一方的行為

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一方的行為(いっぽうてきこうい、: Unilateral Acts: les actes unilatéraux: einseitige Akte)は、単独の法主体あるいは法主体群が、他の法主体の意思とは独立して、特定の法的効果を発生させる旨の意思表示(une manifestation de volonté)であって、法規範がこの意図された法的効果を発生させる場合の行為をいう。このように「一方的行為」とは、通常、「一方的法律行為」(: les actes juridiques unilatéraux: einseitig Rechtsgeschäfte)を指す。これと区別して、そのような法的効果の発生を意図しない、単なる事実行為は、「一方的行動」(: Unilateral Actions/Conducts: les comportements unilatéraux)または「一方的措置」(: Unilateral Measures: les mesures unilatérales)と呼ばれる。

ここでは、分権的性格を有する国際社会における法、すなわち国際法における一方的行為を述べる。

目次

[編集] 国際法上の一方的行為

一般的に、国際法上の一方的(法律)行為には、次の5つがあるとされている。

  • 抗議」(: protest: la protestation: Protest

ある状態、状況、行動を自国が合法と受け入れないことを表明し、自国の法的権利を保持する行為をいう。

  • 承認」(: recognition: la reconnaissance: Anerkennung

ある状態、状況、行動を自国に対抗力があるものとして受け入れる行為をいう。

  • 通告」(: notification: la notification: Notifikation

ある自国の行動や事実を他国に伝え、その他国がそれ以後、その事実について知らなかったと抗弁することをできなくする行為をいう。

  • 約束」(: promise: la promesse: Versprechen

自国が将来の自らの行動について、拘束される意思を表明する行為をいう。国際司法裁判所は、1974年の「核実験事件」判決(本案)において、自国が拘束される明確な意思が公に表明された場合には、その宣言は拘束性を有するとして、一連のフランスの大気圏核実験停止の表明を拘束的と判示した(I.C.J.Reports 1974, p.267, para.43)。

  • 放棄」(: waiver: la renonciation: Verzicht

自国が保有する法的権利をこれ以上行使しないものとして捨てる行為をいう。

[編集] 国際法委員会による法典化作業

国連国際法委員会(International Law Commission; ILC)は、1996年から「国家の一方的行為」に関する慣習法の法典化作業を行ってきたが、委員会では「一方的行為」の定義自体の一致した見解にも至れず、2006年に「指導的原則」(Guiding Principles; les principes directeurs)として文書を作成するにとどまった。「法的義務を創設しうる国家の一方的宣言に適用される指導的原則」(Guiding Principles applicable to unilateral declarations of States capable of creating legal obligations)である。

その第一原則では、「公に拘束される意思を表明する宣言は法的義務を創設する効果を有する。この行為のための条件が充たされているとき、そのような宣言の拘束力は信義誠実に基礎づけられる。関係国はそれゆえ、それら宣言を考慮に入れることができ、信頼することができる。そのような国家は、その義務が遵守されるよう要求することができる」とする。そして、第三原則で、「そのような宣言の法的効果を決定するためには、その内容、それが行われたときの全ての事実的状況、それが起こした反応を考慮する必要がある」とするにとどまっている。

すなわち、「指導的原則」は、一方的宣言が拘束力を有する条件として、内容、状況、反応という条件を列挙しているが、いかにしてそれらが実現すれば拘束力を有するのかという実現手段についてなんら言及しておらず、果たしてこれで、国家が国際社会で行動する際の指針となりうるのか、疑問が呈される。

[編集] 一方的措置の対抗力

山本草二東北大学名誉教授(元国際海洋法裁判所判事)は、国際関係が急激に変化した際、国際法欠缺lacunae)が生じ、その際に行われる国際公益の保護を目的とした緊急の一方的国内措置は、合法・違法を問うことはできずに、正当か不当かを問うしかないとする。そして、そのような一方的国内措置が実効性(les effectivités)を集積したとき、他国に対する対抗力(opposability)を保有するに至り、衡平原則(「実定法規の外にある衡平」; equity praeter legem)に基づき実定国際法を補完する、という理論を提示した。[1]

村瀬信也上智大学教授はこの理論を補完して、国際法規が欠缺している場合に加えて国際法規が不明瞭な場合にも同理論が適用されると述べ、また、事前に話し合いを尽くしたり、他の代替手段を模索する等、信義誠実の原則を尽くすという条件を充たす必要があると主張する。[2]

そのようにして対抗力を保有した一方的措置の例としては、米国通商法スーパー301条の適用(現在は米国自身が適用を放棄している)、1991年湾岸戦争時の多国籍軍の行動、1999年北大西洋条約機構によるコソボ空爆、公海における一方的漁業制限措置(例えば1893年の「ベーリング海オットセイ事件」)などが挙げられている。

この学説は、大きな議論を引き起こし、多大な影響力を持つに至った。今もなお、その当否の論議が行われている。

[編集] 参考文献

  1. ^ 山本草二「一方的国内措置の国際法形成機能」『上智法学論集』32巻2=3号(1991年)47-86頁。
  2. ^ 村瀬信也「国家管轄権の一方的行使と対抗力」同『国際立法』(東信堂、2002年)所収469-489頁。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年9月21日 (月) 07:19 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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