内閣 (日本)

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内閣(ないかく)は、日本の行政権を担当する合議制の機関。内閣総理大臣と14人以内[1]国務大臣で組織される(内閣法2条)。

目次

[編集] 沿革

総理の演台などにとりつけられる「内閣総理大臣紋章」のプレート
内閣の印

[編集] 太政官制から内閣制へ

詳細は「近代日本の官制」を参照

明治時代の初め、古代の律令制を参考にして新たに設置された太政官を国政の最高機関とした太政官制が採られた。この期間の政府組織は、幾度も大きな改正が行われ、常に安定しなかった。

1881年明治14年)10月12日明治天皇が出した「国会開設の詔」の中で、1890年(明治23年)を期して「國會」(議会)の開設を目指すと表明した。政府の中心で立憲主義体制の整備を図っていた伊藤博文らは、太政官制に替わる新たな政府機構の策定に取り組んだ。

[編集] 内閣職権から内閣官制へ

1885年(明治18年)12月22日、太政官制を廃止して、内閣総理大臣各省大臣宮内大臣を除く)による内閣制を定めた法令(明治18年太政官達第69号)と、内閣職権を制定した。

「内閣」という用語自体は、1873年(明治6年)6月に太政官正院内に設置された太政大臣参議から構成される合議体を指す言葉として使用されたのが初出である(太政官内閣制)。内閣書記官長は、この太政官内閣制の時期に非常設の官職として設置され、内閣制発足後も置かれた。

初代の内閣総理大臣には、参議の伊藤博文が就任し、第1次伊藤内閣を組織した。この第1次伊藤内閣は、内閣総理大臣と、外務大臣内務大臣大蔵大臣陸軍大臣海軍大臣司法大臣文部大臣農商務大臣逓信大臣の各省大臣からなる総員9名の合議体である。内閣職権では、形式的には内閣総理大臣に強い権限が与えられたものの、実際には藩閥間の勢力が拮抗する中で、内閣が強い指導力を発揮することは難しかった。

1889年(明治22年)12月24日には、内閣官制を制定した。同年には、大日本帝国憲法が公布されており、内閣官制では、憲法の規定に合わせて、内閣の権限が弱められていた。憲法には内閣総理大臣や内閣に関する規定はなく、天皇が「統治權ヲ總攬」すること(4条)、天皇が任命する「國務各大臣」(国務大臣)が天皇を輔弼して(10条、55条)、各々独立して天皇に対して責任を負うこと(大臣責任制、55条1項)などが定められた。また、国務大臣は帝国議会や「臣民」(国民)に対して直接責任を負うこともなく、内閣総理大臣には国務大臣の任免権もなかった。内閣官制では、内閣総理大臣は「各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承ケテ行政各部ノ統一ヲ保持ス」(2条)とのみ定められ、具体的な権限などは定められなかった。そのため、内閣総理大臣は、内閣の中で「同輩中の首席」としての地位を占めるに過ぎず、いわゆる「閣内不統一」は直ちに内閣総辞職に結びついた。

内閣総理大臣は、天皇が任命することとなっていたが(大命降下)、具体的な人選は元老重臣と呼ばれる首相経験者や藩閥・軍部の重鎮など、憲法外の機関・人物が行い、その推薦を経て天皇が任命した。大正時代末期から昭和時代初期には、衆議院第一党の党首が内閣総理大臣に就任する「憲政の常道」と呼ばれる慣例が確立し、政党内閣時代とも呼ばれるが、あくまでも元老が衆議院議員総選挙の結果を参照した結果、第一党党首を推挙したという形式は守られた。

また、組閣は、内閣総理大臣が国務大臣の候補を自由に人選し、天皇が任命することとなっていたが、軍部大臣(陸軍大臣及び海軍大臣)については現役の大将・中将をもって充てるという軍部大臣現役武官制が一時期を除いて採用されていた。武官の階級や現役・退役・予備役の別は、軍部が独自に決めることとなっていたため、結局、軍部が推す人物を軍部大臣に充てるほかなく、内閣総理大臣の人選の範囲は限定されることになった。さらに、内閣が軍部の意に沿わない決定を行った場合には、軍部大臣を退かせて替わりの人物を送らず、ひいては内閣総辞職に至らせることも出来るため、軍部の意向が政権に与える影響は非常に大きかった。このほかにも、陸軍・海軍は、軍政の面では一応国務大臣の下にあったものの、軍令の面では天皇に専属する「統帥権」(憲法11条)を直接補佐することとされ、軍部大臣や参謀総長軍令部総長などには帷幄上奏の権限も与えられたため、内閣は事実上、軍事に関する政策に関わることは難しかった。

1907年(明治40年)には内閣官制が改正された。内閣総理大臣が閣令を制定する権限を定め、従来の国務大臣の単独副署をなくし、すべての勅令に内閣総理大臣との連署を定めるなど、内閣総理大臣の権限強化が図られた。

[編集] 日本国憲法と内閣法

1947年(昭和22年)に施行された日本国憲法は、第5章に内閣の規定を置き、「行政権は、内閣に属する。」(65条)と定めた。

内閣は、内閣総理大臣及びその他の国務大臣から組織され(66条1項)、行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うとされるなど(同条3項)、名実共に国の行政の中心的機関に位置づけられた。また、内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名し、天皇が任命すると定め(67条6条1項)、議院内閣制を採ることが明確にされた。国務大臣は内閣総理大臣が任免して天皇が認証すると定め(68条7条5号)、内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権を定めるなど(72条)、内閣官制を廃止して新たに制定された内閣法とともに、内閣総理大臣を内閣の「首長」として(66条1項)、内閣と内閣総理大臣の権限強化が図られた。

