九寨溝

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九寨溝の渓谷の景観と歴史地域
中華人民共和国

九寨溝(五花海)
九寨溝(五花海)
(英名) Jiuzhaigou Valley Scenic and Historical Interest Area
(仏名) Région d'intérêt panoramique et historique de la vallée de Jiuzhaigou
面積 72km²
登録区分 自然遺産
登録基準 自然遺産(7)
登録年 1992年
拡張年  
IUCN分類 III(天然記念物)
備考  
公式サイト ユネスコ本部(英語)
地図
九寨溝の位置
世界遺産テンプレートを使用しています
  
九寨溝
IUCNカテゴリーIII (天然記念物)
地域 中華人民共和国四川省
最寄りの都市 松潘

世界測地系33°13′″N, 103°55′″E

面積 720 km²
設立年 1978年
訪問者数 1,190,000人 (2002年)
運営組織 Sichuan Provincial Commission for Construction

九寨溝(きゅうさいこう・簡体字九寨沟拼音: Jiǔzhàigōu )は中国四川省北部のアバ・チベット族チャン族自治州九寨溝県にある自然保護区であり、ユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されている。

目次

[編集] 概要

九寨溝は石灰岩質の岷山山脈(びんざんさんみゃく)中、標高3400mから2000mに大小100以上の沼が連なる、カルスト地形の淡水の湖水地帯である。谷はY字状に分岐しており、岷山山脈から流れ出た水が、滝を作り、棚田状に湖沼が連なる。水は透明度が高く、山脈から流れ込んできた石灰石成分が沼底に沈殿し、日中には青、夕方にはオレンジなど独特の色を放つ。また、流れに乗って運ばれてきた腐葉土に植物が生え独特の景観を見せる。ジャイアントパンダの生息地のひとつとしても有名である。

この独特の景観は水に含まれる大量の石灰岩成分によるところが大きい。棚田状の湖群の自然堤防は石灰成分の付着によって形成されたものであり、水流の中に生育する森林と言う独特の景観も石灰成分の凝固した岩に起因している。また、透明度の高い湖の底に沈んだ倒木も、その表面に石灰成分が付着し、いつまでもその形を留めていることも、独特の景観に一役買っている。なお、九寨溝に似た景観は、同じカルスト地形であるクロアチアの世界遺産プリトヴィチェ湖群国立公園にも見られる。

チベット人など少数民族の居住地としても知られ、「九寨溝」の名も、チベット人の村(山寨)が9つある谷であることから付けられたものである。観光道路沿いにも3つの集落があり、そのうちの1つである樹正寨は観光地となっている。また、域内にはチベット人による宗教施設(寺院・塔・マニ車(正しくはボン教のため「マシモ車」)等)が点在している。なお、この地域はチベット仏教よりもボン教が盛んで、コルラの方向やマシモ車を回す方向がチベット仏教とは反対の反時計回りである。九寨溝内にある寺院「扎如寺」もボン教寺院でありその他の宗教施設もすべてボン教のものである。祈祷旗であるタルチョーも各所で見られるがボン教のタルチョーである。しかし日本のマスコミやガイドブックなどでは「チベット仏教」と紹介されていることが多い。

1970年代に森林伐採の労働者によって(元々居住していたチベット人以外に)偶然に発見された。

[編集] 青い水

「五彩池」の青く透き通った池水

九寨溝を強く印象付けるもののひとつに、独特の青い水があげられる。この青い水の理由は水中に溶け込んでいる石灰分(炭酸カルシウム)の影響であるとか、湖底の苔によるとか、光の屈折率によるものなどと言われる。ただ、白い砂地の場所に少しの水が流れている状態でも水は僅かに青く見える。このことから、大量の石灰分に由来するミネラル分が光の屈折率を大きくし、水を青い色に見せているものと考えられる。かつ、石灰分が水中の浮遊物を沈殿させ極めて透明度が高くなり、20メートル以上の深さの湖底まであたかも浅い湖底のように見せる湖もあり、そのような場所では水の青さに深みが増している。湖底に苔が生えている場所では青みに緑や黄色が加わり、かつ太陽の状態も加わりさらに神秘的な雰囲気となる。

[編集] 観光

九寨溝を代表する「海子」(池)のひとつ「五花海」
「海子」(池)のひとつ「双龍海」に木々の間から流れ込む水と、チベット人集落のひとつ「樹正寨」
九寨溝の滝のひとつ「樹正瀑布」
九寨溝グリーンバス
諾日朗観光センター

