世界自然保護基金
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世界自然保護基金(せかいしぜんほごききん、英:World Wide Fund for Nature、略称WWF)は、世界最大の自然環境保護団体NGO。1986年まではWorld Wildlife Fundとして活動し、略称もここからとられている。(開設者・ピーター・スコット)
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[編集] 概要
1961年にアフリカの野生生物を危機から救うために、自然保護のための資金を集める国際組織としてスイスに設立。各国の環境保護団体と連携しながら、主に希少となって絶滅が心配される野生動物の保護に関する全般的な活動を行っている。
WWFの本部事務局である「WWFインターナショナル」はスイスにあり、各国の事務局は「WWFネットワーク」の一員となっている。ネットワークでも突出した存在なのがEUの政策や活動に影響力を持つ「WWFブリュッセル事務局」と、世界銀行などの国際機構に影響力を持つ「WWFワシントン事務局」である。また、それぞれの国内で独立しているWWFは「世界保護計画」に資金提供をしている。
WWFの職員はフィールドワークで科学的・専門的な知識を収集し、マスメディアや行政・立法関係を代表とする多くの人々への働きかけを主な仕事としている。WWFの2004年度総支出は約470億円で58%が自然保護活動に充てられており、総収入は約526億円で個人による寄付が43%を占めている。
[編集] 日本の支部組織
日本では1968年に東京動物園協会の古賀忠道理事長らを中心としてWFJC(野生生物保護基金日本委員会)が設立され、1971年9月22日にWWFジャパンが発足した。WWFジャパンの2006年4月の職員数は54名で、公務員や銀行員、獣医や薬剤師の資格を持つ人など職歴はさまざまである。
同年のWWFジャパンの活動収入は7億4千万円で個人による寄付が54%である。活動支出は6億7千万円で、自然保護に割り当てられた55%のうち、貴重な生態系を保全する取り組みである“グローバル200”への拠出が21%と最も多くなっている。
[編集] 活動例
[編集] 野生動物保護
野生動物保護はWWFが設立されるきっかけであり、設立以来41年間にわたってどうすれば生物多様性に負担をかけることなく開発を行うことができるかという具体的な例を追求し、持続可能な開発における確かな実績を残してきた。その持続可能な開発を妨げる主な問題として「違法で持続不可能な、あるいは規制されていない野生生物の取引」と「生息域の喪失」がある。WWFはこれらの問題に対し、乱獲防止活動や動植物の保護、そしてそれらが生息する貴重なエコリージョン(生態域)の保全をフィールド活動や政府や企業への働きかけを通して実現している。
[編集] 森林保護
WWFは1962年に最初の森林保護プロジェクトをマダガスカルで展開して以来、世界各地の森林保全に取り組んできた。残されている森を守ることはもちろん、生活のために必要とする木材や紙を人間が森林環境に配慮しながら利用する仕組みづくりに取り組んでいる。その一環として、WWFでは企業や公共団体に対し責任ある林産物の調達を推進し、また、森林環境保全に配慮し、地域社会の利益にもかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材を認証して、このマークが入った製品を買うことで、消費者も世界の森林保全に間接的に関与できる仕組み(FSC森林認証制度)を推奨している。
[編集] 地球温暖化対策
地球温暖化が生物多様性に及ぼす影響は、多くの環境保全活動と大きなかかわりを持つことから、WWFでは現在、温室効果ガスの排出を抑え、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前のレベルに比べて摂氏2度未満に抑えることを目標にした活動を行なっている。このために、WWFの気候変動プログラムでは、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量を大幅に削減する約束を、各国政府と産業界、金融セクター、そして一般市民から引き出すことができるよう、世界各地で活動を展開している。
[編集] WWFにおける問題点
[編集] WWF幹部理事の問題点
WWFの理事会のメンバーには、実業家や多国籍企業の重役や銀行経営者などが多数含まれており、しばし彼らは環境破壊を引き起こしている当事者であることも少なくない[1]。具体的な例として、そのいくつかを以下に示す。WWF設立メンバーの一人であるラッセル・トレインは、ボパール化学工場事故を起こしたユニオンカーバイド社の取締役(当時)でもあったが、その事故に対する雑誌のインタビューで、ユニオンカーバイド社は優れた環境プログラムを有しているとの強弁を行っている[2]。1989年に起きたエクソンバルディーズ号原油流出事故において、WWFアメリカはエクソンに対するボイコットへの参加を見送っている。これは、当時エクソン・ケミカルのユージン・マクブレイヤー社長が、WWFアメリカの理事を務めていたことが、その一因として挙げられている。また、環境分野の名誉称号(comandante dell'ordine dell' Arca D'Oroなど)を受けているWWFインターナショナルの名誉副会長リュック・ホフマンは、1976年当時イタリアでセベソ事故を起こしたICMESA社の幹部でもあった。
WWFはトラ保護キャンペーンなどを行う一方で、WWFの名誉会長エディンバラ公フィリップなどWWF幹部による狩猟行為については見逃している[3]。WWF関係者による欺瞞や違法行為に対してイタリア・アブルッツォ州管区の会計検査院によって指摘が行われており、判決によって賠償等が命じられている。また、WWF設立メンバーの一人であるオランダ王配ベルンハルトは、ロッキード事件においてロッキード社製軍用機購入に対する賄賂を、WWFの資金として企てる用意があったことを明らかにしている[4]。
[編集] 思想的問題点
