劇用車
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劇用車(げきようしゃ)とは、劇中(テレビ・映画・コマーシャル・舞台)などで使用する自動車を指す。古くから撮影スタッフの中だけで言われていた専門用語だったが、2004年の法改正によって初めて法律条文に劇用車と言う名称が載った。
2004年3月18日付け警察庁丁規発第19号によると、「劇用車とは道路運送車両法第4条の規定による自動車登録ファイルへの登録を受けていない自動車等であって劇中において使用するためのものをいう」。
則法律上で言う劇用車とはあくまでナンバーを付けていない撮影用車両を指し、一般的な意味合いとは若干異なる。
目次 |
[編集] 概要
劇用車はパトカーや救急車・消防車・郵便バイクまたその劇にあわせて作った車(『ウルトラセブン』などで使用したポインター号、『ナイトライダー』で使用したナイト2000)など劇の中で出てくる車・バイク・カートなどすべてである。
劇用車は作品の制作会社が保有するケースもあるが、多くは業者からのレンタルやリースで提供される。マエダオート、インペリアル、エルエーカンパニー富士映画、トライアムズ、カープロアシストなど、劇用車を専門に扱っている会社があるが、その他ではロケバス会社、スタント会社、中古車販売店や自動車解体業、レッカー業、オーナーズクラブなどが副業で行っているようだ。
[編集] 主な車両
[編集] 警察車両
制服警官が乗る白黒パトカーは、地方ロケで地域に密着した内容の場合のみ極少数、地元警察が協力して実物のパトカーを貸すこともあるが、ほとんどの場合は撮影用に製作されたパトカーを使用する(実物のパトカーは機密保持の為、耐用年数を過ぎても一般に払い下げられることはない)。業者の力量や考え方により、精巧に再現されたものもあれば本物に遠く及ばない車両もある。
ベース車両はかつてはパトカー専用グレードに近い外観を持っていた教習車やタクシーの払い下げ車が多く使用されたが、最近は普通の中古車が多い。昔のアクション作品ではスタント用に多くの中古車を使用していたため、現実のパトカーには採用されていない車種も使用していた。現在はほとんどが現行採用されている車種(主にクラウン・セドリック・クルー)を使用している。
護送車や鑑識車、機動隊輸送車なども中古のバンやバスをベースに作られることが多いが、スタッフや資材を現場まで運んできた撮影会社の車両やレンタカーに脱着式の赤色灯を付け代用しているケースも多々見られる。
ただし、覆面パトカーについてはこの限りでなく、スポンサーメーカーの広報車など製作放映時点での最新モデルが使われることもある。
ロケ地までの移動を容易にするため、公道を走れるようにナンバープレートを付けていることが多いが、8ナンバーではなく通常のナンバーを交付されており、撮影中のみ架空の番号を付けた劇用のナンバープレートを貼り付けている。また移動中は警察名の文字や赤色灯を隠したり取り外すなどしている。
[編集] 消防車両
地域に密着したロケの場合は地元消防が協力することも稀にあるが、通常は業者が所有する消防車、救急車を貸し出す。パトカーと違い消防車両の新車は業者や個人の購入も可能なため、新車を劇用車とする業者も存在するが、高価であるため少数派であり、消防が使用していた払い下げ車両を用いることが多い。そのため放送時期に消防で使用されている車両より古いことが多い。
新車で購入した消防車を使用した例として、石原プロモーションが『西部警察 SPECIAL』用に購入した爆破シーン消火用兼劇用車(モリタ製、ベースは日野スーパードルフィン・プロフィア)がある。
[編集] タクシー
通常はタクシー会社(個人タクシーの場合もある)の協力の下、運転手もエキストラで登場する。ただし、スタントに使用する場合は払い下げの中古を使用する。
[編集] バス
通常はバス会社の協力の下、運転手もエキストラで登場する。架空会社を名乗る場合やスタントに使用する場合中古バスを使用する。また、旧型バスやボンネットバス、護送車などが登場する場合、業者・博物館・個人所有の車輌を使用することがある。