自然保護のため付近の開発が制限され、1日の入場者数も制限されているが、中国屈指の人気観光地のひとつである。従来は約450km離れた成都からの長距離バスで約10時間かけての陸路が唯一のアクセス手段であったが、2003年九寨黄竜空港(九寨溝溝口までは83キロ、黄竜渓までは52キロ)が設けられたため、空港からは約1時間半での到達が可能になった。ただ、九寨黄竜空港は標高3500メートルの高地にあるため、心臓病や高血圧などの持病を持つ人は、その利用には注意が必要である。空港の待合所内には酸素吸入装置もあり、有料で使用可能である。また、九寨溝も溝口が既に2000メートルの標高地であり、観光客が到達できる最も標高の高い地点は「長海」の展望台で標高約3200メートルである。ある程度の高山病対策も必要である。九寨黄竜空港は気象条件によって頻繁に飛行スケジュールが乱れるため、空路を利用する場合は余裕を充分にとったスケジュールが必須である。なお、四川大地震の影響により当分の間成都からの陸路は通行不能となる可能性が高い。

九寨溝内では個人客も団体客も専用の天然ガス利用の低公害型バス「九寨溝グリーンバス(九寨溝緑色旅遊観光車)」(1日フリー乗車券でのみ使用可能)で各景観ポイントを周遊するか、すべて徒歩で巡るかを選択できるが、一番奥までは片道30Km以上の距離があり、溝口に最も近い景観ポイントまででも徒歩で1時間30分ほどかかるため、一般的にはグリーンバスと一部景観ポイントでの徒歩での散策の組み合わせが一般的である。このバスは、1日フリー乗車券所持者は各バス停で自由に乗降して付近を周遊したり、別のバス停まで歩くことができる路線バス方式で運転されている。ただ、Y字状の谷を行くバスはいろいろな系統があるものの、はっきりと行き先を明示していないバスも多いため、そのようなバスを個人で利用する場合は、前方に乗務しているガイド役の乗務員に行き先を確認するなどの必要がある。また、途中の景観ポイントの停留所で下車する場合、乗務員に予め伝えていないと通過する。また、途中のバス停から乗車する場合も、バスに向かって手を上げるなどしないと通過する。(なお、団体がチャーターしている専用バスもあり、そのバスは必ず通過する。)また、バス停によっては上りバスは停車するが下りバスは通過するなどのバス停もあり、案内図などでの注意が必要である。

Y字状の谷の2つの谷の交点には「諾日朗(ノーリラン)観光センター(諾日朗旅遊服務中心)」が設置されており、レストラン・軽食コーナー・売店などがある。また、グリーンバスの各路線の乗換え地点となっているが、長海行きの乗り場だけは、上の方に離れた場所にある。また、チベット族の集落のひとつ「樹正寨」の一角は「九寨溝民俗文化村」と称した土産品店街となっている。

宿泊は溝口を中心に5つ星クラスの高級ホテルから、民宿ユースホステルに至るまで、数多くの宿泊施設が存在する。ただ、溝口から遠く離れた宿泊施設の場合、路線バスが存在しないため、溝口まではタクシーなどの利用が必要になる。宿泊施設はチベット建築風の外観を持つ建物が多く、宿泊施設周辺の集落はチベット族の住民が多く見かけられる。なお、九寨溝のゲート内には宿泊できない建前になっているが、実際には夏季のみ専用バス路線沿いに3つあるチベット族の集落に臨時の民宿が出現する。ただし、規制が厳しくなっているため年々その数は減っている。

4月中旬から11月初めまでが盛期であり、特に中国の大型連休である5月初めと10月初めと、紅葉シーズンは大混雑する。冬は積雪もあるが年中グリーンバスは運転され年中観光は可能である。ただ、冬から春にかけては水量が少なめで、滝の水量が少なく、一部の湖の水量も少ない。また「季節海」と呼ばれる湖は全く水がないことが多い。また、遊歩道のかなりの区間が冬季は積雪のため、春季は山火事予防のため通行止めになっている。夏季はかなり雨量が多く、雨具は必携である。最盛期は朝のうちにゲートに到着していない限り、個人客は入場総数制限に抵触し入場できないことがある。3月の終わりは例年だと根雪も消え、観光客がそれほど多くなく、しかも入場料金が閑散期料金で済むため、近年人気が高まりつつある。しかし、4月中ごろまでは天候状態によってはかなりの積雪があることもあり、注意が必要である。

