど非人間的なわけではなく、他人の流す血に歓喜している訳でもない。戦いで得られるアシェラッドとの決闘の権利と、ヴィンランドの幻だけが心の拠り所であり、関心事である。未だ精神的な幼さが垣間見え、安い挑発にもすぐにカッとなり周囲が見えなくなるため、アシェラッドに「悪い癖」と指摘されている。
戦士としての実力は高く、アシェラッドの身柄を賭けたトルケルとの決闘では真正面からトルケルを追い詰める程だが、前述のようなすぐカッとなる性格のために単純な挑発にノセられて劣勢になることもある。トールズの辿り着いた「本当の戦士」とは何なのかは未だわかっていない。
アシェラッドはもちろん、彼の率いるアシェラッド兵団の面々はもともと敵であるため、馴れ合うことなく常に距離を置こうとする。しかし、クヌートの身辺保護を任されてからは、少しずつだが口数は増えているようである。
アシェラッド兵団の壊滅、アシェラッドの死により目的を失い、スヴェン王殺害に連座して奴隷身分に落とされた。
ソルフィン・カールセフニ・トールズソン(西暦970年 - ?)がモデル。
アシェラッド
手下の海賊を率いて各地を荒らしまわる、ユトランド豪族の血を引くヴァイキングの首領。後にデンマーク国王スヴェンの次男クヌートに仕える。飄々とした人物で、手腕は冷酷非情、常に先を読みその予測が外れることはクヌート護衛の失敗に至るまでは全く無かったとまで仲間内に言わしめるほど。人の才覚や性格を見抜き操る術にも長ける。短髪であご髭をたくわえ、常にローマ風の一枚プレートの胴鎧を身につけている。また、スヴェン王が主催した宴席に参加した時はいつもの胴鎧を着用したまま参加する事ができなかったためかローマ風のトーガのようなものを身にまとって出席していた。トルフィンには父の仇として命を狙われながらも、彼を手下として使いこなしていた。
実はデーン人豪族の父と、ウェールズから略取された奴隷の母の間に生まれた混血児である。さらに、母親はアーサー王のモデルとされるアルトリウスの子孫であり、アシェラッドはその最後の末裔である。彼のアイデンティティは母親の影響から、デーン人ではなく母方のウェールズにあり、末期の母をウェールズの故郷に連れていった時から青年期をウェールズで過ごした。
デーン人の兵団を率いながら、暴力のままに略奪を繰り返すヴァイキングを嫌い、ブリタニアを滅ぼしたアングロ・サクソン人にも非情である。デーン人への嫌悪感情は奴隷の子としての不幸な生い立ちに起因し、奴隷の母を家畜のごとく扱った父への憎悪からであった。父に才覚を見出され、2年間館で生活しデーン人豪族としてとしての地位を確保する一方、その際父の油断を見て暗殺し母の復讐と遺産獲得を果たす。この時自身への嫌疑をそらすため、兄に濡れ衣を着せるやり方は後のスヴェン王暗殺計画で踏襲している。
その意図は彼の常に身に付けているローマ風胴鎧や、誓いにも現れており、通常の誓いはゲルマン神話の主神であるオーディンに誓う一方、トルフィンからの決闘を受け入れる際やトールズとの約定を確認するなど真に守る誓いではアルトリウス(アーサー王)の名に誓っており、幼少時代に母からアヴァロンからの救世主・理想的君主として聞かされたアルトリウス公への崇敬がうかがえる。
一見して何物にもとらわれないアシェラッドだが心底では、母国ウェールズを守り、“真の王”アルトリウス公のような偉大な主に仕える、という願いを抱いており、それに関することになると単純な利害で行動できなくなる面を持つ。そのために、無理を通して自らの兵団にクヌート王子の救出を荷わせ、兵団は壊滅することとなる。兵団壊滅後は覚醒したクヌート王子に仕えるに足る君主の資質を見出し、彼をデンマーク王とするために忠誠を誓い、料理を作るなどの惰弱さ故にスヴェン王に疎まれるクヌート王子を支えていく。ついには、ウエールズ侵攻を号したスヴェン王を自ら斬殺した上でクヌート王子に討たれることで、ウェールズ侵攻阻止とクヌート戴冠への道を開くこととなった。
