予算

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予算(よさん)とは、ある期間(たとえば1年間や半年間など)にかかる収入および支出についてあらかじめ見積もりを立てること、またその内容のことを言う。特に、地方公共団体等の政府の予算については、憲法法律財政法等)で定められている。

目次

[編集] 政府の予算の意義

政府、特にそれぞれの執行機関にあたる内閣や首長等の行政責任者にとって、予算は施政のために不可欠であり、行政責任者が実現させる政策は予算の数字となって反映され、予算無くしてはあらゆる政策も執行不可能である。このため、予算の承認は議会が政府の行政を統制する大きな手段であり、特に議院内閣制の議会においては、その否決は内閣の不信任を意味する。

  • 統制的意義(民主的統制機能)
  • 管理的意義(必要性の確認機能)
  • 経済政策実現意義(経済的国家目標の表示機能)

[編集] 予算の法的性格

予算は政府の行為を規律する法規範であるが、学説は分かれている。

予算行政説、予算承認説:旧通説

国会は内閣の予算支出に事前に承認を与えているものとする。
  • 根拠-
内閣の権限の強化
  • 批判-
「財政立憲主義に反する」
  • 国会の修正権
国会による増額修正-可能
国会による減額修正-不可能

予算法律説

予算は法律形式で制定されるべきであるとする。
  • 根拠-
「財政立憲主義の強化」
  • 批判-
日本国の憲法では法律と予算の規定に差異が認められる。
  • 国会の修正権
国会による増額修正-可能
国会による減額修正-可能

予算法形式説、予算法規範説、予算国法形式説:通説

予算は、「財政立憲主義」の趣旨から、法律と異なる特殊の国法の一形式とする。
  • 根拠-
1.予算が政府を拘束するのみで一般国民を直接拘束しない。
2.予算の効力は一会計年度に限られている。
3.提出権が内閣に属する。(憲法73条5号、86条
4.衆議院に先議権が認められており、再議決制でない。(憲法60条1項・2項)
  • 批判-
予算と法律の不一致が生ずる
  • 国会の修正権
国会による増額修正-可能
国会による減額修正-可能

[編集] 予算原則

財政民主主義に基づいた理想的な予算制度を実現するための原則。

  • 予算の内容が明瞭かつ正確であって、しかもすべての国民・住民に公開されなければならない。
  • 予算の執行は、国会・地方公共団体の議会で事前に議決を受けた後、議決された予算の範囲内で執行しなければならない。
  • すべての収入・支出を一つの予算に計上し、しかも両者の間に特定の関係を作ってはならない。

[編集] 予算編成

  • 事業別予算制度
    行政目的の効果的な達成の観点から、事業目的に従い管理する。
  • ゼロベース予算(ZBB(Zero-Base Budgeting))
    全ての計画を、会計年度ごとに新規事業とみなしてゼロから査定する方式。
  • 増分主義
    承認された歳出項目に関して、「前年度比○%増の範囲」という方式で予算を組むこと。
  • シーリング方式(概算要求基準
    財政規模抑制の必要性から採用され、予算全体としての規模を一定の基準におさめる方式。
  • 計画事業予算制度((PPBS(Planning-Programming-Budgeting System))
    アメリカで費用便益分析の手法を導入し、政策に対して、効果を同一の基準で複数の代替的な政策の効果を比較測定し、それに基づき予算の削減・増額を決定する方式。
  • サンセット(時限)方式
    全ての予算項目を例外なく時限措置とし、必要性が認められた支出だけ継続される方式。

[編集] 日本

[編集] 国における予算

予算の期間(会計年度)は、基本的に4月1日~翌年の3月31日である。

単一予算主義に基づき、全ての歳入や歳出は単位の会計において処理するのが原則である(一般会計予算)。例外的に独立した会計を有するものとして、特別会計予算と政府関係機関予算がある。

[編集] 予算と予算案

一般的には、「法律案→可決→法律」の例に倣い国会議決前の状態を予算案と、議決後のものを予算と呼ぶことが多いが、法律上は、議決の前後にかかわらず「予算」という。国会の審議においても、「一般会計予算ほか2案」のように議案の単位としては「案」を用いるが個別の題名は議決前でも「予算」と呼び「案」は付さない。

