低ナトリウム血症
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| 低ナトリウム血症 | |
| 分類及び外部参照情報 | |
![]() ナトリウム |
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| ICD-10 | E87.1 |
|---|---|
| ICD-9 | 276.1 |
| DiseasesDB | 6483 |
| eMedicine | emerg/275 med/1130 ped/1124 |
| MeSH | D007010 |
低ナトリウム血症(ていナトリウムけっしょう、英:Hyponatremia)とは血中ナトリウム濃度が135mEq/l以下になることをいう。血清Naの基準値は135~145mEq/lであり、尿中Na量は4~8g/日である。Naの摂取経路は経口および輸液であり、排出はレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系による調節と心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) によって決定されている。
目次 |
[編集] ナトリウムの動態学
体液の調節機構はCV系とVQ系とVV系という3つを想定するとわかりやすい。重要なことは体内ナトリウム量が細胞外液量を規定し、血清ナトリウム濃度が血漿浸透圧を規定するということである。
- CV系
血清ナトリウム濃度Cをとらえて体液量Vを調節する系である。Cを感知するセンサーは視床下部にある浸透圧受容体細胞である。脳細胞は一般的にBBBによって守られており、体液の変化を直接感知することはあまりないのだが、この部分はBBBの発達が悪く、血漿浸透圧を感知できると考えられている。血漿浸透圧が285~290mOsm/kgH2Oから2% 程上昇すると浸透圧受容体細胞が感知し、口渇中枢を刺激し、飲水を促し、また抗利尿ホルモンであるADHの分泌を促進する。ADHのわずかな上昇で、尿の濃縮は最大に達してしまうのが特徴である。逆に2%ほど血漿浸透圧が低下すると、ADHの作用はほぼ抑制されてしまう。ADHは集合管における水の再吸収にかかわっており、ADHが分泌されればナトリウムと独立に水の再吸収がおこり、濃縮尿が排出される。ADHの作用が抑制されれば、Na依存性の再吸収しか起こらない。GFRが100ml/minほどあればADHが抑制されれば20ml/minの自由水が排出できることが知られている。即ち、明らかな腎障害がなければ、人は1時間に1200mlの水を24時間摂取し続けてもADHの作用を抑制するだけでその水分を排出することができ、低ナトリウム血症には至らない。
- VQ系
体液量Vをとらえて、溶質量Qを調節する系である。具体的にはレニンアンギオテンシンアルドステロン系のことである。
- VV系
これは体液量Vをとらえて体液量Vを調節する系であり、HANPやBNPが相当する。また、左房圧の低下はADHの分泌を亢進させ、水分の再吸収を亢進させることも知られている。左房圧低下でのADHの分泌はあまり鋭敏ではないが極めて強力である。
[編集] 調節機構破綻による低ナトリウム血症
上述のCV系の働きにより通常ならば低ナトリウム血症は滅多な事では起こりえない。それが起こるにはそれなりの理由が必要である。血漿浸透圧が低下するのも関わらず、自由水が排出できない、即ち尿が低浸透圧にならない病態があるのである。そのようになるものは2つほど知られている。ひとつは自由水を作っているヘンレの上行脚に十分量の尿量が到達しない、もうひとつは血漿浸透圧が低下しているにも関わらずADHがの分泌が亢進しており集合管で水の再吸収が起こっている場合である。
- ヘンレの上行脚に十分な尿症が到達しない場合
真っ先に考えられることは急性腎不全や慢性腎不全でGFRが低下し、乏尿となっているのに水負荷をしたときである。またGFRが低下していなくとも有効動脈血流量が低下した病態では近位尿細管での尿再吸収が亢進した結果ヘンレの上行脚に十分量の尿量が到達しなくなる。こういった病態は心不全、肝不全、ネフローゼ症候群で知られている。
- 血漿浸透圧と関係なくADHが分泌されている病態
まっさきに考えられるのはVV系による修飾、即ち有効循環血漿量が低下しているときである。それ以外に薬剤、ストレス(疼痛)、糖質コルチコイドの欠乏などがあげられる。またSIADHという病態も重要である。ADHが作用しすぎた場合は低ナトリウム血症の症状が出るのにも関わらず、ADHが作用しない尿崩症では高ナトリウム血症で発症することは少ない。これは尿崩症の場合は多飲で代償するからであると考えられている。多飲出来ない環境ならば高ナトリウム血症となりえる病態である。
