刑事物語
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『刑事物語』(けいじものがたり)は、1982年から1987年までに全5作が公開された日本映画のシリーズ。原作、脚本(第4作を除く)、主演に武田鉄矢(ただし原作と脚本はペンネームである片山蒼名義)。キネマ旬報社が製作し東宝が配給した。
一般には武田が演じる片山刑事がハンガーをヌンチャクのように捌く「ハンガーヌンチャク」と呼ばれるシーンが有名。これはできるようになるまで数ヶ月の練習を要したという。また武田が劇中で操る蟷螂拳は、第1シリーズ撮影前より実際に本人が松田隆智に習ったものである。
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[編集] 内容
武田鉄矢の演じる片山刑事が主人公。長髪・胴長短足にくたびれたズボン、一見刑事には見えないが実は拳法「蟷螂拳」の達人。普段は冴えないが正義感に溢れ、一旦暴れ始めるとやり過ぎてしまい、それが原因で日本各地を異動。毎回、赴任先で美しいマドンナに恋をし助けるのだが、最後には失恋し一人淋しくその土地を去ってゆく。転勤によって全国を渡り歩くという設定は、基本的に映画『男はつらいよ』の影響を受けているものと思われる。しかし地方公務員である警察官が所属する都道府県の管轄を越えて転勤するということはまずあり得ない(全国異動になるのは国家公務員にして行政官である警察庁の警察官である)。
[編集] 刑事物語
[編集] スタッフ
[編集] 出演
- 片山元:武田鉄矢
- 三沢ひさ子:有賀久代
- 九鬼刑事部長:仲谷昇
- 矢代スミ 刑事課庶務:樹木希林
- 種井(詐欺師):西田敏行(友情出演)
- 三上刑事:高倉健(特別出演・クレジット無し)
- 村上努(隣人):田中邦衛
[編集] エピソード
- 今作から片山刑事はハンガーを武器として使用しているが、もともと武器として使っていたのではなく、戦闘中多くの敵を抱えたため武器として使ったものがたまたま近くにあったハンガーだったような描写となっている。
- 聾唖の女性(ソープ嬢)を演じた有賀は、この後「自分には演技の才能がない」という理由で引退してしまったようである。だがその演技は観客の胸を打つ非常に印象的なものであった。
- 『幸福の黄色いハンカチ』で武田と共演した高倉健がわずかながら特別出演している(映画『駅 STATION』のパロディー)。
- ソープランドをトルコ風呂と表現している。そのためテレビ放映される際は、放送直前に「作品内に不適切な表現があります」といったお断りのテロップが必ず表示されるようになっている。また「トルコ風呂」というセリフの部分だけ無音にして放映される場合もある。
- 前記の問題からあまり地上波で放送されることが少ないシリーズであるが、2009年9月2日にデジタル・リマスター版のDVDとして発売されることになった。
[編集] 刑事物語2 りんごの詩
[編集] スタッフ
- 監督:杉村六郎
- 脚本:武田鉄矢、渡辺寿、黒井和男
- 原作:片山蒼
- 撮影:矢田行男
- 音楽:中牟田俊男、中川孝一、吉田拓郎
- 歌:吉田拓郎(挿入歌「流星」・エンディングテーマ「唇をかみしめて」)
[編集] 出演
- 片山元:武田鉄矢
- 札幌のタクシー運転手:河津清三郎
- 室伏澄江(喫茶店・主人):酒井和歌子
[編集] エピソード
- シリーズ最高のヒット作(1983年配給収入12億円)である。公開当時、「東宝映画で最も見たい映画」のNo.1だった。
- 『りんごの詩』はパンフレットやビデオの写真は片山刑事がハンガーヌンチャクを持つ写真であり、武器としてのハンガーがフィーチャーされた作品であるが、実際のアクションシーンではハンガーをそれほど使ってはいない。ただし、劇中で蟷螂拳を教えた子供から木製ではなくプラスチック製のハンガーをパスされたときの片山刑事のリアクションはシリーズ中でも特に有名。