名はアシェラッド・ウォラフソンで通しているが、「アシェラッド」は『灰まみれ』という仇名である。父ウォラフは本妻が産んだ兄たちにだけ名を与え、奴隷に産ませたアシェラッドには名前を与えなかったのである。最後の瞬間、母に与えられた真の名は『ルキウス・アルトリウス・カストゥス』だと宣言しているが、それが息子を伝説の英雄に重ねた母の言った世迷言だったのか、そうなる以前に彼に与えていた『真の名前』だったのか、それともイングランドの真の王を名乗るにあたってアルトリウス公以外の人物はいないと思ってそうしたのか…今となっては確かめる術がない。
ノルウェーなどの伝承に良く登場するアスケラーデン(灰の子)がモデルなのではないかと思われる[1]
ビョルン
アシェラッド兵団の一員(事実上の副官)。アシェラッドの信任篤い片腕で、十数年間ともに戦ってきた傭兵団一の古参であるが、アシェラッドの過去に関しては何も知らない。殺しを好むがゆえに戦う、戦士としての矜持(プライド)が高い男。「狂戦士のキノコ」と呼ばれるを服用して理性から解き放たれた狂戦士になる。
兵団の反乱の際にもアシェラッドへの忠義を保ち、クヌート王子を保護して逃走。追っ手を退けるために狂戦士化し大半を殺害するも、アトリに脇腹を刺された傷が内臓に達する。自らの死を悟った彼は尊敬するアシェラッドの手で死ぬことを選び、彼が底意ではデーン人を嫌悪していたことを咎め、彼との友情を確認して果てた。なお、「ビョルン」は古ノルド語で「熊」の意(→ビヨルン)で、当時のヴァイキングに広く見られた名前である(現代アイスランドでも広く見られる名前でもある)。
トルグリム
アシェラッド兵団の一員。弟アトリとの巧みなコンビネーション戦法を誇る。打算的な男で、常に欲得で動く傾向がある。
トルケル軍の脅威を前にしてアシェラッドを見限り、兵団を扇動して反乱を起こす。クヌートを手土産に寝返ろうとするが受け入れられず、殺る気満々のトルケルと対峙した恐怖のあまり精神に異常を来し、幼児退行してしまった。
アトリ
トルグリムの弟にして相棒。兄に比べると性格の甘さが目立つ。
兄のアシェラッドへの叛乱に際し、クヌートを連れて逃げるビョルンたちを追うが、最初にトルフィンの蹴りを食らって昏倒したため、狂化したビョルンと戦わずに済み、ビョルンが正気に戻った隙に致命傷を負わせた。
実際にはアシェラッドからヴァイキングに似合わないと評される真人間で、反乱失敗後にアシェラッドのもとに復帰するも、裏切った事とビョルンの死の原因を作った自責の念から、幼児退行したトルグリムを連れて故郷に帰る。
アシェラッド兵団の一員。本名不明。優れた聴覚を持ち、索敵や早期警戒を担当していた。
アシェラッド兵団殲滅の折に戦死し、生首を弄ばれる。
フローキ
トールズの元同僚。ヨーム戦士団に属し、現在はスヴェン王(とおそらくその長兄ハロルドの一派)に仕えている。一見強面で厳格な軍人肌だが、実際は嫉妬深く謀略家で、我欲でアシェラッドにトールズを暗殺させ、クヌート帰還後は、クヌートを葬る為に奸計を張り巡らせて、アシェラッドなどとも対立する。
トルケル
「のっぽのトルケル」と呼ばれる、戦の大好きなデーン人の武将。ヨーム戦士団首領でトルフィンの母ヘルガの父シグヴァルディの弟であり、トルフィンの大叔父にあたる人物。齢50を超えながらもその巨躯から繰り出される怪力は健在で、常人を遥かに超える強さを持った、トールズを除けば物語中最強の怪物である。
