二酸化硫黄

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二酸化硫黄
別称 酸化硫黄(IV)
亜硫酸ガス
識別情報
CAS登録番号 7446-09-5
RTECS番号 WS4550000
特性
化学式 SO2
モル質量 64.07 g mol−1
外観 無色気体
密度 2.551 g/L, 気体
1.354 g/cm3 (-30 ℃)
1.434 g/cm3 (0 ℃)
1.25 g/mL (25 ℃)
融点

−72.4 ℃ (200.75 K)

沸点

−10 ℃ (263 K)

への溶解度 9.4 g/100 mL (25 ℃)
蒸気圧 -10 ℃ : 1013 hPa
20 ℃ : 3300 hPa
40 ℃ : 4400 hPa
酸解離定数 pKa 1.81
構造
分子の形 折れ線形(O−S−O 結合角は120度)[1]
双極子モーメント 1.63 D
危険性
EU分類 有毒 (T)
NFPA 704
0
3
0
Rフレーズ R23 R34
Sフレーズ (S1/2) S9 S26 S36/37/39 S45
引火点 不燃性
関連する物質
関連物質 三酸化硫黄
亜硫酸
硫酸
特記なき場合、データは常温(25 ℃)・常圧(100 kPa)におけるものである。

二酸化硫黄(にさんかいおう、: Sulfur Dioxide)は、化学式SO2無機化合物である。刺激臭を有する気体で、別名亜硫酸ガス。大量に排出される硫黄酸化物の一種であり、環境破壊の一因となっている。

二酸化硫黄は火山活動や工業活動により産出される。石炭石油は多量の硫黄化合物を含んでおり、この硫黄化合物が燃焼することで発生する。火山活動でも発生する。二酸化硫黄は二酸化窒素などの存在下で酸化され硫酸となり、酸性雨の原因となる[2]

目次

[編集] 合成

二酸化硫黄は硫黄の完全燃焼により発生する。

\rm  S(s)+ O_2(g) \longrightarrow SO_2(g)

硫化水素や他の有機硫黄化合物の燃焼においても似たような反応が進行し、二酸化硫黄が発生する。

\rm 2H_2S(g) + 3O_2(g) \longrightarrow 2H_2O(g) + 2SO_2(g)

黄鉄鉱閃亜鉛鉱辰砂鉱石などの硫化鉱の加熱によっても発生する。

\rm 4FeS_2(s) + 11O_2(g) \longrightarrow 2Fe_2O_3(s) + 8SO_2(g)
\rm 2ZnS(s) + 3O_2(g) \longrightarrow 2ZnO(s) + 2SO_2(g)
\rm HgS(s) + O_2(g) \longrightarrow Hg(g) + SO_2(g)

セメントの製造の際には、無水硫酸カルシウムコークスと加熱しケイ酸カルシウムを生産するが、二酸化硫黄が副生成物として発生する。

\rm 2CaSO_4(s) + 2SiO_2(s) + C(s) \longrightarrow 2CaSiO_3(s) + 2SO_2(g) + CO_2(g)

熱濃硫酸ととを反応させると、二酸化硫黄を発生させることができる。

\rm Cu(s) + 2H_2SO_4(aq) \longrightarrow CuSO_4(aq) + SO_2(g) + 2H_2O(l)

この他にもチオ硫酸ナトリウムの反応、亜硫酸ナトリウム硫酸の反応、亜硫酸水素ナトリウム熱分解などによっても発生する。

[編集] 反応

と反応し、亜硫酸を生成する。

\rm H_2O + SO_2 \longrightarrow H_2SO_3

二酸化窒素との酸化還元反応により、一酸化窒素三酸化硫黄が生成する。

\rm NO_2 + SO_2 \longrightarrow NO + SO_3

過酸化水素との反応では硫酸が生成する。

\rm SO_2 + H_2O_2 \longrightarrow H_2SO_4

[編集] 構造

二酸化硫黄の構造

二酸化硫黄は C2v 対称の折れ線形構造である。電子に着目すると、硫黄原子の形式酸化数は+4、電荷は0で、5つの電子対を持っている。分子軌道法の点から見ると多くの電子対が結合に関与しており、典型的な超原子価化合物である。

硫黄酸化物一酸化硫黄と二酸化硫黄の S−O 結合長は、一酸化硫黄 SO (148.1 pm)、二酸化硫黄 SO2 (143.1 pm) と O の数が増えるにつれて短くなっているが、酸素の同素体二酸素オゾンの O−O 結合長は、二酸素 O2 (120.7 pm)、オゾン O3 (127.8 pm) と長くなっている。さらに、結合解離エネルギーが一酸化硫黄と二酸化硫黄では SO (524 kJ mol−1)、SO2 (548 kJ mol−1) と大きくなっているのに対し、二酸素とオゾンでは O2 (490 kJ mol−1)、O3 (297 kJ mol−1) と小さくなっている。これらの結果から、オゾンの各 O−O 結合が1.5重結合であること[3]と違い、二酸化硫黄の各 S−O 結合は少なくとも二重結合であることが分かる。

