交響曲第8番 (シューベルト)
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フランツ・シューベルトの交響曲第8番(こうきょうきょくだい8ばん)ハ長調は、1825年に作曲された4楽章から成る交響曲である。
目次 |
[編集] 解説
[編集] 概要
シューベルトの交響曲第8番は、古くより番号が様々に呼ばれ、はじめは未完のものを除いて7番目なので第7番と呼ばれていた。次いで、未完のもの2曲を含めて第9番と呼ばれたこともある。最近では、未完の交響曲のうちいわゆる「未完成交響曲(ロ短調交響曲)」だけを数に入れ、国際シューベルト協会のように第8番とすることが多くなってきている。
本交響曲は通称「ザ・グレート」(英:The Great、独:Die große C-Dur)と呼ばれているが、この呼び名はシューベルトの交響曲にハ長調の作品は第6番と第8番の2曲あり、第6番の方が小規模であるため「小ハ長調」と呼ばれ、第8番が「大ハ長調」と呼ばれることに由来する。
この「ザ・グレート」はイギリスの楽譜出版社によって付けられたものだが、本来は「第6番に比較して大きい方」といった程度の意味合いしか持たず、「偉大な」という意味ではない。しかしながらそのスケールや楽想は(本来意図したものではないにせよ)「ザ・グレート」の名に相応しく、現在ではこの曲の通称として定着している。
指示通りに演奏してもゆうに60分以上かかる大曲である。ベートーヴェンの大規模交響曲と力強さとを受け継ぎ、彼独自のロマン性をくわえて完成された作品となっており、後のブルックナー、マーラー、20世紀のショスタコーヴィチなどの交響曲につながっている。
[編集] シューマンによる再確認
この作品は、シューベルトの死後、1838年にシューマンが自筆譜を確認して世に知られるようになった。シューマンはウィーンのシューベルト宅を訪れた際、シューベルトと言う先輩作曲家に敬意を払って訪問したが、あくまで歌曲の作曲家という程度の意識であった。彼の部屋を管理していた兄フェルディナントはシューベルトの死後そのままに仕事机を保管していた。その机の上にあった長大な交響曲をシューマンが発見し、歌曲の作曲家と言う意識を根本的に覆すその発見に驚愕した。シューマンはぜひこれを演奏したい、楽譜をライプツィヒの盟友メンデルスゾーンに送りたいとシューベルトの兄に懇願し、ようやく許可を取り付けてメンデルスゾーンのもとに楽譜が届けられたという。
[編集] 『グムンデン・ガスタイン交響曲』
この交響曲はかつては直筆譜の日付から1828年の作曲と考えられてきた。しかし用紙のすかし模様が25年ごろに用いられていたものと一致すること、28が25の読み間違いの可能性があることなどの理由から現在では1825年から26年にかけてのの作曲であると考えられている。そのためこの作品はいわゆる『グムンデン・ガスタイン交響曲』の浄書にあたるものとされている。
[編集] データ
- ドイッチュ番号:944
- 作曲時期:1825年-1826年
- 演奏時間:すべて楽譜どおり繰り返すとほぼ60分。すべての提示部の繰り返しなしで約50分。
- 楽器編成フルート 2、オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、ホルン 2、トランペット 2、トロンボーン 3、ティンパニ 1対、弦五部
- 初演:1839年(遺作)ライプツィヒにてメンデルスゾーン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による。
[編集] 構成
[編集] 第1楽章
Andante. Allegro ma non troppo
ハ長調、2/2拍子、序奏付きソナタ形式。ホルンの伴奏を伴うユニゾンでおおらかに始まる。この開始部分はシューマンの交響曲第1番「春」やメンデルスゾーンの交響曲第2番のモデルとなっている。この序奏部分が楽章全体を構成する主要なモチーフを提示している点に大きな特徴がある。第1主題は音の大きく動く付点のリズムと3連符に特徴がある。第2主題が5度上の属調であるト長調ではなく、3度上のホ短調で書かれているのも大きな特徴。リズミカルなモチーフを主体として主題が構成されている点には、尊敬してやまなかったベートーヴェンの特に交響曲第7番と多くの共通点を持つ。一方で、大胆な転調や和声進行にはシューベルトらしさが満ちあふれている。第662小節から最終685小節まで序奏の主題が、音価が二倍に引き伸ばされて2度力強く再現され、楽章を終える(この手法を、シューベルトは交響曲第1番第1楽章ですでに用いている)。
なお、初版においては拍子が4分の4拍子に改竄されていた。現在では、本来の自筆譜通りに戻されている。
[編集] 第2楽章
Andante con moto
イ短調、2/4拍子、展開部を欠くソナタ形式。ABABAの形式となっている。主としてオーボエが主旋律を担当するAは、スタッカートが特徴のリズミカルな動機を主体とし、かつ3つの異なる旋律から構成され、ピアノとフォルテシモの頻繁な交代を特徴としている。Bはヘ長調で書かれ交響曲第7番 (シューベルト)第一楽章と同じ調性関係)、Aとは対照的に息の長いレガートを主体とした下降旋律を特徴とする。シューベルトの面目躍如たる美しい旋律。対旋律の美しさも特筆に価する。第148小節から12小節に渡るホルンと弦との対話はシューマンが絶賛した。再現部では、Bは主調の同主長調であるイ長調で再現する。第330小節からのコーダではAが短縮された形で再現する。
[編集] 第3楽章
Scherzo. Allegro vivace
ハ長調、3/4拍子のスケルツォで、複合三部形式。息せき切るような主部の旋律と、雄大な中間部トリオ(イ長調)の旋律の対照が効果的である。
[編集] 第4楽章
Finale. Allegro vivace
ハ長調、2/4拍子、ソナタ形式。1,155小節にも及ぶ長大なフィナーレ。第1楽章同様、付点のリズムと3連符に特徴があるが、もっと急速で息を付かせない。ところどころ同じ和音が数小節にわたって続くところを、どう聞かせるかが、演奏者の腕の見せ所である。なお、途中にベートーヴェンの交響曲第9番の「歓喜の主題」が改変され引用されている。
[編集] 演奏上の問題
第1楽章においては、序奏がコーダで再現されるところで、両者のテンポ設定をどうするかが問題となる。自筆譜の拍子及びメトロノームに忠実に基づいてテンポ設定をすると、コーダが速すぎて楽章全体のクライマックスを破壊しかねない。
そして上で述べたとおり終楽章の同じ和音の連続をどう処理するかが問題となる。
また、シューベルトの多くの作品で見られることだが、自筆譜に書かれた記号(>だが、アクセントにしては異様に長く、デクレッシェンドにしては短い)はアクセントなのかデクレッシェンドなのか判然としない書き方も見られる。「どちらでもない」演奏が一般的だが、時に極端な解釈も見られる。特にフィナーレの最後の小節に関しては、それまでの楽曲の流れを重視して強奏で終わることが通例となっている。
[編集] 参考文献
- 「【新音楽鑑賞法】名曲に何を聞くか~音楽理解のための分析的アプローチ~」田村和紀夫著、音楽の友社、2004年 ISBN 4276101433
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年10月29日 (木) 14:32 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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