[編集] 位置付け

内閣の位置付け等については、日本国憲法第5章が規定する。内閣は、主に次のような特徴を有している。

  • 行政権を担当する最高の合議体として、国会(立法)、裁判所(司法)と並ぶ憲法上の機関である。
  • 国会に対して連帯して責任を負う(日本国憲法第66条)。
  • 議院内閣制をとる。
  • 内閣総理大臣に首長的地位を与える。
  • 内閣総理大臣に国務大臣の任免権を保障する。( →「罷免」の項を参照)

[編集] 構成員

内閣は、内閣総理大臣(首相)及びその他の国務大臣(閣僚)から組織される(66条1項、内閣法2条1項)。内閣総理大臣と国務大臣に共通する任命要件は、「文民」であることである(66条2項)。

[編集] 内閣総理大臣

詳細は「内閣総理大臣」を参照

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名し、天皇が任命する(67条6条1項)。

[編集] 国務大臣

詳細は「国務大臣」、「主任の大臣」をそれぞれ参照

国務大臣は、内閣総理大臣が任命して、天皇が認証する(68条1項7条5号)。国務大臣として任命された者は、内閣総理大臣から具体的な担当事務について補職辞令がなされる(例:外務大臣を命ずる)。国務大臣の過半数は、国会議員の中から選任しなければならない(68条1項)。また、内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる(68条2項)。国務大臣の数は、14人以内とされている(内閣法2条2項)。ただし、特別に必要がある場合においては、3人を限度にその数を増加し、17人以内とすることができる(同条項ただし書き)。

国務大臣をもってあてられる職は、内閣法国家行政組織法、その他個別の法律によるため、中央省庁の長であるからといって国務大臣であるとは限らない(例:宮内庁長官公正取引委員会委員長などは国務大臣ではない)。逆に、内閣府特命担当大臣のようなスタッフ的な閣僚も存在し、無任所大臣を置くことも認められている。

[編集] 組閣の手順

総理大臣官邸
  1. 国会が、国会議員の中から内閣総理大臣を指名する(首班指名)。
  2. 天皇が内閣総理大臣を任命する(親任式)。
  3. 内閣総理大臣が国務大臣を任命する。
  4. 天皇が国務大臣の任命を認証する(認証官任命式)。これにより内閣が完成する。
  5. 内閣総理大臣が国務大臣の職を指定する(補職辞令、例:法務大臣を命ずる)。

以上は憲法上の手順であり、実際には、前日までには内閣総理大臣や内閣総理大臣周辺などから入閣予定者に対して、組閣当日は待機するように事前連絡があり、首班指名の後、総理大臣官邸に組閣本部が設置されると、順次官邸に来るよう呼び出しの電話がある。その後、与党による閣僚名簿の了承や、親任式・認証官任命式が併せて行われる。

[編集] 職務

内閣制度創始100周年記念500円白銅貨幣  表 (左) は総理官邸、裏は内閣公印の意匠
  • 法律の執行と国務の総理(憲法73条1号)
  • 外交関係の処理(憲法73条2号)
  • 条約の締結(憲法73条3号)
    • 条約の締結は内閣の職務であるが、その成立、発効には国会の承認が必要とされる。承認は事前が原則であるが、事後であってもよい。
  • 官吏(公務員)に関する事務の掌理(憲法73条4号)
  • 予算の作成(憲法73条5号)
  • 政令の制定(憲法73条6号)
  • 大赦特赦減刑、刑の執行免除、復権の決定(憲法73条7号)
  • 天皇の国事行為について助言と承認(憲法7条) - 内閣はその責任を負う
  • 最高裁判所長官の指名(憲法6条2項)
  • 最高裁判所と下級裁判所の裁判官の任命(憲法79条1項、80条1項)

[編集] 閣議

詳細は「閣議」を参照

内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとされている(内閣法4条1項)。閣議は、内閣総理大臣が主宰し(同条2項)、内閣総理大臣はこの場において、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することもできる(同条)。また、各国務大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる(同条3項)。

内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する(内閣法6条)。主任の大臣の間における権限についての疑義は、内閣総理大臣が、閣議にかけて裁定する(同法7条)。

閣議では、政令の審議・議決が行われるほか、より法的拘束力の弱い閣議決定閣議了解なども行われる。なお、閣議は、慣例により、全会一致で議決される。

[編集] 政令

詳細は「政令」を参照

内閣は、日本国憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定することができる(憲法73条6号)。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない(同条号但し書)。 また、内閣法では、「政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。」と定め、より広範に政令事項(政令によって定められる事項)を制限している(内閣法11条)。

[編集] 呼称

  • ◯◯内閣とは、首班指名選挙で内閣総理大臣が選出された後、組閣した内閣を指す(例:石橋内閣)。
  • 第◯次◯◯内閣とは、首班指名選挙で内閣総理大臣が選出された後、組閣した内閣を指す。第○次とつく場合は、その回数分国会から指名されているということである(例:第2次池田内閣)。
  • 改造内閣とは、内閣が総辞職しなければならない法律上の事情はないにもかかわらず、総理大臣が国務大臣の入れ替えを目的として組閣しなおした内閣を指す(例:三木内閣改造内閣)。2回以上内閣改造が行われた場合、第◯次改造内閣という(例:第2次池田内閣第2次改造内閣)。

[編集] 内閣及び行政機関の組織図

詳細は「日本の行政機関」を参照

  • 2009年11月現在[2]

[編集] 脚注

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  1. ^ 特別の必要がある場合は17人以内(内閣法2条)。
  2. ^ 官公庁、首相官邸ホームページ。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月4日 (日) 00:35 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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