これは

  • 法律案は、両議院が可決すると法律となる。(憲法59条
  • 条約は、国会が承認すると発効する。(憲法73条

のに対し、

  • 内閣は予算を作成し、国会の審議を受け議決を経なければならない。(憲法86条

との規定となっていることによる。

[編集] 国の予算

ここでは、にかかる予算について述べる。

内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。(憲法86条
予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為とする。 (財政法第16条
  • 予算先議権
    予算は、衆議院に先に提出しなければならない(日本国憲法第60条)。実際の予算審議では、衆議院で予算が議決されてしまえば、参議院の審議が終了しなくとも30日後には自動的に成立してしまうことが重要である。予算が3月初めに衆議院を通過してしまえば、暫定予算を策定する必要もないので、政府と与党にとっては予算の衆議院通過が重要視される。ただ、参議院の緊急集会では衆院予算先議権の例外として、衆議院より先に参議院で予算案を審議して採決をすることができる。
    なお、大日本帝国憲法においても予算先議権は衆議院にあった。
  • 予算の提出権
    予算を国会に提出する権利は、内閣にあり、財務省が各省庁と協議の上作成し、閣議決定された後、1月中に国会に提出される(財政法第27条)。
  • 予算の種類
    • 本予算(当初予算)
      財務大臣は、予算(案)を作成し閣議の決定の後、内閣として国会に提出し、国会の承認を受けたうえで、本予算が成立する。通常、8月末に各省から提出された概算要求を財務省が査定して年末までに財務省原案として作成し、復活折衝を経て政府案を決定する。この政府予算案を1月中に国会へ提出し、3月末日までに成立するようにする(財政法第16条第28条)。
    • 補正予算
      当初の本予算どおりの執行が困難になった時に、国会の議決を経て本予算の内容を変更するように組まれた予算のことを補正予算という(財政法第29条)。景気の悪化にともなって公共事業の追加や減税など財政措置を伴う経済対策を実施するなどの場合には補正予算が策定される。
    • 暫定予算
      本予算(当初予算)が年度開始前までに成立しなかった場合などに暫定的に編成される予算で、本予算が成立したときには、暫定予算は失効し、本予算に吸収される(財政法第30条)。法律は暫定予算が年度開始前までに成立しなかった場合は全く想定されていない。
      なお、大日本帝国憲法(第71条)においては、本予算(当初予算)が年度開始前までに成立しなかった場合には前年度の予算がそのまま新年度予算として執行される規定があったために暫定予算が生まれる余地が存在しなかった。

[編集] 法律

  • 財政法(昭和22年3月31日法律第34号)
    • 第23条 歳入歳出予算は、その収入又は支出に関係のある部局等の組織の別に区分し、その部局等内においては、更に歳入にあつては、その性質に従つて部に大別し、且つ、各部中においてはこれを款項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを項に区分しなければならない。
    • 第31条 予算が成立したときは、内閣は、国会の議決したところに従い、各省各庁の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算、継続費及び国庫債務負担行為を配賦する。
2 前項の規定により歳入歳出予算及び継続費を配賦する場合においては、項を目に区分しなければならない。
  • 予算決算及び会計令(昭和22年4月30日勅令第165号)
    • 第14条 歳入歳出予算、継続費及び国庫債務負担行為の部局等の区分、歳入予算の部款項目並びに歳出予算及び継続費の項の区分は、財務大臣がこれを定める。
2 歳出予算及び継続費の目の区分及び各目の細分は、各省各庁の長が財務大臣に協議して、これを定める。

