南北問題
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南北問題(なんぼくもんだい)とは、1960年代に入って発見された先進資本国と発展途上国の経済格差とその是正をめぐる問題。豊かな国が世界地図上の北側に、貧しい国が南側に偏っていることから南北問題と呼ばれる。
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[編集] 概要
[編集] 発生
19世紀末に、世界経済が成立し国際分業が広まると、農業国や工業国への分化が起きた。植民地は、宗主国によりモノカルチャー経済へと転換されるケースが多く、著しい特化が進展した。特にアフリカ大陸においては、列強による領土分割によって、ほぼ強制的に資源の供給国としての役割を担わされた。
第二次世界大戦終結から間もない頃は、農業によって経済を成り立たせている国も多く、そういった国の所得水準は工業国に比べ際立って低いわけではなかった。むしろ、商品作物の輸出などにより高い所得水準を実現している国もあった。
技術革新の進展などにより安価な代替商品が生まれたことから、いくつかの農産品は需要の減退に見舞われた(例:バングラデシュのジュートなど)。また、緑の革命や競争力のある工業国の農産業による輸出攻勢(アメリカやフランス)により、農産品の相対価格は著しく低迷。工業品輸出により発展を遂げる日本や西ドイツとの格差は次第に広がった。一旦、特化した経済は社会構造も特化しているため容易に転換できず、長期間にわたって格差が固定化されることとなった。
発展途上国の多くは資本輸入により工業化を試みた。しかし、国内市場の狭さ、国際競争力を欠いたことなどから失敗する国が多く、貿易赤字と対外債務を増加させる結果となる。その中でも東アジアの韓国・台湾・マレーシアや、中南米のメキシコ・ブラジルなどは一定の工業化を成功させた。
1970年代に入ると、資源保有国によって、自国の資源を先進諸国の資本の支配から取戻し、自国主権の下での開発を目指す資源ナショナリズムが盛んになった。特にオイルショックによって産油国の地位は高まった。一方で、工業化の途上にあった他の途上国の中には、このオイルショックにより重い対外債務負担を負う国も現れた。
1974年には国連資源特別総会において強まる資源ナショナリズムを背景に、NIEO(新国際経済秩序)の樹立に関する宣言が採択された。
1980年代は、1970年代の主に国際機関と外国の政府に対する重債務によってアフリカや中南米の国々は、元利返済に苦しみ、ハイパーインフレーションなどが発生し国民経済は混乱した。
その後、石油産出国や新興工業国(NIESやBRICsなど)は所得が向上していった一方、最貧国は停滞あるいは衰退したことから、中進国との格差が増大する南南問題が起こった。
環境問題が国際的な課題として捉えられるようになってからは、環境対策を求める先進国と、開発優先志向が強い途上国との間で利害が対立している。
[編集] 地域レベルでの南北問題
地球規模での南北問題と同様の意味合いで、比較的狭い地域における経済格差も南北問題と呼ばれることがある。
[編集] イタリア
「北部同盟_(イタリア)」を参照
イタリアにおいては早期に王国領へと併合されたミラノ・ジェノヴァ・トリノを中心とする北部が重工業地域(北イタリア)として発展しているのに対し、南部(南イタリア)は一次産業を中心としているが故に生じている経済格差が問題となっている。1960年代のバノーニ計画によってターラント製鉄所やアウトストラーダが建設されるなど、南部での重工業発展と社会基盤の整備が図られある程度の改善は見られたが、根本的な解決に至ってはおらず、南部の失業率は北部の4倍とも言われている。その為、古くから農民層を中心にドイツなど他国へ出稼ぎや移民に向かう者が多く、一種のコロニーを形成している(イタリア語の章を参照)。一方、本来南部が収めるべき分の税金を負担する格好になっている北部では、不況に伴い南部に税金を吸い上げられているとの批判が強まり、北部同盟のような南北の分離を唱える勢力(こうした民族的問題でなく、経済的問題から分離を主張する政党は過去にあまり例は無い)を生み出している。ただし、北部同盟を支持する人々が必ずしも国家の分離を望んでいる訳ではなく、南部への批判票としての意味合いが強いことに留意する必要がある。
