動力車操縦者
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動力車操縦者(どうりょくしゃそうじゅうしゃ)とは、動力車操縦者運転免許に関する省令で定める一定の動力車を操縦する資格をある者のことである。
目次 |
[編集] 概要
この資格は電車や気動車、路面電車、トロリーバスの運転士が必要な資格である。
[編集] 対象車両
この省令の第2条で、動力車とは、鉄道及び軌道の蒸気機関車、電気機関車、電車、蓄電池機関車、蓄電池電車、内燃機関車、内燃動車、無軌条電車とされている。これ以外の動力を有する車両の操縦には資格制度はなく、鉄道事業者・軌道経営者の教育訓練と確認のみで操縦することになる。このため、2009年現在日本には存在しないが、人車軌道や馬車鉄道のように人力や牛・馬・犬などの動物の力を使用する車両や、蒸気機関車以外の外燃機関(スターリングエンジン、バキュームエンジン)や、水力・風力などを動力として使用する車両を運転する際にはこの資格制度の適用外である。2009年現在日本にある索道と鋼索鉄道は、定義にある動力車がないため、資格が不要である。
[編集] 対象範囲
鉄道、軌道、無軌条電車の係員は、地方運輸局長の運転免許を受けた後でなければ、動力車を操縦してはならない。無軌条電車を除き、運転見習中の係員が運転免許を受けた者と同乗して直接の指導を受ける場合、本線を支障するおそれがない側線において移動する場合は運転免許は不要である。
[編集] 沿革
2006年9月までは、公共団体(1949年5月31日以前は国も含まれる)の経営する鉄道で動力車を操縦するにあたっては、鉄道営業法の鉄道係員の資格に関する規定そのものが適用除外とされていたため、この省令が適用されず、それらすべての鉄道係員は国及び公共団体が定める資格や講習が必要とされていた。ただし、軌道の場合は軌道法上その分類がなかったためすべての軌道で動力車操縦者運転免許が必要であった。2006年10月1日より運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律施行に伴い、鉄道営業法の除外規定が削除され、この省令が公共団体の経営する鉄道に適用されることとなり、動力車操縦者運転免許を含む鉄道係員の要件や資格について鉄道営業法で規制されることとなった。
[編集] 運転免許の分類
- 甲種蒸気機関車運転免許
- 甲種電気車運転免許
- 甲種内燃車運転免許
- 乙種蒸気機関車運転免許
- 乙種電気車運転免許
- 乙種内燃車運転免許
- 新幹線電気車運転免許
- 第一種磁気誘導式電気車運転免許
- 第二種磁気誘導式電気車運転免許
- 第一種磁気誘導式内燃車運転免許
- 第二種磁気誘導式内燃車運転免許
- 無軌条電車運転免許
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- 「甲種」免許は、鉄道事業法で定める鉄道(一般のJR・私鉄路線などの専用敷地を走行する)を走行する動力車を操縦する場合に必要な資格で、「乙種」とは軌道法で定める軌道(道路上に敷設された軌道を走る路面電車)を走行する動力車を操縦する場合に必要な資格である。
- 「第一種」免許は特に限定項目はなし、「第二種」は専ら自動運転を行う区間で自動運転が不能になった場合に限り、最寄の駅又は車庫まで操縦する場合に限るものとしている。同種の限定項目は「甲種」「乙種」免許にも存在するが、「運転免許の条件」に記載しており免許上の区分けはない。
- なお「内燃車」とは内燃機関(エンジン)で動く車両、「磁気誘導式」とは愛知万博でのIMTSのように、他車および地上と通信を行いながら軌道上を自動操舵する方法、「無軌条電車」とは俗にいうトロリーバスのことである。
[編集] 試験
[編集] 受験資格
動力車操縦者の資格と試験は、省令上は鉄道事業者・軌道会社に所属していることを要件としておらず、20歳以上の者で、運転免許の取消を受けた者の場合は、取消日から起算して1年を経過していれば学歴、学歴、経験、国籍を問わず受験でき資格を得られる。
視力、色覚、心電図等のチェックをクリアする必要がある。かつては裸眼視力0.2以上という条件があったが、現在は廃止された。矯正視力は1.0以上。ただし、レンズの屈折度が近視の場合は8.0D(ディオプトリ)以下、遠視では3.0D以下の眼鏡で矯正できる場合に限られる。
また、色覚は少しでも異常があると不合格となる。
- これらの規定は、多くの鉄道会社の入社試験を受ける際の受験資格にもなっている。この為、入社試験受験の段階で規定をクリアしていなくてはならない。
[編集] 訓練・教習
前述の通り国土交通省認可の養成施設で専門の教育訓練(学科講習及び技能講習を行う第一類と学科講習を行う第二類がある。無軌条電車は第一類のみ)を受け、試験に臨むのが通例である。JRや大手民鉄は自社の施設を持っているが、中小民鉄の場合養成施設がないことが多く、他社に有料で委託することになる。このため、養成施設を持たないモノレール(新交通システム)事業者の運転士が他社の鉄のレールを走る電車で試験のための訓練を受けるケースもある(免許の種類が同じであれば可である)。もちろんその後自社線で訓練を行っている。
[編集] 養成費用
- 前述のとおり個人的に取得する免許ではないので、免許取得費用は全て鉄道事業者が負担している。(ただし、免許証申請の際の諸費用については社員に負担させている会社もある)事業者は教習費用を負担した上で、教習中の社員に対して給与等も支給する。なお、教習中はその運転士教習生は仕事から抜けるわけであるから、現場が欠員となり他の者が代務(時間外労働)をすることになる。したがって「養成施設に支払う経費+代務要員の費用」が必要である。
- バスの場合、かつては会社の負担で大型2種免許の取得が多く行われたが、最近は既に免許を持っている人しか採用しない会社も多くなってきた。鉄道の場合、個人による免許取得は事実上不可能であるから、個人の費用で免許を取得することはない。
- 新規開業の鉄道会社の場合、他社OBの運転士を採用する場合がある。違う会社であっても免許の種類が同じであれば、その免許は有効であるが、自動車の運転免許証と違い、免許証には「所属事業者名」が記載されており、基本的には記載された事業者が管理している路線以外での乗務は出来ないので、運転法規などの違いなどの教習・試験を終えた後関係書類を添付して免許証を運輸局に提出し、記載事項の変更(この場合は「所属事業者名」)を行わなければならない。
[編集] 試験の免除
詳細は動力車操縦者養成所を参照。
[編集] 試験科目
- 身体検査
- 適性検査
- 筆記試験
