亡霊

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亡霊(ぼうれい)は、日本の民間信仰といわれる、古神道祖霊信仰の中の観念の一つで、死者霊魂現世(うつしよ)に留まり、生前の姿で幽か(かすか)に可視化したのこと。

幽霊(お菊月岡芳年

目次

[編集] 亡霊の類例

古神道や神道において、祖霊信仰(先祖崇拝)は根幹となる価値観の一つであり、死者の霊魂の存在の観念と共に縄文時代にはすでに発生していたといわれている。(たましい)や御霊(みたま)は重要な概念であり、御霊は分霊することも可能であるとしている。また荒御魂和御魂という魂の様相があり、それぞれ「荒ぶり禍をもたらす魂」と、「和ぎり福をもたらす魂」とされる。世界観においては、現世(うつしよ)という現実世界と、常世・常夜(双方とこよ)または、幽世(かくりよ)といわれる神域に別れ、常世は天国理想郷とされ、常夜は地獄黄泉の国とされる考えと、たんに幽世といわれる神の世界であり死後の世界という考えがある。以上の前提により「日本で伝承されてきた」亡霊とその他の類例を表記する。

現世
  • 人魂 - 御魂とは玉・珠でもあり、球体をしているとされる。本来は見えないものが、幽かに可視化したもの。正月(精霊・祖霊は年神の起源でもある)やの時期に帰ってきた祖霊(精霊・しょうろう)や、肉体を離れた直後の御魂などといわれる。
  • 死霊 - 現世に残る、死者の霊魂の全てをさす。また生霊の相対語としても使われる。

和御魂 - 辞書の大辞林などでは、悪霊に分類されていないため和御魂とした。

  • 亡霊 - 死後、肉体を離れた魂が、現世に残り、生前の姿で幽かに可視化したもの。何故そうなったのか客観からは解らない。
  • 幽霊 - 死後、肉体を離れた魂が、遺恨を解くため現世に残り、生前の姿で幽かに可視化したもの。何故そうなったのか理由がある。遺恨を解くことは、好いことであると解釈できる。

荒御魂

  • 悪霊 - 禍をもたらす霊魂のこと。
    • 怨霊 - 死後、肉体を離れた魂が、怨念から現世に残り、生前の姿で幽かに可視化し、禍をもたらすもの。
    • 生霊 - 生きている人の強い怨念から、魂の一部が分霊し、その人の姿で幽かに可視化し、禍をもたらすもの。
幽世
  • 精霊(しょうりょう・しょうろう) - 常世・常夜(とこよ)へ旅立った霊魂で、お盆に帰ってきても、見ることはできない。(注意:「せいれい」と読んだときは日本以外の神霊の類のこと。若しくは文化人類学のアニミズム論で用いられる魂や霊魂や命や神の総称や一部を表す言葉)
  • 祖霊(それい)精霊のことでもあるが、精霊の内、あくまで子孫がいる者の霊を祖霊とする考えや、死後の時間経過や子孫の弔い(とむらい)のしかたにより、位付けされ、精霊から祖霊に果ては神に変わるとする考えや、現世に残った死霊と常夜へ旅立った精霊の総称を祖霊という考えがある。

[編集] 伝承のない霊の類とされる造語

その他、自然霊・守護霊・動物霊・浮遊霊・地縛霊(地縛という言葉すら存在しない)などは、近年に作られた「造語」で、特定の利益誘導からともとれる、ごく狭い範囲の人々の考え(思想にすらならない)で、漫画などで流布された、流行廃りの風説の類であり、民俗学文化人類学などの、学問の机上にものらない、いい加減な言葉である。

[編集] 幽霊と亡霊の違い

亡霊も幽霊とは、「死後、肉体を離れた魂が、現世に残り、生前の姿で幽かに可視化したもの」までは同じだが、幽霊には「遺恨を解くためという理由があり、亡霊は客観からは解らない」としたが、祖霊信仰が根幹となることから、子孫を持たない者は祖霊となることが、出来ないと解釈されることや、「子孫がいない誰も慰霊しない」即ち、忘れ去られた霊という意味での亡霊ともいえる。または、柳田國男によれば、神域死後の国はないという前提を提唱した上で、「縁故のない霊は精霊にならず、現世を彷徨う死霊になる」といっていることからも、柳田國男の謂うその死霊が、亡霊だともいえる。以上をまとめると下記のようになる。

  1. 未練や遺恨という理由があって、現世に残っているのが幽霊。理由は無い、もしくは不明なものが亡霊。
  2. 子孫がいて祖霊になれるが、理由があって現世に残っているのが幽霊。子孫が無く祖霊になれないため、幽世へ旅立てなく、忘れ去られたものが亡霊。若しくは忘れ去られたくないため、現世に残ったものが亡霊。
  3. 子孫がいて祖霊になれるが、理由があって現世に残っているのが幽霊。祖霊になれないので、仕方なく現世を彷徨っているものが亡霊。

[編集] 派生的用法

ある時代に隆盛し、流布された思想・主義主張・社会組織や国家体制から虚言・風説に至るまでの社会現象が、時間経過と共に廃れて忘れ去られた頃に、降って湧いたようにその事象が散見された時、その事象が突然現れたことやぶり返したことに対しての比喩として使われる。

例えば、かつてイギリス帝国にあったアメリカ合衆国英国エリザベス女王が訪れる際、旧宗主国の君主を迎え入れる旧植民地の一国として、敬称をどのようにするか議会で協議した事を指し、「英国におもねって、マム(Mam)と呼称するのは、大英帝国の帝国主義の亡霊だ」というように使われる。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月19日 (木) 17:32 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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