都心

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都心(としん)とは、都市の活動において拠点とされる中心地。その都市の富の中心を成し、都市内交通が集中する。

目次

[編集] 概要

[編集] 都心と中心部

都市は、行政機能・業務機能・商業機能(卸売小売)・飲食機能(外食)・宿泊機能など、いくつもの機能を持ち合わせているが、「都心」という場合は、業務機能が集中する中央業務地区(英国では CBD : central business district、米国では : Downtown)を指すことが多い。それは、大都市では単位床面積あたり売上額が業務部門で最も高く、都市における富の中心を成すためである。

ただし、高級デパートや高級ブランド店など、高額商品を扱う小売店も単位床面積あたりの売上額が大きいため、それらが集中する地区も富の中心として都心と見なされることもある。地価または賃料に見合う売り上げがなければビジネスは成り立たないが、地価の変動や建築物の高層化などにより単位床面積あたりの賃料が変化し、都心の機能が変化することもある。

東京名古屋大阪三大都市圏では、地区による機能分担が進み、広大な中心業務地区を有している。中心業務地区には日本を代表する大企業の本社が集まり、日本全国のみならず、全世界から売り上げ(富)が集まってくるため、頻繁に都心という言葉が使用される。また、広大な商圏を持ち、売上高が大きい中心商業地も富の中心として都心に含まれている。

三大都市圏以外の大都市のうち、福岡都市圏札幌都市圏仙台都市圏は大企業の本社は少なく、地域子会社や支社・支店、および地元企業が集まる「支店経済」型の中心業務地区が形成されている。広島都市圏北九州都市圏では製造業が発展し、業務機能が工業地に分散されるため都心の規模はその人口と比べ小さい。業務対象地域の人口規模によっては業務よりも商業(物販・サービス)における富の方が大きい場合もあり、中心地域は業務地と商業地(繁華街歓楽街)が混在している。そのため「都心」という言葉を使わずに「中心部」ということが多い。ただし、周辺の中小規模都市の商機能低下を受けて中心部商業地の商圏が拡大し、ブランド街が形成されて都心化している都市も出てきている。

より小規模な都市においては、工業の発達や交通の要衝(卸売)として、あるいは地方を管轄する機能の存在(金沢市高松市など)により人口増が見られたが、業務対象地域の人口が決定的に少ないため、中心部は業務機能よりも商業が富の中心となり、明確な「都心」は形成されず、主に人口規模に応じた「中心部商業地」のみが存在していた。このような業務による求心力がない中心部は、近年の郊外ロードサイドショップや郊外大規模小売店(GMS など)の登場、大病院の郊外移転などにより、急速に空洞化が進行している。ただし、郊外店は主に、最寄品から買回品のみ扱うため、高級な買回品から専門品を求め大都市中心部の商業地へ向かう購買行動が見られる。

[編集] 副都心

東京では都心への業務集中によって「通勤地獄」とまで言われる通勤ラッシュが常態化し、道路も渋滞が深刻化して経済損失が大きくなった。また地震や地盤強度の問題などから超高層ビルを建てづらく、都心部のみで中心業務地を賄えなかったため、東京都内に新たな業務指定地区を設定して「副都心」とした。さらに、バブル経済期には地価が暴騰したため、都内に「副々都心」、周辺県には「新都心」と呼ばれる業務指定地区を設け、中心業務地の分散を図った。

大阪市や名古屋市は自治体としての市の面積が狭いため、実質的な副都心は周辺の自治体の中に形成されていることが多い[要出典]

このように、副都心指定は自治体の面積や権限の大小に依存している。自治体の面積が広いその他の大都市でも副都心指定をしていることがあるが、商業機能のみ集中する地区もあり「副都心」の定義は曖昧になっている。

アメリカの大都市の副都心は、都心の治安低下やモータリゼーション(無料の都市高速の発達)と関係している場合がある。東京でも、都心・副都心・新都心の間は鉄道や有料の都市高速によって結ばれており、大阪の新御堂筋自動車専用道路、鉄道も並走)沿線の江坂や千里中央はアメリカ型副都心の類似例と見られる。また、高度経済成長期にはバイパス道路等の整備に伴い、流通企業が都心から集団移転する例も多くの都市で見られた。

ヨーロッパでは、観光資源でもある旧市街(都心)の街並みを保存するため、郊外に超高層ビルが建てられる副都心(新都心)を形成する傾向がある。ただし、ヨーロッパの戦後政治では、長年左翼勢力が大きなプレゼンスを持ってきたため、単に旧市街地のインナーシティ再開発が出来ず、人口密度が低い郊外に副都心が設置されてきたと見ることも出来る。現在では日本の都心回帰の一部にインナーシティ再開発が見られ、それらが「副都心」「新都心」などと呼ばれる例も見られる。

