三河弁

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三河弁(みかわべん)は旧三河国(現在の愛知県東部)で使用される日本語の方言である。

目次

[編集] 概要

豊川稲荷の近くにある、三河弁で書かれた看板(愛知県豊川市にて)

三河弁は東海東山方言の一つであるが、さらに西三河東三河では、その語彙・発音などが異なっている。

一般に西三河は「じゃん・だら・りん」、東三河は「のん・ほい・だに」という特有の言い回しで、方言分類できる。東三河方言は遠州弁と共通する言い回しも多い。また、根本的には「いる」ではなく「おる」、否定の助動詞に「ない」ではなく「」を用いる点において西日本方言と共通する。

また、「い」「ど」「だ」「な」「どうして」などは、東京方言や首都圏方言とは異なった型で発音される。

[編集] 語尾

語尾には主に「じゃんだらりん」、「まい」、「だに」が使われる。

[編集] じゃんだらりん

「じゃん」「だら」「りん」の3つの語尾は三河弁を代表する表現と考えられており、まとめて「じゃんだらりん」と言われる。
  • …じゃん
~じゃないか(反問・詰問)、~だよね?(念押しの疑問)。最近では共通語として定着しつつあるが、元は中部地方で使われていた方言であり、それが戦前に横浜に伝わり、さらに1960年代後半以降、東京でも新方言として使われるようになった[1]。中部地方の中でも愛知県三河地方ではいち早く使われ始めた[2]。念押しの疑問で使われる場合には、「~じゃあん」になり、文が続く。文が続かないと、相手に「だから何?」とか「それで何?」などと尋ねられる。反問・詰問で使われる場合は、「じゃんか」、念押しの疑問で使われる場合は、「じゃんね」が使われることもある。
(例)
「俺、今週給食当番じゃんか!」
 (「俺、今週給食当番じゃないか!」)
「湖西市ってやぁ、愛知県との県境じゃあん。だもんで、三河弁が話されとるだよ。」
 (「湖西市ってさぁ、愛知県との県境だよね。だから、三河弁が話されているんだよ。」)
  • …じゃんね
~なんだよね。「俺って~じゃんね(それで……)」「昨日~だったじゃんね(それで……)」というような、次の話の展開に持っていく一方的な説明によく使われる。 暗い内容や、辛いことを話す時には、「……じゃんね~(語尾は少し上げる)」の様に、最後伸ばすことが多い。名古屋に近い方では、疑問の意を含む場合もある。
  • …じゃんな
~なんだよな。
  • …じゃんよ
~じゃないかよ。
  • …だら、…だらあ、…らあ
人に同意を求める際に、疑問文の形で用いることが多い。
「だら」は西三河で、「らあ」は東三河で使われることが多い。
・「だら」は「~でしょ?」と言う意味で、少し強め。若者が使えば、「~だろ?」の様な雰囲気となる。
・「だらあ」は「~でしょう?」という意味になり、やわらかい表現になる。
・自慢する時にも使われる。
・動詞・助動詞・形容詞の後ろに付く場合には、しばしば「だ」を省略する(「これ、欲しい(だ)ら(あ)。」など)。
・形容動詞終止形語尾の「だ」は省略されない(「これ、きれいだら(あ)。」など)。
(例)
「次、お前の番だら?」
 (「次、お前の番だろ?」)
「明日から10月だらあ。」
 (「明日から10月だよねえ。」)
「携帯の電波、入らん(だ)ら?」]
 (「携帯の電波、入らなくない?」)
「これさっきクジで当てただに。いい(だ)らあ。」
 (「これさっきクジで当てたんだ。いいでしょう。」
同意を求める疑問文の用法
だろ/でしょ だろう/でしょう だよね/ですよね
遠州弁・三河弁 だら、ずら だらあ、ずらあ じゃんね
  • ~りん
動詞の連用形に「(り)ん」を付けて軽い命令形を作る。一段動詞、上一段活用、下一段活用には「りん」(場合によっては「ん」のみになる)、五段活用には「ん」が付く(「×行きりん」ではなく「行きん」)。サ行変格活用の「する」にりんをつけると「しりん」になる(人によっては「しん」「せん」「せりん」とも言う)。カ行変格活用の「来る」にりんをつけると、人によっては、「こりん」と言ったり、「きん」と言ったりする。連用形なので、文法的には「きりん」が正しいと思われる(ただし一般にはあまり「来りん」は使われず「おいでん」が使われることが多い)。これは年代によって使われかたが異なる。名古屋弁の「連用形+やあ」と成り立ちは異なるが、用法は似ている。
(例)
「食べ(り)ん。」
 (「食べなよ。/食べたら?」) (※名古屋弁:「食べやあ。」)
り(ん)の用法
五段活用 上一段活用 下一段活用 サ行変格活用 カ行変格活用
連用形+(り)ん 行きん 見りん 食べりん しりん こりん、きん


