二大政党制
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二大政党制(にだいせいとうせい、two‐party system)とは政党制の一つで、大きく2つの政党が中心となって互いに政策を展開しながら政治が行われていく政治体制。
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[編集] 概説
古典的な政治学ではこの政党制度が理想的だと考えられた。以下の条件を満たしている状態を指す。
- 議席のある政党の数は2。
- 議席のある政党の数は3以上で、そのうち2党のどちらかが政権を担うが、常に政権から排除されている政党が支持率、得票、議席などが少なすぎて、政治的な交渉能力を持たない。
- 議席のある政党の数は3以上で、そのうち2陣営で政権を争っており、連立の組換えがない。
英国や米国等のアングロサクソン諸国で一般的な政治体制で、政権交代が明確で政策論争が国民にわかりやすいという利点がある。また、中間層の有権者の支持を得る為に二つの政党の政策が似たものとなる。ジョヴァンニ・サルトーリにとっての良い政治とは、イデオロギーの差異が小さいことを指すので、二つの政党の政策が似たものであるということは利点である。
しかし、アーレンド・レイプハルトの合意形成型民主主義の考え方に立てば、二大政党制を基盤とする多数決型民主主義においては多党制を基盤とする合意形成型民主主義より、少数意見の代表性が相対的に低いとされる[1]。
また、2大政党のイデオロギーの差異が大きい場合には、2党ともに政治的主張の実現のために、自党による政権獲得を望んで2党間の政治的妥協を拒絶したり、政権交代のたびに政策が大幅に変わったりするなど、かえって、政治の不安定化を招くという指摘もある。
日本も、近年は、民主党および自民党によって、これに近い体制に成りつつあるという見方が多い。
一般的に小選挙区制を導入すると二大政党制になりやすい。ただし、いくつかの事例では必ずしもその通りにはなっていない。
三つ以上の政党が有意な議席等を有している場合には多党制といい、政党間のイデオロギーの差異によって穏健な多党制と分極的多党制とに分けられる。
[編集] 主な国家
[編集] サルトーリによる指摘
二大政党制はイギリスおよびイギリスから独立した国家(いわゆる「アングロ・サクソン系」)によくみられる形態である。
- 英国 - 保守党と労働党
- 近年は下院第三党の自由民主党やスコットランド国民党などの地域政党の勢力も拡大してきている。
- アメリカ合衆国 - 共和党と民主党
- この二大政党の他にも、アメリカ共産党など少数政党は存在する。しかし、歴史的経緯から大統領選挙や連邦議会の選挙で共和・民主の二大政党以外の候補が当選することはほとんどない。
- 他国の主要政党と比べてアメリカの党組織はゆるやかであることから、時代ごとの政治潮流や政治家志望者をいずれかの党がとりこむことにより、結果として両党による政権寡占が維持されてきた。そのため、長期的には党の性格の変容も著しく、南北戦争当時と現在では両党の立場・支持基盤はほぼ逆転している。
- また、大統領候補選定時などにおいて、ときに、党内の多様な主張の集約に失敗し、分裂した勢力が相当規模の支持を集めて選挙結果に影響することもあるが、このような分派は恒久的な組織を形成することなく、次回選挙の際には二大政党のいずれかに回帰することが常である。恒久的な第3党はいずれも小規模である。
- カナダ - 自由党とカナダ保守党(←進歩保守党)
- 第三党として「新民主党」、「ブロック・ケベコワ」などが存在するため、カナダが二大政党制であるかということについては異論もある。
- 一般的には、進歩保守党が1990年代初頭に壊滅状態となり(下院の議席が169→2)、その後も党勢が退潮したことと地域政党の台頭によって、カナダは二大政党から離脱しつつあるとの見解が有力となったが、21世紀に入って、保守勢力が再結集したカナダ保守党が2006年に政権を獲得したことで、二大政党制に復帰しつつあるとの見解が有力となってきた。
- オーストラリア - 保守連合と労働党
- 保守連合は自由党とオーストラリア国民党とで構成されているが、完全な選挙協力と連立協定が永続すると予測されているので、二大政党制として扱われる。
- ニュージーランド - ニュージーランド国民党と労働党
- 1993年に小選挙区比例代表連用制に選挙制度が変更されたことに伴って多党化し、二大政党制のカテゴリーから脱落した。
[編集] 現在の主流となっている区分
[編集] 先進国
- イギリス
- アメリカ
- オーストラリア
- カナダ
- ギリシャ - 新民主主義党と全ギリシャ社会主義運動。ギリシャ共産党なども国会に議席を持っているが、この二大政党しか政権を担当したことがない。
- ポルトガル - 現在では、ポルトガルは二大政党制とはみなされない見解が強い。
[編集] 発展途上国
[編集] 保守二大政党制
保守二大政党制(ほしゅにだいせいとうせい)とは何らかの理由で社会民主主義政党および社会主義政党に政権獲得の機会がない状態を指す。都市の利益を代表するか農村地主の利益を代表するか、戦争による紛争の解決を目指すか対話による紛争の解決を目指すかなどが主な争点となり、政策距離は比較的小さい。