[編集] 用途

二酸化硫黄には抗菌作用があるため、食品添加物としてアルコール飲料ドライフルーツ保存料漂白剤酸化防止剤に使われている。腐敗を防ぐためというより、見た目を保つために用いられることが多い。ドライフルーツは独特の風味を持つが、二酸化硫黄もその一因となっている。ワイン製造にも重要な役割を果たしており、ワイン中にもppm単位で存在している。抗菌剤や酸化防止剤の役割を果たし、雑菌の繁殖や酸化を防ぎ、酸性度を一定に保つ手助けをしている。

二酸化硫黄は還元剤としても用いられる。水の存在下で還元的な脱色作用を示すため、紙や衣服などの漂白剤として用いられる。しかし空気中の酸素により再酸化が起こるため、この漂白作用は長くは続かない。新聞紙が黄色く変色するのはこのためである。

二酸化硫黄は硫酸の生産にも用いられる。この場合二酸化硫黄の酸化により三酸化硫黄を合成し、ここから硫酸が合成される。この方法は接触法として知られている。

クロード・リブ(Claude Ribbe) の『ナポレオンの犯罪 The Crime of Napoleon』によると、二酸化硫黄は19世紀の初めまで、フランス皇帝によりハイチの奴隷の反乱の鎮圧に用いられていた。

二酸化硫黄はの伸縮に関する受容体の信号を止め、ヘーリング・ブロイエル反射を止める。

フロンの開発に先立ち、二酸化硫黄は家庭用冷蔵庫冷却材に用いられていた。

[編集] 排出量

アメリカ合衆国EPA2002年に報告したデータ[4]によると、アメリカ合衆国の二酸化硫黄排出量の変遷は以下のようになっている(単位:S/T)。

*1999 18,867
*1998 19,491
*1997 19,363
*1996 18,859
*1990 23,678
*1980 25,905
*1970 31,161

主にEPAの酸性雨対策プログラムの主導により、アメリカ合衆国の二酸化硫黄排出量は1983年から2002年の間で約33%減少した。これは排気ガスの脱硫技術が進み、硫黄を含む燃料を燃焼させても硫黄酸化物を回収できるようになったためである。特に酸化カルシウムは二酸化硫黄と反応し、亜硫酸カルシウムになることで二酸化硫黄を吸着する。

CaO + SO2 → CaSO3

空気下では、亜硫酸カルシウムは硫酸カルシウムへと酸化される[要出典]

2006年現在、中華人民共和国が世界で最も二酸化硫黄を排出している国である。2005年の排出量は2549万トンであった。この排出量を2000年のものと比較すると約27%増加しており、アメリカ合衆国の1980年の排出量に相当する。

[編集] 水への溶解度の温度依存性

22 g/100ml (0 °C) 15 g/100ml (10 °C)
11 g/100ml (20 °C) 9.4 g/100 ml (25 °C)
8 g/100ml (30 °C) 6.5 g/100ml (40 °C)
5 g/100ml (50 °C) 4 g/100ml (60 °C)
3.5 g/100ml (70 °C) 3.4 g/100ml (80 °C)
3.5 g/100ml (90 °C) 3.7 g/100ml (100 °C)

[編集] 毒性

二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せき気管支喘息気管支炎などの障害を引き起こす。

0.5 ppm 以上でにおいを感じ、30-40 ppm 以上で呼吸困難を引き起こし、100 ppm の雰囲気下に50~70分以上留まると危険。400 ppm 以上の場合、数分で生命に危険が及ぶ。500 ppm を超えると嗅覚が冒され、むしろ臭気を感じなくなる。高濃度の地域に短時間いるよりも、低濃度地域に長時間いる場合の被害のほうが多い。

代表的な例として、日本における第二次世界大戦後の四大公害事件とされ、1961年頃より発生した四日市ぜんそくがあげられる。196070年代に高濃度の汚染を日本各地に引き起こしたが、工場等の固定発生源石油の使用による発生も脱硫装置により対策が進められた結果、汚染が改善された。また足尾銅山鉱毒事件も有名である。

19世紀半ばのクリミア戦争ではセバストーポリの戦いでイギリス軍が化学兵器として使用したのではないかとも言われている。

2007年現在、日本では二酸化硫黄の環境基準は1時間値の1日平均が 0.04 ppm 以下であり、かつ1時間値が 0.1 ppm 以下であることとされている。

[編集] 参考文献

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  1. ^ Table of Geometries based on VSEPR
  2. ^ Dr. Mike Thompson, Winchester College, UK http://www.chm.bris.ac.uk/motm/so2/so2h.htm
  3. ^ Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements, 2nd Ed., Oxford: Butterworth-Heinemann. ISBN 0-7506-3365-4.  p. 700
  4. ^ [1]

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月23日 (月) 10:23 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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