中沢新一
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中沢 新一(なかざわ しんいち、1950年5月28日 - )は 山梨県山梨市出身の思想家、宗教学者、人類学者。
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[編集] 人物
父は市議会議員、共産党員で在野の民俗学者でもある中沢厚。中沢家は曾祖父の徳兵衛が甲府・日下部教会を中心にキリスト教の布教を行いつつ民俗研究を行った山中共古とともに受洗し、自信も民俗研究も行っている。祖父の中沢毅一は徳兵衛とともに受洗した飯島信明の娘を妻とし、同様にキリスト教徒で一高教授を務めた生物学者。叔父にあたる中沢護人は共産党員で活動する一方で民俗研究も行い、父の厚らは護人の影響で共産党員となっている[1]。
また、中沢家との知的交流から民俗学的視点と取り入れた歴史学者の網野善彦は義理の叔父(叔母の夫)。網野善彦と叔母の長男歴史学者の網野徹哉はいとこ。作家の芹沢光治良は親戚にあたる。
[編集] 略歴
東京大学大学院人文科学研究科へ入学後、ネパールに渡りチベット仏教のニンマ(古)派の修行を経験[2]。帰国、後ネパールでの経験を元に1983年『チベットのモーツァルト』(せりか書房)を発表し、いわゆるチベット『死者の書』を紹介した(『三万年の死の教え―チベット『死者の書』の世界』角川書店)[3]。『チベットのモーツァルト』は、同年浅田彰が出した『構造と力-記号論を超えて-』と並んで注目され、ニュー・アカデミズムブームの一翼を担った。
1988年(昭和63)、当時東京大学教養学部教授の職にあった西部邁により、同学部社会科学科助教授に推薦されるも教授会で異例の否決となった。西部は教授会に抗議して辞任。いわゆる東大駒場騒動、中沢事件などと報道されて話題となった。
オウム真理教に宗教学の立場から取り組み、発言をしていたが[4]、地下鉄サリン事件が同教団の組織的犯行であることが発覚するとメディアから批判を受け、地下鉄サリン事件についてのコメントについても批判を浴びた[5]。島田裕巳[6]、苫米地英人[7]などが中沢を批判する著作を発表している。
[編集] 略年譜
- 1969年(昭和44年)山梨県立甲府第一高等学校卒業。
- 1970年(昭和45年)東京大学教養学部理科二類入学。
- 1972年(昭和47年)東京大学文学部宗教学宗教史学科進学。
- 1974年(昭和49年)同大学院人文科学研究科宗教学専攻修士課程進学。
- 1977年(昭和52年)同大学院博士課程進学。
- 1979年(昭和54年)ネパールにおいて、チベット仏教の一派のニンマ派を修行。
- 1982年(昭和57年)同大学院博士課程満期中退。
- 1983年(昭和58年)東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手。
- 1993年(平成5年)中央大学総合政策学部教授、ゾクチェン研究所所長(#外部リンク参照)。
- 2006年(平成18年)多摩美術大学美術学部芸術学科教授・芸術人類学研究所所長。
[編集] 受賞歴
- 1984年(昭和59年)『チベットのモーツァルト』でサントリー学芸賞。[8]
- 1991年(平成3年)第20回ベストドレッサー賞学術・文化部門。
- 1992年(平成4年)『森のバロック』で第44回読売文学賞評論・伝記賞。
- 1996年(平成8年)『哲学の東北』で第4回斎藤緑雨賞。
- 2001年(平成13年)『フィロソフィア・ヤポニカ』で第12回伊藤整文学賞評論部門。
- 2004年(平成16年)『対称性人類学――カイエ・ソバージュV』で第3回小林秀雄賞。
- 2006年(平成18年)『アースダイバー』で第9回桑原武夫学芸賞。
[編集] 著書
- ※版元品切れ(文庫再刊でも)含め記載する。
[編集] 単著
- 1983年『チベットのモーツァルト』せりか書房、講談社学術文庫2003年
- 1985年『雪片曲線論』青土社、中公文庫1988年
- 1986年『野ウサギの走り』思潮社、中公文庫1989年
- 1986年『イコノソフィア 聖画十講』河出書房新社、河出文庫1989年
- 1987年『虹の理論』新潮社、新潮文庫1990年
- 1988年『悪党的思考』平凡社、平凡社ライブラリー1994年