しかし近年ではマフィアの衰退や電子・情報産業などの先進工業の成長(半導体メーカーのSTMicroelectronics社や鉄道関連企業のメリディオリ・メッカニカ社など)により南部経済は好転に向かっているとの声もある。事実、南部の失業率も改善傾向にあり、北部との失業率も3倍程度(中部と比べた場合は2倍程度)に低下し、批判の多かった大規模投資による南部開発計画もプロディ政権下で改められ、現在は「第三のイタリア」を参考にした新たな経済作りが進められている。前述の北部同盟も攻撃対象を南部から不法移民へと切り替え、先の総選挙ではイタリア南部で党勢を伸ばすという逆転現象が起きるなど、イタリアの南北格差は新たな局面に入りつつある。
[編集] フランス
「オクシタニア」を参照
伝統的に南仏と北仏の対立構図が存在する。
[編集] イギリス
イギリスにおいてはロンドンを始めとするイングランド南部と、工業地域としては斜陽化の進む北イングランド・スコットランド・ウェールズの経済格差を指す。なお、この場合は他の地域と違い、南部のほうが発展している。
[編集] 日本
[編集] 青森県青森市
青森県青森市でも商店における南北問題が発生している。昔からある中心商店街を主とする「北」とイトーヨーカドー、ドリームタウンALiなどの新興ショッピングモールを代表とする「南」の問題が深刻化されている。北側では買い物客の流出を抑えるため温泉付駐車場などの観光施設の建設をしている。南側では現在も尚、ショッピングモールが次々にオープンし、乱立した状況に陥り新たに南南問題も発生している。
[編集] 茨城県
関東地方でも特に茨城県における南北問題が近年、注目を集めている。東京通勤圏内にあり、つくばエクスプレス開業で人口増が続くつくば市・守谷市などの県南地域と高齢・過疎化が進む県北部の間の格差は年々拡大しており、速やかな対応策が求められている。茨城県の項も参照の事。
[編集] 三重県
三重県は南北に長く、南北において、人口・高齢化率や産業の集積状況が大きく異なる。三重県の北部においては、中京圏・近畿圏と近距離であることから、産業や人口が集積しているが、南部においては、豊かな自然・歴史・文化資源はあるが、道路網や鉄道網等の基盤が弱いことから、それらを地域活力に十分結びつけられずに、地域経済・社会の存立基盤が脆弱化している。地域経済でのウェイトが高い農林水産業、中部・近畿圏からの集客が重きをなす観光を取り巻く環境も厳しい現状がある。
[編集] 京都府
府庁所在地である京都市への人口集中率が約55%と、東京都(旧東京府)以外の道府県では第一位である。
京都府は南北に細長く、南部(旧山城国)と北・中部(旧丹波国、旧丹後国)との格差が大きく、南部と北部では異なる地域を形成している。
戦後の経済成長において、南部はいち早く発展したのに対して、北部は取り残される傾向にあった。近年では、高速道路建設や山陰本線複線電化工事が施工されるなど、南北格差の是正が図られている。また、旧丹波国域のうち1965年頃から亀岡市及び旧園部町、旧八木町など南丹地区は京都市や大阪府との結びつきが強くなり、行政では京都府を南北のみで区分する場合は、船井郡以南を南部とする(ただし、行政では亀岡市及び南丹市、船井郡京丹波町を中部と区分する場合が多い)。
同様のことは、同じ近畿地方においては、人口の大部分が北部に集中する奈良県・和歌山県、南部に人口の集中する兵庫県・滋賀県においてもいえる。
「京都府#南北問題」を参照
[編集] 四国
四国地方でも、実際問題として南北問題がある。たとえば北四国の有効求人倍率は0.9以上を保っているものの、南の高知は0.5程度と低い状況である。さらに、全国の学力テストでも、高知県は46位と本土内で最下位となったが、北側三県は平均と同等、もしくは10パーセント近く上回る状況であった。ただし、これらの問題が四国内でクローズアップされることはほとんど無い。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年9月2日 (水) 07:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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