[編集] 新都心

副都心の内でも、郊外に新規開発をして都心を形成したところや、都市の中心部を再開発して都心の機能を高めたところを新都心と称することがある。東京近郊の新都心については、「東京隣県の拠点地区」のセクションを参照。

[編集] 関東大都市圏

東京は世界最大の都市圏人口を有し、ニューヨークロンドンと並ぶ世界の最重要ビジネスセンターであり、有数の世界都市である。また日本の富が一極集中し、他の都市と比べて格段に大きな中心業務地区を形成している。

中心業務地区は広大なため地域ごとに機能分担が進んでおり、「都心」「副都心」の範囲は用いる指標により変化し、定義によっては無数の副都心を持つことになる。また都心・副都心以外にも商業中心をいくつも持ち、他都市の何倍もの商機能集積を見せる。ただし、安価な高速鉄道網が高密度に張り巡らされ、都市圏内が時間的に近接するため空間的な広大さは感じにくくなっている。

[編集] 東京の都心

[編集] 主な範囲

皇居周辺(あるいはJR東京駅周辺)の中央省庁や大企業の本社等が集まった地域。

[編集] 広義としての範囲

各機関・メディアによって、上記に副都心を加えた地域や、単に企業や商業施設等の集中した地域、あるいは特別区である23区全体を「都心」と表現する場合もあり様々である。

歴史的には、江戸時代の御府内(江戸の市域)、つまり凡そ明治時代の旧東京市15区にあたる地域を東京の中心とする考え方がある。 その中でも、江戸城の東側近隣に位置し、五街道の起点でもある日本橋の周辺は江戸時代商業的に最も賑わった地域であり、江戸の中心とされた。

[編集] 都としての定義

東京都が1997年に出した「区部中心部整備指針」では、千代田区中央区の、皇居から東方~南方のエリアを都心としている。都心はさらに、おおよそ山手線を境に、内側の「更新都心」と外側の「再編都心」に分けられる。

さらに、都心の周辺は「都心周辺部」とされる。都心周辺部は都心には含まれないが、都心と都心周辺部をあわせて「都心部」と呼ぶ。

更新都心
政治行政経済の中枢機能の集積や都市基盤など既にあるストックを活かし、国際社会に対して我が国を代表する地区として、個別建て替え等に応じた積極的な機能更新を図っていく区域」
大手町地区、丸の内地区、有楽町地区、内幸町地区、霞が関永田町地区
再編都心
「既存の業務商業機能等の集積を活かしつつ、更新都心とともに、一体的に機能を発揮させるため、都市基盤の整備、街区の再編を図っていく区域」
日本橋地区、八重洲京橋地区、銀座地区、新橋地区
都心周辺部
御茶ノ水神田築地勝どき晴海赤坂六本木田町芝浦 など

都心部のさらに外側には、「都心近接居住推進地域」が、副都心の手前まで広がっている。なお、皇居は都心・都心周辺部・都心近接居住推進地域のいずれにも含まれない。

[編集] 東京の副都心

西新宿

都心への業務機能の分散の観点から、東京都が策定した副都心は7ヶ所存在する。

新宿、池袋、渋谷は1958年に東京都心の機能分散を目的に指定され、副都心の中でも最も重要な地域であるため3大副都心といい、指定から半世紀を経た2008年にはこの3地区を結ぶ地下鉄路線がそのまま「副都心線」の名称で開業した。上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎は1982年にバランスの取れた東京の育成を目的として副都心に追加された。1995年、臨海副都心が追加された。

3大副都心及び上野・浅草は、東京市戦前私鉄の都心(山手線内と旧15区内の大部分)乗り入れを認めなかったことから、郊外へのターミナル駅として発達した。上野は東北北陸方面への「北玄関口」として発達し、京成電鉄の拠点ともなった。池袋は東武及び西武、新宿は京王小田急、西武、渋谷は京王及び東急の拠点として発展を遂げた。

臨海副都心以外の6副都心は「副都心整備指針」で、臨海副都心は「臨海副都心まちづくり推進計画」などで定められている。そのため、東京都の都市計画では、6副都心と臨海副都心は別扱いになることがある。たとえば、6副都心には定められている業務商業市街地ゾーンや複合市街地ゾーンが臨海副都心にはないなどである。

新宿副都心の内、都庁がある西新宿地区を特に新都心という場合もある(新宿副都心全体を指す場合もある)。

[編集] 東京都のその他の拠点地区

[編集] 旧来の定義

1980年代の鈴木都政時代に副々都心として東京都が3地域を策定した[要出典]