[編集] 低ナトリウム血症の分類
臨床上は以下の4つのタイプが観測されている。
- 細胞外液不足(欠乏性低ナトリウム血症)
- 水欠乏を上回るナトリウム欠乏が起こっている病態である。腎性体液喪失として尿細管障害やアジソン病、利尿薬の投与などでおこる。腎外性体液喪失としては嘔吐、下痢、経管ドレナージなど消化管からの喪失や、熱傷、膵炎、腹膜炎といったサードスペースへの喪失などがあげられる。発汗などで水分塩分を大量に失い、塩分を補給せず水分のみ大量に補給することでも陥りやすい。細胞外液不足のため腎臓への血流が極度に低下し、腎前性腎不全となる。
- 水過剰(正常循環血液量性低ナトリウム血症)
- このカテゴリーで最も多いの高齢者の癌患者などでおこるSIADH、その他甲状腺機能低下症、ACTH単独欠損症、多飲症、reset osmostatなどがあげられる。尿中ナトリウム濃度が20mEqを超えているのが特徴である。
- 細胞外液過剰(希釈性低ナトリウム血症)
- ナトリウム過剰を上回る水過剰がある場合である。多くは浮腫を伴っている。腎不全やその他の浮腫性病変として、うっ血性心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群などがあげられる。入院患者でよく見られる。
- 偽性
- 脂肪などの増加による見かけ上の水過剰。高脂血症や高血糖で起こることがある。
これらを鑑別するには身体診察やバイタルサインによることが多い。細胞外液量が低下しているときは皮膚、粘膜の乾燥、脈拍増加、血圧低下(特に起立性低血圧)などで判断する。逆に浮腫があれば細胞外液は増加していると考える。こういった所見がなく、明らかな病歴がなければ細胞外液量は正常とみなして考えていくのが一般的である。そして尿中のナトリウム濃度を調べる。細胞外液や有効循環血漿量や血圧が低下した時は、細胞外液を維持するため腎臓はナトリウムを再吸収しようとするので腎臓が適切に働いていれば、尿中ナトリウム濃度は10mEq位と低値になっているはずである。
[編集] 低ナトリウム血症の治療
- ナトリウム欠乏の場合は塩化ナトリウムを補充する。48時間以内に25mEq/l以上のナトリウム補正をすると橋中心髄鞘崩壊症 (CPM) を起すことがある。
- 水分過剰(例:水中毒)の場合は水分制限を行う。特にSIADHの場合は重要である。
- 細胞外液過剰の場合は、厳重な水制限、水排出促進、ナトリウム摂取制限やナトリウム排出促進が必要である。水制限でうまくいかないとき、例えば、痰が絡んで水を制限すると呼吸不全になりそうなときは、レダマイシン、炭酸リチウムなどを用いて尿崩症を起してみたり、副腎皮質ホルモンを用いるという裏業も存在する。しかしそれはどこまでの治療を要求するのかという社会的な問題もある。
[編集] 低ナトリウム血症の診断
治療法がわかってこそ、診断には意味がある。まずは血漿浸透圧、尿浸透圧を測定する。次に病歴から急性か慢性かを診断する。急性であったら治療に緊急性が生じてくる。次に原因の詮索をする。
- 原因として考えられるもの。
- 下痢、嘔吐、大量の発汗などの体液喪失
- バソプレッシン(ADH)分泌量を調べる。
- 薬物、ピンクリスチン、カルバマゼピン、シクロホスファミド、NSAIDsはADHの分泌、作用に影響を与える。
- 利尿薬服薬歴、甲状腺機能低下症、副腎不全、SIADHなどを考える。
[編集] 低ナトリウム血症の症状
以下のような表が有名である。
| 血清ナトリウム濃度 | 症状 |
|---|---|
| 130mEq/l以上 | 一般的には無症状 |
| 120~130mEq/l | 軽度の虚脱感や疲労感が出現 |
| 110~120mEq/l | 精神錯乱、頭痛、悪心、食思不振 |
| 110mEq/l以下 | 痙攣、昏睡 |
しかし、臨床的には実際の濃度より進行速度とよく相関することがすることが知られている。とはいえ急変時の重症度をみるには濃度が進行速度と比例するため有効である。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 水・電解質と酸塩基平衡 ISBN 9784524224227
最終更新 2009年8月20日 (木) 08:42 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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