腕っ節の強さ同様に『戦士』というもののあり方への矜持が強く、戦乙女(ヴァルキリー)ヴァルハラへ導かれることを願っており、良き戦いを求めるためには敵に寝返ることも厭わない。逆に、命惜しさに寝返って来た者は容赦なく殺戮する極めて古風なノルマン戦士。一方で信義に厚い気さくな性格であり、戦士としての圧倒的実力とノルマン戦士らしい信条から、配下の凶暴な戦士たちや、一度は裏切ったデンマーク王国の諸将からも極めて強い人気を得ている。
かつてはヨーム戦士団の4人の大隊長の一人で、同じく大隊長であり自分より強い唯一の戦士であるトールズに強い友情と敬意を抱いていた。戦死したと思われていたトールズと再会し歓喜するも、その脱走計画を知り激昂し、処罰のために戦いを挑んだが、敗れて脱走を許す。後々「本当の戦士」とは何かを知ったトールズに付いて行かなかったことを後悔し続けることになる。
戦いを求めてデーン軍からイングランド側に寝返りロンドンの守将となっていたが、ロンドン攻防戦で己の指2本を奪ったトルフィンがトールズの息子であることをいち早く見抜く。ロンドンの戦いでクヌート王子を破った後、一度は捕虜としたクヌートの身柄をめぐって、またトルフィンよりトールズの言う「本当の戦士」の意味を知ることを望んで、クヌートを救出したアシェラッド兵団を追跡。命惜しさにアシェラッドを裏切って投降してきた兵たちをほとんど皆殺しにして兵団を壊滅させた。
アシェラッドの身柄を巡ってトルフィンと決闘を行い、トルフィンに手こずらされながらも最終的には圧倒し追い詰める。だが、アシェラッドにアゴが弱点であると教えられたトルフィンによって、アゴへの一撃を受けて倒れ、自ら敗北を認める。その後現れたクヌートとの対話で、トールズと似た不思議な目をするようになった彼に興味を持ち、クヌートについていくことを決め、デーン軍に復帰。クヌート王子の有力な将となる。
なお、歴史書『アングロサクソン年代記』に彼のモデルと思われる「のっぽのトルケル」という人物が記されている。
アスゲート
トルケル軍団の副将。
トルフィンとの決闘に横槍を入れてトルケルの怒りを買うが、命を賭してトルケルを諫止してみせる。
クヌート
デンマーク王スヴェン(スヴェン1世)の次男。父に伴われてイングランド遠征に赴くも、ラグナル、ヴィリバルドとともにトルケルの捕虜になってしまう。アシェラッドの計略で救出され、アシェラッドの兵団とともにゲインズバラの本営を目指した。
豪奢なの下に隠した顔は、ビョルンが『だろ?』と疑ってしまうほど高貴で美しい。幼少時から宮廷での政争と父からの抑圧にさらされていたため、非常に臆病な性格で、忠臣のラグナル以外に口を開くことがなかったが、同い年であるトルフィンの挑発的な態度に対して激昂し初めてラグナル以外に口を開いた。優しげな性格の要因のひとつはキリスト教信仰にあるとスヴェン王に評されており、『我らの父』『天の父』と呼び実父と重ね合わせて絶対的なまでの愛情を抱いていた。
ラグナルの没後に見せた態度は、トルフィンがトールズを亡くした時に見せたそれとは全く逆だったが、夢枕でのラグナルとの離別、ヴィリバルド神父の諭しによって目を背けてきた現実、父に決して愛されない自分と『天の父』の試練に生涯苛まれる人間の姿に目覚める。王となって神に弄ばれる人々を救済する地上の理想郷を築くべく、実父スヴェン王の打倒を誓い、戦場へと舞い戻りアシェラッドとトルケルの双方を従えた。そのは苦しみながらも生き続ける人間への憂いと、それを救済しようともしない神への怒りをも秘めた静かで恐ろしい輝きを宿すようになる。