[編集] 現在の定義

都心等拠点地区として、都心副都心新拠点の業務商業市街地ゾーン・核都市の業務商業地域が策定されている。交通結節点である大規模ターミナルを中心に、都市基盤施設が整備され、オフィス、商業施設等の集積も大きく、利便性も高いため、都市開発諸制度を活用して大規模な都市整備を進めるには、最も適した地域である[1]

また、上記より小規模の地域中心地で、「業務商業施設マスタープラン」で定めていた一般重点地区及び多摩の業務施設集積地区一般拠点地区とする[1]

また、これらの都心とその周辺部を統合した区部の中心部と東京湾に沿ったウォーターフロントがセンター・コア・エリアとされ、その区域で、上記のどの地域にも指定されていない範囲は、職住近接ゾーンと定義される[1]

新拠点
2001年の「東京の新しい都市づくりビジョン」で東京都が定めた、副都心に準ずる地域。交通の要衝であり、多様な機能を備えた複合拠点として再開発が進められている。
核都市
1995年の「多摩の心育成・整備指針」で定められ、2001年の「東京の新しい都市づくりビジョン」で核都市と呼ばれた。大規模な交通ターミナルを中心に都市基盤が整備されている。
一般拠点地区
一般重点地区
1994年の「業務商業施設マスタープラン」で定められた。次の業務施設集積地区と共に、鉄道沿線の中心地や副都心の後背地などが指定されている。
業務施設集積地区
2001年の「東京の新しい都市づくりビジョン」で定められた。


[編集] 東京隣県の拠点地区

[編集] 新都心

東京近郊の新都心(新副都心)として、以下の3ヶ所がある。

これらは、東京都心に集中したオフィスを分散するために計画された。旧国鉄操車場跡や工場跡、または未開発地域などの広い土地が用意され、ある程度分散はしたが、集積とまでは行かなかった。そのため2006年現在でもこれらの地区には空き地が多く残り、開発に伴う負債が各自治体の財政を圧迫しているが、官公庁庁舎の移転や企業誘致活動などにより徐々に改善しつつある。みなとみらいはみなとみらい線の開通や大企業の本社誘致の成功、幕張新都心は近年の商業施設の進出、さいたま新都心は自治体の合併によって活性化している。さらに、品川駅周辺の三菱村や日本電気玉川ルネッサンスシティの様に、分散していた事業所・子会社を集め、大規模な業務集積を行うこともある。

[編集] 圏内の政令指定都市と大規模中核市

以上の東京を中心とした関東大都市圏の視点での機能分担の他に、各自治体ごとでも都心·副都心の指定がある。以下は圏内の政令指定都市と大規模中核市(人口60万人以上)の例。なお、千葉市には、お互いに離れて都心・副都心・新都心の名称を与える地区があるが、3者とも機能的には「都心」としている。川崎市には「広域拠点」が3つあるが、都心・副都心などに分類されていない。

さいたま市
都心景観拠点 - 大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区、浦和駅周辺地区
副都心景観拠点 - 日進·宮原地区、武蔵浦和地区、美園地区、岩槻駅周辺地区
千葉市
都心 - 千葉都心、幕張新都心蘇我副都心
川崎市
広域拠点 - 川崎駅周辺地区、小杉駅周辺地区新百合ヶ丘駅周辺地区
横浜市
都心(ツインコア) - 都心(関内·関外·みなとみらい21横浜駅周辺)、新横浜都心
副都心 - 鶴見駅周辺、港北ニュータウンセンター、二俣川鶴ヶ峰周辺、戸塚駅周辺、上大岡駅周辺
相模原市(中核市)
都市の核 - 橋本駅相模大野駅相模原駅の周辺
相模原市はベッドタウン的要素が強く、小規模な都心が複数存在する。なお、中心市街地法では橋本駅周辺と相模大野駅周辺が都市核と認定され、神奈川県の地域計画では橋本駅周辺が広域拠点とされている。

[編集] 京阪神大都市圏

近畿圏は、主に大阪京都神戸を中心に都市圏を形成しており、日本で二番目に大きな都市圏である。また、世界でも有数の都市圏でもあり、人口規模はロサンゼルスに匹敵する。その中でも、特に大阪に中心業務が集中し、近畿圏におけるビジネスセンターとなっている。

[編集] 大阪市および大阪都市圏

大阪市および大阪都市圏の都心部は平地で格子状の街路が整備され、地下鉄が縦横に走っている。地形の制約がないため、東京よりも都心が一体的で、面積も広い。都心は下町と工業地帯で周囲が囲まれ、その外側に山の手や郊外住宅地が広がる欧米型の都市構造を持ち、都心とホワイトカラー住宅地(ベッドタウン)が隔絶されている。

