公共図書館

公共図書館の最新ニュースをまとめて検索!

公共図書館(こうきょうとしょかん)は、不特定多数の一般公衆の利用に供することを目的として設立、運営されている図書館のことである。最も身近な図書館として、地域の人々に読書をはじめとする情報サービスを提供し、人々が知識や情報を得たり、レクリエーションを楽しめるように助けることを目的としている。公共図書館は近代国家にとって不可欠の社会施設とみなされている。

公共図書館は世界のほとんどの国、数多くの町に設置されており、多くの場合、公共の機関や組織によって運営されている。日本では大半の公共図書館は地方公共団体が設置主体の公立図書館である。日本には2008年現在、私立図書館も含めて3126の公共図書館があり、約3億7473万冊の蔵書を所蔵している[1]

目次

[編集] 概念と範囲

「公共図書館」という名称は英語のpublic libraryに対応しており、文字通りパブリック(公共)に開かれた図書館という意味である。ユネスコの『公共図書館宣言』によれば公共図書館は利用者が年齢性別国籍身分などの社会的条件を問わず等しくサービスを行い、地域において人々が知識と情報を得るためのセンターであるとされる。

日本においては、開かれた図書館である事を強調する事は少なく、公共図書館は公立図書館と混同されがちである。しかし概念としては、公共図書館には開かれた私立図書館も含まれる。

公共図書館は1950年昭和25年)制定の図書館法においても曖昧である。図書館法第2条において、図書館は図書等の資料を収集し、一般公衆の利用に供しその教養、調査研究、レクリエーションに資することを目的とする公立(都道府県または市町村が設置)および私立(日本赤十字社または民法上の公益法人が設置)の施設という定義が行われている。これが日本の公共図書館を定義づけていると理解されている。しかし図書館法では「公共図書館」という語は用いられておらず、第2条も単に同法上において「図書館」と呼ばれる施設について定義しているに過ぎない。従って「公共図書館とは何か」を法的に厳密に定める根拠は存在しない。

今日の日本における私立図書館は特定の人々のみをサービスの対象としている専門図書館が大半であるので、単に公共図書館といった場合、図書館法上の図書館の中でも公立図書館のみを限定的に指す例がしばしばみられる。

[編集] サービス

伝統的には主に書籍雑誌新聞などの逐次刊行物を収集・所蔵し利用者に対して提供しているが、近年ではビデオテープカセットテープCDDVDなども提供されるようになっている。中にはインターネットの端末を利用者の自由な利用に供する公共図書館もあり、地域において公共に開かれた情報拠点となっている。

公共図書館の図書館サービスは無料を原則としており、利用者は図書館の利用代金は複写郵送にかかる実費の負担を除き、課されることはない。しかしニューヨーク公共図書館など世界の一部の公共図書館では、有料でビジネス支援などの高度なサービスを行っている場合もある。日本では図書館法により公立図書館(公立の公共図書館)は利用に代価を徴収することを禁じられているが私立図書館(私立の公共図書館)はその限りではなく、法律の規定の上では利用料を設定することも可能である。そもそも、公立図書館における無料原則そのものも図書館法によって初めて規定されたものであり、同法制定以前は公立図書館における使用料の徴収が法的に認められていたのである。

資料の提供は館内での閲覧にとどまらず、館外への貸出まで行っていることがほとんどである。また利用者が資料に直に接して自由に利用できるようにするため、資料を閲覧スペース内に設けた書架に配置する開架式が一般的である。しかし調査研究の機能を重視し、閉架式で一般利用者に対する貸出を行わない公共図書館も存在しないわけではない。

公共図書館が資料を貸出などによって無料で利用できることに対しては本来その資料が読者によって購入されることにより、商業的に利益を得ることができたはずである著作権者や出版者の権利を侵害しているとみなされることがある。このため、ヨーロッパを中心にいくつかの国では国などの公的な機関が権利者に代償金を交付する公貸権制度が設定されている。