モデルは「大王」と呼ばれたクヌーズ1世
ラグナル
クヌートの忠臣であり教育係。トンガリ頭が特徴。家族兄弟ですら敵であり、権力のために常に殺し合いを繰り広げる王宮で病弱なクヌートを守ってきたが、一方その度を超えた過保護な方針から、クヌートはなかなか王としての自覚を持てずにいた。クヌートがトルフィンと口論するまでは、唯一の話し相手であった。
クヌートの「王としての成長」を促すために、アシェラッドの策略で殺害される。その後、クヌートの夢枕に立ち「王としての目覚め」を告げて消えていった。
ヴィリバルド
クヌート王子の教師を務める修道士。極度のアル中で、みすぼらしい風体と異様な言動のため周囲から軽んじられるが、熱烈にを追求する求道者。あまりに真摯な追求ゆえにその結論は「肉親愛は差別に過ぎない」「人は死ぬまで愛を体現できない」「神の愛は疑わしい」というものである。当然アシェラッドの手下たちには理解されなかったが、唯一、敵さえ一人として殺さなかったトールズの話に愛を見出した。
行軍中はボサボサに伸びた髪と髭のために年配に見えたが、実は23才の青年である。酒宴の席では酒神エギル神の生まれ変わりと言われるほどの酒豪ぶりを披露している。
グラティアヌス
ブリテン島南西部にあるウェールズの小国のひとつ・モルガンクーグ王国の軍団長(レガートゥス)であり強い権限を持つ。アシェラッドの要請に応えて自ら船団を率いて救援に駆けつけた。『アルトリウスが西の彼方の妖精の島(アヴァロン)から戻り、古(いにしえ)のブリタニアを復興する』という伝説をいまだに信じている。
当時14歳のアシェラッドが病死寸前の母・リディア(アルトリウスの直系の子孫で、『白き女神』グウェンフィヴァルの生まれ変わりと言われた美女)を連れてウェールズ沿岸を訪れたとき、初めて彼に会った。それ以降、彼とは何らかの形で付き合いがあったと思われる。
ハラルド
スヴェン王の長男で、クヌートの兄。
現在、次期デンマーク王の王位継承をめぐる宮廷闘争の渦中におり、クヌートのイングランド遠征はこの問題に大きく関係している。
スヴェン
クヌートの父であるデンマーク王。イングランド遠征を主導し、現在はデーン人支配地域(デーンロー)に滞在してヨークを拠点として整備しつつある。かつて王国を憂いて父から王位を簒奪したが、自身も王位のもたらす権力の保持と拡大に取り憑かれ、すでに濃い疲労を見せている。
王国の権勢を保つため、王位継承問題の原因にしかならないと見たひ弱なクヌートを戦死させようと企てていた。しかし意に反してクヌートはスヴェンの若い頃を思わせる程に覚醒してしまい、今度はクヌートによる王位簒奪を警戒し葬り去ろうとしたがアシェラッドに先手を打たれてしまう。アシェラッドがウェールズを大事に思っている事に気づきウェールズかクヌートか選ぶように囁くが、その策略が裏目に出てアシェラッドに討たれてしまう。
グンナル
ラグナルの弟。ラグナルの命令を受け、クヌートの亡命先を確保していたが、クヌートはスヴェン王と敵対する道を選んだため亡命を断る。
クヌート側として働いているが、兄ラグナルが死亡したという知らせに動揺した隙を突かれたらしく、スヴェン王側に取り込まれる。クヌートの情報をスヴェン王に流す間諜を勤めるが、アシェラッドには見抜かれ、逆に泳がされている。

[編集] 幼少篇の登場人物

トールズ
本名、トールズ・スノーレソン。トルフィンの父であり、トルフィンはその仇を討つことを最大の目標としている。さらに、トルフィンにとって理想的人物として強い影響を与えている。人徳にあふれた人柄であり、自身の損得を考えずに常に他者のことを慮っていた。