- 1990年『バルセロナ、秘数3』中央公論社、中公文庫1992年
- 1991年『東方的』せりか書房
- 1992年『森のバロック』せりか書房、講談社学術文庫2006年 ※南方熊楠論考、文庫は抄版
- 1992年『幸福の無数の断片』河出文庫 ※文庫のみ
- 1992年『ゲーテの耳』河出書房新社、河出文庫1995年
- 1992年『知天使のぶどう酒』河出書房新社、河出文庫1995年
- 1993年『三万年の死の教え―チベット「死者の書」の世界』角川書店、角川文庫ソフィア1996年
- 1994年 『リアルであること』メタローグ、幻冬舎文庫1997年
- 1994年 『はじまりのレーニン』岩波書店、同時代ライブラリー1998年、岩波現代文庫2005年
- 1995年『哲学の東北』青土社、幻冬舎文庫1998年
- 1996年『純粋な自然の贈与』せりか書房
- 1997年 『ポケットの中の野生』 岩波書店、新潮文庫2004年 ※書き下ろしのゲーム論
- 1999年 『女は存在しない』 せりか書房
- 2001年 『佐久夜』静岡新聞社 小著
- 2001年『フィロソフィア・ヤポニカ』集英社 ※西田幾多郎・田辺元論考
- 2002年『緑の資本論』集英社、ちくま学芸文庫2009年
- 2002年『人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈I〉』講談社選書メチエ
- 2002年『熊から王へ―カイエ・ソバージュ〈II〉』講談社選書メチエ
- 2003年『精霊の王』講談社
- 2003年『愛と経済のロゴス―カイエ・ソバージュ〈III〉』講談社選書メチエ
- 2003年『神の発明 カイエ・ソバージュ〈IV〉』講談社選書メチエ
- 2004年『対称性人類学 カイエ・ソバージュ〈V〉』講談社選書メチエ
- 2004年『僕の叔父さん 網野善彦』集英社新書
- 2005年『アースダイバー』講談社 ※前衛的な東京論
- 2006年『芸術人類学』みすず書房
- 2006年『三位一体モデル TRINITY』 東京糸井重里事務所
- 2007年『ミクロコスモス I〜II』四季社
- 2008年『古代から来た未来人 折口信夫』ちくまプリマー新書
- 2008年『狩猟と編み籠 対称性人類学II』講談社<芸術人類学叢書1> ※カイエ・ソバージュの続刊
- 2008年『鳥の仏教』新潮社 ※チベット語仏典から初訳と解説
[編集] 共著
- 1981年(ラマ・ケツン・サンポ) 『虹の階梯ーチベット密教の瞑想修行』平河出版社
- 1985年(細野晴臣)『観光―日本霊地巡礼』角川書店
- 1989年『ブッダの方舟』 河出書房新社、河出文庫1994年 ※対談集
- 1988年(梅原猛)『古代への幻視――人類思想の再生をめざして』アルファ・アート出版、ちくま文庫1990年
- 1991年(山田詠美)『ファンダメンタルなふたり』文藝春秋、文春文庫1994年
- 1995年(吉本隆明、梅原猛)『日本人は思想したか』新潮社、新潮文庫1999年
- 1998年(河合隼雄)『ブッダの夢――河合隼雄と中沢新一の対話』 朝日新聞社・朝日文庫
- 1998年(山本容子)『音楽のつつましい願い』筑摩書房
- 1993年(ラマ・ケツン・サンポ)『改稿 虹の階梯—チベット密教の瞑想修行』 中公文庫
- 2000年(河合隼雄、小林康夫、田坂広志)『こころの生態系』 講談社+α新書
- 2003年(河合隼雄)『仏教が好き!』朝日新聞社、朝日文庫2008年
- 2004年(赤坂憲雄)『網野善彦を継ぐ。』講談社
- 2006年(太田光)『憲法九条を世界遺産に』集英社新書
- 2007年(爆笑問題)『爆笑問題のニッポンの教養 現代の秘境は人間のこころだ 芸術人類学』講談社
- 2008年(波多野一郎)『イカの哲学』集英社
[編集] 編著
- 1989年『東洋の不思議な職人たち』平凡社・東洋文庫ふしぎの国2
- 1989年『神々と妖精たち』 平凡社・東洋文庫ふしぎの国9
- ※平凡社東洋文庫500点刊行記念の別冊
[編集] 共編
- 1997年(鶴岡真弓、月川和雄)『ケルトの宗教ドルイディズム』岩波書店
- 1998年(河合隼雄)『私とは何か』岩波書店・叢書現代日本文化論1
- 2003年(河合隼雄)『あいまいの知』岩波書店