- さまざまなレビューでも語られているように、前述のようなシリアスな中に笑いを取り入れたシーンや有名な感動なシーンが『りんごの詩』には多く、最高傑作との評価が多い。
- 片山刑事の恋人・石戸谷忍を演じた園みどりはオーディションで選ばれたが、この映画以降未来貴子と改名した。映画では当初、片山刑事とのラブシーンも撮影したらしいが、カットになったと武田が当時の「キネマ旬報」のインタビューで語っている。
- 倍賞千恵子の出演シーンは、映画「駅 STATION」のパロディー。
- 武田は酒井和歌子の大ファンで、共演が夢だったらしい。
- 武田と同郷であるタモリの映画初出演作品(「タモリ一義」名義)。
- 劇中の警察署は1981年の移転まで実際に使用されていた弘前警察署の庁舎。
[編集] 刑事物語3 潮騒の詩
[編集] スタッフ
[編集] 出演
- 片山元:武田鉄矢
- 松村清子(旅館・主人):星由里子
- 松村梅子(清子の娘):沢口靖子(彼女のデビュー作。挿入歌「潮騒の詩」も歌っている)
- 玉江(高志の母):木暮実千代(特別出演)
- 五島市役所・観光係長:関口宏(友情出演)
- 九十九巡査:金田龍之介
- 五島中央署・署長:ハナ肇
- 仁科高志(清子の夫):夏木陽介
[編集] エピソード
- 武田のアクションは殺陣師をつけておらず実際のもので、体に傷が絶えなかった。また、本作の片山刑事はハンガーヌンチャク、ミニフラフープを武器として使用。
- アクションシーンの効果音(ハンガーヌンチャクの音、殴るときの音)が今作から変わっている(以後最終作まで統一)。
- 今作で武田はジャッキー・チェンとの共演を熱望していたらしいが、ギャラの折り合いがつかず断念したという話がある。オープニングのビルからの落下は映画『プロジェクトA』でジャッキーが時計台から落下する場面のパロディということになっている。
- 片山刑事が追う指名手配犯の命を狙っていた殺し屋を演じていたのは『やまびこの詩』で殉職する金井刑事を演じた野分龍。武田の事務所所属だったらしい。
- 劇中で警察署として映っている建物は眼科のビル。実際の警察署は商店街アーケード内にあった。どちらも現存していない。
- 劇中で沢口靖子が走っている通学路を実際に自転車で走ると5時間超の長旅となる。
- 沢口靖子が通っている設定の高校では実際は自転車通学者は男女共に白いヘルメットの着用が義務づけられている。
- 沢口靖子が住んでいる設定の民宿は海水浴場そばの民家。
- エンディングで沢口靖子が手を振っている防波堤は当時陸と繋がっておらず、徒歩での移動は不可能だった。
- 子供が溺れたと思い、助けるために海に飛び込んだ片山刑事の横から、その子が銛で突いた魚とともに浮上してくるシーンの撮影は11月。近所を通りがかった男子中学生を拝み倒して撮影。場所は遠浅の海水浴場で、魚は魚屋で買って使用した。
[編集] 刑事物語4 くろしおの詩
[編集] スタッフ
- 監督:渡邊祐介
- 脚本:ちゃき克影、黒井和男
- 原案:片山蒼
- 撮影:矢田行男
- 音楽:林哲司
[編集] 出演
- 片山元:武田鉄矢
- 桃子:相原友子
- 戸崎義明(組・若頭):石橋蓮司
- 植田 警察署長:植木等
- 吉田茂 職業安定所所長:三波春夫(友情出演)
- 山梨剛造(組長):大友柳太朗
[編集] エピソード
- 今作のみタイトルの「刑事物語」の後に「4」は付かない。
- オープニングの護送犯人の逃走シーンで、片山刑事らは後免駅で下車して複線線路を走っているが、阿波池田駅から高知駅の間で複線化されているのは駅構内だけである。
- この複線線路シーンだが、周囲の状況から土讃本線斗賀野駅付近で撮影されたものと思われる。かつて斗賀野駅から襟野々駅付近まで石灰輸送用の専用線が敷設されており、土讃本線と併走している様子は複線区間そのものだった(現在は廃止)。
- 片山刑事の武器はハンガーヌンチャク、ゴルフクラブ。