[編集] 大阪の都心

梅田方面を望む

北区中央区西区福島区浪速区天王寺区が大阪市都心6区と呼ばれる。

大阪市の都心は、現在は御堂筋を背骨として大阪環状線内(西側は新なにわ筋まで)に面的に広がる。旧来の都心は堺筋を中心として堂島川以南・道頓堀川以北・東西はそれぞれ横堀川に囲まれたエリアであったが、大正期の御堂筋拡幅や地下鉄整備、戦後復興期の梅田エリアの整備(闇市を整理し再開発ビル<大阪駅前第一~第四ビル>の建設)もあり、御堂筋を中心として北は梅田まで、南は難波までの地域を中心として形成されるようになった。

関西圏では神戸市京都市に本社を持つ企業も多く、両市はそれぞれ都市圏を形成し、昼間人口比率も1を越えている。そのため、京阪神の三都それぞれの都心を結び郊外住宅地との交通網が密な梅田や淀屋橋の駅前にオフィス需要が大きく、超高層ビルは梅田・OBPに集中している。

また、地下鉄御堂筋線と高速道路のような新御堂筋(国道423号線)をインフラとした新大阪江坂千里中央でも業務機能が集中し、副都心化が進んでいる。新幹線駅である新大阪駅の集積度がそれほど高くないのは、大阪の中心地である淀屋橋や本町から遠く、移転需要も大きくなかったためと考えられる。また神戸や京都では関西圏でのビジネスの比率が高く、やはり新幹線駅である新神戸駅や京都駅へのオフィス移転・集中は進んでいない。

[編集] 大阪の副都心

大阪の場合は都心と副都心をはっきり区別するという概念があまり一般的でないものの、高校地理では、都心は梅田・堂島中之島・淀屋橋・本町、副都心は京橋・OBPと天王寺・福島としている。

[編集] 大阪周辺の拠点地区

大阪都市圏の範囲は大阪府だけでなく、三重県、兵庫県、奈良県和歌山県にも拡がっているため、各地にも拠点となる地区が見られる。

他に新都心として、けいはんな学研都市も挙げられるが、発展途上の段階と言える。

[編集] 圏内の政令指定都市

日本全国でビジネスを展開する企業は多くが大阪に近畿地方の拠点を置き、京都・堺・神戸に拠点を置く例はまれである。そのため人口と比べ都心は小規模である。

ただし、神戸・京都には本社を置く企業が多いため、大規模なビル開発がされたり、格式の高いオフィスビルが置かれたりすることが多い。京都では本社が中心業務地区や副都心に置かれることは稀で、住宅地密集地や郊外に独立して置かれることが多い。また神戸では都心の土地が狭いため、三宮以外にも業務地開発がされている。ターミナル性のない駅前の開発であるため副都心としての求心力が低いが、観光地的な商業集積が見られる(東京のお台場に類似する)。

堺は、大阪市の都市化の膨張に呑み込まれる形で発展したため、自ら都市の中心を持たない拠点性のない町として今日に至っている。戦前戦後を通じ、周辺部の農村を合併し市域を拡張したが、堺全体の統合拠点がないため、結果的に無秩序な都市化が進んだ。

京都市
堺市
神戸市

[編集] 中京大都市圏

[編集] 名古屋市

ミッドランドスクエアから栄方面を遠望

名古屋市の都心は名駅・伏見・栄一帯であり、規模は東京、大阪に次ぐ。中心地域は平地で道路は整然として幅員が広く、鉄道・高速道路・一般道ともによく整備されている。地下鉄などの公共交通機関もよく発達していたため、都心の一極的な高度利用への投資よりも、周辺業務地区が際限なく広がる傾向が強い。また周辺には中京工業地帯の工業都市が無数にあり、周辺の衛星都市や幹線道路沿いなどにも業務集中地区がある。しかし、中京大都市圏全体では名古屋市一極集中の傾向が強い。

近年は鉄道の一大拠点で中部国際空港へのアクセスもよい名古屋駅周辺に超高層ビルが林立し、業務集積が進んでいる。愛・地球博に合わせて交通網が格段に発達し、周辺都市では中心部の商業機能が低下しているため、名古屋市への物販の集積が著しい。繁華街であるエリアにはブランド直営路面店が軒を連ね、名駅エリアの高級デパートも拡充している。