[編集] まい

  • ~まい
~しよう。名古屋弁の「~まい」と微妙に語形が違う地域がある。
(例)
「行こまい。」(名古屋弁と共通)/「行かまい。」(一部地域や遠州弁)
 (両者とも「行こう。」の意)
「まい」の用法
五段活用 上一段活用 下一段活用 サ行変格活用 カ行変格活用
動詞の未然形+まい(か)※1 行こまい、
行くまいか※2
動詞の未然形
+助動詞「よう」の「う」の省略
+まい(か)
見よまいか、
<見るまいか※2
食べよまい、
食べるまいか※2
しよまい、
するまいか※2
来(こ)まいか、
来るまいか※2
※1「動詞の未然形+助動詞『う』の省略+まい(か)」とも考えられる。
※2「行くまい」、「見るまい」などの「動詞の連体形+まい」は遠州弁の典型的な言い方である。

[編集] 語彙

あ行
あいさ 
【名】間
あげえか 
【連語】(~して)あげようか 「下一段動詞+よう(話者の意志)」の訛形。なお勧誘などを表す時は「え」でなく「まい」を付ける。
あっつい 
【形】暑い、熱い
あばける 
【動下一】暴れる 類例:「壊れる」→「壊ける」
あんきだ 
【形動】安心だ、気が楽だ
い 
【格助詞】に、へ 「どこいしまっただやあ」
いいて 
【連語】いいよ、いいから、いいってば
いかん/あかへん  
【連語】1. だめだ、いけない 2. 行かない 「あいつはいかん奴だ」(あいつはだめなやつだ)、「君はいかんの?」(君はいかないのか?) 語尾を上げ疑問調に言えば単独で「行かないの?」の意になる。「(上げ調子で)行かん?」(行かないのですか?)など。 なお名古屋弁のように「い」が消失することはあまりない。(三河弁:「行かにゃいかん」→名古屋弁:「行かにゃかん」「行かなかん」)
いざる 
【動四】ずれる、移動する 派生語:いざらかす(ずらす)
いしな(石な) 
【名】石
いごく/いのく 
【動四】動く
いただきました
ごちそうさまでした
いってきました
ただいま
いつまいでも/いつまえでも 
【連語】いつまで(で)も、いつまでたっても 批判的な発言中に用いることが多い。
いやったい 
【形】嫌だ、恥ずかしい、みっともない、失礼だ
いらんこと 
【連語】余計な事
えばる 
【動四】威張る
えらい 
【形】疲れた、きつい、大変だ、(程度が)甚だしい
おいでる 
【動下一】いらっしゃる
おいでん 
【連語】来てください、来てみたら (「おいでなさい」から転じて。動詞「来る」に「りん」を付けて「来(こ)りん」とも。) 「早くおいでん(よ)」
おいなあ 
【連語】いらっしゃい (「おいでん」と同じ意味だが、若い人はあまり馴染みがない。)
おうし/おんし/おし 
【名】あなた (「お主」から変化したもの)
おくれん 
【連語】ちょうだい、ください 「動詞+て」に続くと「電話しとくれん」等となる。
おこれる 
【連語】腹が立つ
おっちょい 
【形】恐い
おっとさん/おっとー 
【名】お父さん
おどける 
【動下一】驚く、怖がる
おま 
【名】お前 「おま、何やっとるだ?」(お前、何やっているんだ?)
か行
かう 
【動四】(鍵を)かける (「買う」と違い「か」にアクセントがある)
かたげる 
【動下一】傾ける
かやす 
【動四】返す、帰す 「返しておく」「帰した」はイ音便が生じて「かやいとく」「かやいた」となる。 
きない(黄ない) 
【形】黄色い、黄色の (【名】きな)
くすがる 
【動四】刺さる 類語:「くすげる」(刺す)
くるう 
【動四】(子供が)騒ぐ、喧嘩する
ぐろ/くろ 