- 劇中、片山刑事の住居となっていた建物は実際に高知に存在していたものをロケで借り受けたもの。その所有者が2006年の大河ドラマ『功名が辻』で武田演じる武将・五藤吉兵衛の子孫であったという事実を武田本人は最近になって知ったそうである。
- 本来は派手な銃撃戦のシーンを撮影する予定だったらしいが、ロケ中に実際の銃撃事件があり、その影響も考えて取りやめになったという。
- ラストのアクションシーンに敵方の一人として大仁田厚が登場。まだ電流爆破デスマッチ等に手を出す前の、ほとんど傷のない身体を披露している。
- 当時のテレビでのインタビューで武田本人の談によれば、『くろしおの詩』がコメディー路線になったのは、今作撮影時と同時期に『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』を撮っていたために『くろしおの詩』を2週間ほどで(東宝との契約上無理な強行軍で)撮り終えたからだそうである。撮影後、無理がたたったのか武田は倒れたらしい。
[編集] 刑事物語5 やまびこの詩
[編集] スタッフ
- 監督:杉村六郎
- 脚本:片山蒼、榎本修、鳥居欽圭
- 原案:片山蒼
- 撮影:丸池納
- 音楽:千葉和臣
[編集] 出演
- 片山元:武田鉄矢
- 真咲直子:賀来千香子
- 真咲真子:鈴木保奈美
- 大神和人(真之助の息子):野村将希
- 大神真之助(会社社長):小林桂樹
[編集] エピソード
- 片山刑事の武器は三節棍(ハンガーを3つにつなぎ合わせたもの)とテニスラケット。
- 完全なコメディー路線を走っており、シリーズ中での人気も今ひとつ。しかし、エンディングシーンは印象的である。
[編集] 音楽
[編集] オープニングテーマ(第1作)
- 海援隊「駅におりたら」
- 劇中では海援隊のメンバーである千葉和臣が歌っている。海援隊のアルバムに収録されているバージョンは武田鉄矢がボーカルをとっている。
[編集] エンディングテーマ
- 吉田拓郎「唇をかみしめて」
- 吉田がこの映画のために作ったもの。この曲のみを収録したシングル(A面のみに溝が刻まれB面はツルツルのままのレコード)も発売された。しかしシングルと実際の映画エンディングで流れる曲は別テイクである。サウンドトラックバージョンは「ベスト60」と云うアルバムに収録されている。なお、吉田は4作目の「くろしおの詩」にワンシーンだけ友情出演している(屋台でラーメンを食べている客という設定。屋台に入ってきた片山刑事に「あれ、どこかで会ったことありませんでしたっけ?」と聞かれる。植木等が演じる女装した警察署長を気持ち悪がって屋台を出て行ってしまう)。
[編集] 挿入歌
- 海援隊「陽射しに灼かれて」(第1作)
- 吉田拓郎「流星」(第2作)
- 沢口靖子「潮騒の詩」(第3作)
- 武田鉄矢「コスモス」(第4作)
[編集] その他
- 武田は最近のテレビや雑誌でも「チャンスがあれば片山をもう一度演じてみたい」と述べている。
- 武田は胴長短足というあまりにも典型的な日本人の体形のため、そういう人間でも使える拳法を探して見つけたのが蟷螂拳だった。
- 1982年に「刑事物語」が公開される前に発売された「キネマ旬報」に、武田に蟷螂拳を教えた松田隆智がコメントを寄せている。それによると、松田は本来、芝居のために間に合わせの拳法を教えてほしいとの役者のお願いは断っていたが、武田は毎日トレーニングを積んである程度の体を作っており、その熱意を認めて蟷螂拳を教えることにしたそうである。
[編集] 外部リンク
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最終更新 2009年9月2日 (水) 12:49 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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