[編集] 地方中枢都市圏

福岡都市圏札幌都市圏仙台都市圏は、工業基盤が薄いため「支店経済都市」と呼ばれる。それぞれの地方全体を管轄する支店・支社が進出しており、人口規模に比べて都心の規模が大きい。本社との交通の利便性が高い地区、すなわち中心駅に近い都心のオフィス需要が高い。しかし、市域内のバランスのとれた発展や、バブル経済期前後には地価暴騰の抑制を目的とし、市当局が都心から離れた地区に副都心を複数設定し、それぞれ大区画の土地を供給した。しかし、ほとんどの副都心では大区画でも採算性のある大型ショッピングセンターロードサイドショップによって占められ、業務機能の集中が出来た例はまれである。地元有力企業の本社の大型ビルが複数立つ福岡のシーサイドももちのように業務集中に成功した例もあるが、基本的には地元企業の営業所需要、すなわち中小規模ビル需要がほとんどで、東京や大阪の副都心とは異なりかなり小規模である。

一方、工業が発展している広島都市圏北九州都市圏では、工場敷地内にオフィスが設けられたり、その周囲に関連会社が集中したりする例が多く、人口規模や都市内GDPに比べて中心部のオフィス需要はさほど大きくならない。そのため、都心部は小規模になる。副都心は形成されないか、若しくは商業(物販・サービス)のみの集積地となる。

[編集] 支店経済都市

[編集] 福岡市

福岡市
写真左側が天神、中央が博多駅福岡空港に近接するため、都心に高層ビルを建てられない。

福岡市は都心に近接して福岡空港が存在するため、都心における高層ビルの建設は不可能であり、高層化の潜在需要は多いとされているが、結果として中低層ビルが連なる広大な都心が形成されている。都心は中洲地区を挟んで大きく博多駅周辺エリアと天神エリアとに分かれる。博多駅周辺エリアは山陽新幹線や在来線(博多駅)、バス(福岡交通センター)、航空機(福岡空港)の利用に至便であるため業務機能が集積している。一方、天神エリアは昭和初期より西日本鉄道の主導で商業機能を集積させた経緯もあり、商業機能の需要が高く、百貨店などの商業施設が高度に集積している。これらの地区は博多駅および福岡空港とを地下鉄空港線が結んでおり、国内でも屈指の利便性を有する都心を形成している。なお、九州新幹線全通時にはストロー現象によって九州各地から業務機能が移転する可能性があるが、都心におけるビルの高層化が不可能なため、老朽化したビルの建替えの問題も含めて今後の都心の再開発の動向に注目が集まっている。 なお、福岡市では1980年代以降に海岸を埋め立てて副都心ももち(百道浜)の造成が進められたが、区画が比較的広いこともあり、業務用途のビルの高さは概ね60m程度に留まっている。とはいえ、業務機能が集積する副都心の規模としては地方都市の中でも群を抜く存在である。現在はバスと自家用車にアクセスを頼っている状態であるが、将来的には軌道系交通システムの導入も検討されている。 他の副都心として、早良区の西新、東区の香椎、南区の大橋がある。いずれも業務の集積は少なく商業中心としての発達がみられる。 物販面においては、超広域商圏を抱える天神地区への一極集中状態が続いており、天神の中心部の再開発が停滞しているために商業エリアが西南方へと拡大する傾向にある。

  • 都心
    • 中心業務地区 : 博多駅周辺エリア(博多駅中央街、博多駅前、博多駅東)、祇園・呉服町エリア、天神エリア赤坂大名薬院、渡辺通
    • 周辺業務地区 : 大手門、舞鶴、千代・東公園エリア(県庁や県警察本部などが集積する)、住吉
    • 繁華街 : 天神、大名、中洲川端、博多駅周辺
    • 歓楽街 : 中洲、南新地
  • 副都心
    • 西部副都心(ももち、西新・藤崎
    • 南部副都心(大橋)
    • 東部副都心(香椎・千早)
  • 地域拠点

[編集] 札幌市

札幌市札幌駅南側東部

札幌市は、市域全体にタウンシップ制をベースとする整然とした区画が施され、除雪した雪を一時的に置くための広い路肩を設定した大きな道路が縦横に走っている。都心は、地下鉄南北線東豊線の並走区間の札幌駅より南側部分、および大通公園沿いを中心に広がっている。市街地拡大に地形的制約も少ないため、地下鉄沿いや幹線道路沿いに業務地区が分散しており、高層オフィスビル建設の動機も少なく、副都心への移転需要もない。

しかし、札幌駅は新千歳空港へと鉄道が直通し、道外の本社・支社との行き来が頻繁な大企業の需要がある。また道内主要都市とを結ぶ都市間バスが集約する札幌駅バスターミナルも立地し、道内にドミナンスがある企業の需要も高い。こうした背景から、高層オフィスビルのJRタワー駅ビル)が建設されて成功をみており、他にも都心での高層オフィスビル建設が始まっている。なお、都心には札幌駅前以外にも都市間バスの発着する大型バスターミナルとして、大通に大通バスセンター、北一条に札幌ターミナルがあり、道内の鉄道インフラの弱さを補完している。