【名】端(はし)、隅(すみ) (土を盛り上げた田畑の境(あぜ)を畔(くろ)と呼び、これが「ぐろ」に訛った。)
げえ 
【終助詞】~なあ (名古屋弁から最近入ったもの。) 「やだげえ」(嫌だなあ)
げな 
【終助詞】~だそうだ
けっこい 
【形】清潔だ、きれいだ、美しい
けった 
【名】自転車 (ケッタマシーンとも。乗る際に地を蹴る(蹴ったくる)ことから。「けっ」と平板に発音。ケッターと語尾を延ばすこともある。)
けやす(消やす) 
【動四】消す
こすい 
【形】ずるい
こぞむ 
【動四】底に溜まる、沈殿する
これっぱか 
【連語】たったこれだけ、これっぽち、これしき
こんきい 
【形】凄く疲れた 「あ~こんきいわ」と言った調子で使われる事が多く、主に昔から渥美半島に住む中年~老人が使い若者にはあまり親しまれていない。
こんでいい 
【連語】1.(頭高型アクセント)来なくて良い 2.(平板型アクセント)これで良い 
さ行
さげる(提げる) 
【動下一】持ち上げる
さばくる 
【動四】(押入れなどを)荒らし散らかす
さぶい 
【形】 寒い
さら 
【接尾辞】~ごと、一緒に 「リンゴは皮さら食べりん」
しょったれ/しょーたれ 
【名】未熟者、半端者(蔑語。しばしば「ど」を冠して言う)
しょんない 
【形】しょうがない
しらすか 
【連語】知りますか 反語表現。類例:「あらすか」(ありますか)
すぐとさい(が) 
【副】すぐ 「すぐとさいが甘えるだ、この子は」 なお「さい」は「際」のことで、他にも「ほうするとさい(が)」(=そうすると)などと用いる。
すーしい 
【形】涼しい
すけない 
【形】少ない
せえ 
【連語】旧来の三河弁では、関西弁のように「(~)しなさい」の意味で使うことは基本的にない。 1. (~)しよう 「今日は休みだで、何せえかやあ」 2. (~)しに 「しい」「せに」と言うことも多い。「君は、何せえ学校へ来とるだかのん?」
せばい 
【形】狭い
ぞん 
【終助詞】ぞ、ぜ、よ
た行
だ 
【終助詞】~のだ、~んだ 「今から学校行くだ」(準体助詞「の」「ん」の省略)
だ/だあ/んだあ 
【終助詞】なあんだ、何だよ (もともと疑問文が尾高型アクセントのため発生する省略形。)
たあけ 
【形動】たわけ、馬鹿 「馬鹿の大足、たあけの小足」などと使う。しばしば「ど」や「くそ」を冠する。
だーだか/だーだー 
【副】(水など、みだりに)大量に
だに/に 
【終助詞】~だよ、~だぞ(東三河のみ)。自分の意見を主張したいときに用いる(動詞の後など、場合に応じ「だ」が抜けるときがある。「酒飲んでばっかおるとさい、体こわすに」)。なおこの終助詞は群馬弁や福島県の浜通り方言でも用いられるが、三河弁の方が確認、念押しの意味合いが強い。
だもんだ(い)/(だ)もんで/(だ)で 
【接続】【接続助詞】だから、~から(原因・理由)
たるい/たるくさい 
【形】つまらない、だるい (今の若者も使うが、「たりい」「たるう」とも言う。)
たんと 
【副】たくさん
ちっさい 
【形】小さい
ちみき(く)る 
【動四】つねる (若者層では「ちみくる」とも。)
ちゃ/ちゃあ 
【感】違う 反論・弁解の場面で用いる。
ちゃっと 
【副】すぐに、大急ぎで
ちゃやがる 
【連語】~してしまいやがる 「皿落といて割っちゃやがった」
ちょ/ちょう 
【副】【感】ちょっと 
ちょーける/おちょける 
【動下一】ふざける
ちょこっと/ちょびっと/ちょっこし 
【副】ほんの少し
ちんちん 
【形動】大変熱い 「鉄板ちんちんだで気をつけりん」
つくねる 
【動下一】(書類などを)整理せず無闇に積んでおく
