乳母車
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乳母車(うばぐるま)は、乳幼児を乗せて運ぶ手押し車である。一般的には4輪の台車に籐製の篭が付いている。この他に金属製や木製などがある。乳母車の「乳母」とはいわゆるベビーシッターの事である。
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[編集] 概要
発祥は1848年頃、ニューヨークで作られた物が最初と見られている。後に、製作者のチャールズ・バートンがイギリスに渡り工場を操業。イギリス王室などから注文を受け、更に一般に広まったと見られている。当時は木製で、2輪の手押し車であった。
日本には明治の中頃、導入され当時は木製であったが、次第に改良されスプリングなど振動を防止する物が付けられるなど様々な改良が加えられていった。現在は4輪が主流である。台車が同一であるため、農作業などの荷物を運ぶ物にも用いられ、乳幼児を乗せずとも乳母車と呼ぶ事もある。台車単体でも市販されていたため、片田舎の鍛冶屋などでも製作が可能であり、現在でも製作されている。
一般的には布張り、籐製で浅い篭などの物は寝かせて運ぶことを目的としているため乳児、籐製で深い篭若しくは座らせる物は幼児向けである。名前の通り、乳母が使用するものであり、明治、大正、昭和に至まで複数の子供を1人の乳母が面倒を見ることがあった。そのため籐製で深い物は複数の子供を乗せることが出来る。
一方、最初の折りたたみ式のいす型乳母車は、1967年にマクラーレン(MACLAREN)が発売した[1]。
日本の市場規模は、売上げベースで約130億円[2]、台数ベースで約70万台(2006年)[3]との推定がある。ただし、規模は年々縮小しており、2007年は2001年比で20%以上の減少となっているという[2]。アップリカ・チルドレンズプロダクツとコンビによる寡占市場であったが、2002年に発売されたマクラーレン製品がヒットしたことを機に、他の外国製製品も輸入され始めた状況にある[2]。
[編集] ベビーカーと乳母車
現代日本では、乳母車という言葉はほとんど使われなくなり、和製英語で「ベビーカー」と呼ばれる西洋風の車椅子が一般化した。大雑把に言えば、ベビーカーは椅子に取っ手と車がついたもの、乳母車は箱に取っ手と車がついたもの、と一般には理解されているようである。籐製の乳母車は懐古ブームもあり、売れ行きは芳しくないものの未だに販売されている。
ベビーカーにはA型とB型がある。A型は、首が据わる生後3ヶ月より前から使えるように、椅子の傾斜が深くとれるように設計されており、この点でB型と異なる。AB型兼用や、双子や年子をいっしょに載せられる並列または縦列ツイン・シートもある。また2歳以上の上の子どもが乗ってベビーカーと母親の間に装着するタイヤ付きのバギーボードも販売されている。母親のライフスタイルに合わせて、座席部分がそのままチャイルドシートになり車での外出が楽なタイプ、ジョギングしながら走れる三輪タイプなどもある。
なお、「ベビーカー」は和製英語であり、英語圏でこの言い方をしてもまず通じない。(「小型自動車」という別の意味になる。)イギリス英語圏では箱型のものを「プラム(pram。正式には「パランビュレイター (perambulator)」と言うが、今日ではあまり用いられない言い方)」、椅子型のものを「プッシュチェアー (pushchair)」または元々商標名である「(ベイビー・)バギー ((baby) buggy)」、アメリカ英語圏では箱型のものを「ベイビー・キャリッジ (baby carriage)」、椅子型のものを「ストローラー (stroller)」とそれぞれ呼ぶ。
[編集] バリアフリー化とベビーカー
日本各地では、社会的弱者に配慮した街づくり(いわゆるバリアフリー化)が進み、公共施設は車椅子や乳母車(ベビーカーも同様)の利用を前提とするようになってきた。その象徴となっているのが、都市部の鉄道における乳母車またはベビーカーの利用である。以前は、プラットフォームへの上り下りの際の長い階段を始めとしたさまざまな障害のため、車椅子や乳母車での鉄道の利用は難しかった。
しかし近年では、社会的弱者への配慮の世論やバリアフリー新法などの法律の制定を受け、エレベーターの設置や、車内における車椅子スペースの設置などが進み、社会的弱者の鉄道の利用が増加してきた。かつては子どもと鉄道で出かける際には、抱えるには重たい子どもをずっと抱いていなければならなかったが、ベビーカーで鉄道が利用しやすくなったことにより、子どもを抱えるという重労働から開放され、子どもと気軽に外出できる環境になってきた。また一部のバス事業者では条件付きでベビーカーを折り畳まずに乗車可能となった事業者も存在する。
なお、バリアフリー新法やハートビル法では、ベビーカーないし乳母車についての明示的記述はないが、国土交通省の指導や、それに基づいた各鉄道会社の施策を見る限り、車椅子等とほぼ同等に理解されているようである。
[編集] 公共の場での問題点
公共の場におけるベビーカーの利用を巡り、その危険性や親のマナーの悪さへの指摘がある。
鉄道の列車内では、ベビーカーの固定装置の設置が少ないため、カーブへの進入や急ブレーキの際にベビーカーが車内を転がってしまう危険性がある。また、乗車する際にドアにベビーカーの車輪が挟まれ電車に引きずられて、親子で怪我を負う事故も発生している。
また、ラッシュ時の混雑した列車内でのベビーカーの利用は、周囲の乗客に迷惑を及ぼしたり、ベビーカーがドアに挟まれるなどの危険性がある。
[編集] 映画
- 映画『乳母車』は、1956年の日活映画で、石坂洋次郎の同名の原作を元に、田坂具隆監督で、石原裕次郎、新珠三千代、宇野重吉らが出演した。
- 映画『戦艦ポチョムキン』の「オデッサの階段」の乳母車は映画史上、有名である。