思想的な問題点としては、WWFと優生学などのイデオロギーとの結びつきが指摘されている。WWF創設メンバーの一人であるジュリアン・ハクスリーは1940年に安楽死協会の理事を務めており、1937年からはイギリス優生学協会の副会長を務め、1969年には人工中絶法改正協会の副会長となっている。WWFを立ち上げた1961年には優生学協会の会長でもあった[5]。当時ハクスリーは、ロックフェラー財団やフォード財団などの著名な個人財団や世界銀行だけでなく、国連および国連の各関連機関が適当な人口管理のための補助金と援助をあたえる強力な武器になるであろうとの認識を示しており[6]、消極的優生学的な方法として人口管理政策を行う機関の必要性を強く主張していた[7]。とくに低所得者の人口増加やスラム街における社会問題となる集団の出産率の高さなどに対して強い懸念を抱いていた[7]。
WWFが野生生物の保護を謳う一方で、人口増加を抑制するための宣伝を精力的に行ってきたのは、このような優生学思想に基づいた人口増加に対する強い懸念[8]や白人至上主義的な人種差別が根底にあるのではとの指摘がなされている[9]。
また、WWFの理事フルコ・プラテージは葬式や棺、埋葬は重大な汚染を引き起こすと主張し、その解決策として人間の死体を絶滅危惧種の猛禽類の餌にすることや、犬や猫のための人肉缶詰を作ることなどを提案している[10]。
[編集] その他
[編集] 団体の方向性
WWFはグリーンピースなど他の環境保護団体と比べ穏健に活動を行っており、むしろ既に述べてあるように森林保護・野生動物保護活動に活動の重点が置かれており、方向性が異なると見ることが出来る。 例えば WWF ドイツ支部 "WWF Deutschland" により5月15日付で発行されたニュースレターでは、コンゴ共和国の森林地帯に生息する Mowane と名付けられたゴリラの危機的な生活環境を紹介し森林保護活動への寄付を募っているし、WWF 日本支部 "WWFジャパン" においても、支部ウェブサイト上では生物多様性条約に関する第9回締約国会議 (COP9) に際し WWF が発行した調査書 『2010 and Beyond: Rising to the Biodiversity Challenge(2010年目標とその先にあるもの:生物多様性保全という課題に向けて)』の報告[11]や石垣島・白保のアオサンゴの分布状況の調査報告[12]を行っている。一方、比較的活動が穏健に見られる理由として、WWF幹部には企業の重役が多数占めており、それら企業に対してのみ甘いだけではないかとの指摘もある[13]。
[編集] 捕鯨問題
WWFは捕鯨問題に関しては扇情的なアピール活動も行っており[14]、実際にはグリーンピースと並ぶ反捕鯨運動の代表的団体である[15]。
[編集] 割り箸に関する取り組み
1989年からWWFは日本の割り箸の大量消費が熱帯雨林を破壊しているとの主張を行うようになった。実際には、国内産の割り箸は端材や背板を利用したものであり、森林保全としての役割も担っている。また中国産の輸入割り箸が輸入木材に占める割合は全体の1%未満であり、抜本的な森林保護には必ずしも結びついてはいない、との指摘がある。
[編集] マグロ資源に関する取り組み
近年では寿司や刺身などの需要の増加に伴いクロマグロが乱獲により絶滅の危機に瀕していると訴え[16]、世界中の小売店に対して地中海をはじめとする世界中のクロマグロの販売停止を呼びかけている。マグロはウナギと同様に人工孵化が難しく、養殖マグロも稚魚を捕えて養畜するものなので、長期的な視野に立つ資源管理が必要だとWWFは訴えている。
[編集] 略称表記に関する経緯
2001年に同じ略称であったプロレス団体のWWF(現WWE)に対して名称の変更を求める訴訟を起こし勝訴した経歴がある。この経緯からWWE関係者やファンからは、ロゴマークからパンダと揶揄される事がある。当然のことながら当団体とWWEの資本・人材関係は現在のところない。
[編集] その他
会員に配られている会報誌の紙は、日本製紙からの提供を受けている。
[編集] 関連項目
- 生きている地球レポート - 世界自然保護基金が発行している環境問題についての報告書
- ジュリアン・ハクスリー(Julian_Huxley)
- 優生学
- ジャパンバッシング
- 捕鯨問題
- 割り箸
- クロマグロ
[編集] 脚注
- ^ Jim Donahue, Multinational Monitor, Vol.11, p10-12(1990)
- ^ La Nuova Ecologica, 9.1990
- ^ 『Il venerdi』, in La Repubblica, 03.10.1996, p25
- ^ John T. Noonan, SugarCo Edizioni, p245(1987)
- ^ Eugenics Society Members List - Ho-Hz.
- ^ Julian S Huxley, Eugenics Review, 54, 123(1962)
- ^ い ろ ジュリアン・ハクスリー 『進化と精神』(新装版) 思索社 1990年 ISBN 4783501807
- ^ リッカルド・カショーリほか 『環境活動家のウソ八百』 洋泉社 2008年8月 ISBN 4862483097
- ^ 梅崎義人 『動物保護運動の虚像―その源流と真の狙い』 成山堂書店 2004年 ISBN 4425980948
- ^ Fulco Pratesi, 『Ecologia domestica』, in La Nuova Ecologia, n.68,11.1989
- ^ 生物多様性条約会議迫る 「2010年」の約束は果たせるか:WWFの活動/WWFジャパン - WWFジャパン
- ^ 石垣島・白保 世界最大級のアオサンゴの実態に迫る:WWFの活動/WWFジャパン - WWFジャパン
- ^ Jim Donahue, Multinational Monitor, Vol.11, p10-12(1990)
- ^ 捕鯨問題をめぐる往復書簡
- ^ 日米捕鯨論争
- ^ WWFが警告!違法漁業が続く地中海クロマグロ漁を禁漁に!:WWFの活動/WWFジャパン
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年10月17日 (土) 01:46 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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