でれ(または「でら」) 
【副】非常に、とても、すごく (名古屋弁から最近入ったもの。「大えらい(ダイエライ)」を名古屋訛りで発音すると「でぁ~えれぁ(りゃ)~」になる。「でら」は「でぁ~えれぁ(りゃ)~」を表記するとの説も。「大えらい」は昔からある三河弁に翻訳すると「どえらい」が正しい。) 「でれむかつくげえ」(すごく腹が立つなあ) ※ただし、「でれ」「げえ」は名古屋弁から、「むかつく」は東京弁からそれぞれ最近入ったものなので、この例文には伝統的な三河弁は一語も含まれていない。三河弁本来の表現なら「どえらいおこれるわあ」等となる。
ど 
【接頭辞】とても、大変 (関八州の若者言葉の「超(チョー)」が近いか。) 1. 「どでかい」(とても大きい)、2. 「どえらい」(とても凄い、とても疲れる、とても偉いなど複数。「どーらい」と変化することもある)、3. 「どわや」(酷くめちゃくちゃだ)
どいだけ/どんだけ 
【連語】どれだけ、どれほど
どいでだん 
【連語】なぜなの、どうしてなの 若者の間では「なんでだん」の方が一般的。
どさまく 
【副】たくさん
とばかす 
【動四】飛ばす 他にも「燃やす」→「燃やかす」など類例あり。連用形は「とばかいちゃった」のようにイ音便が起きる。
どべ 
【名】びり、最後
とも 田面 
【名】 田、畑
とろくさい 
【形】鈍い、愚かだ 名古屋弁と同じ用法。
な行
なまかわ 
【名】 横着、怠慢 (生半可からの変化か)
なん 
【連語】~なんか、そんなもの 「なん、ただのなまかわだやれ」
なんだん 
【連語】どうしたのか、どうしてだ (若者には馴染みが薄い。ちょっと文句を言うときに使う。「なんだん、まったく!」(なんだよ、まったく)など。特に意味もなく、呼びかけに使うこともあるが、その場合は名古屋弁の「あのよぉ」の用法に近い。名古屋弁の「あのよぉ」は、三河では「あのやぁ」と言う人がいる。)
に 
【連語】【接続助詞】~のに 「の」の省略。「あすこまで行くにやっとかかる」「ちゃっとやりゃあいいに、やらんだな」
にすい 
【形】(動作などが)鈍い
ぬくとまる/ぬくまる 
【動四】お風呂につかり体を温める、暖まる (「【形】ぬくとい」から)
のうなる 
【動四】なくなる
のそい 
【形】のろい、遅い
のん/のお 
【感】【終助詞】ね、ねえ、なあ(東三河のみ)
は行
はあ/はい/はえ 
【副】もう、(こんなに)早く 「はい終わっただか」「まあはえとっくに着いとる頃だぞん」
ばーばー 
【副】とても、たいへん 「あの車、アクセルばーばー(に)噴かいとるわ」
はさがる(挟がる) 
【動四】挟まる
はぜる 
【動下一】破裂する
ひしゃける 
【動下一】潰れる 類語:ひしゃく【動四】(潰す)
びたびた 
【形動】(水などをこぼして)びしょびしょだ
ひとなる 
【動四】生長する、育つ
ひぼ 
【名】ひも
ふちゃる 
【動四】捨てる
ふてる 
【動下一】捨てる
ふんごむ 
【動四】足がぬかるみにはまる
ふんと(う) 
【名】本当 三河では「そうなの」の意味で頻繁に「あ、本当(に)」などと言う。
へぼい 
【形】弱い、劣る (これが転じた「へっぽこ」という蔑語もある)
ほい/ほお 
【感】おい(東三河のみ)
ほいで 
【連語】【接続】1. それで 2. それだから (ともに東三河のみ) 
ほう 
【副】そう、その通り (「そ」が「ほ」に変化しているだけ。指示語。「ほうだら」「ほだら」は「そうだよね」、「ほうじゃん」は「そういう事でしょう」、「ほうかん」は「そうか(ね)」の意味。)
ぼう 