空港への快速電車が停まる新札幌副都心は、地元企業の本社の移転や空港利用者向け高層ホテルの進出がみられたが、大区画のために中小規模ビルの進出が進んでおらず、物販・サービスなどの小規模な商業中心に留まっている。その他の副都心も基本的に「住宅中心」であり、市当局が地域中心核(琴似・大谷地など)と設定している地区との違いはそれほどない。

※広域交流拠点は、地域中心核の機能も併せ持つ。

[編集] 仙台市

詳細は「仙台市都心部」を参照

仙台市は、江戸時代の城下町部分に都心が形成されているが、オフィスビルは戦災復興時につくられた大きな通り沿い、中心商業地は大通りに囲まれたブロック内の拡幅されなかった道沿い、という構造を基本とした業務・商業混在型都心部となっている。宮城県沖地震の避難経路の問題や、東京に近いこと(新幹線で2時間弱)によるオフィス需要の限界から20-30階建て程度の高層化に留まるものの、仙台駅周辺は東京との行き来が多い大企業や東北地方を管轄する支店が多く、オフィスビルの高層化とビジネスホテルの進出傾向が強い。2007年3月に仙台駅と仙台空港を結ぶ仙台空港アクセス線が開通したが、仙台に支店を設けている企業の本社のほとんどが東京にあるため、羽田便のない仙台空港への空港連絡鉄道が与えるビジネスへのインパクトは小さかった。なお、東北新幹線新青森駅延伸(2010年度予定)で、東北地方全ての県庁所在地に新幹線が通ることになる。これにより、東北地方の業務に、東京集約、仙台集約、北東北盛岡集約などの選択肢が生まれることが予想されている(仙台市と山形市との間に新幹線はないが、仙台 - 山形線仙山線などで繋がれている)。

2000年前後から始まった東北地方の陸上交通の再編の動きなどにより仙台経済圏が形成され、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに向けて、都心の物販では仙台駅西口が国内ブランド、一番町三丁目が海外ブランドの集積地となっている。

市当局の設定する副都心は、泉中央(北)・長町(南)・愛子(西)があったが、業務機能が集まったのは泉中央のみで、現在、愛子にはついては副都心の指定も曖昧になっている。泉中央副都心は、地下鉄のターミナル駅周辺の大区画部分の未開発地区が駐車場として残るが、周囲に中小区画が多かったため、開発初期はロードサイドショップが集中し、その後は中小規模オフィスビルやマンションに置き換わった。また、都心から離れたターミナルであり、ベガルタ仙台のホームスタジアムがあることも手伝って、飲み屋街が形成されつつある。もう一方の長町副都心は、都心に近いために業務機能の集中は見られず、商業中心、およびマンション街となっている。なお、長町駅前が都市再生機構などにより再開発中である。

  • 都心
    • 中心業務地区 : 仙台駅西口・五橋(東京関連)、一番町(地元関連)、県庁・市役所周辺(公共事業関連)
    • 周辺業務地区 : 仙台駅東口(IT関連が多い)
    • 繁華街 : 一番町、仙台駅西口
    • 歓楽街 : 国分町
  • 流通地区 : 卸町・扇町・六丁の目
  • 副都心

[編集] 工業都市

[編集] 広島市

広島市の都市機能は、太田川デルタ内に集中している。都心部はデルタの中北部にあり、北端が広島駅北口周辺および県道84号、西端が天満川、南端が国道2号、東端が段原再開発事業区域および東広島貨物駅貨物ヤード跡地で囲まれた地域である(東端は再開発地域)。

広島市は、中国地方または中国・四国地方を管轄する機能を持つが、広域交通を担い、1日14万人が乗降する中国地方最大の駅である広島駅前に業務機能の集積はあまりない[1]。他方、広島電鉄路面電車)、広島バスセンターアストラムラインなどが集まり、広島都市圏交通の要衝となっている紙屋町・八丁堀地区が業務・物販ともに中心となっており、中層ビルの集積度が極めて高い。広島空港移転によってビルの高層化が可能になったが、超高層ビルは本社ビル・ホテル・マンションが中心で、平和大通り沿いに高層ビルが並ぶ。鉄道では2002年からJR西日本広島シティネットワークを構築している。また、広島電鉄においては1999年からは超低床車両の導入が始まった。これに加え2001年に広電西広島駅の改良が実施されたのをはじめに2003年には横川駅において広電の電停が駅前広場に移設の上に駅前広場の改良整備が実施され、広島港でも広島港駅が移設されるなど都心への玄関口の整備が進んだ。このように21世紀の都市交通の担い手としてふさわしい交通機関を目指して路面電車の改良が国・県・市の協力を得ながら急速に推し進められている[2][3][4](広島港は、広島湾内や松山港からの船が発着し、通勤・通学客が多い)。さらに、広島高速道路も放射状の路線が整備され、郊外から都心へのアクセス向上が進んだ。一方で、1994年広島アジア大会を機に太田川デルタ内から広島空港を移転、西風新都東広島市に大学等を多数移転させ、近年では広島市民球場を都心から広島駅ヤード跡地に移転させるなど、デルタ内の機能転換が進められている[5]