また公共図書館は一般市民を対象とした情報発信の場としても機能しており、多くの国では地元の催しものの案内、市の条例や区画整理の討論会議の内容および日程告知が貼り出されている。近郊の公共交通機関の路線図や時刻表、市民大学のパンフレット、確定申告の用紙、移民対象の相談やドメスティックバイオレンス・シェルターのちらしなどが自由に持ち帰れるように用意されていることもある。

日本では市役所などと異なり土曜日日曜日でも開館しているところが多くその代わりに月曜日若しくは火曜日を休館日とするところが多い。なお、祝日は地域や図書館によって開館しているところと休館しているところがある。また、年末年始は休館するところが多く、それ以外に蔵書を整理、確認するために年に一度、数日か一週間以上特別整理休館になる場合がある。

[編集] 歴史

知識の集積である図書を収めた図書館を単なる書物の収蔵庫としてだけではなく、学ぼうとする意欲のある公衆に公開することを行った例は、古く古代ギリシア古代ローマなど人類の歴史の比較的早い時期からみられる。古代における公共施設としての公開図書館を例外として、古い時代の多くの公開図書館は学者や政治家などの蔵書家が私的コレクションを篤志により一時的に公衆の利用に開放したものがほとんどであった。日本においても石上宅嗣の『芸亭』(うんてい)など、図書館のはしりとみなされる文庫はそうした性格をもつ図書館であったということができる。身分に関係なく閲覧・貸出がなされた日本初の公共図書館は、1831年天保2年)に仙台藩の仙台城下町に設置された『青柳文庫』とされる[2]。なお、江戸時代には藩校寺子屋の広がりにより識字率が高まったこともあり、本屋の他に私立の貸本屋も存在した。

16世紀から18世紀頃のイギリスフランスアメリカなどではこうした篤志家による一般公開図書館の規模、数量、存続期間などが拡大し、また貸出など近代的な図書館サービスも行われるようになって恒常的な公共図書館への道が開かれた。また、1731年にアメリカのベンジャミン・フランクリンらが設立したフィラデルフィア図書館会社を端緒として図書館会社によって運営される会員制図書館が流行し、英米を中心に市民の読書に対する欲求を満たすための図書館が誕生していった。19世紀に入ると各地で市民の不特定多数をサービスの対象とする公立の図書館が設立され、公共図書館は博物館などと並んで近代国家に不可欠の社会施設としての地位を確立する。

欧米における図書館の発展は開国後の日本にもいち早く伝えられ、明治の初年には各地で新聞縦覧所、集書院などの名称をもつ施設が設立されて、新聞などの情報メディアを公衆に公開する試みが行われた。

明治期中期以降には公衆を利用の対象とする図書館は「通俗図書館」などの名称をもって呼ばれ、その設立は主に都道府県や市町村よりも地域の教師などの教育関係者や教育に関心をもつ有力者によって構成された「教育会」と呼ばれる半官半民の団体や、あるいは個人の篤志家が設置母体となって推進された。明治後期以降は図書館に関する法規や制度が整備され、大正期から昭和初期にかけては公立図書館の設立が進む。だが、1899年明治32年)制定の図書館令では「図書閲覧料」、1933年昭和8年)の全面改正以後は「閲覧料」及び「附帯施設利用料」の名目で公立図書館が利用者から使用料を取ることが認められており、政府は無料公開などの公衆が図書やメディアに自由に接触させる措置には思想統制・国民教化の観点から否定的な姿勢に終始した。それでも一部の公私立図書館では図書館の無料公開に向けた活動が徐々に行われるようになっていった。

しかし順調に発展を続けてきた日本の図書館は太平洋戦争による財政難、被災などにより大きな打撃を受け、数多くの図書館が閉鎖や縮小を余儀なくされた。戦後の復興期には自動車による移動図書館(ブックモービル)が各地の公立図書館によって運用され、図書館が身近に存在しない地域にサービスを広げるきっかけになった。また、戦前の図書館が国民の思想善導、教育といった統制的な性格を強く持っていったことが反省され、一般公衆に等しくサービスを行う公共図書館の概念が1950年昭和25年)制定の図書館法を通じて導入された。