【動四】追う 派生語に「ぼいからかす」(しつこく追う、追い回す)がある。
ほうか(放課) 
【名】授業と授業の間の休み時間。標準語の「放課」は「授業後」などという。「放課」の項を参照。
ほうやあ 
【連語】そういえば(東三河のみ)
ほかる 
【動四】放る、捨てる (ほうかるとも。「ほかっとく」は「放っておく/放置する」の意だが、「捨てる」の意で使われることもある。)
ほせ 
【名】棒、串 (棒状のものを指して呼ぶ。)
ほっか 
【連語】そうか、そうなのか (上述の「ほう」に終助詞「か」つけて「う」が促音便化したもの。納得・同意の意。「ほうか(ん)」とも。「あぁ、ほっか」は「へえ、そうなんだ」の意味。「あほ」に聞こえるので要注意。)
ほや(あ) 
【連語】そりゃ(あ)(東三河のみ)
ほれみ(り)ん/ほらみ(り)ん 
【連語】それ(そら)みなさい
ま行
まあ 
【副】もう 「まあちょっと」「まあ一遍」「まあ要らん」などと使われる。
まっと/まあっと 
【副】もっと 「三河弁特有の語彙なん、まっとよけあるに」
まる 
【動四】(小便を)する
まんだ 
【副】まだ 若者はあまり使用しない傾向がある。
みえる 
【動下一】いらっしゃる
めんた 
【名】雌 (「めんた」と語尾を上げて発音する。)
や行
や/やあ 
【終助詞】~よ、~なあ
や/やあ 
【接続助詞】~ば、~れば 「言やあ(ゆやあ)いいと思っとるだな」
やあ/やい 
【感】おい 「やいやい」と言うと驚きや呆れた様を表す。
や(あ)せん 
【連語】~やしない 「この問題わかやせん(わかりゃせん)」「ほやあんた、ちっとも勉強しやせん(せやせん)でいかんわ」
やぐい 
【形】(造りや出来が)悪い
や(あ)っと 
【副】長時間、長期間 「や」にアクセント。「ようやく」の意味合いはなく単に長いことを表す。
やらあ 
【動四+助動】~(して)やろう (古文の文法「やら+ふ」から転じて。上方(かみがた)では「ヤロー」と発音したのに対し、三河国では「ヤラー」と発音したことに由来すると思われる) 「やってやらあ」又は(詰まって)「やったらあ」(やってやろう) 少々、喧嘩腰(けんかごし)に響くので注意。
やれ 
【終助詞】~ぞ、~ぜ、~よ 強調を表す。「これが本当の三河弁だやれ」「早あやりんやれ」
やれなんだ 
【連語】1.(頭高型アクセント)やれ何だかんだ 2.(平板型アクセント)できなかった
ゆって 
【連語】言って (関八州では「イッテ」、近畿地方ではウ音便で「ユウテ」になるが、中部地方の三河では促音便で「ユッテ」になる。仮名文字にすると同じである「結って」とはアクセントが異なる。)
よか(あ)ない 
【連語】よく(は)ない 「いかん」よりも柔らかい表現。
よけ/ようけ 
【副】たくさん
よばれる 
【動下一】(ご馳走、振る舞いの食事を)頂く
ら行
らんごくな 
【形動】乱雑なさま 「らんごくな部屋だ」
わ行
わ 
【終助詞】よ、ね、な 老若男女問わず文末に付して用いる。 「まあ遅いでぼちぼち帰るわ」
わらかす/わらわかす 
【動四】笑わせる
わらける 
【連語】笑える、こっけいだ
んたい/んとう 
【接尾辞】~たち 「子供んたいは、はい寝かいたげえかやあ」「あんたんとうは、この後どうするだん?」
んで(ね) 
【連語】1.(んで(ね))~しないで(ください)(ね) 2.((ね))~しないから(ね)
んならん 
【連語】~しなければならない (「そろそろ出んならん」等。「にゃ(あ)ならん/にゃいかん」という表現もある)
  • 注、口語文法による動詞の五段活用が【動四】になっているが、これについては下記のを参照。