だが裏腹にその半生は、ヨーム戦士団の4人の大隊長の一人で、『ヨームの戦鬼(トロル)』と呼ばれた最強の、そして冷酷な戦士だった。だが長女ユルヴァの誕生や妻ヘルガによって戦場の非情と不毛に倦み、「本当の戦士」とは何かを見出し、戦士としての自分を放棄する事を決意する。ノルウェー沖の海戦で溺死を装ってヘルガとユルヴァと共に脱走し、アイスランドの小村へと逃れ、新たに産まれた長男トルフィンや村人と共に、戦とは無縁の平和な生活を十年以上送っていた。
だが彼の生存はヨーム首脳部に知られており、デンマークのイングランド侵攻戦のため、村を人質とした脅迫まがいの出征要請に応じ、再び戦場へ向かう決意をする。だが出征要請におとずれた戦士団小隊長フローキはトールズに私怨を抱いており、密かにアシェラッド傭兵団にトールズの暗殺を依頼していた。フェロー諸島でアシェラッド兵団の罠に落ちたトールズは、アシェラッド兵団を圧倒するだけの力を持ちながら、息子トルフィンら仲間達を救い、またアシェラッド兵団の命を奪うことも拒んで、自らの命を差し出した。その様はトルフィンを復讐に生きさせる一方、アシェラッド、トールズの変貌を目の当りにしたトルケル、真の愛を追求するヴィリバルド神父からも認められるものだった。
トルフィン・カールセフニ・トールズソンの父トールド・スノーレソンがモデルである。
ヘルガ
トルフィンの母。本名、ヘルガ・シグヴァルディスドーテル。シグヴァルディの娘にして、トルケルの姪。戦いをやめる決意をしたトールズに同意し、赤子のユルヴァを連れて父の元を離れた。身体がもともと丈夫ではない。性格も内向的で戦士団首領の家系に生まれながら戦を嫌っていた。トールズに対して怒りの感情を見せたのは、生まれたばかりのユルヴァに名前を授けようとしないまま、出陣しようとした時の一度だけだという。(アシェラッドの「少年時代の回想」を見ればわかるように、この時代、生まれた子供に父親が名前を付けることは「嫡子」として認めるという意味があり、そのためではないかと想像される)
レイフの話では本編現在、体調が悪化しており、起きたり寝込んだりを繰り返しているらしい。
ユルヴァ
トルフィンの姉。本名、ユルヴァ・トールズスドーテル。母親似の美貌は村の青年達の心を惹いているが、性格は勝ち気である。また金銭に執着しない父親に対しては現実的な価値観を持っている。
トールズの死後、男に混じって捕鯨に行ったり、寝る間を惜しんで機織に専念したりと、男手を失った家庭を必死に支えようと懸命に働く毎日を送る。しかし、それは父の死と消息不明の弟のことを生活の中で意識しないようにするためであったが、「もういい」という母の前で初めて号泣した。
レイフの話では本編現在、母親となり3人の子供がいるらしい。夫は不明。
西本英雄によるスピンオフ作品『元祖ユルヴァちゃん』の主人公。
ハーフダン
トルフィンたちの村の隣にある村の主。冷酷なまでに規律を重んじ、秩序は人を鎖につなぐことによって生まれるという信条をもっている。実際に鉄鎖を武器や拷問具として扱うことに長け、法を軽んじる態度には部下にさえ容赦ない制裁を加える。
アーレ
トルフィン一家の隣人で、ユルヴァに惚れているが相手にされていない。村の若者の中でも強い血気を持ち、トールズが出征するとき戦で一旗揚げようと同行した。だがその意気も本物の戦場で通じるものではなく、トールズの死に激昂してアシェラッドに斬りかかるも、一発で殴り倒されてしまう。
モード、マグニ、ハーコン、グリム
アーレと共にトールズの船に乗った、村の若者たち。
ファクシ
幼少時代のトルフィンの仲のいい遊び友達で、戦ごっこの『やられ仲間』だった。
