単記移譲式投票

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単記移譲式投票 (Single transferable vote (STV) ) は、死票を最小化し、比例代表を提供するよう設計された優先順位投票制度であり、比例名簿式よりも票が候補者に対して明確になることを保証している。この選挙方式は、大選挙区制を用い、別の方式では無駄になる票を移譲することによって達成される。単記移譲式では、最初に個々の票を最も好まれた候補に配分し、候補者の当落の後、有権者の表明した選好順位によって、不必要な票もしくは使用しない票を移譲する。

2007年の時点で、単記移譲式はアイルランド(1919年より)、北アイルランド(英国庶民院の選挙を除く)、マルタで使用されている。またオーストラリアの連邦上院やいくつかの地方選挙、スコットランドの地方選挙、ニュージーランドのいくつかの地方選挙でも使用されている — 単記移譲式投票の歴史と使用も参照のこと。アメリカ合衆国においては、単記移譲式はケンブリッジ (マサチューセッツ州)市の選挙で使われていて、ミネアポリス市のいくつかの選挙でも、2009年から使用される予定である。

目次

[編集] 用語

単記移譲式が一人勝ち選挙で使用されるときは、Instant-runoff votingと同じになる。大選挙区制で用いられるときは、比例代表単記移譲式 (proportional representation through the single transferable vote (PR-STV) ) とも呼ばれる。Instant-runoff は比例代表制ではないので、instant-runoff を比例代表単記移譲式とは別の制度だと考える学者もいる。単記移譲式とは一般に比例代表単記移譲式のことを指し、この記事においてもそうである。オーストラリアでは、単記移譲式はヘア=クラーク比例方式 (Hare-Clark Proportional method) として知られ、アメリカ合衆国では、選択投票 (choice voting)、選好投票 (preference voting)とも呼ばれることがある。

[編集] 投票

単記移譲式において、各々の有権者は選好順序によって候補者の一覧に順位を付ける。言い換えると(最も一般的な投票用紙のデザインの元では)、最も好みの候補に '1' を付け、二番目に好きな候補に '2' を付け…となる。したがって有権者が提出する投票用紙は、候補者の順位の一覧を含む。右の画像で示されている投票用紙において、有権者の選好順位は次のようになる:

  1. John Citizen
  2. Mary Hill
  3. Jane Doe

[編集] 票の集計

[編集] 割当ての設定

単記移譲式選挙では、候補が当選するのに、一定の最小得票数(割当てもしくは基数)を必要とする。いくつかの異なる割当てが使われ、最もよく使われるのはドループ基数であり、以下の式によって与えられる。

\left({{\rm votes} \over {\rm seats}+1}\right)+1

ここで、

  • Votes = 投じられた有効票の総数
  • Seats = 満たされるべき議席の数

[編集] 勝者の決定

単記移譲式選挙は以下のステップによって進行する。

  1. 要求される割当てを達するか超えた候補はすべて当選である。
  2. 選ばれる候補が足りなければ、集計が続く。
  3. 候補が割当てより多くを得票したら、各々の有権者の選好に従い、その剰余価値が他の候補へ移譲される。
  4. 最小得票の候補は落選し、その票は有権者の選好にしたがって、残りの候補に移譲される。

この過程は、ステップ1から要求される人数の候補が選ばれるまで繰り返す。

[編集] ある例

パーティに出す食べ物を決める選挙が行われたとする。候補は5つで、そのうち3つが選ばれる。候補は、オレンジ、セイヨウナシ、チョコレート、イチゴ、キャンディである。そのパーティの20人のゲストは選好を持っていて、下の二つの表において彼らの投票が書き留められている。この選挙では投票者の一つもしくは二つしか選好が示されていない。なぜならこの場合は、より低い選好は選挙結果に影響を及ぼさないからである。

#人のゲスト x x x x x x x x x x
x x x x
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第1選好 Orange Pear Chocolate Chocolate Strawberry Candy
第2選好 Pear Orange Strawberry Candy

まず、割当てが計算される。ドループ基数を使い、20人の投票者と3つの勝者なので、当選するのに必要な票数は:

\left({20 \over {3+1}}\right) +1 = 6

票が集計されるとき、選挙は以下のように進む:

候補: Orange Pear Chocolate Strawberry Candy
ラウンド1 x x x x x x x x x x
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x x x x
x x ラウンド1:チョコレートが割当てより多くの票を獲得しているので、チョコレートが当確である。
ラウンド 2 x x x x x x x x x x
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x x x ラウンド2:チョコレートに投票した人の第二選好にしたがって、チョコレートの余剰票がイチゴとキャンディに均等に移る。しかし、このラウンドの移譲ではどの候補も割当てに達しなかったので、最も得票が少なかったセイヨウナシが落選となる。
ラウンド3 x x x x
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x x x ラウンド3:セイヨウナシの投票が彼らの第二選好のオレンジに移譲されるので、オレンジが割当てに達し当選。オレンジは辛くも割当てを満たしたので、移譲すべき余剰はない。
ラウンド 4 x x x x
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x x x ラウンド4:残った候補で割当てを満たすものはないので、キャンディが排除される。イチゴが唯一残った候補なので最後の席を勝ち取る。

結果: 勝者はチョコレートオレンジイチゴである。

[編集] 集計方法の違い

主要記事:単記移譲式投票の集計

単記移譲式はいくつかの方法において異なっており、主に勝者を決定するときに使われる割当ての的確な大きさにおいて、どの方法で票を移譲するかが異なっている。実際、この理由のために単記移譲式が小選挙区制ではない投票制度の仲間であると考えられることもある。今日、ドループ基数が最も一般的に使われる割当てである。これは(稀な例を除き)多数決原理を保証し、どんな候補でも満たされる議席以上の割当てに達しないという状態を維持する。初め考えられていた単記移譲式はヘア基数を使っていたが、これは現在ふつう技術的に劣っているとされる。ニュージーランドではドループ基数に似た割当てが使われている。 — ニュージーランドの選挙制度も参照。

[編集] 歴史

詳細は「en:History and use of the Single Transferable Vote」を参照

Carl Andræ

移譲式投票の概念は Thomas Wright Hill によって1821年に初めて提案された。この制度は1855年まで実際の選挙には使われないままで、Carl Andræデンマークの選挙で移譲式投票制を提案した。Andræ の制度は1856年のデンマーク議会議員の選出に使われ、1866年に第二院であるランスティングの間接選挙に適用され、1915年まで続いた。

[編集] 問題点

詳細は「en:Issues affecting the Single Transferable Vote」を参照

単記移譲式によくある有権者の関心ごとは、その採用によって相対多数投票方法と比べると、幾分複雑になることである。

単記移譲式は、一つの党の候補が他の党の票から移ることによって当選するという点において、ほかのすべての比例代表制とも実際の使用において異なる。それゆえ、単記移譲式の使用は、結果として生じる政府の選挙過程と対応する党派において、政党の役割を減らすかもしれない。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月19日 (木) 03:26 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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