人体自然発火現象

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人体自然発火現象(じんたいしぜんはっかげんしょう、Spontaneous Human Combustion、SHC)は、人間の体内から突然発火し、正確な出火元が不明の現象として、かつて信じられていた現象である。現在では、そのような現象は存在しないことが明らかになっている。人体が発火元になったのではなく、通常起こり得る原因による火災が、特殊な条件下において人体のみを燃やすと言う結果になったのを、人体発火として誤認していたものである。

人体発火説では「周りに火の気が無く、人体の周りだけが焦げ、人体そのものはほんの一部を残して炭化ないし焼失している」とされている。しかし火災を誤認したとみる説では何らかの疾病などで急死した人物の着衣にタバコや照明暖房などを熱源として火が付き、締め切った断熱性の高い屋内で着衣やその周辺がゆっくりと燃える過程で人体の脂肪分が燃料となり更に燃え続け、周囲への延焼も無く室内の酸素が消費されつくして建物が延焼せず鎮火した偶然の結果だというものである。

目次

[編集] 概要

人体自然発火現象は、周辺に火気がないにも関わらず、突然人間から発火する。発火は、一定の時間でおさまる。また、発火後の炎上の仕方も、はっきりと下半身のみを残して焼けていたり、片腕だけだったり、背中の一部のみだったりする。被害者は死亡する事例が大半であるが、命にかかわらない部位が焼けたのみの生存者も多くいる。

前述のように、過去にはタバコやアルコールを多く使用する女性に被害の報告例が集中していたため、「タバコに含まれる物質や、体内にあったアルコールが燃料状態になり、何らかの理由で発火したのではないかと言われていた。

また、事件の事例は、イギリスが圧倒的に多いことから、イギリスに地理的な原因があるのではないかともいわれていた。

[編集] 主な仮説

人体自然発火現象の仮説は、主に以下のようなものがあった。

[編集] アルコール大量摂取による発火説

前述にもあったが、この仮説は、アルコールを大量に摂取することによって、体内にアルコールが残り、残ったアルコールが燃料状態になるという説である。しかし、アルコールを摂取しない人も被害に遭っているため、現在ではこの説は否定されている。

[編集] リンによる発火説

大気中で激しく燃え上がるリンが、発火を引き起こしているとする説である。しかし、リンが体内で発火することは考えにくい。

[編集] プラズマ発火説

プラズマが被害者に偶然移ることによって、発火するという説である。イギリスでプラズマが多く発生するため、イギリスでの事例が集中しているともいわれていた。

[編集] 人体ロウソク化による発火説

人体がロウソクのような状態になることによって発火する説である。

[編集] 人体帯電説

被害者の体内に、ある一定の量の電圧が発生し高温になった状態で、何らかの理由で発火するという仮説である。

[編集] 発火性遺伝子による発火説

人間の体に含まれる遺伝子の中に、発火性のものがあり、それが突然発火するという説である。一部の科学者たちはこの説に注目している。ただし、そのような遺伝子は発見されていない。

[編集] その他

そのほかの説としては、以下のような仮説がある。

電磁波発火説
空中に大量に放出された電子が、被害者への発火を引き起こすとするもの。
レイライン説
地球上のレイライン(仮説的概念・古代文明の遺跡を結んだ線)と呼ばれる、ある一定のライン上で何らかの作用により、このような現象が起こるとするもの。
球電説
プラズマ説の一種で球電の際などに観測される特殊な形態のプラズマとみられる現象・火の玉参照)によるとするもの。

[編集] 主な事例

[編集] メアリー・リーサーの事例

1951年7月1日の夕方、アメリカ合衆国フロリダ州セントピータースバーグのマンションでおこった事例。被害者のメアリー・リーサーの息子、リチャード・リーサーが母親のマンションを訪ねると、母親はスリッパを履いたままの足などを残して、すでに焼け死んでいた。遺体の周囲にあった古新聞紙などは燃えていなかったと言われているが、これはオカルト信者の広めたほら話にすぎない。実際には部屋の可燃物はすべて燃えており、遺体発見時でもまだ火がくすぶっていた。ただ、部屋がコンクリート製だったため、燃え広がらなかっただけである。

前日に息子が母親を訪ねた際は、母親は読書をしていたというが、その後の電話で、睡眠薬を四錠飲むと言っていた。

[編集] アルフレッド・アシュトンの事例

1988年1月8日に、イギリス南部のサウサンプトンでおこった代表的な人体自然発火現象の事例である。被害者アルフレッド・アシュトンは、下半身のみをくっきりと残して焼け、発見時には既に死亡していた。周辺には、火気らしきものはなかった。室内は高温だった。

[編集] 中国河南省の22歳の男性の事例

2008年1月13日に、中国河南省商丘市在住の22歳の男性の陰茎性交中に突然発火、大学の同級生でもあり同居中の18歳の女性が下半身に重度の火傷を負ったことが同年1月15日付けの台湾「連合報」により報じられた。2人はレンタルームで性交を行っていた最中であったが、突然に下半身に焼けるような痛みに加え熱を感じたことから、男性が陰茎から抜いたところ、男性の陰茎が真っ赤に発火し、強い熱を帯び触れられないほどであったが、最後は黒変し消し炭状になったという。2人を診察した医師は人体発火の可能性を示唆した。こうした事例は中国でははじめてであるという。[1]

[編集] その他

漂白剤・消毒剤として用いられる次亜塩素酸ナトリウム水溶液を浴びた衣服を洗浄せずに乾燥させ、着用していたところ突然爆発した事例がある。これは化学反応によって塩素酸ナトリウムなどの強酸化剤が生成され、摩擦熱などによって着火したものである。

衣服に用いられるフリースは構造上多量の空気を含むため、調理時の不注意などで着火すると爆発的に炎上することが知られている。これは起毛部分の多いセーターなどにも見られる「着衣着火」および「表面フラッシュ現象」と呼ばれる現象で、調理のための熱源(コンロ)を操作した際に袖口に着火したケースや、タバコに着火しようとして胴体に引火したケースが報告されている。こうして着火したものが、そのまま全身の表面を移動するように燃焼が進行することで全身大火傷を負う危険もあり、死亡したケースも少なからず存在する[1]。瞬間的な着火では致命的な火傷とはならないが、着火に驚いて熱湯の詰まった薬缶を取り落として足に火傷を負ったケースも報告されている。特に寝巻きやバスローブ・セーターなど、柔らかな風合いが好まれる着衣で、手触りを良くするために緩やかで起毛させてある素材の危険性が高い。

[編集] 脚注

  1. ^ 服が燃えて大やけど! 知られざる危険「着衣着火」国民生活センター・1997年2月4日リリース

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月21日 (土) 13:41 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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