- 2009年(河合俊雄)『思想家河合隼雄』岩波書店
[編集] 翻訳書
- 『サーカス アクロバットと動物芸の記号論』ポール・ブーイサック著 せりか書房 1977.12
- 『衣裳のフォークロア』P.G.ボガトゥイリョフ著 松枝到共訳 せりか書房 1981.9
- 『セメイオチケ2 記号の生成論』ジュリア・クリステヴァ著 共訳 せりか書房 1984.7
- 『記号の横断』ジュリア・クリステヴァ編著 共訳 せりか書房 1987.11
- 『チベットの聖者ミラレパ』エヴァ・ヴァン・ダム著 法蔵館, 1994.7
- 『サンタクロースの秘密』クロード・レヴィ=ストロース著 せりか書房, 1995.12
- 『禅の言葉』マルク・ドゥ・スメト編 紀伊国屋書店, 1996.6
- 『インディアンの言葉 北米インディアンの記録から』ミッシェル・ピクマル編 紀伊国屋書店 1996.9
- 『ブッダの言葉』マルク・ドゥ・スメト編 小幡一雄共訳 紀伊国屋書店 1996.12
- 『知恵の遥かな頂』ラマ・ケツン・サンポ著 編訳 角川書店, 1997.7
- 『ダライ・ラマ、イエスを語る』ダライ・ラマ 角川書店, 1998.5
- 『それでもあなたの道を行け インディアンが語るナチュラル・ウィズダム』ジョセフ・ブルチャック編 石川雄午共訳 めるくまーる 1998.8
- 『グレイ・アウル 野性を生きた男』ラヴァット・ディクソン著 馬場郁共訳 角川書店 2000.6
- 『ダライ・ラマ、生命と経済を語る』ダライ・ラマ,ファビアン・ウァキ著 角川書店, 2003.3
- クロード・レヴィ=ストロース 『パロール・ドネ』 講談社選書メチエ2009.6 ※講演・講義録
[編集] 雑誌掲載論文・随筆
- 「なぜ今、チベット仏教か」季刊誌『ジッポウ』6号(2008夏号)特集「平和なれチベット」ダイヤモンド社、2008年。
[編集] 映画字幕翻訳
- 『裸のランチ』 監督:デヴィッド・クローネンバーグ
- 『リトアニアへの旅の追憶』 監督:ジョナス・メカス
[編集] 脚注
- ^ 山梨県におけるキリスト教と民俗研究を軸とした中沢家周辺の人脈については、杉本仁「山梨県におけるキリスト教と民俗学-山中共古から中沢新一まで-」『甲斐』(第118号、2009年2月)
- ^ ニンマ派はチベット仏教でも歴史のある宗派で、チベット四大宗派の1つとされる。
- ^ 山口瑞鳳は、日本でも翻訳が出ているニンマ派の『チベット死者の書』について、偽経と述べた。山口瑞鳳「中沢新一氏とNHKが持ち上げる「チベット死者の書」はエセ仏典」『諸君』26(6)、1994年、154~161頁。
- ^ 週刊ポスト1989年12月8日号「オウム真理教のどこが悪いのか」など
- ^ 別冊宝島33号 独占手記・元オウム信者の告発「僕と中沢新一さんのサリン事件」宝島社
- ^ 島田裕巳『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』亜紀書房、2007年
- ^ 苫米地英人『スピリチュアリズム』にんげん出版、2007年。
- ^ サントリー学芸賞思想・歴史部門。選考委員の一人山本七平は、『チベットのモーツァルト』について、「非常に難解だが、稀有な好著」と激賞している。
[編集] 関連人物
- 梅原猛
- 河合隼雄
- 山口昌男
- 吉本隆明
- 柄谷行人
- 島田雅彦
- タモリ
- 糸井重里
- 細野晴臣
- 坂本龍一
- 浅田彰
- 平出隆※多摩美術大学教授。中沢の友人で、中沢を中央大学から多摩美術大学に招聘した。
- 永沢哲
- 爆笑問題
- 見田宗介※「東大駒場騒動」の遠因を作った元・東大教養学部社会学科教授。
- 鎌田東二
- 弟子丸泰仙
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 中沢新一インフォメーション
- ゾクチェン研究所
- チベット仏教ニンマ派が伝える「ゾクチェン思想」の研究を目的に設立された日本初の研究所。
- 関連・研究サイト
最終更新 2009年11月14日 (土) 15:28 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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