[編集] 北九州市

北九州市は、5つの市が合併して出来た市であるため、元のそれぞれの市の中心部にあたる地区に業務集積が見られる。そのため、合併後の市の中心部である小倉への集積度は人口に比して小さい。ただし、隣接する下関市からの最大の通勤目的地は、合併直後は門司区であったが、現在は小倉北区となっており、小倉への集積が進んでいる。関門都市圏の人口が大きいため、物販機能は小倉への集積が見られるものの、福岡市・天神への依存傾向も強い。

[編集] 地方中核都市圏

「副都心」は、既存の商業中心や駅前再開発、あるいは郊外大型店の集積地に対して用いる例がほとんどで、都心の業務機能の分散目的で設定されたものではない。また、元々業務機能の集積が小さいため、「都心」は「中心部商店街」や「中心部大型店集積地」と同じ意味で用いられることが多く、三大都市圏で用いられる「都心」「副都心」とは実態も意味もかなり異なる。

[編集] 岡山市

市役所筋

岡山市が定める「1kmスクエア」内外に主な都市機能が集中している。しかし、大都市に見受けられるような極度に集中した官庁街やオフィス街は形成されていない。また、1kmスクエアの特徴として人の流れが南北を中心に動いており、東西両側の業務・商業地区を桃太郎大通りなどの東西に走る幹線道路と路面電車が結ぶ形になっている。

東の丸の内内山下(うちさんげ)一帯は県庁や日本銀行などがある行政機能の色合いが強い業務地区。城下筋を挟む西隣の天満屋バスステーションを中心とした表町は古くからの商業地区で、北側の美術館が多い天神地区とともに観光・文化の色合いが強い。

一方、北西の岡山駅周辺は商業地区であるが、地方合同庁舎もあり、西口のリットシティビルには丸の内にあったNHK岡山放送局が移転するなど、商業以外の機能も強まりつつある。駅と市役所を結ぶ西端の市役所筋周辺はオフィスビルの立ち並ぶ業務地区で、山陽新聞をはじめ地元主要企業の本社も多く立地する。

最近の傾向としては、岡山駅を含む西地区に再開発計画が多いことである。要因としては、交通の便が良いことと、駅周辺がかつては工業地区であったため開発の余地を残しており、まとまった土地を確保しやすいことにあると思われる。

[編集] 静岡市

静岡市は、旧・静岡市と旧・清水市2003年に合併後、旧蒲原町と旧由比町を吸収して出来た新市であるため、業務機能は静岡と清水に分かれている。双方の中心部を繋ぐ鉄道や道路が発達しており、多くの都市機能がこの間に集中している。静岡都市拠点は業務・商業、東静岡都市拠点は情報・芸術、清水都市拠点は商業の各機能の集積をはかるとしている。なお、県内の国道の高規格化やバイパス無料化で商圏が拡大し、静岡市に物販機能が集積する傾向が見られる。

[編集] 新潟市

新潟県庁から見た新潟市中心部
信濃川以降先が新潟島、手前が旧沼垂町

新潟市のうち、「新潟島」と呼ばれる信濃川左岸には、業務・物販・飲食などの複合的中心部となっている古町がある。右岸の旧沼垂町側にも、デパートの集中する物販地区である万代シテイが存在し、バスターミナルを構えている。また新潟駅周辺は業務と飲食店の集積が見られる。これら3つの極は萬代橋通り沿いに並び、全体として新潟市の中心部を形成しているが、信濃川で分けられていることもあり、「新潟島」側を都心、旧沼垂町側を副都心と呼ぶことがある。これら3極と新潟県庁を繋ぐルートで、基幹バスの「りゅーとリンク」中央循環線が走る。都心と郊外とは、無料の都市高速のようなバイパス網で繋がれており、インターチェンジ近くを中心にいくつもの商業中心が分散している。