[編集] その他の一般車両
上記以外の車種については後述のスポンサーメーカーの広報車両やレンタカー会社を利用するが、稀に製作会社の社用車やスタッフ・出演者個人の愛車を使用するケースもある。
[編集] ナンバープレート
劇中に登場する車のナンバープレートは美術部によってその撮影の都道府県や年代に合わせて製作して付け替えている。細かな撮影の場合車検ステッカーや点検ステッカーなども作って張り替えている。 ナンバー製作の際は実際のナンバーが無いひらがなの「へ」「し」などを使用している。また一般公道で道路使用許可を取らずに引き絵で撮影する場合などはナンバーを付け替えずに撮影している。 ナンバーを付け替えて撮影する場合は撮影所などの私有地か一般公道の場合道路使用許可を管轄の警察や港湾などに許可を得ている。
[編集] テレビドラマ
[編集] スポンサー
- 一番大きい特徴としてスポンサーに左右されやすい傾向がある。1つはTVにおける番組提供に自動車メーカーの名が連ねていること。最近は少ないが番組提供はないけども車両提供を行ない、エンドロールに「車両提供:●●自動車」と表記している。輸入車インポーターが車両提供を行う場合は後者の場合が多く、国産メーカーも1970~1990年代前期まではクレジットされていたが現在は一部の劇場版を除いてクレジットされていない。
- 番組提供も車両提供もない場合は劇用車両をレンタル・リースを行なう専門の業者かレンタカー会社で用意したものがほとんどである。最近では「車両:●●リース」などと表記されている。あるいは制作会社が自前で劇用車両を持っている場合もある。
- まれに製作サイドが中古車ディーラーで直接買い付けるケースもある。大抵の場合、スタントに使われることが多い。
- 地方ロケや道路封鎖しての大規模ロケの場合、地元の運送会社・バス会社・タクシー会社の協力や地元住民が車ごと持ち込んでのエキストラで登場するケースもある。こういった場合は仮にスポンサーが付いてた場合でも対象外になり他社車両でもOKになる。
[編集] その他
- 近年、テレビドラマにおいて破壊を伴うスタントシーンは一部の特撮ヒーロー物を除き、限りなく少なくなっている。
- また、車種名やメーカー名のいわゆるエンブレムをテープで隠しているケースが増えてきている(主にノンスポンサーの枠やスポンサー以外のメーカー車を使用する際)。
[編集] 連ドラ・2時間枠の自動車メーカー番組提供枠(2009年10月現在)
- 30分の昼ドラは除外。
※・・・映画枠だが特別企画でドラマを放送している場合がある
| 放送局 | 放送枠名・番組名 | 現在のスポンサー | 過去のスポンサー |
|---|---|---|---|
| フジテレビ | 月9 | トヨタ | |
| 木曜劇場 | 三菱 | トヨタ | |
| 金曜プレステージ | 三菱・ダイハツ | ||
| 土曜プレミアム ※ | 日産・トヨタ | ホンダ | |
| 土曜ドラマ | 日産・スバル | ||
| 関西テレビ | 火曜22時枠 | トヨタ・ダイハツ | スズキ |
| テレビ朝日 | 水曜21時枠 | 日産 | |
| 金曜ナイトドラマ | 日産 (関東地区のみ) |
||
| 日曜洋画劇場 ※ | トヨタ(レクサス) | 三菱 | |
| ABC・テレビ朝日 | 金9 | トヨタ | ダイハツ |
| 日本テレビ | 水曜ドラマ | スバル | 日産 ↓ トヨタ ↓ ホンダ |
| 金曜ロードショー ※ | マツダ・ダイハツ | ホンダ ↓ いすゞ ↓ トヨタ |
|
| 土曜ドラマ | スズキ | ホンダ ↓ ダイハツ ↓ 日産 |
|
| TBSテレビ | 金曜ドラマ | トヨタ | ホンダ ↓ マツダ ↓ 日産 |
| 土曜20時枠 | スバル |
- 以下の枠では、現在スポンサーに自動車メーカーが含まれていないため、レンタル・リース会社が調達。