[編集] 利用料金

全て2008年3月現在のもの

  • 入場料
    • 通常期(4月1日~11月15日)1日220・学生及び60歳代の人180元
    • 閑散期(11月16日~3月31日)1日80元・学生及び60歳代の人70元
      • 通常期における2日間有効入場券は2008年春から廃止になった。閑散期は従来通り100元で2日間有効にできる。この場合専用の入場ゲートで、入場時に顔写真を撮影してもらう必要がある。2日目の入場時も同ゲートを利用し、顔写真で同一人物かを確認のうえで入場する。
      • 70歳以上の人及び幼児は入場無料である。
  • 九寨溝グリーンバス1日フリー乗車券
    • 通常期1日90元
    • 閑散期1日80元
      • 2日間有効入場券を所持していても、バス乗車券は1日ずつ購入する必要がある。また、徒歩だけで観光をする日は購入する必要はない。

[編集] 九寨溝グリーンバス路線

  • 溝口ゲート~原始森林 間
  • 溝口ゲート~長海 間
  • 溝口ゲート~諾日朗(ノーリラン)観光センター 間
  • 諾日朗観光センター~原始森林 間
  • 諾日朗観光センター~長海 間
  • 鏡海~諾日朗観光センター 間
  • 原始森林~長海 間
  • 溝口ゲート~樹正寨(民俗文化村) 間(夕刻のみ)
  • 溝口ゲート~扎如寺 間(2008年3月現在、扎如寺の改修工事に伴い運休中)

[編集] 2008年チベット独立デモに伴う影響

標記の影響により、外国人はチベット自治区や各省のチベット族自治州の観光が禁止・あるいは制限を受けたが、九寨溝および黄竜も外国人は航空機による九寨黄竜空港経由の訪問しか認められなくなった。そのため、時間はかかるものの安価で訪問できる成都からの長距離バス路線は外国人の乗車が認められなくなり、ツアーでもバスで訪問するプランはキャンセルになるなどの影響が出た。

[編集] 2008年の四川大地震に伴う影響

九寨溝地域は2008年5月12日の四川汶川大地震により動き大きな被害をもたらした断層帯からは離れており、被害は軽微であったが、周囲の道路が一時不通となり、当時滞在していた観光客は先に開通した甘粛省蘭州市などへの陸路移動により順次この地を離れた。九寨黄竜空港への道も開通し全ての観光客がこの地を離れたのは2008年5月17日だった。なお、省都成都市からの国道213号(都江堰・茂県・松潘経由)の陸路は、震源地汶川を通過するため、断層帯付近における土砂崩れや橋梁の崩壊などにより道路が寸断されており、開通の目処は立っていない。ただし、九寨黄竜空港経由による空路によるルートは確保されていたものの、九寨溝の観光受け入れがしばらくの間中断していたため、定期航空便も日1便までに減少した。

観光客の安全が確認され、物資の供給が安定的に確保でき次第空路経由による観光客受け入れを再開することとされ、航空便も7月からは増便が続き、早ければ2008年7月にも再開する意向であったが、実際には2008年8月6日に四川省観光局により「ツアー再開宣言」がなされた。従来から中国国内の団体旅行客が多用している空路を使わない安価なバスツアーの場合は蘭州市から甘南チベット族自治州を経由する道路を使用する新ルートが開発された。成都からも、東回り(綿陽・平武経由)の道路で、定期バスも運行されて、陸路も可能となった。しかし、東回りの道路も地震の被害を大きく受けて、応急復旧で、災害復興優先のことからも、この東回りの陸路によるバスツアーの募集は流動的である。このため、現時点では空路が観光客の足の中心となっており、空路の輸送量の問題や運賃の高さから、2008年10月の紅葉期の休日でも、例年なら1万以上の観光客が2千人程度と激減した。

観光再開当初は、観光客の安全を確保するため、徒歩観光は認められておらず、九寨溝グリーンバスでの自由乗降もできず、バスでのガイドツアー方式のみとなっていた。

[編集] 登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた。

  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

九寨溝公式ホームページ(中国語)

最終更新 2009年7月4日 (土) 16:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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