人力飛行機
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人力飛行機(じんりきひこうき)は、人間の筋力のみを動力源とする飛行機のことである。推進力としてのモーター等の併用は認められないが、操縦系統などでサーボモータ等を使うことがある。
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[編集] 構造
多くの人力飛行機は、主翼、フレーム、プロペラ、コクピット(操縦席)、尾翼に分かれ、その他に機体を操作するための操舵系とプロペラに回転力を伝えるための駆動系が存在する。またさらに細かく見ると、構造は高翼式(コックピットの上部に主翼がある型)で、プロペラは単発のトラクター(牽引)方式であることが多い。これは後述の世界記録保持機であるダイダロスの構造に倣っていることが多いためである。ここでは、先尾翼などの特殊な形態のものではなく、ダイダロス形の構造を持つ人力飛行機について詳述する。
[編集] 主翼
主翼は、大きく分けると主桁、リブ、外皮の3つに分けられる。
主桁は主にカーボンパイプでできている。主桁は翼を支えるためのもっとも重要な場所で、これが壊れると主翼全体が壊れる。よって、丈夫に作らなければならないが、重く作ると飛行機自体が飛ばなくなるので、軽くて丈夫なカーボンパイプを使用している場合が多い。一部の団体では、カーボンパイプの代わりにボックス構造にした木材を使用している団体もある。
リブはほとんどの場合その主翼の翼形状をしている。これに主桁を通し、平行にして何十枚も組み合わせることによって翼を作る。多くのリブはスタイロフォームや発泡スチロールを使用している。翼形状は、DAEシリーズやNACAシリーズ、Epplerシリーズが用いられるが、MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発したDAEシリーズが用いられるのが普通である。
外皮は、リブと主桁で形作られた翼を周りから覆うもので、大抵二重構造になっている。一層目は、スチレンペーパーなどを翼の前縁に貼り付け、二層目は、ポリエチレンフィルムなどで翼全体を覆う。このとき、外皮の厚みなどによって、翼の抵抗がかなり違ってくる。よって、外皮の貼り付けは慎重に行わなければならない。
またウィングレットを装備している機体もあるが、装備した場合の重量増と得られる効果の兼ね合いが不明(解析が困難)なため各チームの裁量で決められているのが現状である。
[編集] フレーム(胴体)
フレームは、機体を形作る上でもっとも重要な要素のひとつである。ほとんどの人力飛行機でカーボン(CFRP)パイプを使用している。コックピットもフレームで形作られる。
[編集] プロペラ
推進力を得るためのプロペラは、人力飛行機の場合、脚力という力をどのくらい大きな推進力に変えられるかが重要になる。よって、効率のよい翼形状を使用し、且つ軽く作らなければならない。翼形状でもっとも効率がよいとされるのがDAE51である。また、材料は、FRPやバルサ材、スタイロフォームなど団体によってまちまちである。
[編集] コックピット
パイロットがペダルを漕ぐ姿勢の違いでアップライト型とリカンベント型の二つに分けられる。アップライト型は、通常の自転車と同じようにまたがってペダルをこぐスタイルで、空気抵抗は大きくなるものの、パイロットにとっては自転車に乗っているようなスタイルとなるので、大きな力が出しやすい。リカンベント型は、背もたれに寄りかかってこぐスタイルで、空気抵抗が小さく、周りのフェアリングによりさらに空気抵抗を小さくすることができるので空気力学上は大きな効果があるが、パイロットにとってはまったく逆になる場合が多く、こぎづらく、大きな力も出せないことが多い。
コックピットはアップライト型、リカンベント型を問わず、CFRPパイプを用いたフレーム構造(ラーメン構造)で形作られることが大半であり、パイプ同士の接合部にはハンドレイアップ積層法によってカーボンのクロスを積層させ、剛接合している事が多い。
また周りを覆うフェアリングは、空気抵抗を小さくするために重要である。強度はコックピットのフレームに全てを持たせ、フェアリング自身は緊急時のパイロットの脱出を考慮して発泡スチロール、バルサ等の軽量かつ脆弱な材料が使われる。
[編集] 尾翼
上下安定を保ち、エレベーター(昇降舵)の役目を持つ水平尾翼と、左右安定を保ち、ラダー(方向舵)の役目を持つ垂直尾翼の二つに分けられる。構造としては主翼と変わらない。安定を保つ上で最も重要である。中には、尾翼が前方にある先尾翼機や、尾翼が存在しない無尾翼機がある。
[編集] 操舵系
主に尾翼を動かすための機関。電気により動かす方式と、ワイヤーを使って動かす方式があるが、近年では前者が多い。また、主翼の先端にエルロンをつける方式もあるが、構造的に主翼剛性が弱くなる危険性が大きいためあまり用いられない。
[編集] 駆動系
脚力をプロペラに伝える。自転車のようなチェーン駆動方式またはベルト駆動方式が用いられるが、前者が主流。回転の力や方向を変えるためにギヤが用いられることもある。最近は、ドライブシャフト駆動の機体も登場してきている。
1980年代前半に人力の運動エネルギーを蓄積する補助動力(発条、ゴム動力、フライホイール等)の人力飛行機への搭載を認める国際規約が一時的に認められ、実際に日本大学でゴム動力併用の人力飛行機が製作されたこともあるが、すぐに撤廃されている。
[編集] 主な人力飛行機
- ダイダロス'88…マサチューセッツ工科大学開発。飛行距離、滞空時間の世界記録保持機。(距離約116km)
- ミシェロブ-ライトイーグル…ダイダロス'88の試作機として開発された。1987年、パイロットとしてルイス・マッコーリンが乗り込み、飛距離15.44km、滞空時間37分38秒の女性記録を樹立。
- リネット(リネット1)…日本大学開発。1966年2月、日本初飛行。
- ストークB・・・日本大学開発。1976年12月 - 1977年1月、世界記録(ただしルール未整備につき非公認)達成。
- MÖWEシリーズ…日本大学開発。このシリーズ中のMÖWE21は飛行距離、滞空時間の日本記録保持機(距離約49km)。「鳥人間コンテスト選手権大会」に出場している。
- ゴッサマーアルバトロス…ドーバー海峡を横断した。
- ゴッサマーコンドル…クレイマー8の字飛行賞受賞。
- ダビンチIII…人力ヘリコプター
- YURIシリーズ…日本大学が開発した人力ヘリコプター。滞空時間の世界記録を持つ。
- ボッシ=ボノミ ペダリアンテ…1930年代にイタリアで造られた人力飛行機。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年10月27日 (火) 03:38 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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