[編集] 地方公共団体の予算

地方公共団体の予算の考え方については、国の予算とほぼ同じである。

[編集] 概要

  • 総計予算主義
    会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない(210条)。
  • 予算の提案等
    長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び指定都市にあつては30日、その他の市及び町村にあつては20日までに当該予算を説明書と共に議会に提出するようにしなければならない(211条)。
    議会は、予算について、増額してこれを議決することが出来るが、長の予算の提出の権限を侵すことはできない(97条2項)。
    予算を議会に提出する権限は、地方公共団体の長に専属し、議会及び他の執行機関(教育委員会、選挙管理委員会などの委員会)は、予算の提案権はない。
    地方公営企業については、公営企業の管理者が予算原案を作成し、地方公共団体の長が予算を調製し、議会に提案する(地方公営企業法第24条)。
  • 予算の内容(215条
    1. 歳入歳出予算
      予備費217条
    2. 継続費
      経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出する経費(212条)。
    3. 繰越明許費
      歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて、翌年度に繰り越して使用する経費(213条)。
    4. 債務負担行為
    5. 地方債
    6. 一時借入金
    7. 歳出予算の各項の経費の金額の流用
    • 第216条 (歳入歳出予算の区分)
      歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを款項に区分しなければならない。
    • 第219条(予算の送付、報告及び公表)
      長は、予算の送付を受けた場合において、直ちにこれを都道府県にあつては総務大臣、市町村にあつては都道府県知事に報告し、かつ、その要領を住民に公表しなければならない。(2項)
    • 第230条(地方債)
      地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法は、予算でこれを定めなければならない。
事故繰越し
歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をし、避けがたい事故のため年度内に支出を終わらなかつた経費で、翌年度に繰り越して使用するもの(220条3項)。

[編集] 予算の種類

  • 本予算(当初予算)
    地方公共団体の長(都道府県知事、市町村長)は、会計年度(4月1日~翌年3月31日)予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合、遅くとも年度開始前、都道府県知事及び政令指定都市の長にあっては30日、その他の市及び町村にあっては20日までに予算を議会に提出しなければならない(211条 第1項)。
    普通地方公共団体の長は、予算の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、直ちにこれを都道府県にあつては総務大臣、市町村にあつては都道府県知事に報告し、かつ、その要領を住民に公表しなければならない(219条第2項)。
  • 補正予算
    本予算(当初予算)成立後に生じた事由に基づき、既定の予算に追加その他の変更を加える必要が生じたときは、補正予算を調製し、議会に提出することができる。(218条第1項)
  • 暫定予算
    地方公共団体の長は、本予算が年度開始前までに成立しなかった場合や、地方公共団体の分置廃合があった場合など必要に応じて、会計年度内の一定期間の暫定予算を調製し、議会に提出することができる。(218条第2項)ただし、地方公共団体の長には、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときには、専決処分権(179条第1項)がある。

[編集] 予算の執行

  • 歳入予算の執行には、調定、納入の通知、収納の3段階がある。また、調定と納入の通知とを併せて、徴収ともいう。なお、歳入予算の執行は、予算に拘束されない(つまり、歳入予算として計上された額より多く収入することが許される)点で、歳出予算と異なる。
    • 調定 - 地方公共団体が、当該歳入について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤っていないかどうか、その他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査して、納入すべき金額等を決定することをいう。
    • 納入の通知 - 納入義務者に、納入すべき金額等を通知することをいう。その際には、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所及び納入の請求の事由を記載した納入通知書によって行うこととされる。
    • 収納 - 地方公共団体の会計管理者が、納入義務者から金銭を受け取って、地方公共団体のものとすることをいう。
  • 歳出予算の執行には、支出負担行為、支出命令、支払の3段階がある。なお、歳出予算の執行は、予算に拘束される(つまり、歳出予算として計上された額より多く支出することを許されない)。
    • 支出負担行為 - 支出の原因となるべき契約その他の行為をいう。この行為が、法令に違反するようなもの、予算より多額のものであってはならない。
    • 支出命令 - 地方公共団体の長が、会計管理者に対し、支出を命令することをいう。この命令がなければ、会計管理者は、支出をすることはできない。また、会計管理者は、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができない。
    • 支出 - 会計管理者が、契約その他の行為の相手方に、金銭を手渡したり、小切手を交付したりすることをいう。
  • 普通地方公共団体の長は、特別会計のうちその事業の経費を主として当該事業の経営に伴う収入をもつて充てるもので条例で定めるものについて、業務量の増加により業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、当該業務量の増加により増加する収入に相当する金額を当該経費に使用することができる。この場合においては、普通地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない(218条4項)。