しかしトルフィンが、ヨーム兵団の英雄だった父を意識し強い戦士を目指し始めてからは付いていけなくなってしまった。
レイフ・エリクソン
大西洋を旅する陽気なオジサン。彼の語った旅の話は今もなお、トルフィンに影響を与えている。ちなみに実在する人物であり、ヨーロッパ人としてはじめて北米に到達した人物である。ちなみに、作中ではレイフは髭を生やした壮年の男として描かれているが、史実では、レイフはこの時期まだ20代である。
義理堅い人物で、トールズの恩に報いるためにも行方不明のトルフィンを11年間探し続けていた。後にヨークにてトルフィンと再会、一緒に帰ろうと説得するも、復讐に燃えるトルフィンに一蹴されてしまう。しかしそれでもトルフィンをアイスランドに連れて帰る事を諦めたわけではないようで、奴隷身分に落とされてしまったトルフィンを身受けしようと探して回っている。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


[編集] サブタイトル一覧

1. 北人(ノルマンニ)
2. ここではないどこか
3. 海の果ての果て
4. 解かれ得ぬ鎖
5. 戦鬼(トロル)
特別編 ヴァイキングッ娘(こ)猛将伝ユルヴァちゃん
6. 戦場よりの使者
7. 剣
8. 旅の始まり
9. 絶海の罠
10. 夜の航海
11. 檻
12. 化け物以上
13. 匂い
14. トールズの剣
15. 本当の戦士
16. トールズの死
特別編 取材レポート「オーロラの国へ行ってきました」
17. イングランド-1008年
18. イングランド-1013年
19. ロンドン橋の死闘
20. ラグナロク
21. ヴァルハラ
特別編 はたらくユルヴァちゃん
22. 戦鬼(トロル)の子
23. 援軍
24. 対岸の国
25. ハッタリ
26. アルトリウス
27. 戦士と修道士
28. 夜間襲撃
特別編 西本英雄版 ヴァイキングッ娘(こ)ユルヴァちゃん
29. 父と子
30. 主従の食卓
31. ケダモノの歴史
32. 逃亡兵団
33. 裏切り
34. アヴァロン
35: 両軍接触
36. 戦場のふたり
37. 愛の定義
38. ゆりかごの外
39. 王の目覚め
40. トールズ伝
41. 共闘
42. 裁定
特別編 うろおぼえ う゛ぃんらんど・さが
43. 王子生還
44. 王冠の呪い
45. 最後の友達
46. 二匹の孤狼
47. 英雄不在
48. 再会
49. カルルセヴニ
50. 謀略
51. 誤算
52. 英雄復活
53. ブリタニア王猛(たけ)る
54. END OF THE PROLOGUE
55. 奴隷
56. ケティル農場

[編集] 脚注

  1. ^ 他の者が失敗するところを知恵と胆力で成功する知恵者、と言うキャラクターとして書かれる事が多い。ただしその際障害を取り除くために選ぶ手段は必ずしもフェアなものではない(トロルとの大食い競争に勝つため持っていた皮袋を切り開いて自分の胃袋を切り開いたように見せかけ、トロルにも同じ事をするように薦める、など)。また、大勢の兄弟の中の末っ子として登場することが多い(英語版wikiより)

[編集] 関連書籍

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月28日 (水) 06:48 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【ヴィンランド・サガ】変更履歴

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