[編集] 四段活用

標準語では文語文法の四段活用が口語文法では五段活用になるが、三河弁では四段活用になっている。

三河弁の四段活用
未然形 連用形(「ます」に続く) 連用形(「て・た」に続く) 終止形 連体形 仮定形 命令形
ア段 イ段 い(イ音便、カガ行)、っ(促音便、タラワ行)、ん(撥音便、ナバマ行) ウ段 ウ段 エ段 エ段

[編集] 未然形

標準語においての助動詞の「う」ないし「よう」は、三河弁では「あ」ないし「やあ」となっている。この助動詞「あ」ないし「やあ」の前の動詞は未然形であるが、標準語のようにオ段ではなくア段である。したがって、オ段の無い三河弁は五段ではなく四段活用であると言える。 使用例:「これいいで買わあと思う」「今日はどこへ行かあかね」

未然形+助動詞あ(う)
買おう 読もう 書こう
標準語 かお+う よも+う かこ+う
三河弁 かわ+あ よま+あ かか+あ

[編集] 連用形

基本的に標準語と同じである。上方(関西弁)ではウ音便であるが、そこが名古屋弁、三河弁では促音便撥音便となる。三河弁では、イ音便は使う。特にサ行四段動詞+「て」「た」では多くの場合イ音便が生じる(遠州弁や名古屋弁にもみられる特徴。「無くした」「探した」→「無くいた」「探いた」など)。

連用形+て(で)
「買う」の連用形+て 「読む」の連用形+て 「書く」の連用形+て
音便が起きない場合 かい+て よみ+て(清音) かき+て
上方言葉 こう(ウ音便)+て よん(撥音便)+で(濁音) かい(イ音便)+て
名古屋弁、三河弁 かっ(促音便)+て よん(撥音便)+で(濁音) かい(イ音便)+て

下が「ます」ならば、三河弁も標準語と同じくイ段であり、「買います(かい+ます)」「読みます(よみ+ます)」「書きます(かき+ます)」である。

[編集] 可能動詞の誤用・濫用

三河弁圏では、可能動詞(「書ける」など)に無意識に「れ」を挿入して「書けれる」などと言う例が散見される(れ足す言葉)。これは特に否定表現において顕著である(「書けれん」など)。一方、可能動詞のない上一・下一・カ変動詞には本来可能の助動詞「られる」を付けるべきところを、「掛けれる」のようなら抜き言葉が全国的に問題視されるよりも以前から多用されてきた等、可能を表す表現を全て「れる」で済ませようとする傾向がある。

[編集] 鼻濁音の消失

現在の三河弁ではガ行の発音が鼻濁音とならない場合が多い。

[編集] 日本語の他方言との比較

他の方言との比較については日本語の方言の比較表を参照されたい。

[編集] アクセント

西部では東京と同じ中輪式東京アクセントが、東部ではそれとやや異なる外輪式東京アクセントが使用される[3]

この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています

[編集] 三河弁使用地域の詳細

旧三河国全域で使われる語もあるが、西三河東三河で異なる特徴的な言い回しが存在する。

西三河では、東三河の特に豊橋渥美半島などで多用される「のんほい」という言い回しは全く使用されていない。東三河では、「だにー」という語彙が、遠州弁と共通であるが、西三河では全く使用されていない。

尾張徳川家名古屋に入る前には、尾張地方でも、三河弁に近い言語が話されていた。しかし、尾張地方の言語が江戸時代に名古屋城下で形成された狭義の名古屋弁に強く影響され広義の名古屋弁として一括されるまでに至ったのに対し、三河地方ではそれほどの影響を受けなかったため、幕末までには三河と尾張でははっきりした差異が形成された[4]。ただし、旧尾張国でも海運が盛んであった知多半島においては狭義の名古屋弁の影響が幾分弱く、知多弁と呼ばれる方言が使われる。

[編集] 三河弁と標準語

標準語は三河弁から生まれたのだ、と唱える説がある。かつて江戸時代を築いた徳川家康は西三河の岡崎出身であり、彼やその家臣が江戸へ進出しため、江戸では三河弁が持てはやされ、江戸の言葉に強い影響を与えたというのである[5][6]

[編集] 三河弁を使う著名人

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  1. ^ 「呼び名でわかる:東京新方言 各地の言葉が逆流」『毎日新聞』2007年5月8付東京朝刊
  2. ^ 井上史雄『日本語は年速度一キロで動く』講談社新書、2003年、91頁
  3. ^ 金田一春彦監修『新明解日本語アクセント辞典』三省堂、2001年
  4. ^ 芥子川律治『名古屋方言の研究』名古屋泰文堂、1971年、第一章
  5. ^ 徳川宗賢『日本語の世界8 言葉・西と東』中央公論社、1981年、101-102頁
  6. ^ 田中章夫『揺れ動くニホン語』東京堂出版、2007年、168-171頁

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月19日 (木) 15:05 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【三河弁】変更履歴

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