ただし、一般的に「保守政党」という言葉が用いられている場合、例えば、アメリカ合衆国でも、「保守主義」をイデオロギー基盤とする政党(共和党)と「リベラリズム」をイデオロギー基盤とする政党(民主党)が対峙しており(カナダや第二次世界大戦前の日本もおおむね同様)、「保守二大政党制」という用語は、保守主義と自由主義との区別を重視せず社会民主主義・社会主義への態度によって政治勢力を区分する観点から使用される。また、この用語がアメリカの政治学で使用されることはほとんどない。
[編集] 日本
戦前は大正デモクラシー期においても結社の自由に一定の制限があったため、社会主義を前面に掲げる政党は衆議院で勢力を伸ばしにくかった。ただし、農村を主たる選挙基盤にする政友会が伝統的保守主義の典型的政党であったのに対し、立憲民政党は都市部を重要な選挙基盤としていたため自由主義的色彩が比較的強かった。
55年体制崩壊から現在にかけての日本は、自民党と新進党、自民党と民主党の保守二大政党制だといわれる。ただし、この点にも異論は多い。
1990年代の新進党などは、伝統的保守主義の色彩が強かった自民党に対し、新自由主義的構造改革路線を掲げていた。小沢一郎もかつては著書『日本改造計画』で述べている通り、むしろ、守旧的な自民党に対して構造改革派であった。
小沢が代表に就任して以降の民主党は、小泉政権以降、自民党が明確に掲げるようになった新自由主義的政策への対抗から、所得格差・地域間格差の解消&生活重視といったリベラリズム左派的、社会自由主義的政策を掲げるようになった。そのため、自民党と民主党の関係は自民党・新進党時代の“伝統的保守主義政党”対“新自由主義政党”に近い対立から、“保守(新自由主義)政党”対“リベラリズム政党”といったアメリカ・カナダの2大政党の対立の構図に近くなったといえる。ただし、自民党内には利益誘導的再分配を重視する平成研究会の勢力も一定数存在する。逆に、民主党にも前原誠司を中心として新保守主義・新自由主義に近い政策を主張する議員もいる。
日本では55年体制以降自民党による一党優位政党制が続いているとも言われてきたが、2009年の衆議院議員総選挙の結果を受けて戦後で初めてとなる二大政党間での政権交代が行われることとなり、今後の展開が注視されている。
[編集] アメリカ
共和党と民主党。
当初は共和党が北部の経営者層、民主党が南部の地主層を支持基盤としていた。現在は共和党が南部・中部を中心に、農村・都市郊外居住の白人層を重要な支持基盤とするのに対し、民主党は都市中心部居住の労働組合員やマイノリティー人種層、東部・西部の新しい中間層を重要な支持基盤とし、反共和党的な経営者層にも浸透している。特に、IT業界では共和党支持と民主党支持に分かれるが、現職に偏りがちであり、社長と従業員の間で支持政党が違うこともある。
共和党を支持するデル、民主党を支持するアップルのような一定している企業はむしろ珍しい。例えば、マイクロソフトはビル・ゲイツやスティーブ・バルマーら個人は共和党に献金してるのに、マイクロソフト自体は1997-1998年の時は民主党への献金が34%、共和党への献金が66%であり、1999-2000年は民主党46%、共和党54%となっている。
なお、リベラリズムを主張する民主党の政策は欧州の社会民主主義政党のものに近い。また、主流派の民主党員は中道左派に位置すると自他共に認めており、ハワード・ディーン全国委員長は2006年の社会主義インターナショナル(社民主義政党の国際団体)の大会に来賓として出席もしている。したがって、保守二大政党制という表現がアメリカでなされることは一般にない。しかし、社会主義(社民主義を含む)を自称するか否かで革新と保守を区別する基準からいうなら、アメリカの政党システムは保守二大政党制である。
これに加え、政党内での政策的距離が他国と比べて大きいのもアメリカの政党の特徴であるといえる。つまり、共和党のある一人の党員より保守的な民主党員もいれば、民主党のある党員よりリベラルな共和党員も存在することになる。
[編集] カナダ
自由党は自身を中道左派・リベラリズム政党であると定義している。ここでも、「保守主義」政党と「自由主義(リベラリズム)」政党が対峙しており、カナダにおいて「保守二大政党制」という表現が用いられることはほとんどない。
[編集] 韓国
民主労働党が議席を獲得する以前は保守二大政党制だった。反共主義の最前線にあり、社会民主主義政党は発達しなかった。
李明博政権発足以降は保守二大政党制となっている。与党の保守・新自由主義政党「ハンナラ党」と野党の中道政党「民主党」。このほかにもいくつか議席を持つ少数政党がある(民主労働党もその一つ)。
[編集] 脚注
- ^ また、少数意見が第三党を作ろうとした場合には、かえって、自らの考えに近い二大政党に不利になってしまうという現象も存在する。2000年アメリカ合衆国大統領選挙のラルフ・ネーダーなど
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年9月16日 (水) 18:14 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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