平成の大合併で13の市町村を編入合併したため、旧自治体の各々の中心部も新市域に内包した。現在、新しい都市計画策定中のため、まだ副都心の指定はされていない。

[編集] 熊本市

熊本市の都心等は以下のとおり。

[編集] 浜松市

浜松市は、工業都市であるため元々都心の業務集積は小さいが、県庁所在地の静岡市や名古屋市の業務管理下に入り、人口に比して極端に小さい都心となっている。物販では、近年、静岡県内の国道バイパスの無料開放で静岡市へ、また、名古屋市の商機能一極集中の余波で名古屋市へ、と両市への依存傾向が強くなり、中心部の商機能低下が著しい。また、工業都市らしく道路整備も進んでおり都市の郊外化が進み市街地の人口密度が低い。そのため、後述の志都呂地区などの郊外大規模店やロードサイド店舗に物販が移り、中心部商店街では百貨店の閉店に象徴されるように更なる苦境に陥っている。

しかし一方で東地区を中心に人口の都心回帰が進んでおり、2008年秋には浜松駅西にビックカメラが開業した。それに加え、現在唯一の百貨店の遠鉄百貨店の増床が確定するなど復活の兆しが一部に見えてきているのも事実である。

また、浜松市の平成の大合併後に策定された総合計画では旧浜北市=現浜北区の中心地の遠州鉄道浜北駅周辺が副都心に指定されている。それに加えて近年区画整理事業と旧市中心部や浜松西インターチェンジ国道1号等との間に道路整備が進んだ旧雄踏町との境界付近一体の西区の志都呂・堀出前地区においても西区役所の周辺に郊外型商業施設の集積や居住人口の拡大が急速に進んでいる。このため市が現状を追認する形で総合計画や策定中の都市計画マスタープラン[6]で地域交流拠点として位置付けられるなど市の各種計画において事実上の第二副都心に指定するに至っている。

[編集] 鹿児島市

鹿児島市の都心等は以下のとおり。

[編集] 統計

[編集] 日本13大都市圏の事業所数

2004年13大都市圏の法人事業所数(括弧内は全事業所数)[3]

[編集] オフィス市場規模

オフィス市場規模=貸室面積×(1-空室率)×賃料単価×12ヶ月 とすると、2004年末時点の主要都市では、東京23区が抜きん出て大きく、次いで、大阪市名古屋市横浜市福岡市札幌市神戸市仙台市京都市さいたま市広島市川崎市千葉市立川市静岡市という順になる[4]

オフィス市場規模のシェアでは、東京23区が61%で最も大きく、次いで、大阪・神戸・京都の3市で16%、横浜・川崎などの東京圏が6%、名古屋市が4%、福岡市と札幌市が2%、仙台市が1%となっている。

[編集] 路線価

2008年1月1日の都道府県庁所在地および政令市の最高路線価(上位都市のみ)

  • 太字は特別区および政令指定都市
  • 三大都市圏に所在する都市は背景が黄色。
都市 最高路線価 変動率
1 東京23区 3,184万円 27.6%
2 大阪市 960万円 37.9%
3 名古屋市 760万円 23.4%
4 横浜市 728万円 38.4%
5 福岡市 629万円 22.9%
6 京都市 310万円 18.8%
7 札幌市 294万円 26.7%
8 神戸市 283万円 24.7%
9 さいたま市 269万円 20.1%
10 仙台市 260万円 39.8%
11 川崎市 215万円 25.7%
12 広島市 214万円 12.0%
13 千葉市 174万円 20.0%
14 熊本市 164万円 13.9%
15 静岡市 131万円 28.4%
16 岡山市 114万円 6.5%
17 浜松市 110万円 22.2%
(相模原市) 94万円 11.9%
18 長崎市 90万円 0.0%
19 鹿児島市 88万円 0.0%
20 松山市 76万円 2.7%
21 北九州市 70万円 -7.9%
22 大分市 58万円 0.0%
22 那覇市 58万円 7.4%
24 新潟市 55万円 3.8%
25 金沢市 53万円 0.0%
25 奈良市 53万円 1.9%
27 堺市 51万円 18.6%

[編集] 日本国外の都市

副都心と新都心の使い分けは東京での呼称(都内:副都心、都外:新都心)に準じ、その自治体の内か外かで使い分けしている。

[編集] ニューヨーク

[編集] ロンドン

[編集] パリ

[編集] ローマ

[編集] ソウル特別市

韓国では都心を「市内(シネ、시내)」と呼称する

[編集] 脚注

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  1. ^ a b c http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/new_ctiy/pdf/katuyou_housin02.pdf
  2. ^ 埼玉県川口市千葉県浦安市東京特別区と結びつきが強いのと同様に、阪神東部3市1町は大阪府との結びつきが強いため、大阪の項で扱う
  3. ^ 平成16年事業所・企業統計調査全国結果 事業所に関する集計第1表および第2表(総務省統計局)
  4. ^ 地方賃貸オフィス市場と投資市場(ニッセイ基礎研究所)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年9月14日 (月) 08:03 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【都心】変更履歴

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