1963年昭和38年)に日本図書館協会は『中小都市における公共図書館の運営』(略称:中小レポート)を出版する。中小公共図書館は公共図書館の中でも中核をなす存在であり、故に住民に直接的に関るべき中小図書館の運営基準について新たな活路を見出そうという目的で作成された。中小レポート以前の図書館は閲覧主体であり、教育の場としての図書館であったため一般市民には疎遠であった。その現状を憂い、貸出し中心の図書館への転換を推進しようと提起されたものである。このレポートは日本の公共図書館に大きな転機をうながしたと言われている。

1960年代以降、高度経済成長を経て公立図書館の新設が相次いだ。また各地の公立図書館では公民館小学校などに併設した分館の設置が進められ、より住民に身近な地域の図書館が目指された。この結果公共図書館は量的に充実し、現在ではすべての都道府県、多くの市町村に公共図書館が設置されるに至っている。サービスについてみると戦後の図書館は貸出サービスの拡大が顕著であり、多くの人々を読書に親しませる拠点としての役割を果たすようになった。

しかし21世紀初頭現在、日本の図書館の設置率は他の先進諸国に比べるとまだ低く、サービス内容も改善が必要とされている。G7諸国のうち人口10万人に対する図書館の数はドイツが14.78館と最も多く、日本は2.21館と最少である。また日本は市の97.9%に図書館があるが、町は48.3%、村はわずか17.6%と圧倒的に都市部に集中している[3]。また都市部でも無料で利用できる公共の建物が数少ないため図書館が混雑しており、開館時間が早く(午後5時)閉館日が多い。2003年9月2日施行の指定管理者制度によって民間企業やNPOが運営やコンサルトを行い、返却処理を短時間に縮める、開館日を増やし開館時間を延長して利便性を上げる、閉館後に起業者のための講座を行う、市の職員を減らし民間人を採用して人件費を下げる一方で司書の数を増やす、PFI公式で民間に建設も委託するといった新しい手段で運営される公共図書館も現れている[4]

[編集] 代表的な公共図書館

[編集] 日本の公共図書館

[編集] 公立

北海道地方
東北地方
関東地方
中部地方
近畿地方
中国地方
四国地方
九州・沖縄地方

このほか、各市町村立の図書館が全国各地にある。

[編集] 公立以外の公共図書館

  • 成田山仏教図書館 (成田山文化財団による公共図書館)
  • ライブラリー82 (八十二文化財団による公共図書館)
  • RICコミュニティライブラリー (六甲アイランドCITY自治会による公共図書館)
  • 高知こどもの図書館 (NPO法人高知こどもの図書館による公共図書館)

[編集] 私立

  • 大橋図書館(閉館。蔵書は三康図書館へ移管)

[編集] その他

[編集] 貸し出し可能な所蔵数の多い市町村

  • 全国の市町村の中で、さいたま市大阪市堺市横浜市名古屋市大津市が県立図書館、市立図書館、市立図書館の分館などの総数で多い。
  • さいたま市は市町村の大型合併で浦和市立図書館、大宮町立図書館、大宮市立図書館、与野市図書館、岩槻市立中央図書館、埼玉県立浦和図書館で、総蔵書数が約368万冊ある日本一貸し出し可能な冊数の多い市町村である。

[編集] 世界の公共図書館

[編集] 問題点

不特定多数が利用し、貸し出し以外は本人確認がされないため問題が起こっている。

  • 盗難 - 蔵書の盗難。切り抜きや抜き取り、また何冊も盗む事件がたびたび起きており、犯人が捕まるケースもある。
  • 浮浪者 - 悪臭、占有、仮眠、大きな荷物など、通常の利用者に大きな迷惑を掛けるケースがある。

[編集] 脚注

[ヘルプ]

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月21日 (土) 11:56 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【公共図書館】変更履歴

ご利用上の注意

もっと調べる!