交響曲第7番 (シューベルト)
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交響曲第7番は、オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトの作曲した7番目の交響曲であるが、シューベルトの後期の交響曲は何度も番号が変更されており、「交響曲第7番」が示す曲もその都度変化している。
- D944(ハ長調)→現在の第8番。未完成作品を除いて7番目の交響曲であるため、かつては第7番と呼ばれていた。その後、第9番、第10番と呼ばれたこともある。「ザ・グレート」(大交響曲)ハ長調。
- D729(ホ長調)→現在は番号はついていない。大半がスケッチのみの未完の交響曲。後世の指揮者や音楽学者らによりオーケストレーションされた版で演奏されることもある。
- D759(ロ短調)→現在の第7番。旧第8番。「未完成交響曲」ロ短調。
本項では、現在の交響曲第7番について扱う。
交響曲第7番ロ短調D759「未完成」(Sinfonie Nr. 7 in h moll D. 759 "Die Unvollendete" )はオーストリアの作曲家フランツ・シューベルトが1822年に作曲した未完の交響曲である。シューベルトの代表作のひとつであり、ベートーヴェンの「運命」・ドヴォルザークの「新世界」と並んで三大交響曲と呼ばれ、大衆的な人気がある。かつてのレコード業界では「運命」と「未完成」のカップリングは、いわゆるドル箱として重視されていた[1]。
目次 |
[編集] 初演
[編集] 曲の構成
- 第1楽章 Allegro moderato ロ短調、4分の3拍子。冒頭からロ―嬰ハ―ニの有名な動機が現れる。単に序奏というのではなく楽章の最後まで執拗に支配している。木管の甲高い第1主題を弦楽が支えながら第2主題に入る。ト長調の伸びやかなチェロがシンコペーションに乗って歌われる。展開部は序奏を発展させる形のもの。半音階ずつ転調を繰り返す。
- 第3楽章 Allegro - ロ短調、4分の3拍子。20小節目までが総譜にされ、残りはピアノスケッチ(主部114小節)のみ。主部は転調がめまぐるしい。トリオはト長調だが16小節で自筆譜は途切れている。楽譜の発見当時、見つかった総譜部分は8小節までだったため、現在流布している楽譜には補遺として8小節まで収録されているものが多い(9小節以降は近年になって切り取られた形で発見された[2])。
交響曲は通常4つの楽章から構成され、その最も典型的な形が「運命」や「新世界」などに見られるアレグロ・ソナタ - 緩徐楽章 - スケルツォ - フィナーレ という形式である。シューベルトも当初はそのようなものを構想して、この交響曲ロ短調の作曲を進めていったのであろうと考えられる。しかし、シューベルトは第2楽章まで完成させ、スケルツォ(第3楽章)をスケッチまでほぼ仕上げながら、そこで作曲を中止してしまった。このような経緯により交響曲ロ短調D759は、第2楽章までしかない未完成交響曲となってしまったのであった。
なぜ第2楽章までで作曲を中止してしまったのかにはさまざまな説がある。例えば「第1楽章を4分の3拍子、第2楽章を8分の3拍子で書いてしまったために、4分の3拍子のスケルツォがありきたりなものになってしまった」というもの、また「シューベルトは、第2楽章までのままでも十分に芸術的であると判断し、それ以上のつけたしは蛇足に過ぎないと考えた」という説などである。事実、第3楽章のスケッチの完成度があまり高くないため、シューベルトのこの判断は正しかったと考える人は多い。もっとも、このように音楽作品を完成させないまま放棄するということをシューベルトはきわめて頻繁に行っており[3]、「未完成」であることは、この交響曲の成立に関してそれほど本質的な意味はないとする考えもある。
シューベルトが残したスケルツォにオーケストレーションをほどこして第3楽章とし、劇付随音楽「ロザムンデ」の間奏曲を流用して第4楽章とする4楽章の完成版(イギリスの音楽学者エイブラハムとニューボウルドによる[4])として演奏する例もないことはないが、趣味の悪い選択でしかないという意見も多い。
シューベルトの多くの作品で見られることだが、第1楽章の第1主題冒頭の自筆譜にかかれた記号はアクセントなのかデクレッシェンドなのか判然とせず、今でも見解が分かれたままである。「そのどちらでもなく」演奏することが慣例だが、どちらかにしてしまう極端な解釈の演奏も見られる。
なお、20世紀の名指揮者・作曲家であったフェリックス・ワインガルトナーは、この曲の未完の第3楽章を補筆し、自作の「交響曲第6番」作品74の中に使用している。
[編集] 楽器編成
フルート 2、オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、ホルン 2、トランペット 2、トロンボーン 3、ティンパニ、弦五部
[編集] 関連項目
- 未完成交響曲
- 素晴らしき日曜日
- 未完成交響楽 - シューベルトを扱った伝記映画(1933年)。「わが恋の終わらざる如く、この曲もまた終わらざるべし」の台詞が有名。
- レオポルト・ゴドフスキー:1927年、この曲の第1楽章序奏を基にしたピアノ曲"Passacaglia - 44 variations, cadenza and fugue on the opening of Schubert's "Unfinished" Symphony"を作曲[1]。マルカンドレ・アムラン、コンスタンティン・シチェルバコフらによる録音がある。
[編集] 外部リンク
- シューベルトの交響曲第7(8)番D759の総譜(PDF) - IMSLP: The International Music Score Library Project
- シューベルトの交響曲第7番D759の演奏 (MP3) - The Columbia University Orchestra (楽章別, bit rate:160Kbps)
- シューベルトの「未完成交響曲群」について
[編集] 脚注
- ^ LPレコードは、片面の収録時間が約30分だった。この2曲の交響曲は、通常のテンポでの演奏時間がほぼこれに合致し、かつ大作曲家のニックネーム付きの名曲ということもあり多くの指揮者とオーケストラによる録音が多数発売された。CD時代になり、廉価盤のBOXセットによるベートーヴェンの交響曲全集盤が多数発売されるようになると、「未完成交響曲」の方は単独で発売されることがあまりないため、シューベルト交響曲全集の一貫として録音されたものでない限り、LP当時にカップリングされていた「未完成」を容易に入手できないことがある。
- ^ こちらでMIDIファイルが公開されている
- ^ この曲以外にあと5曲の未完成交響曲がある。作曲途中である種の完成感に至り、全曲の完成を諦めた例としてはクロード・ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」がある。
- ^ その他の未完成交響曲も含めて録音したネヴィル・マリナー指揮によるシューベルト交響曲全集がある。
最終更新 2009年10月7日 (水) 09:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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