- 甲種蒸気機関車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 蒸気機関車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 乙種蒸気機関車
- 軌道運転規則
- 運転の安全の確保に関する省令
- 道路交通法及び道路交通法施行令
- 蒸気機関車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 甲種電気車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 電気車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 乙種電気車
- 軌道運転規則
- 運転の安全の確保に関する省令
- 道路交通法及び道路交通法施行令
- 電気車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 甲種内燃車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 内燃車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 乙種内燃車
- 軌道運転規則
- 運転の安全の確保に関する省令
- 道路交通法及び道路交通法施行令
- 内燃車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 新幹線電気車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 新幹線鉄道の電気車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 第一種磁気誘導式電気車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 磁気誘導式鉄道の電気車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 第二種磁気誘導式電気車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 磁気誘導式鉄道の電気車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 第一種磁気誘導式内燃車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 磁気誘導式鉄道の内燃車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 第二種磁気誘導式内燃車
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 運転の安全の確保に関する省令
- 磁気誘導式鉄道の内燃車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 無軌条電車
- 無軌条電車運転規則
- 運転の安全の確保に関する省令
- 道路交通法及び道路交通法施行令
- 無軌条電車の構造及び機能
- 運転理論
- 一般常識
- 甲種蒸気機関車
- 実技試験
- 速度観測
- 距離目測
- 制動機の操作
- 制動機以外の機器の取扱
- 定時運転
- 非常の場合の措置
[編集] 免許の効力
[編集] 更新
この免許には更新・書換制度が無いため、事実上終身免許である。ただし、鉄道事業者や軌道経営者では運転士に対して定期的に健康診断を行っており、乗務に耐えられないと判断されれば社内的に運転業務から他職種へ転換する場合はありえることである。
[編集] 取消・停止
地方運輸局長は次の場合に運転免許の取消又は停止をすることができる。
- 動力車の操縦に関する法律若しくはこれに基づく命令又は運転免許に付した条件に違反したとき。
- 省令別表二の上欄に掲げる項目(身体検査の基準)についてそれぞれ同表の下欄に掲げる基準に適合しないこととなつたとき、又はそのおそれが生じたとき。
しかし、不正な手段で運転免許の交付を受けた場合、重大事故を引き起こした場合などは処分ができない。
[編集] 自主返納
この省令には、免許の自主返納制度が存在しない。
[編集] その他
- 「限定免許」について
- 本線運転ではない工場や電車区構内の入換要員として、駅区限定免許を取得させており、俗に限定免許という。この限定免許は通常の免許と違い2ヶ月程度の社内教育で取得できるが、電車区や工場内での入換運転や入出庫運転等、本線以外の決められた範囲でしか運転できない。
- 蒸気機関車運転免許について
- 蒸気機関車の機関士になるためには、動力車操縦者免許のほかにボイラー技士の資格が必要となる。また、蒸気機関車を操縦する際には、機関士・機関助士の両方が二級以上の、どちらか一方が一級以上のボイラー技士資格を持つ必要がある。
- 乙種運転免許について
- 乙種蒸気機関車運転免許は、2008年現在、路面電車の蒸気車が日本には存在しないため書類上のみの存在と化している。また、過去に路面電車の蒸気車は存在した例がない。
- 乙種内燃車についても、札幌市交通局で路面電車としてのディーゼルカーが1964年から運行されていただけで、1971年の電化・廃止以後は書類上だけの存在だった。2001年に伊予鉄道が坊っちゃん列車の牽引機関車を「蒸気機関車風のディーゼル機関車」としたため、路面を走るディーゼルカーが約30年ぶりに復活することになり、乙種内燃車の資格が復活した。先述の通り坊っちゃん列車は内燃機関車として復活したものの、復活の際には蒸気機関車として復活させる計画もあったため、乙種蒸気機関車運転免許が実在する可能性もあった。
- 新幹線電気車運転免許について
- 新幹線電気車運転免許所持者であっても在来線の電気車は運転出来ない。これは新幹線と甲種がそれぞれ別の存在であるためで、在来線列車の運行に必要なのは甲種電気車免許。なお、博多南線と上越線支線(越後湯沢-ガーラ湯沢間)は、旅客営業上在来線であるが、動力車操縦者の関係法規では新幹線の扱いである。
- 電気機関車・ディーゼル機関車の免許について
- 一般人を対象に有料で運転体験イベントを行っている鉄道会社(中小民鉄に多い)もある。運転士が指導して車庫内などで行うことが多い。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月13日 (金) 13:02 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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