分限処分
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分限処分(ぶんげんしょぶん)とは、一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合などその職に必要な適格性を欠く場合、職の廃止などにより公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。
目次 |
[編集] 概要
分限処分は公務の効率性を保つために行なわれるものであり、職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当(退職金)が支給される。
公務員については、身分が保証され、国家公務員については国家公務員法又は人事院規則、地方公務員については地方公務員法又は条例に定める事由による場合でなければ、その職員は意に反して、降任、休職、降給、又は免職されることはない。なお、任命権者が分限処分を行う場合は公正でなければならないとされている。
なお、戦前においては文官分限令第11条において「官庁事務ノ都合ニ依リ必要ナルトキ」には任命権者は官吏(公務員)を休職(当時は「非職」とも呼称した)を命じる事が出来るとあり、任命権者が「官庁事務」にとって不都合と判断した官吏に対して休職を命じることが出来た。
現在、実際に行われる分限処分は、疾病による休職と免職がほとんどである。
[編集] 処分の種類
- 降任
- 現在の職より下位の職に任命する処分をいう。
- 免職
- 職員の意に反してその職を失わせる処分をいう(処分の目的は異なるが、身分を失わせる効果は懲戒免職と同じ)。
- 休職
- 職を保有したまま職員を一定期間職務に従事させない処分をいう。
- 降給
- 職員が現に決定されている給料よりも低額の給料額に決定する処分をいう。なお降任に伴い給料が下がることは、降任の効果であって、降給にはあたらない。
[編集] 処分の事由
[編集] 降任及び免職の事由
職員が、次の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
- 勤務実績が良くない場合
- 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
- その他その官職(職)に必要な適格性を欠く場合
以上3点は、その職員の容易に矯正できない素質・能力・性格等によって、その職務の円滑な遂行に支障があることをいう。 その職員自身に責任があるかどうかは関係がない。
- 官制(職制)若しくは定員(定数)の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
[編集] 休職の事由
職員が、次の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。
- 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
この処分は、病気休暇とは異なり、本人の意思とは無関係に任命権者の判断によってなされる。
- 刑事事件に関し起訴された場合
これは、起訴されると正常に勤務することが不可能又は困難になること、起訴された者及びその公務に対する疑惑や疑念が生じることから、裁判において一定の結論が出るまで職務に従事させないこととするものである。 したがって、その者が有罪となるか無罪となるかとはまったく関係がない。
[編集] 「依願休職」について
分限処分の休職事由に該当しないのに、職員が自ら休職を申し出るいわゆる依願休職は、法の予定しないものであり、認められないとされる(ただし、職員本人が休職を希望し、任命権者がその必要を認めて行った休職処分は、あえて無効としなければならないものではないとする最高裁判例[1]がある)。
[編集] 休職期間中の給与
休職期間中は、いわゆる「ノーワーク・ノーペイ」により給与が支給されないのが原則であるが、上に述べた休職の事由は必ずしも本人の責に帰すべきものばかりではないことから、通常、休職期間中において給与は減額された上で支給される。
[編集] 降給の事由
降給の事由は、国家公務員は人事院規則、地方公務員は各地方公共団体の条例で定めるところによる。
[編集] 分限処分と失職の違い
任用における以下の事項(欠格事項)に該当する者は、職員となりえない。
- 成年被後見人又は被保佐人
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
- 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
- 日本国憲法 施行の日以後において、日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
職員が欠格事項に該当することになったときは、人事院規則又は当該地方公共団体の条例に定める場合を除いて、任命権者の何らの処分を要することなく、当然に失職する。 この意味で失職は、任命権者の処分による分限処分(免職)とは異なる。
[編集] 最高裁判所判例
地方公務員法に基づき県教育委員会が小学校校長に対してなした降任の分限処分についての取消訴訟判決において、最高裁判所は次のような判断を示している[2]。
[編集] 任命権者の裁量について
任命権者が分限処分を行うにあたり、如何なる処分を行うかは任命権者の裁量に委ねられている。ここで認められている裁量の範疇について、次のとおり説示し、任命権者の純然たる自由裁量に委ねられてはいないとしている。
「分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるけれども、もとよりその純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の…目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることを許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性をもつ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤つた違法のものであることを免れないというべきである。」
[編集] 必要な適格性を欠く場合とは
地方公務員法第28条第1項第3号に定める「その職に必要な適格性を欠く場合」とはどのような状況を指し、いかにして判断すべきかについて、次のとおり説示している。
「『その職に必要な適格性を欠く場合』とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいうものと解されるが、この意味における適格性の有無は、当該職員の外部にあらわれた行動、態度に徴してこれを判断するほかはない。その場合、個々の行為、態度につき、その性質、態様、背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度については相互に有機的に関連づけてこれを評価すべく、さらに当該職員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素をも考慮する必要があり、これら諸般の要素を総合的に検討したうえ、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連においてこれを判断しなければならないのである。」
[編集] 年金機構移行問題
2010年1月に「日本年金機構」に移行する社会保険庁で、正規職員約1万3100人のうち、年金機構や厚生労働省などへの再雇用から漏れた職員が千人弱に上ることが判明した。社保庁はこれらの職員に年金機構の準職員(有期雇用)への再応募を呼び掛けるほか、退職を勧奨するが、応じない場合は強制的に退職させる分限免職となる。組織の改廃に伴う国家公務員の分限免職は1964年を最後に例がなく、訴訟に発展する可能性もある[3]。
[編集] 参照
- ^ 最高裁判所第三小法廷昭和35年7月26日判決昭和33(オ)670 休職処分無効等請求(最高裁判所HP)
- ^ 最高裁判所第二小法廷昭和48年9月14日判決昭和43(行ツ)95 行政処分取消請求(通称 広島県公立小学校長降任)(最高裁判所HP)
- ^ 社保庁職員千人弱が不採用に 来年1月、年金機構移行で( 47NEWS(よんななニュース) 2009/07/04)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 人事院平成18年10月13日記者発表「分限処分の指針に関する通知について」人事院はこの指針において、分限処分の検討が必要となる典型的な事例について、任命権者として行うことが考えられる手続や留意点等の対応措置をまとめている。
- 国家公務員法
- 人事院規則11-4(職員の身分保障)
- 地方公務員法
- 日本年金機構の職員採用に関する意見(日本弁護士連合会HP)
最終更新 2009年10月26日 (月) 05:31 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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