[編集] 予算科目

予算については部局・予算の性質などにより項目(予算科目)が設けられる。

[編集] よくある誤解

日本の国家予算は、一般会計の歳出(2008年度83.1兆円)だけを国家予算と呼ぶ場合があるが、これは誤りであり、特別会計も加えて、一般会計・特別会計で重複する部分を除外した数値が日本の全ての歳出となる。

[編集] その他

戦後の特に旧大蔵省時代は政府予算案の公開とともに、予算総額の数字の並びを用いて、旧大蔵省が語呂合わせを発表するのが恒例行事であった。好印象の言い回しで希望的な意味合いを持たせ、予算の広報と話題づくりを狙ったものである。さらに、このニュースにあわせて報道機関各社が別途独自に語呂合わせをつくることもある。こちらの場合は、皮肉を込めたものが多い。現在でも、地方自治体のなかには、予算決定とともに語呂合わせを発表するところがある。

[編集] 裁量予算制度(行政需要予算制度)

航空/陸上運送量や隣国の軍事力等、客観的・統計的基準によって各行政部局の担当する行政サービス需要の前年対比伸長率を算定し、其れを元に各行政部局への予算配分枠を決定し、部局予算枠内で内部留保と各部局の裁量権を許容する制度を言う。

実際問題として各部局への配分予算枠は歳出化経費を割り込む事はできないので、歳出化経費予算と新規事業予算を分け、基準年度歳出化経費と行政需要伸長率に基づいて当該年度の歳出化経費枠ガイドラインを定め、行政需要が縮小して歳出化経費がガイドラインを超過している部局については、超過額に応じた法定率での人員削減や耐用年数延長を行い削減した上で超過を認め、残額を新規事業予算として基準年度新規事業費と行政需要伸長率に応じて各部局に配分する事になる。

  • 長所
    • 予算配分が財務部局の裁量ではなく、客観的・統計基準によってなされるため、既得権益や政治圧力の影響が弱まり、必要な部局に予算を重点配分できる。
    • 現行予算制度では各部局が節約しても内部留保が認められず、却って次年度より予算が減らされるので各部局側で節約動機が働きにくいが、内部留保が認められることによって各部局の節約意欲が高まる。
    • 行政需要縮小部局での人員削減が自動的になされる。
  • 問題点
    • 財務部局の裁量権縮小に繋がるので財務部局の協力を得るのが困難
    • 各部局会計(特会)の赤字が全体予算の歳出化経費化すると、有効性を減じる。
    • 行政需要算定基準策定や、同基準策定の有識者委員会人選で公平性の確保が問題。

[編集] 複数年度予算制度

複数年度で予算を策定し、各部局が単年度で使い残した予算を当該部局の次年度の新規事業に充当する事を認める制度である。

  • 長所
    • 内部留保が認められる事により各部局で節約動機が働く。耐用年数見直しと併用すれば、同額予算で多くの新規事業が可能になる。
    • 裁量予算制度(行政需要予算制度)に比べれば、財務部局の予算認否権が残存する分だけ財務部局等の協力が得られる可能性がある。
  • 問題点
    • 各省庁間の予算配分が固定化・既得権益化している現状は変えられない。例えば周辺国の軍拡に応じて防衛予算への配分を増やす事が実際上不可能な一方、必要性の疑わしいダム等は作られ続ける。
    • 行政需要縮小部局の人員削減が政治問題化して進まない
    • 各部局(特会)の赤字が全体予算の歳出化経費化すると、有効性を減じる。
    • 単年度予算制度より作成に手間がかかり、特に財務部局の負担が大きく、人員増強が必要。
    • 財務部局の予算作成の負担が激増する。

[編集] アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では予算は法律として定められる。憲法の規定上、下院の先議が定められている他は通常の法律案と同様の手続きで審議される(支出権限法案という扱いとなる)。したがって大統領は提出権を持たないものの教書による勧告権および拒否権を有し、上院による法案可決も必須となる。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月19日 (月) 17:19 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【予算】変更履歴

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