- TBS「パナソニック ドラマシアター」…パナソニックグループ1社提供番組のため、もちろん自動車メーカーは含まれていない。代わりに系列のパナソニック サイクルテックにより、電動アシスト自転車などが使われている。
- TBS「月曜ゴールデン」…「月曜ドラマスペシャル」→「月曜ミステリー劇場」時代もスポンサーはなかった。
- TBS 「日曜劇場」…2009年9月期までトヨタがスポンサーだった。
- TBS 「水曜劇場」…以前、第1期時代はトヨタ、木9時代も含めてマツダ、スズキがスポンサーだった。
- 毎日放送「金曜ナイト劇場」…一部地域においてノンスポンサーとなる地域もある。
- フジテレビ火曜21時枠…かつてはダイハツ、日産、ホンダなどがスポンサーだった。ただし、「離婚弁護士2」→「今週、妻が浮気します」時代まで、「絶対彼氏。」時代から現在、スポンサーはなかった。
- 読売テレビ「木曜ナイトドラマ」…2008年10月より新設置。前半がKDDIの1社提供、後半がローカルでもある。ただし、「夢をかなえるゾウ」時代から現在、スポンサーはなかった。
- テレビ朝日「木曜ドラマ」…かつてはマツダ、プジョー、ダイハツなどがスポンサーだった。ただし、「夜光の階段」からはスポンサーはなかった。
- テレビ朝日「土曜ワイド劇場」…かつてはダイハツ、マツダ、トヨタ、スズキなどがスポンサーだった。
- テレビ東京「水曜シアター9」…「女と愛とミステリー」→「水曜ミステリー9」時代もスポンサーはなかったが、初期の一部作品にはスバルが車両提供しておりエンドロールに名を連ねていた。2009年7月現在、サスペンス作品と映画作品ではスポンサーが異なり、映画作品においてはトヨタがスポンサーに入っているが、サスペンス作品ではノンスポンサー(自動車メーカー関係においては)となっている。
- テレビ東京「ドラマ24」…スポンサーもローカルセールス扱いだった。
[編集] 劇場版
前述の通り、最近ではあまり車両協力(特別協賛)でのクレジット表記は稀である。特定のメーカーのみというケースは少ない。また後にテレビ放送される場合の枠によってはライバル会社がスポンサーになっている場合もあるため、近年はエンブレム隠しを施しているケースが多い。
ちなみに舞台が1950~1980年代に時代設定している場合、その当時の車両の大半は自動車メーカー系の博物館(テレビドラマにおける場合においてが多い)やオーナークラブ所有の車が使われる。
[編集] バラエティ
- ロケが多いバラエティ番組の場合、出演者が自らハンドルを握る車の場合、番組スポンサーの車両を使用することがある。レンタカーで他車を使用する場合ぼかしを入れている。(例:ザ!鉄腕!DASH!!…トヨタ(一部ダイハツ)、リンカーン、マイ・フェア・レディ…レンタル・リース会社調達)
- 最近では番組とスポンサーとのコラボレーションで出演者がそのままCMに出演している。(例:「はねるのトびら」や「出没!アド街ック天国」における日産「セレナ」)
- バラエティだが合間に再現ドラマがある場合にも劇用車で登場している(例:「未来創造堂」…ホンダ。現在は再現ドラマはなくなっている、「うたばん」…レンタル・リース会社調達、以前はマツダ→三菱自動車がスポンサーだった)
[編集] アニメ
テレビアニメの場合、大半が抽象的なデザインの車が多いが、きちんと車種がわかるくらい正確に描かれている作品もある。例えば「頭文字D」、「逮捕しちゃうぞ」、「よろしくメカドック」など。中には「ルパン三世」のように実写のアクション作品さながらのカーアクションに定評のある作品もある。近年の深夜アニメなどではCGが多用され、従来よりも明確に車種がわかるようになった。作中で描かれている車両の実車から実際のエンジン音をサンプリングしている場合もある。また「めぞん一刻」、「名探偵コナン」、「アストロボーイ・鉄腕アトム」など放送当時、自動車メーカーがスポンサーになっていた作品もある。攻殻機動隊SSSでは、日産がコンセプトカーを劇中に登場させた。


